EC(Electronic Commerce)サイトがスムーズに商品の売買を行えるよう、いわば「縁の下の力持ち」としての役割を果たすのがEC物流です。ECサイトは受注から発送まで、じつは多くの過程を経る必要があります。その過程を担うEC物流の基本からひととおり解説します。
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ECは電子商取引を指し、平易に言い表すならば「インターネット通販」と認識していただければ問題ありません。ECは運営者が商品の仕入れ・入荷、そして発送までを一貫して行う必要があります。この過程をひとまとめにして「EC物流」としています。
単なる「物流」との違いですが、物流は商品が倉庫などから消費者の手元に届くまでの流れとなりますので、商品の入荷の部分に関してはノータッチになります。
EC物流の流れについてもう少し詳しく紹介しますと、まずは商品を仕入れます。仕入れた商品を自社(もしくは自宅)に保管しておく場合もあるでしょうが、一般的にはこれを契約している倉庫に送る必要があります。なお、この工程も一種の物流となります。そしてインターネットを通じて顧客から商品の注文を受けます。この受注をもとにして商品を顧客へ発送するわけですが、ここには以下のような業務が発生します。
・商品代金の収受(現金、クレジットカード、電子マネーetc)
・受注データを倉庫に発送(自社などに保管している場合は不要)
・倉庫にて梱包などの発送作業
・発送業者への依頼
これはあくまでもざっくりとした流れですが、それでもこれだけの工程が発生します。数件/日程度の受注であれば、たとえECサイトの規模が小さくても対応できますが、これが数百件/日にもなると、とても数人単位では対応できませんし、発送業務で手一杯になってしまいます。
こうした自社の負担を軽減する役割を担うのがEC物流なのです。
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EC市場が伸びる理由、最初に挙げられるのはスマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスの普及です。スマートフォンの所有率に関しては、すでに60代でも9割を突破しているほど、一般化したものになっています。
つまり、スマートフォンなどのモバイルデバイスからもECへのアクセスが可能になっているため、それに比例してECの利用者数も増加しているわけです。本稿執筆時点ではECへのアクセスはスマートフォン経由がおよそ4割程度となっていますが、この割合はさらに高くなることが予想され、それに比例してECの利用率、ひいてはEC市場も拡大するものと思われます。
続いての理由は、SNSを筆頭するECの販売チャネルの増加です。SNSで多くのフォロワーを得てブランドを立ち上げて商品をリリースする、という流れが以前よりも増加しています。これまでECというと、Amazonや楽天といった巨大なショッピングモールの寡占状態でしたが、SNS由来のD2Cビジネスが一般化することによって、EC市場がより拡大しているとも言えます。
最後にコロナ禍もEC市場の急伸を後押しした、と言っても過言ではないでしょう。外出の規制、人との接触を避けるといった部分で、感染リスクを少しでも軽減できるECに注目が集まるようになり、実際のEC利用者増につながっています。
一般的な物流とEC物流の違いについて解説します。一般的な物流の定義をB2B(Business to Business)とした場合、EC物流はB2C(Business to Consumer)になります。
これを踏まえた上でのEC物流の特徴ですが、まず第一にEC物流は配送量が少ない反面、不特定多数へ配送するため、送り先が多い点が挙げられます。一般的な物流はB2Bであるために1回の配送量が多く、その送り先は特定の企業だけとなっているのとは正反対になっています。
続いてのEC物流の特徴は、個別対応である点です。B2Cという消費者相手のビジネスゆえに顧客に合わせて対応する必要が出てくるのがその理由です。例としてはECの顧客によって配送料が違う、場合によってはギフトラッピングの必要がある、というように、顧客の状況やニーズによって物流過程の作業が異なっています。
こうした特徴はまさにEC物流ならではのもの、と言えます。
EC物流、発送代行を行っている弊社・STOCKCREWの業務内容の特徴などを「【最新版】STOCKCREW完全ガイド」まとめましたので、ご一読いただければ幸いです
