CONTACT US ログイン
CONTACT US ログイン

1 min read

【基礎から学ぶ物流】そもそも物流とは?

Featured Image

EC(ネット通販)が日々成長するなかで物流の重要性はますます高まっていますが、簡単そうに見えてなかなかわかりづらい業務が「物流」です。今回はこの物流の基本となる機能についてご紹介します。物流というのはモノを預かる(=保管)とモノを動かす(=輸送)とそれらを可能にする(=荷役)の三つの機能しかありません。ですが、ここに「どのように~するのか?」という言葉がつくだけでとても奥が深い概念になります。ここでは、物流の基本ということでそれぞれの定義と基本を解説していきたいと思います。

 

 

物流における3つの機能

 

「物流」と一言で言っても、最近ではテクノロジーやITの進歩もあり定義付けが難しくなってきています。
しかし、物流という古い産業を理解するために難しい単語は必要ありません。なぜならば物流の機能は以下3つの機能で十分説明が可能だからです。

 

  • 保管:モノを置く機能
  • 荷役:モノを倉庫内で動かす機能
  • 輸送:モノを倉庫外で動かす機能

 

物流はこの保管・荷役・輸送の3つの機能で出来ています。これはどれだけ最新の設備を備えた大型の倉庫であろうと、家の近所にあるガレージであろうと変わりません。もちろん、家の近所のガレージと最新設備の倉庫・物流センターではこの機能に対して、期待される能力・成果は大きく異なります。しかしそれはあくまで期待する機能に濃淡があるということであって、保管・荷役・輸送が発生しない倉庫・物流センターはありません。
それではこの3つの機能について詳細をご案内します。

 

「保管」とは

ECだけではなく、商品を売る物販を行う上で「在庫」は常に頭の痛い問題です。在庫がなければ売上が作れませんが、在庫が多すぎると売れ残りになってしまいます。

 

実は「保管」という機能は経済活動を行う上で革命的な機能として誕生しています。農耕革命が実現出来たのは、安定的に自分たちが必要とする以上の生産を「保管」することが出来るようになったことがきっかけです。それ以前の狩猟社会では、生産物の消費期限の観点から保管することは困難であったため、保管しようという発想自体がありませんでした。
しかし、保管をする場所=倉庫が誕生したことにより、ヒトは将来消費する生産物を、初めは安全のために保管するようになり、次に価値を移転させるために取引するようになりました。

 

保管のない世界を想像して見てください。生産物を保全することがないので、人々は日々必要な食料や物品を日々製造、確保する必要があります。中長期的な価値を信用できないので貨幣経済も成立しません。貨幣の価値は「将来きっとこの紙切れは自分の欲しい何かと交換できるはずだ!」という市場の参加者全員の合意があって初めて成立します。今日は米2kgと交換できるけど、明日以降のことは良く分かりません、という通貨は使い勝手がとても悪く、そのような貨幣を安心して使えません。

 

物流の観点では、保管とは「モノを置く機能」ですが、流通活動全体から見ると「価値を保全する機能」と考えることが出来ます。少し堅苦しく保管を定義するのであれば、以下のようになります。

 

  • 保管とは、モノを管理することで、その価値を保全する機能。

 

保管と在庫

 

「荷役」とは

次に荷役について考えていきましょう。「荷役」という文字自体が少々敬遠されがちな印象を与えますね。力仕事を延々と行なっている、物流業が肉体的に厳しい業界であるイメージを与える代表です。そして、その印象は概ね正解です。

 

物流の荷役は言葉のイメージとは裏腹に、ここ50年で求められる機能が大きく変容してきました。50年前までは物流の荷役といえば大きなロット(ケースやパレット)でモノを整える機能かつ、大型輸送を前提としていました。業務用スーパーで取り扱われるような箱単位○○kg等のがサイズのイメージです。しかし消費ニーズが多様化するに従って商品自体が小ロット多品種化し、倉庫で荷役に求められる機能も小さなロット(ピースやセット)へと変わっていき、ECが世の中に浸透するに従いその傾向はより顕著になっています。このあたりの倉庫内の活動の変化こそが「倉庫」が「物流センター」に変化していった背景です。こちらの「倉庫」と「物流センター」の違い 〜物流機能と産業構造の変化〜で解説しておりますので、興味のある方はご覧ください。

 

荷役の機能は流通全体の視点で言えば、保管と輸送の補完的な意味合いが強く、業務自体が①保管をするための荷役と②輸送するための荷役に分けられます。特に②の輸送するための荷役というなかには、受取先が受け取りたい状態にモノを整理・加工するという内容も含まれています。保管と輸送を補完する機能というと、少し控え目な印象もありますが、この荷役で「実現できること=事業で実現できること」と言っても過言ではなく、物流の視点では一番、ノウハウが試される機能です。

 

この荷役という業務を定義すると次のように表現できます。

 

  • 荷役とは、モノを整理・加工することで、保管/輸送を可能にする機能。

 

