物流拠点戦略として「集約型」と「分散型」の2種類があります。それぞれにメリットと注意点があり、適切な戦略を選択することで効果的な物流が実現できます。本記事では、物流拠点戦略について詳しく解説します。
目次
物流拠点戦略の考え方
物流とは、消費者のもとへモノが届くまでの一連の流れを表します。消費者からすると、商品を発注してから自身のもとへ届くまでの時間が早く、品質が高いほどそのサービスに高い評価を付けることでしょう。
物流のスピードを高めるためには、物流拠点戦略について考えることが重要です。物流拠点戦略の考え方には、「集約型」と「分散型」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
集約型
物流拠点戦略の集約型とは、物流拠点をひとつにまとめる戦略のことです。物流拠点を一つにまとめることで、コスト削減や配送効率向上などが期待できます。
しかし、集約型の戦略を策定する際に物流拠点の選定を適切にしなければ、かえって発注から納品までの時間がかかりコストが増加してしまう場合もあります。物流拠点戦略で集約型を策定する際には、物流の規模や目的に合う大きさの拠点を確保し、集約するとどの程度のコストがかかるのか検討しましょう。
分散型
物流拠点戦略の分散型とは、物流拠点を複数に分散する戦略のことです。物流拠点を複数に分散することで、物流コストの削減やリスク分散などが期待できます。
一方で、分散型も集約型同様に注意しなければならないことがあります。分散型では、複数の拠点で在庫管理をする必要があるため、在庫の把握が困難な点や拠点が増える分、リソース負担が増加する可能性があります。
このようなことから、集約型と分散型は物流の規模や目的により選択することが重要であり、適切な戦略で行えると効率的な物流が実現できます。
【関連記事】
物流倉庫とは?物流倉庫の業務内容などの基本からメリットまで解説
物流拠点戦略:集約型のメリット
物流拠点戦略の集約型のメリットは次の通りです。
- コスト削減につながる
- 配送効率向上が期待できる
- 在庫状況を把握しやすい
コスト削減につながる
集約型の1つ目のメリットは、コスト削減につながることです。物流拠点をひとつの拠点にまとめる戦略である集約型では、人件費や設備にかかる費用などをまとめられます。
人件費や設備にかかる費用をひとつにまとめることで、最小限のコストで物流業務を行えるようになるため、コスト削減につながります。
配送効率向上が期待できる
物流拠点戦略で集約型を選択する2つ目のメリットは、配送効率向上が期待できることです。物流拠点をひとつにまとめることで、商品をひとつの拠点で管理できます。それにより、消費者から注文された商品の発注から納品までをその拠点で行えるようになり、配送効率向上が期待できます。
特に、分散型と比べると商品の転送をする必要がなくなるため、配送効率が大きく向上する可能性が高くなります。
在庫状況を把握しやすい
在庫状況を把握しやすくなることも、物流拠点戦略で集約型を選択するメリットです。複数の拠点で物流を行う分散型の場合、複数の拠点にある在庫状況を管理しなければならないため、把握しにくくなります。
しかし、ひとつの拠点で物流を行う集約型の場合、そこで在庫管理をすれば良いため、在庫状況を把握しやすくなります。また、その拠点で在庫管理を行うことで、それにかかる人件費や設備にかかる費用などの削減にもつながります。
物流拠点戦略:分散型のメリット
物流拠点戦略の分散型のメリットは次の通りです。
- 物流コストの削減につながる
- リスク分散をしやすい
- 発注から納品までがスピーディーになる
分散型のメリットと集約型のメリット、それぞれを知ることで、どちらの戦略が自社にあっているのか判断しやすくなります。
物流コストの削減につながる
集約型の場合では、ひとつの拠点から物流を行うため、注文した消費者が拠点から遠ければその分、燃料費や人件費などがかかります。しかし、分散型の場合は、物流拠点を複数に分散することで、注文した消費者の届け先に近い拠点から商品を配送できるようになります。
それにより、複数の拠点から物流を商品を届けるためにかかる燃料費や長時間労働による残業代の支給などの物流コストを削減できます。
リスク分散をしやすい
リスク分散がしやすいことも物流拠点戦略の分散型のメリットです。具体的には、台風や地震などの自然災害が発生した際、集約型の場合、そこに直撃したら物流業務が行えません。
しかし、分散型の場合は、拠点を複数に分散しているため、ひとつの拠点で業務が停止したとしても、他の拠点にて物流業務を行えます。分散型により、拠点を複数に分散させておくことで、リスク分散がしやすくなり、物流業務を稼働させ続けられます。
発注から納品までがスピーディーになる
物流拠点戦略の分散型の3つ目のメリットは、消費者が商品を発注してから納品までがスピーディーになることです。前述したように、拠点を複数に分散することで、消費者に近い拠点から商品を発送できるようになります。
近い拠点から商品を発送できるようになるため、発注から納品までがスピーディーになり、消費者の満足度の向上を見込めます。
物流拠点戦略:集約型の注意点
物流拠点戦略の集約型の注意点は次の通りです。
- 発注先によっては納品まで時間がかかってしまう
- リスク分散がしにくい
前述したメリットと同時に注意点を知ることで、効果的に戦略を策定できるようになります。
発注先によっては納品までの時間がかかってしまう
集約型は、ひとつの拠点しか持っていないため、発注先によっては納品までの時間がかかってしまう点に注意が必要です。できる限り広い範囲で即座に納品できる拠点を確保するか、エリアを制限したサービスを行うことで対応できます。
リスク分散がしにくい
ひとつの拠点で物流業務を行うため、自然災害や道路工事などにより、通常の業務が行えない場合のリスク分散がしにくくなります。複数拠点で物流業務を行う分散型戦略を策定することで、リスクに対応できます。
物流拠点戦略:分散型の注意点
物流拠点戦略の分散型の注意点は次の通りです。
- 在庫状況を把握しづらい
- リソース負担が増加する可能性がある
分散型の注意点も知っておくことで、集約型と比較し、より効果的な策定が可能です。
在庫状況を把握しづらい
集約型は物流拠点がひとつしかないため、在庫状況の把握がしやすくなります。一方で、分散型は複数の拠点で在庫状況を把握しなければならないため、在庫状況の把握がしづらく、注意が必要です。その対策として、在庫管理システムを導入し、効率的な在庫管理を行う方法があります。
リソース負担が増加する可能性がある
複数の拠点で物流業務を行う分散型は、リソース負担が増加する可能性があります。なぜなら、複数の拠点を維持するためには、その分の従業員の増員や在庫管理などが必要になるからです。分散型の戦略を取る前にあらかじめどのくらいのリソースが必要か入念に調査することが重要です。
まとめ
物流拠点戦略には、ひとつの物流拠点を持つ「集約型」と複数の拠点を持つ「分散型」の2種類があります。それぞれにメリットと注意点があり、理解したうえで戦略を策定することで効果的な物流業務につながるため、とても重要です。物流拠点戦略を理解したうえで適切な戦略を策定することが肝心です。
物流アウトソーシング先にお悩みの際は是非STOCKCREWへお問い合わせください。BtoC・BtoBともに幅広く物流業務に対応しています。
【関連記事】
「倉庫」と「物流センター」の違い 〜物流機能と産業構造の変化〜