物流業界は現在、働き方改革や技術の向上により、大きく変化し始めています。しかし、具体的にどのように変化し始めているのかという疑問をお持ちではないでしょうか。そこで本記事では、物流業界がどのように変化し始めているのか解説します。
物流業界については『物流業界の「今」と今後の課題』もご参照ください。
現在物流業界が抱える問題点を知ることで、物流業界の未来はどのようになるかの理解度が上がります。ここでは、物流業界が抱えている3つの問題点について解説します。
インターネットの普及により、多くの方がECサイトから商品を購入しています。注文をすれば指定場所に商品が届くため、とても便利なサービスです。
一方で物流企業は、ECサイトの普及により、商品配達の数が増加しており、商品配達の品質向上や他社との差別化を行わなければ、市場で生き残りづらくなっている状況です。
なぜなら、商品をお届け予定日に届けることはマストな条件で、他社との違いがなければ自社を選択してもらえない場合があるからです。具体的には、ECサイトによって配達を行う物流会社が異なり、商品配達の品質も異なっています。利用者からすると配達品質が低い場合、クレームをすることもあるでしょう。物流会社は、クレームが多ければ、ECサイトから契約解除されてしまいます。
ECサイトの業務と物流会社については「EC物流代行の重要性はなにか?メリットとデメリットを解説!」で詳細を紹介しています。
このように、物流業界では、ECサイトの普及で増加した商品配達を高品質かつ他社と差別化した形で行うことが重要になっています。
EC物流に特化した物流会社は「EC物流を積極的に活用するには?大手物流会社7社のサービス解説」で紹介しています。
物流業界では、人手不足が問題視されています。商品配達数は増加しているのにも関わらず、若者の就業率が低いことが人手不足のおもな原因と言えます。
また、他の業界に比べ、物流業界は就業者全体の平均年齢が高くなっています。この点も、物流業界では深刻な問題となっており、今後さらに人手が不足する可能性があります。
そして、物流業界の過酷な労働環境も問題視されています。
厚生労働省のデータによると、年間労働時間が約2,124時間であり、中小型トラックは約2,484時間、大型トラックは約2,604時間となっています。日本全体の平均年間労働時間が約1,713時間であるため、比較すると約300~900時間も多いことがわかります。
つまり、物流業界は現状において年間労働時間が多く、過酷な労働環境にあるといえます。
物流業界の歴史は、産業革命が起こったことで生産性が向上し、急激に動き出したとされています。そこで、以前までの方法では流通が間に合わず、効率化を図るために「ロジスティックス」という概念が提唱されました。
ロジスティックスとは、原材料の調達から生産、格納、販売という、商品を開発し消費者へ届けるまでの一連の流れを管理することを指します。ロジスティックスが提唱され、起こった改革を時代とともに見ていきましょう。
最初に起きた改革が内陸輸送の発展です。これを「ロジスティックス1.0」と呼び、鉄道を活用した物流が始まり、スピーディで安全に商品を流通させられるようになりました。
続いて「ロジスティックス2.0」と呼ばれる荷役作業の効率化が行われます。具体的には、以前まで手作業で荷役していたところをフォークリフトを活用した機械化です。商品の積み込みにかかる時間と人員を大幅に減少しています。しかし、在庫管理や入出管理などは人の手書きによる台帳で管理していたため、管理業務に関しては効率化が行えていない状況になっていました。
この状況を打破するため行われた改革が「ロジスティックス3.0」倉庫管理システムの導入です。倉庫管理システムは、コンピューターを活用し、管理業務や処理業務をシステム化できるため、在庫管理や入出管理などの情報を電子化することが可能になりました。また、現在はロジスティックス3.0が物流業界のスタンダードとなっています。
そして、現在物流業界の新たなスタンダードを提唱する「ロジスティックス4.0」というAIやIoTなどの最先端技術を駆使した物流の標準化が進んでいます。
このように各種ロジスティックスの変革ポイントにより、物流業界は年月をかけ成長し続けているのです。
物流業界には、2024年問題という大きな問題点があります。
2024年問題とは、2024年に働き方改革の時間外労働の上限規制により、時間外労働が年960時間になることで1日当たりに配達できる商品の数が減少してしまう問題のことです。この問題により、物流業界はなくなってしまうのではと言われています。
しかし、物流業界はAIやIoTといった最先端技術を導入することで、生産性向上を図ろうとしており、2024年問題によって物流業界が急激に縮小してしまうような事態には陥ることはないでしょう。
2030年の物流がどのようになるのか、日本ロジスティクス協会が「IoT、ビッグデータ、人工知能の進展による2030年の物流ビジョン報告書」を発表しています。
内容は、AIやIoTにより物流の調達や配達などが自動化されるといったことを12の切り口から仮説を立てています。
「2040年、道路の景色が変わる〜人々の幸せにつながる道路 〜」にて道路が変わることを国土交通省が発表しています。将来像は以下の5つです。
この中の「人・モノの移動が自動化・無人化」が物流業界に大きく影響を与えます。なぜなら、小型自動ロボットやドローンにより、無人物流を普及させるといった内容が記載されているからです。また、小型自動ロボットやドローンは道路や上空を自由に移動できます。
具体的には、小型自動ロボットやドローンによる無人物流により、輸送コストが低下し、小口配送が増加するといったものです。無人物流が可能になると、物流業界の問題点である人手不足の解消につながるため、2040年の物流は2022年の今とはだいぶ様変わりしていることが予測できます。
物流の自動化については「マテハンと物流現場についての解説!」で自動化の各ソリューションを紹介しています。
本記事では、物流業界がどのように変化し始めているのか解説しました。現在物流業界には、3つの問題点がありますが、最先端技術の導入により、対策できます。また、今後技術の発展に伴い、効率的な物流が可能になるため、今後の物流業界に注目していきましょう。
発送代行サービスを提供しているSTOCKCREWでも、ロジスティクス4.0への移行の一環としてロボットとの協業で効率化とコスト削減に取り組んでいます。サービス内容や実際のコストなど、興味を持たられましたらお気軽にお問い合わせください。