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物流と流通の違いとは?EC事業者が知るべき基本と実務への活かし方

作成者: STOCKCREW(公式)|2023年5月11日

「物流と流通って、結局何が違うの?」。EC事業を運営していると、物流会社やフルフィルメント業者とのやり取りの中で「物流」「流通」という言葉に頻繁に出会います。どちらも「モノが運ばれる」ことに関連する言葉ですが、実は指している範囲がまったく異なります。

結論からいえば、物流と流通の違いは「運ばれる商品の所有権が移るかどうか」です。流通は生産者から消費者まで所有権が移る一連の流れ全体を指し、物流はその中の「運搬・保管」に特化した工程です。つまり物流は流通の一部であり、流通の方が上位概念になります。

本記事では、この違いを図解で整理した上で、流通を構成する4つの「流」、物流の5つの種類、そしてEC事業者がこの知識を実務にどう活かすかまでを解説します。経済産業省の調査によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円に拡大しており、EC事業者にとって物流と流通の正しい理解はますます重要になっています。

この記事の内容

  1. 物流と流通の違いを一言で整理する
  2. 流通とは?4つの「流」から成り立つ全体像
  3. 物流とは?商品を運ぶ過程の全体像
  4. 物流の5つの種類を理解する
  5. 物流の効率化がEC事業の競争力を左右する
  6. 物流と流通、英語ではどう表現する?
  7. まとめ:物流と流通の違いを理解して、EC事業の物流戦略を考えよう

物流と流通の違いを一言で整理する

物流と流通の最も根本的な違いは、「所有権の移転を含むかどうか」です。

物流と流通の関係 流通(所有権が生産者→消費者へ移る一連の流れ) 商流所有権の移転 金流お金の流れ 情報流情報の流れ 物流モノの移動・保管 物流は流通を構成する4つの要素のひとつ。所有権は移らず、モノの移動と保管に特化 流通=商流+金流+情報流+物流

「流通」は、生産者から消費者に商品の所有権が移る一連の流れ全体を指します。商品が作られ、仕入れられ、販売され、消費者の手に届くまでの商取引のプロセスすべてが「流通」です。

一方「物流」は、流通を構成する4つの要素(商流・金流・情報流・物流)のうちの一つで、商品を物理的に必要な場所へ運ぶ過程を意味します。物流ではモノの所有権は移りません。工場から倉庫へ、倉庫から店舗へ、あるいは倉庫から消費者の自宅へ。この「運搬と保管」に特化した工程が物流です。

つまり:大きなカテゴリーとして「流通」があり、そのうちモノの移動・保管を担う部分が「物流」。流通の中の一機能として物流がある、という包含関係です。

流通とは?4つの「流」から成り立つ全体像

流通は生産者から消費者へ商品の所有権が移る一連の流れですが、その中にはさまざまな種類の「流れ」が含まれています。代表的な4つを順に解説します。

商流 所有権が生産者→消費者へ 移る取引の流れ 金流 商品対価としての お金の流れ 情報流 安全性・信頼性などの 情報のやり取り 物流 モノを必要な場所に 届ける過程

商流――所有権の移転

商流とは、流通の中でも所有権が生産者から消費者に移る流れのことです。たとえば、販売者がメーカーから商品を仕入れ、消費者に販売する。消費者が代金を支払った時点で所有権が移ります。ここで注意すべきは「モノと所有権は必ず同時に移るわけではない」点です。ローンで購入した車は手元にあっても、完済まで所有権はローン会社にあります。

EC事業においては、商品が購入された時点で所有権が消費者に移りますが、商品が倉庫から出荷されるのはその後です。つまり「商流(所有権の移転)」と「物流(モノの移動)」は同時に起きるとは限りません。この時間差があるからこそ、EC事業では「受注→出荷までのリードタイム」が重要な競争要因になるのです。

