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在庫が多いのは何故悪い?〜ネットショップの適正在庫管理を理解する〜

在庫が多いのは何故悪い?〜ネットショップの適正在庫管理を理解する〜

ネットショップ運営でサイト構築に並んで気を揉む在庫管理。在庫管理とは、製品や資材を適切に保管、管理し、需要に応じて適切な量を提供できるようにするプロセスです。適切な在庫管理は、過剰在庫や在庫切れを防ぎ、コストを抑え、顧客満足度を高めるために不可欠です。では、適正に在庫管理するにはどうすべきか?今回はその方法を紹介します。

目次

適正な在庫量とは?

適正な在庫量を管理するということは、在庫には適正な数値があるということですが、実はこれは非常に難しい問題です。というのは、在庫というのは物理的には「倉庫に置いてある商品」という程度の意味合いですが、財務的に見れば、原材料からはじまり、半製品、製品という具合に全て「すで既に投資したカネのなり変わったモノ」というように捉えることができます。

この「既に投資したカネのなり変わったモノ」という意味での在庫は言い方をもう少し積極的にすると「販売する以外に使えないカネ」と見ることができます。ネットショップの場合、カネをモノに一度変えて、それを消費者に届けることで再びカネに変えるというのが基本的なビジネスの流れですが、モノである間はそれを消費者に届ける以外の活用方法がなくなります。それが在庫です。この在庫という悩みのタネは同時に売上のタネでもあり、うまい付き合い方をしていきたいはずです。ここではそんなタネとの付き合い方を、特にネットショップ運営の観点で解説していきます。

適正な在庫管理といった場合、色々な視点で「適正」を定義できるため、いくつかに分類して説明していきます。

  1. 売り逃がし・売れ残りの観点での「適正」在庫
  2. キャッシュフローの観点での「適正」在庫
  3. マーケティングの観点での「適正」在庫
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売り逃がし・売れ残りの観点での「適正」在庫

売れるはずだった商品がないことで発生する「売り逃がし」、売れると思っていたが売れなかった「売れ残り」・・・。これは在庫を扱う全ての商売の永遠のテーマです。クラウドファンディン等の受注生産を行うことでこのリスクは限りなく減少させることができますが、受注生産だけでは現在のすぐに変化してしまう消費者トレンドに対応することができないということもあります。

まずはじめにお伝えしたいのは「適正な在庫管理」の目的はじつは「適正な売り逃がし/売れ残り」にある、ということです。ここで重要なのは売り逃がしも売れ残りもそれ自体が悪ではなく、在庫管理の目的はこれらをちゃんと管理するということです。

 

原価率から見る「売れ残り」

当然、ここで気になるのは、商売上マイナスの要素である売り逃がし、売れ残りの「適正」とは?と思われるでしょう。こういったことは発生しないに越したことはないのですが、ほぼ確実に発生します。

在庫は売れ残るし、気づかないところで売り逃がしは確実に発生しています。確実に発生するものを、発生させないようにするというのはなかなかの苦労ですし、そして多くの場合無駄骨になりかねません。そこで、どこまでこの売り逃がし・売れ残りと付き合っていくかという観点になっていきます。

まず、自社の在庫量に懸念がある場合は、自社の商品の原価率に注目してください。原価率とは多くの場合、仕入原価と理解して頂いて構いませんが、物流費等のコストが直接費として計算できるとそういった項目も含めると良いと思います。

簡単な原価率の計算方法は以下のとおりです。

原価率=(仕入原価+物流費等直接経費)/販売価格

この原価率からわかることは、案件として「損をしてはいけないライン」が明確になります。例えば、原価率が50%の商品があったとします。分かりやすくするために、販売価格10,000円、仕入原価が4,000円、物流費等直接経費が1,000円だったとしましょう。その時にその商品が定価で販売できたときの利ざやは5,000円になります。この時には許容できる売れ残り(=余剰在庫)はどれほどになるでしょうか?

