インターネットが浸透し、スマホやパソコンを使ったデジタルファーストな社会が広がるなか、EC販売の充実は、多くの企業にとってもはや無視できない重要戦略の中軸といえます。しかし、的外れなやり方では、満足のいく成果を獲得し続けるのは難しいでしょう。そこで今回は、EC販売で売上を伸ばすための、2フェーズにわたる10戦略について解説します。
ECビジネスにおける戦略は、その中身を大きく2つのフェーズに分けて説明することができます。
まずフェーズ1は「リードを獲得して集客する」。平たく言えば「商品やサービスを必要とする潜在顧客を集める」という内容です。
続いてのフェーズ2は「CVR(コンバージョン率)を向上させ、かつリピーターを獲得する」というもので、もう少し平易な表現をすると「その潜在顧客に商品やサービスを購入してもらい、繰り返し愛用してもらえるように促す」となります。
この2つの流れが適切に機能し循環していれば、EC販売の成功率は高まるでしょう。以下、それぞれのフェーズについてもう少し掘り下げます。
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高齢者と義務教育以下の子どもを除けば、国内のスマホ保有率は90%を優に超えています。よってそのほとんどが、EC販売のターゲットになりうるといってよいでしょう。
しかし、実際の内訳はといえば、年齢、性別、立場、職業、そして年収や趣味嗜好もそれぞれ異なります。その母集団からいかに多くの潜在顧客にアピールし、関心を引けるかが、EC販売の戦略においては避けて通れない大事な入り口(=フェーズ1)となります。ここでつまづけば、その先はないということです。
フェーズ1を経由した潜在顧客層は、EC企業にとって、いわば「眠れる宝の山」です。この宝をどのようにひとつずつ掘り起こし、商品やサービスの購入(CV:コンバージョン)を通してリアルな資産へと昇華させられるかが、フェーズ2の役割です。
フェーズ2で重要なのは、ECサイトの機能性であり、ユーザーにUI、UXといった操作性の良さと一種の“感動”を味わってもらうことです。また、獲得した顧客をリピーターに育てることも欠かせません。この後、このフェーズ2での戦略を3つ紹介します。
フェーズ1の概要は「集客」にあると紹介してきました。では実際問題、どのように集客すればよいのか?集客のための基本的かつ一般的な施策を6つ紹介します。
自社サイトを立ち上げ、そこで十分な集客と販売ができるのが理想です。しかし、個人のショップや中小企業の場合、どうしても発信力には限界がある場合がほとんどでしょう。そこで、Amazonや楽天、Yahoo!ショッピングといった複数のECモールの並行活用が有効です。
一般的なECのCVR(コンバージョン率)の平均は、多くて2%といわれる中、ECモールは5%前後のため、その効果の高さは歴然です。知名度が高い分、桁違いのアクセス数と集客力が期待できるため、その内の5%というのは大きな魅力です。
若年層を中心にSNSの発信力は今や、新聞広告やテレビCMを凌ぐ勢いがあります。口コミやレビューを確認するだけでなく、それらの拡散によって想定を超えた範囲にまで口コミが広がります。しかも、多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーを上手く使えればその効果はさらに高まります。
自社サイトとSNS、YouTubeを外部連携させれば、広い方面からの集客が見込めるので、積極活用するメリットは大きいと言えます。
広告やサイトの閲覧履歴を元に、より確度の高い潜在顧客に、キャンペーンや新商品の宣伝、セミナー開催のお知らせなどをメール、SMSなどを使って自動配信できるMA(マーケティングオートメーション)ツールも大きな戦力になります。
BtoB、BtoCと業態によって使い分けられるサービスも多く、手作業で行なっていた入力やメール送信などが自動化できるので、業務効率向上と人件費削減といった効果が同時に得られる点もメリットです。
ネットだけでなく、実店舗やカタログ・DMを使ってネットとリアルを融合させることで、マルチな経路から潜在顧客にリーチしていく手法が、オムニチャネルです。
ネット注文した商品を実店舗で受け取ったり、実店舗で試着や試食したものをネットで購入したり、デジタルに不慣れな層にはアナログ的アプローチを可能にしたりと、ユーザーの購買行動に選択肢を広げるのがオムニチャネルのおもな目的です。加えて、経路が違っても取得したデータは一元管理できるので、顧客行動を多角的に分析し、次の戦略に活かすことも可能です。