金流――お金の流れ

金流とは、商品の流通に伴って発生するお金の流れです。消費者がECサイトで商品を購入すると、代金は決済サービスを経由して通販事業者に入金され、事業者はメーカーや仕入先に仕入れ代金を支払います。こうしたお金の循環が金流です。ECモールの仕組みを解説した記事でも触れていますが、モールごとに決済フロー(金流)は異なるため、事業者は各モールの入金サイクルを理解しておく必要があります。

情報流――情報のやり取り

情報流とは、商品が生産者から消費者に移る過程で提供される情報のことです。たとえば、食品の産地情報、衣類の素材表示、化粧品の成分表示などは、消費者に商品の安全性や信頼性を認識してもらうための情報流にあたります。EC事業では、商品ページの説明文やレビュー、追跡番号の通知なども広い意味では情報流に含まれます。

物流――モノの移動と保管

物流は、商品を物理的に必要な場所に移動させる過程です。この中には運搬だけでなく、倉庫での保管、ピッキング、検品、梱包、配送手配といった一連の作業が含まれます。EC事業における物流の詳細については、次のセクションで深掘りします。

物流とは?商品を運ぶ過程の全体像

物流は流通の中に属する概念で、商品を必要な場所に届けるまでの過程を指します。EC事業者にとっての物流は、商品がメーカーから届き、倉庫に保管され、注文に応じてピッキング・梱包されて消費者の手元に届くまでの一連の流れです。

物流の最大の特徴は、運搬される商品の所有権は移らないことです。物流はあくまで「モノを物理的に動かす」工程であり、所有権の変更は商流の領域です。ただし、ECにおいては物流の品質(配送スピード、梱包の丁寧さ、誤出荷率)が顧客満足度とレビュー評価に直結するため、物流は単なる裏方作業ではなく、事業の競争力を左右する重要な要素です。

EC事業の文脈では、物流の中にはさらに細かい業務が含まれます。商品の入荷と検品、倉庫内のロケーション管理、JANコードやバーコードを活用した在庫管理、注文に応じたピッキング、適切な資材を使った梱包、そして配送キャリアへの引き渡し。これらすべてが「物流」の範疇です。商品管理システムの導入メリットを解説した記事でも触れていますが、デジタルツールの活用が物流の正確性と効率を飛躍的に向上させます。

入荷・検品数量・品質確認 保管在庫管理 ピッキング商品取出し 梱包適切な資材で 配送キャリアへ お届け消費者へ この一連の工程が「物流」。所有権は移らない(所有権の移転は「商流」の領域)

EC事業者がこの物流工程を自社で行うのか、外部に委託するのかは重要な経営判断です。物流代行サービスの仕組みについて解説した記事や、WMS(倉庫管理システム)について詳しく解説した記事も合わせて参考にしてください。

物流の5つの種類を理解する

物流にはさまざまな領域があり、大きく5つに分類されます。EC事業者に直接関係するのは主に「販売物流」ですが、サプライチェーン全体を理解するために他の物流も知っておくと役立ちます。

物流の5つの種類 動脈物流(生産者→消費者) 調達物流 原材料の調達 → 生産物流 工場内の製品管理 → 販売物流 倉庫→消費者への配送 静脈物流(消費者→回収) 回収物流 容器等の回収 リサイクル物流 資源回収・再利用 EC事業者に最も関係が深いのは「販売物流」 発送代行は販売物流をアウトソーシングするサービス

調達物流

調達物流とは、原材料や部品を仕入先から自社工場へ調達する際の物流です。無駄な在庫を持たず、必要な分だけを必要なタイミングで調達する「ジャストインタイム」の考え方が普及しています。グローバル化により海外から原材料を調達するケースも増加しています。ロット管理の基礎を解説した記事でも触れていますが、適切なロット管理は調達物流の効率化に直結します。

生産物流

生産物流は、工場内での資材管理、製品管理、倉庫への発送などの工程です。調達物流と販売物流の中間に位置するため、前後の工程との連携が重要になります。

販売物流

販売物流は、倉庫から販売者や消費者に商品を届ける物流です。EC事業者にとって最も身近な物流であり、入荷・保管・ピッキング・梱包・配送のすべてがここに含まれます。「発送代行」は、この販売物流をプロに委託するサービスです。物流倉庫の建設ラッシュについて解説した記事でも触れていますが、EC市場の拡大に伴い、販売物流のインフラは急速に進化しています。

