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【2022年度版】EC物流完全ガイド

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EC(通信販売・e-commerce)と物流の関係は非常に密接に絡み合っており、簡単に切り離すことのできない関係です。では、EC物流は他の物流と比較して何が特別なのでしょうか?

また、EC物流を行う、或いは、委託する上で何を重視しなければいけないのでしょうか?ここではそういった疑問を一つ一つ整理しております。

 

EC物流とは?

 

EC物流とはネットショップやECモールで消費者が購入した商品を在庫拠点から消費者の自宅、または指定場所に配送・配達をを行う物流のことを指します。

 

抑えておきたい3つの物流の基本

ECの物流は物流のカテゴリのなかで大きく分けると販売物流に区分けられる物流になります。その他の2つは原材料を製造拠点まで集品する調達物流、製造拠点から半製品や製品を集品して販売用の在庫拠点まで輸送する生産物流、そして最後が販売用の在庫拠点から商品として販売を行う小売店や通販で購入した消費者に届ける販売物流です。

  1. 調達物流
  2. 生産物流
  3. 販売物流

この3つに加えて、物流センター内や倉庫内での「構内物流」を4つ目として加えることがありますが、物流の形態としては少し趣旨が変わってきますので、やはりこの3つが物流の基本と理解しておけば良いかと思います。

 

販売物流としてのEC物流

販売物流はさらに3つに分けることができます。実はつい最近までの販売物流の動脈と静脈という考え方で2種類でしたが通販という新しい販売手法の登場により3つに細分化されました。ここではリテール物流と返品物流について簡単に説明しておきます。

  1. リテール物流
  2. EC物流
  3. 返品物流

リテール物流

リテール物流は在庫拠点から配送先での販売を目的として行われる物流のことです。国内の倉庫から近郊の店舗への配送などがこれに当たります。これは伝統的な物流形態で、つい最近までの日本の国内輸送の主役であった物流になります。

 

返品物流

返品物流はリテール物流の逆流を指します。一度、消費者の手に渡った商品を回収し在庫拠点へ返送することを目的として行われる物流をのことです。返品物流はEC物流の逆流も支えており、専門用語として「静脈物流」と呼ばれることもあります。※返品物流以外の生産から販売までの一方通行の物流を「動脈物流」と言います。

 

EC物流の特徴

では、EC物流にはどのような特徴があるのでしょうか?EC物流はインターネットでのオンライン販売の増加とともに成長してきた物流形態であり物流の歴史の中で言えば新参者になります。物流は時代、時代の商売のあり方に順応して形態を変化させてきましたが、今の時代に求めらて誕生したのがEC物流になります。

 

消費者に「直接」届ける物流

ECの物流の最大の特徴は消費者に商品が直接届くことにあります。何を当たり前のことを?と思われるかもしれませんが、先に挙げた全ての物流の中で最終消費者に商品が直接届く物流はEC物流だけです。他の全ての物流はB2Bと呼ばれる企業間、事業者間の商品の移動であり、EC物流だけが特別になります。この消費者に直接届くという特徴が以下のようなことを物流現場で発生させ物流の難易度を増加させています。

  1. 配送先が毎回異なる。
  2. 在庫商品が目まぐるしく変化する。
  3. 物流の品質がサービスの品質になる。

ブログ記事用-Jun-04-2022-08-45-31-88-AM

 

配送先が毎回異なる。(納品先多数→無数)

消費者に直接届けるということは、配送先が毎回異なるということです。他の物流の場合、予め配送先は特定されており、特に上流と呼ばれる調達物流や生産物流はその傾向が高いです。

配送先が毎回異なる物流は、配送先の固定された物流と比較して難易度が増加します。配送先が予め固定化されている場合は、その配送先への出荷動向や在庫管理などある程度事前に効率的な計画を立てることができますが、EC物流のような配送先が毎回異なる物流ではこういった管理はできず、日々の受注をリアルタイムに最適化し、業務の効率化を行う必要があるからです。

 

在庫商品が目まぐるしく変化する。("超"小ロット多品種)

本来、倉庫・物流センターの機能には「市場の変化に対する緩衝材(バッファー)」という意味合いがあります。急な需給の変化を倉庫の在庫を使って対応するという意味合いです。しかし、EC物流では倉庫・物流センター自体が販売の最前線になるため、こういったバッファーの機能よりもオペレーションの対応力がより重要になりました。