 

「輸送」とは

価値のあるモノが「保管」され、「荷役」により届け先側が求めるカタチで準備が整いました。あとはこのモノを届け先へ届けなくてはなりません。

 

モノの価値は色々な場面で変わりますが、場所が変わる時ほど価値が変わることはなかなかありません。世界最古の株式会社である東インド貿易会社は香辛料をインドから英国に移動=輸送させることでその価値の変化により大きな富を得ました。グローバル化が進むことにより各国、各地域で産業に特色を持つようになった現代においてはこの傾向はむしろ加速度的に増しています。この一見、非常にシンプルに見える輸送という業務がモノの価値を変動させ経済活動の大きな原動力になっています。

 

では、モノの移動がなぜ価値を変動させるのでしょうか?実は物流の一番の面白さはこのモノの移動の価値にあります。

 

  • 「輸送」はモノを移動させることで、価値を変動させる機能

 

 

保管の基本を知る

 

保管が、モノを管理することで、その価値を保全する機能だと説明しましたが、保管すること自体が目的になることはありません。保管する目的は現在以降のある時点で荷役で出荷し、輸送することで価値を増加させるために行う業務になります。そのため、保管の機能は二つに分けることができます。一つは「動かさない」ことを目的とした保管と「動かす」ことを目的とした保管です。

 

「動かさない」ことを目的とした保管

世の中には供給が不安定なモノがたくさんあります。農産物は気候の影響を強く受けますし、漁業は年によっていまだに解明されない理由で不漁になることもあります。また、食品以外にも政治的な理由で取引高が変化する石油等の資源関係、期せずして発生した半導体不足で供給できなくなる自動車もその例になります。

 

都会で普段生活をしていると気付きにくいですが、実はこういった供給の不安定さは現代においても日々発生してます。では、なぜ我々はスーパーに行けばいつでもマグロを買え、外食に行けば肉を食べれて、米を食べれるのでしょうか?冬は暖房の効いた部屋で過ごすことができるのでしょうか?これらを可能にしているのが「動かさない」ことを目的とした保管という機能があるからです。

 

供給が不安定ということは、利用したい量に対して供給が少ない場合もあれば、多い場合もあり、その「多い場合」に余剰在庫を将来に向けての「価値を保全」することで、供給を安定させる機能が「動かさないことを目的とした保管」になります。つまり、保管による「売り逃がしの防止」という機能です。

 

「動かす」ことを目的とした保管

次に「動かす」ための保管については見てみましょう。

 

保管という状態は作業効率と不可分な関係にあります。皆さんの自宅の冷蔵庫を想像してみてください。冷蔵庫の中身を取り出しやすくしようとすればするほど、決められた場所に決められた食材を置き、奥まで手が届きやすいように、余計な食材は置かないということになると思います。逆に、取り出しやすさは関係ない、というのであれば、種類を仕分けることもなく、食材の形だけで、パズルのようにぎっちり食材を詰め込んだ方がたくさん保管することができます。

 

日々、食材の買い出しに行くことができる、或いは、食材の宅配サービスを利用しているような家庭では、取り出しやすさが重要になりますし、一方で、週に一回、あるいは、二週に一回しか買い物に行けない家庭では保管効率が優先されるでしょう。

 

実は、倉庫運営の設計も同じことが言えます。

 

高頻度に入出荷されるような倉庫(TC:トランスファーセンター)では、朝から貨物が順次入荷し、夜まで仕分け作業が続き、作業終了後にはすっからかんになります。運送会社の特積みと呼ばれる業態やアパレルや雑貨等の高回転型の事業ではこのような倉庫が求められるのです。あまり目にすることはありませんが、TCの倉庫は一般的にイメージされる倉庫ではなく、夜中に遊びに行けば、巨大な屋内のフットサル場のような雰囲気になります。逆に、先ほどの冷凍マグロのような長期保管をするような倉庫(DC:ディストリビューションセンター)では、翌シーズンまで出荷されることがないことが明白なので、なるべく効率的に保管できるように、保管用の什器を使い、通路幅等の必要スペースもなるべく少なくするように設計します。

 

そのため、動かすことを目的とした保管とそうではない保管というのが発生するのです。なるべく出荷しやすいように保管することがここでは求められます。保管場所もなるべくピッキング(出荷作業時の商品のピックアップ)しやすい場所に置いたり、貨物を搬送しやすいようになるべく通路幅も広くとるようにします。

物流の世界

 

荷役の基本を知る

 

物流における荷役は「保管」するためか、「輸送」するためかの二つに分けることができます。他には一部商品の状態を確認する「棚卸」や半製品を製品化する「流通加工」もありますが、物流という意味では本質的に保管か輸送の二つに分けることができると理解してください。では、保管のための荷役と輸送のための荷役とは何が違うのでしょうか?それぞれ説明していきます。

 

