ネットショップ運営で商品原価と並んでコストの大部分を占める配送費用ですが、商材によっては配送方法次第で大きくコストが変わってきます。今回は配送サービスを提供する大手3社のネットショップ運営でよく使われるサービスを中心にメリットとデメリットをまとめています。
まず、宅配大手3社の市場シェアを見てみましょう。2021年の日本全体の宅配貨物の配送実績は約49億個で、2020年の45億個に対して約9%(8.89%)の増加でした。その内、大手3社が運んでいる個数は以下の通りです。つまり、ネットショップ運営の観点で言えば、この3社のサービスさえ把握しておけば問題ないということがわかります。
では、早速大手3社の提供するサービスの中でネットショップ運営社が知っておきたいサービスを紹介していきます。以下の順番で紹介していきますので興味のある部分をご参照ください!
最初にDMサイズの配送方法について紹介します。DMサイズ配送できる商材は以下の通りです。
以下、各宅配会社のサービス名を紹介します。
サイズ:縦31.2㎝以内・横22.8㎝以内・厚さ2.5㎝以内
ネコポスの強みはヤマト運輸の提供する宅配便と同じ輸送・配送モードで配達されるため、納期やカスタマー対応が安定している点です。また、集荷時間も宅配便と同じ時間になるので、消費者の手元に届くまでの時間も本州域内であれば、翌日には届きます。
サイズ:縦34㎝以内・横25㎝以内・厚さ3㎝以内 ※(重量別料金)
日本郵便の定形外(規格内)の配送はDM配送のなかでは一番低価格で配送できる配送方法になります。ただ、物流センターからの出荷時の集荷機能が日によってキャパシティに制約があり、翌日集荷扱いになったり、支店によっては休日の仕分けが非対応であったりと納期が安定しません。また、配送追跡にも対応していないため、消費者から問い合わせがあった際に対応することが難しくなります。
サイズ:縦34㎝以内・厚さ1㎝/2㎝/3㎝以内・三辺合計60㎝以内 ※(厚さ別料金)
日本郵便のゆうパケはネコポスと並んでメジャーなDM配送方法になります。特徴としては長辺が若干ネコポスより長いのと厚さで料金が刻まれているので厚さが2㎝以内で発送できる商品は割安になります。一方で日本郵便の集荷能力が安定しないことは定形外と同様であり納期を厳格に運用している場合は少し不安が残ります。定形外との比較で言えば追跡可能であることが一番大きなメリットになります。
ヤマト運輸 ネコポス |
日本郵便 定形外(規格内) |
日本郵便 ゆうパケ |
|
コスト | ○ | ◎ | ○ ※特に厚さ2㎝以内 |
集荷能力 | ◎ | △ | △ |
料金体系 | 1サイズ 全国一律 | 重量別 全国一律 | 厚さ別 全国一律 |
配送追跡 | ○ | × | ○ |
代引き | × | × ※厳密には可能 |
× |
商材や販売手法によってどれが最適かということが変わってきますので、まずは特徴を抑えて利用することをお勧めします。印象ではありますが、最近のネットショップ運営では配送追跡と納期管理はできて当たり前という風潮があり、定形外は敬遠されているように感じます。
次に宅配便サイズの配送方法について紹介していきます。まずは宅配便の種類を確認しておきましょう。
基本的にどのサービスもサイズ別・地域別(※配送業では「地帯」と呼ぶことが一般的です。)の料金になっています。では、早速内容を確認していきましょう。
日本の宅配便サービスでは、荷物のサイズを測る際、基本的に「縦・横・高さ」の三辺の合計を利用します。これは「三辺合計」と呼ばれ、その数値によって料金が決まることが多いです。
以下に、具体的な測り方を説明します。
これら三辺の長さを全て足し合わせたものが「三辺合計」となります。例えば、縦が40cm、横が30cm、高さが20cmの場合、三辺合計は40+30+20=90cmとなります。
したがって、よくある「60サイズ」は三辺の合計が60cm、前述の90cmは90サイズ……となります
なお、各宅配便会社によっては特定の大きさや重さを超える荷物については別途料金が発生する場合がありますので、送る前に各社の規定を確認しておくと良いでしょう。また、形状が特殊な荷物(例:丸い形状や、突起部がある等)の場合、計測方法が異なる場合があるので、その際は宅配便会社に問い合わせることをお勧めします。
60サイズの荷物を関東から関東のいずれかの地域に送る:940円