1点販売できるときに得られる利ざやが5,000円ですので、この商品の仕入原価に対する負担力(何点売れば原価をまかなえるか)は2倍あることになります。つまり、1点売ることが出来れば、1点余ったとしても「損はしない」ということが分かります。逆に言うと、販売点数と売れ残った在庫の量が1倍以下であれば事業としては「儲かった」と言えるはずです。(勿論、販売管理費等の諸経費が発生しますので、実際の在庫基準はもっと低くなります。)

原価率が50%の時に1点販売するために許容できる仕入数量は2点で余剰在庫数は1点になります。これでちょうど損をしません、というか儲かりません。

つまり、原価率が高ければ高いほど、許容できる売れ残りは減っていき、原価率が低ければ低いほど、許容できる売れ残りが増えていくわけです。従って、数式だけを考えれば、販売価格を上げるだけでも売れ残りに対する許容度は上がって行きますが、それでは販売自体が促進されないため、解決になりません。あくまでも「適正」を知るという意味での許容度だと理解してください。

 

リードタイムから見る「売り逃がし」

次に商品が消費者に届くまでの時間から考える「売り逃がし」を考えてみましょう。ネットショップで商品を購入する消費者は、可能であればなるべく商品を早く手にしたいと思っています。では、この「可能であれば」というのはどの程度の時間なのでしょうか?リードタイムの適正は「モノを届けられる時間<消費者の待てる時間」と説明できますが、これは商品によってかなり異なってきます。

例えば、自動車の納車のリードタイムは1〜3ヶ月が当たり前なので、消費者は「明日手に入らないならいりません」とはなかなか言いません。一方で半導体不足で納車が半年以降になると言われている最近では「では、今回はやめておきます」となりがちです。また、クリスマス用のプレゼントで用意したい商品は「12月23日までならいつでも良い」ですが「12月26日以降ならいりません」となるでしょう。こうしたリードタイムの適正値というのは扱う商材によって千差万別ですが、一般的には単価が高い商品や希少性の高い商品ほどリードタイムは長く設定しても問題が発生しない傾向にあります。

この顧客の許容できるリードタイムと発注(受注のリードタイム)してから倉庫まで商品が到着するリードタイム(発注のリードタイム)のズレを補うために在庫が必要になります。極端な話、3ヶ月で発注後調達可能な商材で消費者が3ヶ月待てるのであれば、在庫は不要ということになります。

では、ネットショップの場合はどうでしょうか?ネットショップの運営上は同質性の高い商品を競合他社が扱っている可能性は低くはありません。そうした場合、即日出荷できないということで売り逃がしが発生してしまうリスクは高いと言えるでしょう。ここからが、どのくらい在庫が必要なのか?という説明になります。少し面倒ですが、ネットショップ運営上とても重要な点です。

 

欠品率と需要予測

適正在庫の主要な考え方で「安全在庫」という考え方があります。これはある一定の欠品率を設定し、どの程度の在庫を保有すべきかという計算式になります。まず欠品率をどのように設定すべきか解説します。

欠品率はある商品を販売する時に発生する売り逃がしをどの程度認めるか?ということを示していますが、当然欠品はない方が良い、ということではあります。しかし、売り逃がし、売れ残りは必ず発生します。なぜなら未来を予測することは誰にもできないからです。もし、自分は需要予測を正確にできると考えている方がいれば、それは受注リードタイムと発注リードタイムのバランスがうまく取れているか、あるいは、ただの勘違いです。

将来予測を立てる上で目安になるのが、「ベースケース」と「下方ケース」です。実はどれだけ欠品を許容するか、という話はどれだけ「売れ残り」を許容するかという議論と同義です。例えば、単価10,000円の商品が原価率50%で提供でき、その他の販売管理費(=固定費)が20万円発生するとします。1点を販売する利益は5,000円ですので、この商品の販売で損をしない最低ラインは40個の販売であることが分かります。つまり、40個以下の販売数量であればそもそもこの商品を販売する意味は会計上はないということになります。事業の損益分岐点です。ここで営業利益率を20%残したいと思うのであれば、非現実的ではありますが100個仕入れをし、100個販売出来れば下の式のように目標を達成できることがわかります。

営業利益率=(売上高*(1-原価率)-販売管理費)/売上高

例)30%=1百万円*(1-50%)-20万円/1百万円

こういった形で予算を確定することはとても大事なことです。しかし将来の予測は必ずバラつきますし、そのバラつきは売り逃がし・売れ残りとして必ず発生します。こういった「バラつく」という考え方を標準偏差と言います。標準偏差はある数字の集合がどれくらいバラついているかを示す指標です。

