ネットショップを始めようとすると、利用規約やプライバシーポリシー、特定商取引法に基づく表示など、法律が関係しそうな言葉がたくさん出てきます。
色々知りたいけど、何が何やらわからない状態になってしまっている方もいらっしゃるとおもいます。
そこで今回は『ネットショップを運営するなら知っておきたい『法律』の話』として、お役に立つような情報、利用規約は必要なのか、利用規約のメリットなどを提供します。
当記事では、法律だけではなくお金の話も記載されているので是非ご参考ください。
【参考記事】
ネットショップを運営するなら知っておきたい『お金』の話～ 会計総論編 ～ | STOCKCREW
利用規約の範囲とは、ネットショップを利用する上での規則や条件を定めた規約のことであり、利用者がネットショップのサービスを利用する場合に適用されるものです。利用規約には、商品の注文方法や支払い方法、返品・交換の条件、禁止事項、個人情報の取り扱い、などが含まれます。
利用規約の定義とは、利用者がネットショップを利用する上で遵守しなければならないルールや条件を明確に定めたものであり、利用者とネットショップとの間での取引やサービス提供に関する法的な規制を示すものです。利用規約には、利用者に対する注意事項や規制、サービス提供者の責任範囲や免責事項、紛争解決に関する規定などが含まれます。
利用規約の範囲と定義には、利用者にとって重要な内容が含まれています。利用者は、利用規約をよく読み、ネットショップのサービスを利用する際には、利用規約に基づいて行動することが求められます。また、ネットショップ側も利用者に対して適切に利用規約を明示し、遵守させることが必要です。
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利用規約(*1)については、結論からいえば、ネットショップを運営する場合であっても必ず作らなければならないというものではありません。
しかしながら、ネットショップをユーザーとして利用する場合には、買い物をする際やユーザー登録の際に、利用規約への同意を求められることが多いかと思われます。
それでは、なぜネットショップにおいては、必ず必要なわけではない利用規約が用いられることが多いのでしょうか。
*1 ユーザー規約やサービス規約など、様々な呼び名があります。
ネットショップにおいて利用規約への同意を求められることが多い理由として、ネットショップの運営側に以下のようなメリットがあるからです。
それでは、上で挙げたメリットを具体的な例示に沿って見ていきたいと思います。
(例)
Xさんはネットショップを運営しており、一点物のアクセサリーを仕入れて、自分のサイト上で販売しております。
利用者であるAさんはXさんの運営するネットショップでアクセサリーを買うと売買契約が成立することになります。
これによって、XさんはAさんにアクセサリーを引き渡す義務を負って、AさんはXさんに代金を支払う義務（民法555条）を負いますが、これだけでは話が終わるわけではありません。
まず、売買の内容を見ても、引渡しや支払はいつどうやって行うのか、返品や交換についてのルールはどうするのか等、決めておいた方がよいことはたくさんあります。
また、法律上は売主にとって不利となるようなルールが定められていたとしても、法律よりも当事者の合意が優先することが認められている場合 (*2) もあります。
このような部分をしっかりと事前に詰めているかいないかで、ネットショップ運営者の負担は大きく変わってくることになります。
さらに、利用規約ではサイトの利用のルールなどを定めておくこともできます。
例えば、サーバーがダウンしてしまった等の理由で、Xさんは申し込まれた取引に対応できないような場合もあるかもしれません。
このような場合を事前に想定していれば、利用規約にそのような場合についてはXさんは責任を負わないというような規定を入れておくこともできます。
*2 当事者の合意を優先させることが認められている法律の規定を「任意規定」といいます。
取引ごとにユーザーと契約を締結していた場合には、過去に締結した契約の内容を変更したければ、ユーザーごとに再度契約を締結しなおす必要があります。
しかし、利用規約を定めた上で利用規約についてはXさんの判断で必要に応じて変えられるという規定を入れておくことで、合理的な内容の変更であれば利用規約の変更により全ユーザーまとめて内容を変更できます。