その結果、クラウドファンディング型のEC物流やインフルエンサー起用のEC物流などより在庫期間が短く、よりスピード感の求められる物流が増加し、倉庫・物流センター内の在庫商品が目まぐるしく変化することが常態化してます。

 

物流の品質がサービスの品質になる。

リテール物流のように販売拠点を経過せずに直接商品が消費者に届くことにより、ECでは物流が最後の顧客接点になります。その結果、誤出荷や個人情報管理のエラー等の直接的な品質事故はそのままサービス全体の品質に悪影響を与えます。

また、そういった事故だけではなく、梱包状態や納期の正確性もサービス全体にポジティブにもネガティブにも強い影響を持つことになります。そのため、EC物流では他の物流と比較して納期回答の正確性が求められ、細やかなギフト対応など他の物流にはあまり見かけないサービスが必要になります。

ブログ記事用-Jun-06-2022-04-28-31-01-AM

 

EC物流の業務内容

ここまでEC物流の物流業界での区分とその特徴を見てきましたが、ここでは具体的な業務内容を見ていきます。

物流の業務は大雑把に分けると構内物流・輸配送物流に分けられ、EC物流もこの二つに分けて説明します。

  1. 倉庫・物流センター内の構内物流業務
  2. 在庫拠点から消費者・またはその指定地までの配送業務

倉庫・物流センター内の構内物流業務

EC物流でも基本的な物流業務の工程は変わりませんが、その内容において特色がありますので、そちらを説明していきます。

  1. 入荷業務
  2. 入庫業務
  3. 出庫業務
  4. 出荷業務
  5. 在庫管理業務
  6. 付帯作業・流通加工業務

ブログ記事用-Jun-06-2022-04-34-41-10-AM

入荷業務

EC物流の入荷業務は複数の事業者からの入荷を一手に受ける必要があります。ネットショップの開設が容易になり事業者の数が増加する反面、1事業者毎の規模は年々縮小傾向であり、そのため、複数の荷主の商品を管理する必要が倉庫側で発生しています。ここで行われる業務は以下の確認です。

  1. 所有者
  2. ユニークな商品コード
  3. 数量

入庫業務

入荷と入庫は物流業務のなかでは厳密に意味が異なります。入荷は倉庫に商品が到着することで、入庫は倉庫内の適切な保管場所に格納することを指します。ECの物流の場合、在庫商品が目まぐるしく変化するため、この適切を定義することが難しく、フリーロケーションという保管方法で保管されるのが一般的です。

 

在庫管理業務

EC物流の在庫管理は基本的には点数管理になります。通販は在庫欠品=売り逃しになりますので、即、消費者のロイヤリティ低下につながってしまうため、僅少在庫ほど在庫管理の重要性が増すことになります。

 

出庫業務

出庫は保管場所から商品をピッキングし検品場所まで搬出する行為を指します。見積書等では単に「ピッキング」と呼ばれる行為です。EC物流では在庫が点数管理されておりますが、この時点で作業バッチ(作業をひとまとめに行うグループのこと)単位でピッキングするか、受注オーダー単位で行うかの2通りのピッキング方法があります。

  1. 作業バッチ別:トータルピッキング
  2. 受注オーダー別:オーダーピッキング

 

出荷業務

出荷業務では正しく商品が出荷されているかを検品し、検品した商品を梱包、納品書同梱を行い、送り状を貼付し出荷されます。EC物流での出荷業務は個人情報の取り扱いが現場レベルで行われるのでこの作業工程や作業現場の管理は厳格に行われる必要があります。

 

付帯作業・流通加工業務

ネットショップの付帯作業は他の物流の養生とは異なり、販売目的で行われることは多いのが特徴です。特にブランディングのために行われるギフトラッピングや購入者と送付先が違う場合の納品書の修正などは通販特有の付帯作業だと言えます。

 

配送の業務集荷業務

次にEC物流の輸送・配送業務の特徴を見ていきましょう。

  1. 輸送業務
  2. 配送(配達)業務

輸送業務

EC物流の輸送業務は従来のリテール物流と差はほとんありません。倉庫・物流センターへ配送会社が集荷を行い、集荷拠点へ出荷物を集約します。基幹店と呼ばれる集約拠点で集約された出荷物は方面別仕分けを行い、各地方の基幹店へと輸送されます。配達側の基幹店では配達店別仕分けが行われ、配達店へと輸送されます。便種によって差はありますが、関東発の出荷物を北海道、四国、中国、九州を除く地域であれば、集荷から配達店までの輸送を、当日18時~翌日の明朝までに完了させます。