該当商品や類似の商品、他自社サイトの商品の販売実績から標準偏差を求めることが出来ます。この辺りの説明は「安全在庫とは?メリットや計算方法、注意点を詳しく解説!」で詳述されていまし  たので参考にしてください。例えば、過去の自社サイトの標準偏差が平均販売数量に対して20%程度であることがわかった時、今回の100点の販売計画でも同様に20%程度の上振れ、下振れのリスクがあると推定できます。少し変な日本語ですが、平均的に120点〜80点の販売数量が見込めるということになります。

今回の商材は50点で損をしない商品だということが分かっていますので、下方ケースとして予想される80点の販売でも20万円(営業利益率20%)は見込めると予想できます。厳密には50点程度の販売予測が見込まれるのであれば、20%の下方修正があったとしても利益は見込めるので最低ラインとして販売目標を50点に設定することもできます。

 

発注リードタイムと安全在庫

さて、ではこの商品で利益を得るためにどの程度の在庫を保有する必要があるのでしょうか?

このようなある一定の売上を実現するために必要な在庫数量のことを安全在庫と呼びます。安全在庫が不足すると需要に応じて供給を行えなくなり、売上減の原因になります。これを算出するためには発注リードタイムを確認する必要があります。

予算目標を月間100点の販売、発注してから倉庫に届くまでの時間を2ヶ月とし、発注できるタイミングは月に1回だとしましょう。そうした時に求められる計算結果は以下になります。

安全在庫=安全在庫係数*標準偏差*√発注間隔+発注リードタイム

例)約150個=0.85(安全係数)*20(標準偏差)*√60+30(リードタイム)

安全係数は欠品率から算出できますが、ここでは最大で50点の売れ残りを許容できる商品で、販売が平均で20%バラつくことが予想されているので、少し安全を見て20%の欠品許容率を設定しています。下表は安全係数の汎用例ですので、設定したい欠品率から計算していただければと思います。

安全係数 1% 5% 10% 20% 30%
欠品率 2.33 1.65 1.29 0.85 0.53


ここで注意して欲しいのは低すぎる欠品率を設定しないということです。従来のデパートやブランドショップの店頭欠品率は実は30〜40%あると言われていました。一方で自動車部品や建設の業界では3%を下回ると言われています。これはその商品が欠品することでどの程度、買い手に影響を与えるかということによって変わってきます。自動車の製造ラインでは一つの部品が足りないだけで全てのラインが停止してしまいます。そのため、部品の欠品が発生することが事業全体の命取りになってしまうため、非常に低い水準の欠品率、高い水準の安全在庫が求められるのです。

ネットショップ運営においては店頭よりも高い水準の品揃えが可能なので「店頭にはなかったがネットでは買えた」ということは良くありますが、それでも欠品率は10〜30%の設定で十分です。仮に1%未満の欠品率を求めると同様の計算式で約3倍の420個の在庫を用意する必要があります。仮に予測が目標とした数値の標準偏差の上振れであった場合でも1ヶ月で300個の在庫が余る計算になります。当然、次月以降の販売に充当することになりますが、120万円(120個*10,000円)の売上を作るのに120万円(300個*4,000円)の売れ残りが発生するリスクがあるのはあまりにも大きすぎます。このあたりは次のキャッシュフローからみた適正な在庫でも説明します。

以下、結論を簡単にまとめておきます。

  1. 原価率によって許容できる売り逃がし・売れ残りの比率は変わる。一般的に原価率が低い方が売れ残りを許容できる。
  2. 設定する欠品率によって許容できる売り逃がし・売れ残りの比率は変わる。一般的にネットショップで期待される欠品率10〜30%。
  3. 欠品率の過度な低設定は事業を窮地に陥れる。


キャッシュフローの観点での「適正」在庫

冒頭に在庫とは「販売する以外に使えないカネ」と表現しましたが、適正な在庫というテーマではこの使えないカネという考え方を良く理解しておく必要があります。

安全在庫を考える際にも「売れ残り」と表現しましたが、この売れ残りも将来にかけて販売できる訳ですから、「残る」という表現もいささか過剰な気もします。しかし、この「残る」という言葉もカネとして理解するとその重要性がわかるかと思います。つまり、売れ残りではなく「販売以外では使えないカネなのに販売できなかったカネ」これが売れ残りです。

 

キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)を考える

キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?CCCは企業が仕入れをしお金を支払った時点からそれが販売され入金されるまでの時間を表現する時に使います。売上債権回転日数というのは販売してから入金されるまでの時間、棚卸資産回転日数は在庫が倉庫に滞留する時間、買入債務回転日数は仕入れてから支払いをするまでの時間です。

キャッシュ・コンバージョン・サイクル=売上債権回転日数+棚卸資産回転日数-買入債務回転日数

適正な在庫を考える上でCCCが重要になるのは、先の安全在庫で見たように在庫数量は増加させればさせるほど「安全」だと言えます。ただし、これはその商品が最終的に販売可能であること、また、「お金がたくさんあること」を前提にしています。ここでいうたくさんというのは在庫として「販売以外では使えないカネ」をたくさん持っていても他のお金で十分に企業活動でができるほどの「たくさん」という意味です。

一般的に、商品がいつまでも「販売可能」である可能性は低く、お金がたくさんあることも稀です。商品でいうと食品であれば賞味期限がありますし、食品でなくとも経年劣化で品質が落ちることもあります。また、トレンド商品や季節商品であれば、品質に問題がなくとも売れなくなることもあります。また、ネットショップ運営者はネットショップの売上利益で事業を運営しているので、そこでの収益が見込めなくとも企業活動を持続できるという状況はそもそも想定ができません。

そのため、カネ→モノ→カネという流れをなるべく早く回して収益化することが求められます。ではどのようにCCCを早めることができるのでしょうか?

 

まず、できることは債権回収の速度を早める、支払期限を遅めるということがあります。債権回収を早めるという点ではBASEの提供するペイメントのサービスでは売上金を即日入金可能であったり徐々にマーケットでも充実したサービスが提供されています。支払期限を遅めるということで言うと仕入先と個別に交渉となるかと思いますが、これについては既に努力しているという事業者も多いはずです。

そこで考えなければならないのは棚卸資産回転日数、つまり在庫の適正化です。

重要なのは「安全」在庫ではなく「適正」在庫です。

 

キャッシュの観点での適正な在庫

では、どの程度のCCCを実現することが理想でしょうか?この問いは企業経営という視点でどの程度の在庫量が適正かということになります。このあたりは「ネットショップを開設したら知っておきたい『在庫とお金の関係性』」こちらでも紹介しておりますので、ご確認ください。基本的にはお金が淀みなく流れるのが理想ですが、なかなかそういうわけにはいきません。先に説明した売り逃がし・売れ残りのリスクを考えるとなかなか在庫を減らすということも勇気のいる判断です。

ただ、目安としては在庫日数は30〜60日を目指すのが望ましいというのが財務的に見たときの答えです。理由としては30日〜60日分の在庫量があれば一般的には次回の発注のタイミングで在庫を補充することが可能ですし、発注リードタイムより長い在庫量は保有しておく理由が希薄だからです。逆に言うと、30日〜60日分の在庫を支える資金余剰がない場合は、せっかく売上が伸びても売り逃がしが増加する、次回の発注に回す資金余剰がないなどの成長資金が不足しているという評価になります。

一般的には発注ロットを大きくすると原価が増加する傾向があります。特にスタートアップ時には会社としての購買力も低いため、小口での複数回の発注をメーカー側に受け入れてもらえず、大きなロット、しかも、先払いでの支払というような条件になることもあります。その場合、発注後入金してから製造され、倉庫に到着するのが3ヶ月後、更にそこから30~60日間かけて販売していく、ということもあります。この場合、CCCは4~5ヶ月に及ぶこともあります。このような場合は多少原価が高くなっても、小ロット化するや、支払期限の条件を緩和するなどの対応をした方が事業成長という意味では柔軟な対応ができるようになります。なぜなら、「売れ残り」の在庫は「販売以外では使えないカネなのに販売できなかったカネ」だからです。

以下、まとめになります。

  1. カネ→モノ→カネという流れをなるべく早く回して収益化するために在庫は少ない方がいい。
  2. 在庫日数は30~60日を目指すのが望ましい。
  3. 多少原価が高くなっても、小ロット化するや、支払期限の条件を緩和するなどの対応をした方が事業成長という視点ではメリットがある場合がある。
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マーケティングの観点での「適正」在庫