事前に利用規約を決めておかず、個々のユーザーと取引ごとに契約を締結する場合、取引ごとに各ユーザーと交渉の機会が発生してしまうことになります。
そして、取引やユーザーごとに契約内容修正のための交渉を行うと、その交渉に多大な時間を割かれてしまう恐れがあります。
また、取引やユーザーごとに権利義務の内容が異なってしまうことで、契約内容の個別管理が必要になり、管理コストが増大する可能性もあります。
しかし、利用規約を定めた上でそれに同意しない限り取引できないということとしておくことで、交渉時間や管理コストの削減ないし軽減が可能です。
現物を見ないで取引をするネットショップではありがちなことですが、アクセサリーを購入したBさんが、思っていたものと雰囲気が違うであるとか、色味が違うといったことで返品を要求してくるというような場合があります。
このようなトラブルについては、例えば、利用規約において返品できる場合を、パーツ欠損などサイト上の製品と形状において一致しない場合や顕著な傷が認められる場合等に限定し、それを示すことにより解決することができることも多いかと思われます。
つまり、何がどうなっている場合に返品をするかなどを決めておくことで対応することが明確になるメリットがあります。
このように不特定多数のユーザーと多数の取引を行ってい行くことが多いネットショップの運営にあたっては、上記のような利用規約のメリットが活かされやすいため、利用規約が用いられることが多いと考えられます。
利用規約にはさまざまな条項、そして普段あまり使わないような言葉がたくさんでてきます。それをその都度勉強して、というのは効率的ではありません。ここでは、具体的かつ代表的な利用規約の例文を紹介します。各項目を都度手直ししてお使いください。
以下は、「サービスの利用について」に関する利用規約の一例です。
【アカウントの登録】
当サイトのサービスを利用するには、アカウント登録が必要です。アカウントの登録には、有効なメールアドレスとパスワードが必要です。登録された情報は、個人情報保護方針に基づき管理されます。
【商品の注文方法】
当サイトでの商品注文は、注文フォームに必要事項を入力して送信することによって行われます。注文が完了すると、当サイトから自動返信メールが送信されます。注文内容に誤りがある場合や、在庫切れ等により注文を承諾できない場合があります。
【支払い方法と価格】
当サイトでの支払い方法は、クレジットカード決済、銀行振込、代金引換があります。商品代金は、商品購入時に表示される価格に加え、送料や手数料等が別途加算されます。
【商品の発送と配送方法】
当サイトでの商品発送は、ご注文確定後、通常3営業日以内に発送いたします。商品の配送方法は、佐川急便やヤマト運輸等の宅配便を利用します。配送業者は、当サイトによって指定されます。商品の配送状況については、業者のサイトにて確認いただけます。また、お客様による受取り拒否等により、商品の再配達が必要になった場合は、追加送料が発生することがあります。
以上が、アカウントの登録、商品の注文方法、支払い方法と価格、商品の発送と配送方法に関する利用規約の一例です。これらの情報は、ネットショップの利用者がスムーズに商品を購入できるよう、分かりやすく説明することが重要です。ただし、具体的な内容は、各ショップの方針や事情により異なる場合がありますので、利用規約をよく確認するようにしましょう。
以下は、「返品・交換」に関する利用規約の一例です。
【返品・交換の対象と条件】
1.商品が到着してから7日以内に、当社指定の返品・交換フォームよりお申し出いただいたものに限ります。
2.商品に初期不良、破損、誤配送があった場合、またはお客様都合による返品・交換であっても、商品の未開封・未使用、および販売時の状態であることが条件となります。
3.セール品、および一部の商品に関しては返品・交換をお受けできない場合がございますので、詳細は商品ページに記載されている注意事項をご確認ください。
【返品・交換の手続きと費用】
1.返品・交換にあたっての送料については、初期不良、破損、誤配送の場合に限り、当社が負担いたします。それ以外の場合はお客様ご負担となりますので、あらかじめご了承ください。
2.返品・交換にあたっては、必ず当社指定の返品・交換フォームからお手続きください。返送先住所など詳細につきましては、返品・交換フォームの画面にてご確認いただけます。
