ネットショップを始めてある程度の売上がたち、副業 (複業) で副収入ができてきたら、確定申告の必要があるか否かを確認はきちんと確認しましょう。税金は基本的に逃れることはできません。今回はネットショップ運営で得られた所得にかかる税金、個人で続けるべきか、それとも法人成りすべきか、というテーマを取り上げます。
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「申告なんてしなくても調査が来たことがない」
「恐れることはない。」
との声をたまに耳にします。
しかし、税務署は何かしらの形で補足をしてきます。手口も割と腹黒い部分もありまして、払えなくなるくらいまで納税額が積みあがったタイミングで調査をしてきます。税金の滞納で破産する人も実際に存在します。従って、基本的に脱税はできないと考えたほうが身のためです。
前置きが少し長くなりましたが、今回は確定申告の話ではございません。
副業 (複業) を始めて、事業が軌道に乗り始めている方、または儲かって仕方ない、という方が中にはいると思います。事業を行う組織形態によって、行っている事業は同様でも周りからの見られ方は変わります。
また、課される税金も変わり、納税額も変わってきます。(合法的な手法で納税額を抑えることを節税といいます。)
脱税は違法ですが、節税は合法です。
税金の世界は知識を知っているか否かの部分が結構あります。今回は、副業 (複業) がうまくいき始めている方で、
個人事業主のままで事業を運営した方がいいのか、又は法人成りして事業を法人化した方がいいのか。
と考えている方がいる方にむけ、簡単に概要を説明します。
個人事業主・法人に課される主な税金は以下です。
個人事業主:所得税、住民税、消費税など
法人:法人税、住民税、消費税、外形標準課税など
この中での一番インパクトがあるのが、所得税と法人税です。個人事業主の所得税、法人の法人税と所得税の概要図は以下の通りとなります。
<個人事業主の所得税の概要図>
<法人の法人税と所得税の概要図>
この2つの税金は、税率が大きく異なります。所得税も法人税も稼いだお金(所得金額or利益)に対して課される税金です。では、税率を見てみましょう。
課税される所得金額(万円) | 税率(%) |
0~195万円 | 5% |
195~330万円 | 10% |
330~695万円 | 20% |
695~900万円 | 23% |
900~1,800万円 | 33% |
1,800万円~4,000万円 | 40% |
4,000万円超 | 55% |
※1 課税される所得金額 = 収入金額(年収) ― 収入から差し引かれる金額 ― 所得から差し引かれる金額
※2 課税される所得金額とは年収とは少し違う概念ですが、内容理解のため年収と置き換えてもらっても大丈夫です
課税される所得金額(万円) | 税率(%) |
800万円以下 | 15.0% |
800万円超 | 23.4% |
※3 実際には、住民税や事業税などがあり法人実効税率というものが存在します。例えば、本社が東京都で資本金が1億円以上の会社だと、法人実効税率は30.69%です。
上記の通り、所得税と法人税率の違いは大きいです。なぜなら、日本の所得税は累進課税制度を採用しており、稼げば稼ぐほど税率が高くなるためです。従って、事業が大きくなればなるほど、法人化した方が有利になります。
税率だけの視点であれば、簡単な議論かもしれません。しかし、税率以外にも留意しておく一般的な事項があります。
法人化する際のメリットは、まず、信用力がアップすることです。基本的に何かしらの取引をするにも個人よりも法人の方が安心して行われるためです。ビジネスを行っている人であればこの感覚はすんなり入るのではないでしょうか。
また、個人事業主は確定申告という形で会計期間が1~12月と決められておりますが、法人は決算月を自由に決めることができます。これは、繁閑がある事業であれば閑散期に決算期を持ってくることで業務を平準化することが可能となります。
最後に、個人事業主は社会保険料を満額支払いますが法人で社会保険に入ることで社会保険料の一部を会社に負担させることができます。
しかし、すべての物事にはメリットがあれば必ずデメリットがあります。
法人化する際にデメリットは、まず設立費用が発生すること、登録費用などが発生します。会社設立手続きは、想定以上に手間であること司法書士を雇って会社設立をすることが多いです。会社設立費用の総額相場はだいたい30万円弱となります。
また、帳簿をきちんとつけなければならず、法人税をはじめとする申告業務も個人事業主の時よりは複雑になります。簿記などの知識がなければ自分自身で行うのは厳しいかもしれません。顧問税理士を雇うことになることが大半だと思います。
顧問税理士の相場は、安いところでだいたい月額2万円からです。
加えて、所得税と法人税は利益に対して課される税金です。従って、赤字であれば納税義務がないのが原則となります。しかし、法人の場合は住民税均等割りなど、赤字であっても納税しなければならない税金が存在します。維持費のようなものです。東京都の場合で、毎年5万円からです。(会社の規模によって、住民税均等割の納税額は変わります)法人化すると自分自身(普通は役員として就任)に給与を支払う必要があります。
しかし、役員であれば役員報酬となり、税務上1年間は原則、金額を変更できません。(利益操作で納税額を不当に小さくしないための施策)
従って、給与(役員報酬)を決めるにも、年間の収支をきちんとシミュレーションする必要があります。最後に、メリットにも記載しましたが社会保険料の費用負担を労使折半にすることができます。一方で、もし従業員を雇えば、社会保険に加入することが必須となるため、会社の社会保険料の負担が大きくなります。
法人化のメリットデメリットをまとめると以下のようになります。
儲かり始めたら法人化した方がいいよとアドバイスを受けても安易に法人化せず、きちんとメリットデメリットを検討したうえで行いましょう。当社STOCKCREWでは、副業 (複業) のお客様も多くいらっしゃいます。
また、司法書士や税理士もアクセス可能であるため、法人化する際に法人設立をしたいけどどこに相談すればいいかわからない、または、法人化したけどいい税理士がどこにいるのかわからない、良い税理士に変更したいなどお悩みがあれば、あわせてお気軽にご相談ください。