適正在庫の最後としてマーケティング視点での適正在庫について説明します。ここまで売り逃がし・売れ残りの適正在庫、キャッシュフローの適正在庫を説明してきましたら、ここでの前提は「需要予測はできない」「予測できないものにどう備えるか」ということを前提に説明してきました。

ただ、ネットショップ運営のなかでは「比較的需要を予測し易い」ということがあります。ネット広告の打ち出しやインフルエンサーの起用など予め予定しておくマーケティング施策がこれに当たります。

ネット広告でのマーケティング

ECの事業ではamazonや楽天といったモール内での広告運用がもっとも始めやすい広告運用になるかと思います。こういった広告運用であれば、長期に運用することで広告運用した場合とそうではない場合の標準偏差を把握することも難しくはありません。同じ商品や競合他社の製品との広告の有無での販売実績の差分を把握すれば、その内容で「安全在庫」「適正在庫」を把握することはそれほど難しくはないでしょう。

また、自社でのネットショップ運営でもネット広告を運用するケースもあります。リスティング広告やFaceb0okやtwitter等の広告を利用するケースです。この場合でも徐々に広告料や打ち出しのタイミングで標準偏差の変化を計測していけば在庫数量の特定はそれほど難しくはありません。

 

インフルエンサーのマーケティング

次に代表的なマーケティング手法はインフルエンサーの活用です。企業コラボというかたちで商品をインフルエンサーが紹介するのはもはや当たり前になりましたが、このケースの需要予測は非常に難しいです。というのはその商品の訴求力とインフルエンサーのフォロワーのペルソナが一致するとは限らないからです。

インフルエンサーマーケットはまだ新しい領域であり、魔法の杖のように語られがちですが、実際にはうまくいっている事例と同数かそれ以上にうまくいっていない事例もあります。フォローワーの予算感と商品が合致しなかった、ブランドイメージとインフルエンサーのイメージが合致しなかった等々・・・。当然、これらのことは実施する前に再三議論する内容ではありますが、需要予測というのはそれほど難易度が高い領域だということを念頭に置いておくと良いかもしれません。

では、そういったマーケティングを実施する際の需要はどのように考えれば良いでしょうか?

ひとつには契約条件で最低ロットを決めておくという方法もあります。しかし、この場合プロフィットシェア型のビジネスになるので、プロデュース案件になります。そうではない場合で言うとフォロワーの数とコメント数の数でアクティブなフォローワーを特定し、また、そこから自社のデータとして保有しているコンバージョン率で試算するということが可能です。ただ、それ自体も仮説に仮説を積み上げるような行為ですので正確性はあまり期待できないでしょう。

在庫管理という視点でいうと、一過性のマーケティングであればあるほど「期待しすぎない」ということが重要になります。ネットショップ運営で一番重要なのはロイヤルカスタマー(=ファン)をどれだけ獲得できるかということです。インフルエンサーを事業として盛り込むのであればそれを含めてということになりますが、もし一過性のマーケティングで活用するということであれば期待しすぎて在庫を増やしすぎるのは要注意です。あくまでも認知を広めるということに注目しましょう。

最後に注意していただきたいのは、広告運用自体費用が発生しているということです。つまり、広告運用をすればするほど、原価率は上昇するので、それに引っ張られるように許容できる欠品率は低下します。利益率の圧迫が持てる在庫量の下限に影響を与えることを忘れないでください。

以下、まとめになります。

  1. ネット広告の運用の標準偏差は中長期的に補足できる。
  2. 一過性のマーケティングは認知が目的であまり期待しすぎない。
  3. 広告費の増加は許容できる欠品率を低下させる。(在庫を持てなくなる。)

まとめ

ここまでネットショップの適正在庫について3つの視点からお話してきました。売り逃がし・売れ残りの視点、キャッシュフローの視点、マーケティングの視点。最初は安全在庫を持つべきだと話し、お金の視点では少ない方が良いと話し、マーケティングでは予想できること予想しましょう。と説明しています。

これだけでも結局どうしたら良いのかと悩みを深めてしまいそうですが、実はこの複雑さこと小売という事業の難しさを物語っています。重要なのはこういった視点でうまく「在庫と付き合っていく」ことで最適解を求めることではないということです。少しでもお役に立てれば幸いですが、更に気になることがあれば是非ご連絡ください!

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