3.商品の返送に関しては、商品の状態を損ねることのないよう、適切に梱包してください。また、商品到着後、当社にて検品を行い、問題がない場合に返金手続きをいたします。
4.交換の場合、商品の在庫状況によっては、お届けまでにお時間をいただく場合がございます。何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
以下は、「禁止事項」に関する利用規約の一例です。
【法令遵守の義務】
利用者は、当社の提供するサービスを利用するにあたり、法令及び本利用規約に違反しないことを条件とします。
【著作権・商標権等の権利侵害の禁止】
利用者は、当社の提供するサービスを利用するにあたり、第三者の著作権、商標権、肖像権、プライバシー権等の知的財産権やプライバシーを侵害する行為を行わないことを条件とします。
【不正な行為の禁止】
利用者は、当社の提供するサービスを利用するにあたり、以下のような不正な行為を行わないことを条件とします。
・虚偽の情報を提供すること
・第三者のアカウントや個人情報を不正に入手すること
・当社のシステムに不正アクセスすること
・その他、不正行為と判断される行為全般
【その他禁止事項】
利用者は、当社の提供するサービスを利用するにあたり、以下のような行為を禁止します。
・当社のシステムやサービスを妨害する行為
・当社のサービスを商業目的で利用すること
・当社のサービスを利用して、政治的な活動や宗教的な活動を行うこと
・当社のサービスを利用して、他の利用者に対して迷惑行為を行うこと
・当社のサービスを利用して、わいせつ物を表示すること
・その他、当社が不適当と判断する行為全般
以下は、「免責事項」に関する利用規約の一例です。
【サービス提供の中断や停止について】
当社は、以下の場合においては、事前に通知することなく本サービスの提供を中断または停止することがあります。
・システム保守・点検を行う場合
・火災・停電・天災等により本サービスの提供が困難となった場合
・その他、当社が必要と判断した場合
当社は、本サービスの中断・停止により発生した利用者または第三者の損害について一切の責任を負わないものとします。
【情報の正確性について】
当社は、本サービスに掲載された情報について、その正確性・信頼性について一切の保証をしません。また、本サービスを利用することで利用者が直接・間接的に被った損害について、当社は一切の責任を負わないものとします。
【損害賠償責任の範囲について】
当社は、本サービスの提供に起因して利用者に損害が生じた場合でも、当社が故意または重過失による場合を除き、当該損害について一切の責任を負わないものとします。また、当社は、本サービスに関連して、利用者または第三者が被った損害（間接損害、逸失利益を含む）についても、一切の責任を負わないものとします。
以下は、「個人情報の取り扱い」に関する利用規約の一例です。
当店は、お客様からお預かりする個人情報を適切に取り扱い、お客様のプライバシー保護に最大限の配慮を行います。以下に、当店の個人情報の取り扱いについて記載します。
1.個人情報の収集と利用目的
当店は、お客様からご提供いただいた個人情報を、商品の発送やご注文の確認、お問い合わせへの回答など、サービス提供に必要な範囲内で利用いたします。また、お客様からのお問い合わせに対する回答や、新商品・サービスのご案内など、お客様にとって役立つ情報を提供するために利用することがあります。
2.個人情報の提供について
当店は、法律に基づく場合、お客様の同意を得た場合、業務委託先に必要な範囲内で提供する場合を除き、お客様の個人情報を第三者に提供することはありません。
3.個人情報の管理と保護
当店は、お客様の個人情報を正確かつ最新の状態に保つように努めます。また、個人情報への不正アクセス、紛失、破壊、改ざん、漏えいなどを防止するため、適切なセキュリティ対策を講じます。お客様の個人情報は、当店以外の第三者に開示することはありません（法律に基づく場合や、お客様の同意を得た場合を除く）。
商取引を行う上で重要なのは法律や契約がどうなっているのか、をきちんと知ることです。不要なトラブルに巻き込まれないためにも、是非法律面のケアもしていただけるとより質の高いネットショップ運営ができるかもしれません。
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