 

配送業務

配送業務は配達店へ日本中から集められた商品を配送ルート別に仕分け、配達車両に積み込まれ行われます。EC物流ではこのラストワンマイルと呼ばれる業務の比重が大きく、従来の拠点間の物流と比較すると工数が増加します。拠点間物流であれば、「不在」ということはほとんどあり得ませんが、ECでは頻繁に発生し再配達問題という社会問題にまでなっています。

ブログ記事用-Jun-06-2022-01-02-26-52-PM

 

自社発送?発送代行?

では、実際にEC物流を行うにはどうしたら良いのでしょうか?大きく分けると3つの方法があります。

  1. 自社発送
  2. 発送代行

自社発送

自社発送は自社の商品を自社の施設・人員で出荷する方法です。多くのスタートアップがそうであるようにEC事業開始時点ではどのような規模感まで成長するか確かではなく、まず自社のリソースを利用して始める物流として自社発送を行うのが一般的です。

  1. 事業が成長し、発送業務の比重が重くなってきた。
  2. 発送個数が少なく、配送会社と有利な契約が結べなかった。
  3. 自社発送の管理とは切り離して一時的に別の方法で出荷したい。

自社発送を行う中で上記のような課題が出てきた際に利用するのが下の発送代行になります。

 

発送代行

発送代行とはネットショップ運営者向けの入荷から出荷、輸送、配送、在庫管理を物流会社が代行するサービスです。

発送代行を利用するメリットには以下のようなものがあります。

  1. 誤出荷の減少と在庫精度の向上できる。
  2. ネットショップの成長を維持する出荷キャパシティの確保できる。
  3. 発送業務のコストが利用した分だけのコストにできる。(変動費化)

このあたりの発送代行については下のリンクでまとめておりますので、そちらを確認ください。

 

 『発送代行完全ガイド』   

 

EC物流業界の課題

ここまでEC物流の概要と業務内容を説明しましたが、ここでは現状のEC物流の課題について説明します。

  1. ラストワンマイル問題
  2. 労働人口問題

ラストワンマイル問題

EC物流と言えば、この問題を説明せずには通れません。ラストワンマイル問題は「宅配クライシス」という言葉で2017年頃から一気に社会に認知されることになりました。この原因については種々言われているところがありますが、本質的には従来の配送スキームでは現在のEC市場の拡大を支えるのに限界があったということです。主な原因としては以下の通りです。

  1. EC市場の急拡大によるドライバー不足
  2. 再配達の増加
  3. モールの寡占化による荷主側の交渉優位

3つ目のモールの寡占化とはamazonに代表されるようなマーケットプレイス側が寡占化されることにより規模の経済が大きくなりすぎて価格交渉における有利な地位が磐石となることで配送会社側の収益が圧迫されるという状況です。

ラストワンマイル問題については改めてトピックとして説明したいと思います。

 

労働人口問題

ラストワンマイル問題におけるドライバー不足はEC市場の急拡大というきっかけがあり労働力が一気に不足したというものでした。ただ、物流業界全体で見ても慢性的な労働力不足になっており、サービス提供の継続が困難になるという事例も発生しています。主な原因としては以下の通りです。

  1. 物流業界全体として設備投資が遅れ、人海戦術に頼ったオペレーションが続いたこと。
  2. EC市場の拡大により従来より細かい作業が発生し、人員増加を余儀なくされたこと。
  3. そもそも就業年代の人口が減少し、ブルーカラー敬遠の風潮が拍車をかけたこと。

物流業界は荷主との契約を中心に事業を考える風土があり、自社で積極的に生産性の向上を目的とした投資を行うことが敬遠されてきた歴史があります。その結果、いざ労働人口が不足した現在時点において苦戦を強いられているということが言えます。

 

まとめ

EC物流完全ガイドとして、EC物流の概要、業務内容、課題を説明してきました。あくまで概論のため、詳細はかなり省いて説明しておりますが、ここに記載されている内容を把握しておくだけで、EC物流の変化を理解できる内容です。

今後も深掘り記事を掲載していければと思っておりますので、ぜひご覧ください。

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