現状、届け先向けの配送サービスの充実度で言えば、ヤマト運輸の宅急便が一番評価されているようです。とくに提供アプリのクロネコメンバーズは受け取る側からすると、かなり利便性の高いアプリになっており、お届け時間の把握や再配達の依頼がLINEアプリから可能になっています。
また、ネットショップを運営する際に地帯別に料金設定をすることは、じつはかなり煩雑な作業になりますが、離島料金(中継料金)を把握するのは煩雑を極めます。というのも全ての離島を把握することがそもそも難しく、料金設定をすることができないからです。そのような状況のなかではヤマト運輸の離島料金が追加で発生しないという料金体系は地味に嬉しいポイントです。
次にサイズ設定が細かいことも重要なポイントです。商品によってはあと数㎝で一つ下の価格帯で発送できるという商品もあります。サイズ設定が粗いとそういった場合に加算される料金もそれだけ多くなります。特に宅急便コンパクトは厚さ5㎝まで対応している50サイズの専用資材になりますので、ネットショップの運営においては一度検討しておいて損がない宅配サービスです。
次に業界2位の佐川急便の宅配便について紹介します。佐川急便は最近では日本郵便と提携して通販配送に注力している印象があります。また、佐川急便は国内配送ではなく、伝統的に国際・国内の複合一貫輸送を強みとする会社でもありますので、今後の越境ECの高まりなども考えると提供する配送サービスについては要注目です。
60サイズの荷物を関東から関東のいずれかの地域に送る:740円
特徴を記載すると少し物足りなく見えますが、佐川急便の宅配便の魅力は高いコスト競争力です。当社の料金表でも佐川急便の宅配便はヤマト運輸と比較して全体的に10%程度安くなっております。また、品質面でも一時期評判が低下した時期もありましたが、配送品質が他社と比較して低いということは決してありません。
冒頭にも記載しましたが日本郵便と提携してより小型の商品に対する配送サービスの開発にも積極的であり今後提携がうまくいくことでDMサイズでも安価なサービスが提供される可能性もあります。
気をつけたいポイントとしては、ヤマト運輸で言うところのコンパクトサイズ、120サイズがなく、100サイズの次が140サイズになってしまうのでそのあたりのサイズ帯を扱っている場合は見た目の単価だけではなく実際に発送するサイズからコストを見ることが重要になります。
日本郵便の宅配便に該当するサービスは「ゆうパック」になります。ゆうパックの他者比較での特徴は以下の通りです。
60サイズの荷物を関東から関東のいずれかの地域に送る:870円
ゆうパックの特徴は日本郵便の提供するサービスということもあり、日本各地での郵便局対応が可能ということです。そのため、集荷能力は決して高いとは言えませんが、少量の荷扱いであれば近隣の郵便局に持ち込みなどを行うと結果的に一番安くなるということもあります。
また、取扱サイズも170サイズまで用意があり、160サイズ以降が急激に高くなる他2社と比較すると170サイズ限定で言えば安価に発送できるサービスになっています。
一方でネットショップ運営を行う場合には集荷能力が脆弱だというのはやはり気になるポイントです。スタートアップ時に便利に利用することはできますが、ある程度規模感が出てきた場合にはヤマト・佐川への切り替えが必要になるかと思います。
ヤマト運輸 | 佐川急便 | 日本郵便 | |
コスト | △ | ◎ | ○ |
集荷能力 | ○ | ○ | × |
代引き | ○ | ○ | ○ |
冷凍冷蔵 | ○ | ○ | ○ |
取扱サイズ | ◎ | △ | ○ |
独自サービス | ◎ | - | ○ |
大手3社のイメージをまとめると以下の通りになります。
サイズのきめ細やかさや消費者の納品サービスで競合に差をつけられたくない、ということであればヤマト運輸を選ぶのが無難ではないでしょうか。一方で大量発送で規模を追求するのであれば佐川を選択することもよいかと思います。後は、自社の実際の商品サイズを確認し、梱包イメージを明確にした上で最適な配送会社を選択していくことが重要になります。
今回は大手配送3社の代表的なサービスを紹介しました。料金面では佐川>日本郵便>ヤマト運輸という順になりますが、ヤマト運輸はサービス面においてはこの中ではもっとも高品質になっています。ネットショップを運営するに当たり、配送も顧客満足度に直結する要素です。したがって、どこにしようか迷う、送料で勝負するわけではないというような場合はヤマト運輸を選ぶのが無難といえます。
実際にネットショップで発送業務を行う上で不安なことや確認したいことがある方は、お気軽にSTOCKCREWまでお問い合わせください。