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ネットショップを運営するなら知っておきたい『お金』の話~在庫証明書編~

ネットショップを運営するなら知っておきたい『お金』の話~在庫証明書編~

ネットショップを運営する個人事業主の方は、確定申告のために12月末基準、日系企業は3月決算が多いため3月末基準、また、上場企業は会社によっては決算月から3ヶ月ごとを基準日として在庫証明書(または預り証)を取得する場合があります。

在庫証明書(または預り証)を依頼する側・依頼受ける側共に在庫証明書(または預り証)ってなんで必要なのだろうかと一度は疑問に思った方もいらっしゃると思います。ということで、今回は在庫証明書について解説します。

目次

在庫証明書とは?

外部の第三者に預けている在庫について、受託者である第三者が預かっている在庫の商品名とその数量について預かっていること証明する書類のことです。

 

在庫証明書が必要な理由

担当者レベルでこの在庫証明書等の発行を依頼する際は、会計や税務で必要になります。

上場会社や上場準備会社のように金融商品取引法に基づく会計監査人を任命している会社であれば、内部監査部門から依頼を受けると内部統制と呼ばれる、社内でコンセンサスを得ている業務フローがルール通りに実施されているかを確認するために必要になります。

共通しているのは、在庫証明書等は受動的な要因により取得することが多いのではないでしょうか。

そして、外部の第三者に預けているとはいえ、商品の所有権は預け元である中小企業や個人事業主となっている場合が多数だと思います。もし、システム上の在庫数量と現物の在庫数量に差異があったらどうなるでしょうか?

現物の在庫量が少ない場合は、せっかく入った受注をキャンセルし、得られたであろう売上/利益を逸失してしまいます。

また、金銭的な損失だけであればまだマシです。最悪を想定すると、信用を失い、顧客を失う。または、口コミで悪い評判が立ったりして事業として最悪の結末を迎える可能性もゼロではないと思います。

従って、信頼している倉庫業者(発送代行会社)に預けているのは大前提だと思いますが、自分の商品管理がきちんとなされているのか定点観測をするという観点で能動的に取得してもいい書類です。

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数値を使ったシミュレーション

能動的に在庫証明書を取得して、自分の商品管理がきちんとなされることを確認する重要性は理解されたかと思います。

しかし、会計や税務ではなぜ在庫証明書等が必要になるのでしょうか?

財務諸表(貸借対照表と損益計算書)を作成するために必要なのはわかりますが、今回はフィクションの例を設定し、少し理論的に説明してみます。

(例題1)

株式会社MARKETCREWは、ECサイトで美容品を扱っている会社です。オーガニックシャンプーを取り扱っており、仕入額は1,500円、販売額は1,900円とします。決算月は12月とします。

※ 設問の簡素化のため販売費などの他の費用は無視します。

倉庫にある在庫は以下のような推移でした。(倉庫にある在庫とWMS(システム)上の在庫は一致している)

1月1日在庫数量:100個
年間仕入数量:1,500個
年間販売数量:1,450個
12月31日在庫数量:150個

 

(解説1)

損益がどのようになるのか、見てみましょう。売上は簡単ですね。

1,450個×1,900円=2,755,000円

続いては売上原価です。

販売した数量に仕入額を乗じて計算することも可能ですが、応用を利かせられるように会計的な発想で算出します。

売上原価については、このような式が成立します。

期首在庫金額 + 年間仕入額 - 期末在庫金額=売上原価

上記式に設問の数値を代入してみましょう。

売上原価 = 150,000+2,250,000ー225,000= 2,175,000 ※1

では、検算してみましょう。

仕入額 1,500 × 1,450=2,175,000 ※2

※1=※2となり、金額が一致しております。

単純なビジネスであれば、②の計算でもいいかもしれません。

しかし、ビジネスが複雑化したり、規模が大きくなると※1のような計算方法が必要となるため、理解はしておく必要があります。

では、例題1の損益をまとめましょう。

売上高 2,755,000円
売上原価 2,175,000円
売上総利益 580,000円

 

続いて、以下のようになったらどうでしょうか。

 

(例題1-1)

借入金を新規に実行するには、今期の売上総利益は100万円を計上することが条件である。と銀行と約束をしておりました。

設問1の状況では売上総利益が42万円不足しております。さて、経営者はどのようにこの42万円を填補しようとするでしょうか。

 

(解説1-1)

売上総利益=売上ー売上原価

の数式が成り立つため、売上をアップさせる(※3)か売上原価をダウンさせる(※4)かの2通りあると思います。

※3の方は簡単に想像がつくと思いますので、※4を詳細に解説します。

(解説1)の以下の数式を思い出してください。

期首在庫金額 + 年間仕入額 - 期末在庫金額=売上原価

売上原価をダウンさせるには、以下の方法があります。

ケースA)期首在庫金額

ケースB)年間仕入額を小さくする。

ケースC)期末在庫金額を大きくする。

 

ケースA)

期首在庫金額は前の年の期末在庫金額と一致していないとおかしいため、金額操作するのは難しいです。

ケースB)

手口としては可能ですが、既に固まっている過去日付の取引を改ざんする必要があるため、手間がかかります。

ケースC)

決算整理仕訳と呼ばれるもので行うため、決算書や申告書を作成する時点で固めることが多い数値です。(決算整理仕訳というものは会計概論の記事で記載させていただきます。)

従って、期末在庫金額を編集してしまう方が実務的に簡単で、売上総利益を100万円にするには、売上原価を1,755,000円にする必要があります。1,755,000円となる在庫数量は280個です。

従って、このように数字を変更してしまいます。

  倉庫にある在庫数 WMS(システム上)の在庫数
期首在庫数量(1月1日時点) 100個 100個
期末在庫数量(12月31日時点) 150個 280個

 

すると、損益は以下のようになります。

  倉庫にある在庫数での計算 WMS(システム上)の在庫数での計算
売上 2,755,000円 2,755,000円
売上原価 2,175,000円 1,755,000円
売上総利益 580,000円 1,000,000円

 

このように、期末の在庫を150個から280個と積み増しをするだけで売上総利益を42万円増やすことが可能となります。そして、銀行との約束をあたかも守れたかのように見せるのです。

このように数字を操作して銀行等への提出資料を改ざんすることは少なくありません。これを、虚偽報告といいます。ちなみに、東芝事件はこの類のものとなります。

東芝、不適切会計問題を読み解く: 日本経済新聞 (nikkei.com)

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まとめ

今回の記事で現物確認を行うことの重要性を感じられた方が多いのではないでしょうか。最近ではEC用の倉庫が増えてきております。EC用の倉庫は特定のお客様の専用倉庫とはなっていないことが多く、セキュリティの観点から立入を禁止されることが少なくありません。その際は是非、在庫証明書の発行を検討してみてください!!

STOCKCREWでは、東証一部上場会社や上場準備をしていらっしゃるお客様がいらっしゃいます。在庫に関する管理方法や監査法人対応などでお困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。

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