「保管」を目的とした荷役

保管を目的とした荷役は一言でいうと「なるべく詰める作業」です。入荷した貨物を同じ種類に仕分けた後にパレットのような保管什器に積み付けをし重量ラックネステナーと呼ばれる保管設備に格納していきます。また、中長期で出荷されないような貨物であれば、棒積みと呼ばれる積め蔵のような保管の仕方もあります。

 

こういった荷役作業ではフォークリフトと呼ばれる物流業務用の搬送設備が主として利用されます。パレットやその他貨物の特性に合わせてカスタマイズできるので非常によく利用され、フォークリフトのない倉庫は軽作業を前提とした流通加工センター以外では基本的にはありません。

 

「輸送」を目的とした荷役

次に輸送を目的とした荷役ですが、これは商品を適時適量移動させるために必要な工程です。輸送する前提として、受け手側が必要とする貨物を必要とする時に届けることが求められます。そのため、荷造りと呼ばれる送り先別の仕分け作業が必ず発生します。メーカー系の物流では輸送を目的とした荷役でも輸送ロットが大きく、前述のフォークリフトで作業されることもありますが、小売や通販のような届け先のニーズが多様な場合には作業員の手作業や作業用ロボットの利用が考えられます。

 

特に送り先に向けて個別の商品のピッキングが発生する場合は①種まき(アソート)と②摘み取り(ピッキング)に分けることができます。種まきというのは店舗向けの仕分けに使われることが多い方法でピッキングは通販や少し大きめの商品を扱う時に使われる傾向があります。この種まきとピッキングはどちらが優位なやり方であるかというのは物流業界でも長く議論されているテーマですので、結構奥の深い話になってきます。このあたりは別の機会に改めて詳述できればと思っています。

 

輸送の基本を知る

 

最後に輸送の基本について見ていきましょう。輸送はモノを移動させることで、価値を変動させる機能と説明しました。輸送については管理会計の観点で見るとその中身に違いがあることが分かります。一般的に物流費は間接費(売上に直接の関係がない)として原価計上される性質のものですが、会社によっては直接費として管理されることもあります。このあたりは売上が確定しているか否かで判断することができます。例えば、輸入商品のようなこれから倉庫に入荷して販売するような物流費は間接費ですが、通販物流のような既に売上が確定している輸送費は直接費になります。

海上輸送とは

 

「間接費」としての輸送

はじめに輸送は移動させることで価値を変動させる機能だと説明しましたが、この間接費の段階、つまり、輸出入に関わる輸送や店舗で販売するために移動させる輸送についてはその段階では価値の変動が確定していません。モノは所有権が移転する際に初めて価値の変動が確定するので、価値の変動を確定させるための輸送は間接費になります。

 

この間接費としての輸送というのは企業のなかではコストセンターとして扱われ、なるべく安価に実行されることが期待される領域です。かつては物流というのがこの間接費部分が圧倒的多数だったので物流費=コスト削減という風潮が顕著でした。売上に直接関係しないわけですかたこの視点は当然と言えば、当然のことと思います。

 

間接費としての輸送のプライヤーは実に多岐にわたります。国内輸送で言えば、地場の運送会社から、グローバルには超巨大な運送会社まで、恐らく、もっともプレイヤーが多い産業の一つでしょう。

 

「直接費」としての輸送

しかし、消費者のニーズが多様化し、また、通販の発展によって消費者にモノが直接届くことが多くなるにつれ間接費としての輸送という考えだけでは物流を語れなくなってきました。顕著なのは通販ですが、物流の品質、例えば、リードタイムと呼ばれる商品が消費者の手元に届くまでの時間や、梱包状態やその他の付帯サービスなど、多くの点で物流が直接、もっというと中心的に売上に関係するようになりました。

 

この傾向は実は速度の速いアパレルブランドやドラッグストア、コンビニ等ではかなり以前から言われてきたことであり、納品頻度や納品品質が売上に直接影響するので、安ければいいという時代ではない、ということは言われてきましたが、ここ数年の通販の台頭でこの考え方が決定的になったと言えると思います。

 

商売というのは価値の変動を持って、利ざやを獲得していくわけですから、この輸送が直接的に売上に影響するという状態は否が応でも物流の重要性を経営課題として浮き彫りにしました。

 

この輸送に関わるプレイヤーは日本ではほぼ三社に絞られます。日本郵便、佐川急便、ヤマト運輸の三社です。この三社の比較については「発送代行の選定に迷ったら~ヤマト・佐川・日本郵便の違いは?~」でまとめておりますので、ご興味のある方は確認してください。

 

 

最後に

 

ここまで物流の基本ということで保管、荷役、輸送の三つにわけて説明してきました。物流というとても古い産業のなかで変化してきたこと、変化していないことはたくさんありますが、この三つの機能は恐らく相当期間変わらないと思います。

 

実際に物流の業務に触れる際や、物流会社と話をする際には前提知識として抑えておいて頂けると話が早いのではないでしょう。