EC物流の流れを大きく分けると「検品→格納→出荷」の流れとなります。
おおまかに説明しますと、まず倉庫に入荷してきた商品の「検品」を行います。ここでの検品は商品の品質チェックというよりも、ECショップから依頼された個数が合っているかの確認作業がメインになります。
「格納」という工程は、商品を倉庫内に保管するためのものです。発送を行いやすくする、スペースを有効活用するといった面から、ここでは各社それぞれオリジナリティのある仕組みを構築しています。
最後の「出荷」ですが、ECに注文が入った商品を格納した場所から取り出す「ピッキング」作業を行い、それを「梱包」して運送会社に渡す、というのが基本的な流れです。ピッキングに関しては効率化のためにロボットを使用しているケースもあります。そして、梱包については、商品を単に緩衝材とともにダンボールに詰めるだけではなく、プレゼントラッピングを施したり、チラシを商品に同梱したりと、EC側からの指示によって個別対応するケースもあります。
それぞれの工程をSTOCKCREWではどのように行っているのかは「STOCKCREWとは?我々の内側全部見せます!倉庫編」で紹介していますので、ぜひこちらもご参照ください。
拡大を続けるEC市場を下支えするEC物流にはおもに2つの課題があるとされています。以下、その課題について解説します。
EC物流における管理業務はさまざまありますが、その中でわかりやすいものとして商品の管理があります。まずは商品自体の管理業務です。ひとつの倉庫で複数のECサイトのEC物流を担当している場合、ECサイトごとに入出荷した数をしっかりカウントできるようなシステムづくりが必要になります。これが不安定だと在庫不足を起こしてしまい、顧客からのクレームに発展する危険性が出てしまいます。
そして、在庫不足に関連しますが、在庫管理もしっかりと行わなければなりません。在庫がある=現金化できていない資産になってしまうので、在庫過多になってしまうとキャッシュフローの悪化につながってしまうためです。
円滑にビジネスを回していくための商品管理、在庫管理を行えるシステムづくりがEC物流の課題のひとつとして挙げられます。
配送業者の送料値上げにどう対処するのかもEC物流の課題です。とくに大手配送業者に発送を一任している場合、送料の値上げはお客様であるECサイトの売上にもつながってしまいます。その対抗策として、EC物流業者の中にはオリジナルの配送システムを構築し始めるケースも出てきています。
値上げは配送料だけではなく、ダンボールなどの梱包資材にも及んでいます。ECサイト側からすれば、この部分のコストはできるだけ削減したいというのが本音。こうした資材を安価に提供すれば、ほかのEC物流業者との差別化を図れます。
手前味噌ではありますが、弊社では「COMPO」というダンボールの通販も行っています。こちらは小ロットから購入できる上に送料無料となっています。サイズ展開もECサイトに合わせたものになっていますので、ご興味がある方はぜひチェックしてみてください。
ひとつ上の段落で紹介したEC物流の課題、とりわけ各種管理業務の課題をどう解決するか? その方法としてもっとも一般的なのは、IT技術の導入です。具体的には「倉庫管理システム(WMS)」や検品作業で用いるハンディターミナル、そしてピッキングに利用する自動ロボットなどがIT技術に相当します。
これらの使用によってこれまで人の手で行っていた商品管理、在庫管理ををITに任せることによりヒューマンエラーの削減にもつながるため、広い範囲での業務効率化を実現できます。
自社のECである程度の注文が入るようになってきたら、発送業務までの全工程を自社で担うのは無理、というのはこれまでの流れで十分にご理解いただけたのではないでしょうか? 物流代行業者にEC物流に関する部分を依頼することで、ECのメイン業務、どのようにすれば売上を伸ばせるか?といった業務に注力できるようになるほか、物流の部分をアウトソーシングすることによって、会社全体のコスト削減も期待できるようになります。
スマートフォンなどのモバイル機器の普及、コロナ禍といったECの利用を促進させるような時流によって拡大・成長するEC業界。この状況を支えるEC物流は、B2Bの一般的な物流とはことなり、物流の段階でさまざまな業務が発生します。
ここでの業務を円滑に行う、いわばEC物流の課題克服にはIT技術の導入・利用が欠かせません。もし、貴社のEC業務が拡大した場合、EC物流に関しては確実に物流代行にアウトソーシングしたほうが広義のコスト削減を実現できます。
物流代行に興味が出ましたら、ぜひSTOCKCREWまでお気軽にご相談ください。