EC販売で最も注力すべき戦略の一つが、SEO対策です。ユーザーにとって魅力的なオウンドメディアの配信、XMLサイトマップの送信、内部リンクやパンくずリストの設置、Alt属性の追加……という具合に、検索エンジンに読みとってもらうためにサイト最適化をはかり、検索上位を狙います。検索結果で上位表示されるとサイト訪問者が増え、フェーズ1の目的を達成できます。
閲覧するユーザーの利益を第一目的とする検索エンジンのシステムは、日々変化を遂げているため、どれだけ完璧な対策を施してもこれで十分ということはありません。ただし、適切なSEO対策ができれば、大きな利益を生む可能性があります。自社でSEO対策を行えば広告費を抑えられるので、費用対効果が非常に高い点も見逃せないメリットです。
スマホユーザーの平均アプリ所有数は、30を超えていると言われます。ブラウザを経由しなければ開けないWebサイトに比べ、アプリは一度インストールすれば常時画面表示されるため、操作が楽な点がメリットになります。
クーポン配布や新商品・イベント・キャンペーンの告知など、プッシュ通知を使えば、効率的に潜在顧客を囲い込めます。予算が許すのであれば、クオリティの高いアプリの開発と配信は集客においては非常に有効な手段になります。
これまでに紹介した集客施策で顧客を獲得……これでひと安心ではありません。むしろここからがスタート、といっても過言ではありません。一度購入していただいた顧客にリピーターになってもらう、常連客になってもらうためにはどうすべきか?以下、その代表的な施策を3つ紹介します。
フェーズ1のSEO対策に加え潜在顧客の呼び込みに成功した後、確実にCVRを上げるためにはユーザーにとって魅力あるECサイトの提供が必須となります。
わかりやすく丁寧な商品説明、レコメンド、創業や開発に至ったプロセスや秘話・苦労話、豊富な画像や動画コンテンツ、レビューなどを見やすくデザイン性の高い作り込みで見せるようにします。対面接客ができない分、ストーリー性のあるサイト・コンテンツを作ることによって、ユーザーから共感を強く引き出し、訴求していくことが大切です。スマホ画面で見やすいようにモバイルフレンドリーにしておくことも忘れてはなりません。
決済方法も思いのほか購入の可否を分ける要因となります。したがって、クレジットカードや、ATM、銀行引き落としなどに加えて、簡易性の高いID決済もできると評価が高まるでしょう。
自社のECサイトまでたどり着いても購入に至らないケースは少なくありません。そのような場合は、このフェーズ2で訪問履歴のあるユーザーに向けて「リターゲティング広告」を配信するのが有効です。
リターゲティング広告とは、サイト内に埋め込んだダグによって訪問者にCookie(クッキー)を付与し、ユーザーの情報をリスト化します。それを元にターゲット広告を配信する仕組みです。
商品やサービスを実際に利用してもらえたら、顧客リストに入れます。そして次は、リピーターとなってもらうための対策を行います。
通常よりもポイントを多く加算したり、安価なセット販売や割引を行ったりして特典を付与します。そして他の商品やサービスの良さも知ってもらえれば購入単価が上がり、結果として全体の収益を押し上げることにもなるでしょう。よって、できるだけ取りこぼしのないよう万全を期す必要があります。
フェーズ1と2に分けてEC販売戦略について解説しましたが、これらをまんべんなく網羅するのは容易ではありません。そこで外部のECコンサルタントサービスを利用するのもひとつの方法です。
実効性のあるサイト構築から訴求力に富んだWebページのデザイン、出品支援、さらにSNS運用や売上分析まで、CVRをアップしECビジネスで確実に成果を上げるための具体策をプロが立案、支援してくれます。上手くいけば見違える成果が期待できるので、一度検討してみるのも良いでしょう。
EC販売戦略が奏功すれば、獲得したリードが顧客へ、そしてリピーターへと育ち、確実な売上アップを見込めます。そのためには、つねに研究と対策が不可欠です。自社に足りない要素を確実に補い、強みを際立たせるためにも先を見据えたEC戦略構築の必要があります。
またEC戦略の構築が欠かせないのが、発送代行の存在です。購入が増えればその分物流費もかかっていきます。物流費の見直しのためにアウトソーシングの検討も重要な戦略の1つになります。
STOCKCREWの発送代行サービスは小ロットから大規模出荷まで幅広く対応しています。初期費用・固定費もないため、導入しやすい物流アウトソーシングサービスなので、お気軽にお問い合わせください。