2024年問題(ドライバーの時間外労働規制)や配送料の値上げなど、販売物流を取り巻く環境は年々厳しくなっています。国土交通省の物流効率化法の施行も控えており、EC事業者にも物流効率化への取り組みが求められるようになっています。こうした環境変化に対応するためにも、販売物流の仕組みを正しく理解し、最適なパートナーを選ぶことが重要です。

回収物流

回収物流は、消費者が使用した製品の容器や包装を回収する物流です。調達物流・生産物流・販売物流が「動脈物流」と呼ばれるのに対し、回収物流は消費者からモノを戻す「静脈物流」に分類されます。ECにおける返品処理も広い意味では回収物流の一種です。

リサイクル物流

リサイクル物流は、回収した資源をリサイクルするための物流です。サステナビリティへの関心が高まる中、ネットショップ担当者フォーラムをはじめとするEC業界メディアでも、環境配慮型の物流がトピックとして取り上げられる機会が増えています。

物流の効率化がEC事業の競争力を左右する

物流と流通の違いを理解した上で、EC事業者が最も注力すべきは「自社の物流をいかに効率化するか」です。物流の品質は、配送スピード、梱包の丁寧さ、誤出荷率としてダイレクトにお客様の体験に反映されます。

WMS(倉庫管理システム)による効率化

商品の入庫から在庫管理、ピッキング、出荷までをシステムで一元管理することで、ヒューマンエラーを大幅に低減できます。WMSの仕組みと導入メリットについて詳しく解説した記事では、クラウド型WMSとオンプレミス型WMSの違いや、EC事業者に適した選択肢を紹介しています。

マテハン機器・AI技術の活用

フォークリフト、ベルトコンベア、ソーター、ピッキングロボットなどの「マテハン機器」や、AIによる需要予測・在庫配置の最適化が物流の効率を飛躍的に向上させています。STOCKCREWの倉庫ではAMR(自律走行ロボット)を100台以上稼働させ、ピッキングの精度とスピードを両立しています。個々のEC事業者がこうした設備を自前で導入するのは現実的ではありませんが、発送代行サービスを通じてその恩恵を受けることは可能です。

発送代行による物流のアウトソーシング

物流のプロに販売物流を一括委託する「発送代行」は、EC事業者にとって最も現実的な物流効率化の手段です。小規模ECサイトの運営者向けに発送代行の活用法を解説した記事や、おすすめの発送代行業者を比較した記事も参考にしてください。初期費用・固定費0円の従量課金型サービスであれば、小規模事業者でもリスクなく始められます。

1 WMSの導入 在庫管理のリアルタイム化 ヒューマンエラーの激減 業務の標準化 2 マテハン・AI技術 AMR・自動梱包機の活用 24時間稼働で人件費削減 需要予測による在庫最適化 3 発送代行の活用 販売物流を丸ごと外注 コア業務に集中 固定費0円で始められる

物流と流通、英語ではどう表現する?

越境ECやグローバル取引が増える中、物流と流通の英語表現を知っておくと実務でも役立ちます。

日本語 英語 ニュアンス
流通 distribution 生産者から消費者へ商品が届くまでの全体的な流れ
物流 logistics モノの移動・保管に特化した計画・管理・実行の仕組み
サプライチェーン supply chain 原材料の調達から消費者への配送までの連鎖全体
フルフィルメント fulfillment ECにおける受注〜配送完了までの一連のプロセス

「distribution」は「配分」「分配」のニュアンスが強く、商品が流通チャネルを通じて市場に行き渡る過程を指します。一方「logistics」は元々軍事用語で、物資の補給・輸送・管理に由来しており、より「管理と計画」に重きを置いた言葉です。

「supply chain」と「logistics」の違い

混同されやすいのが「supply chain(サプライチェーン)」と「logistics(物流)」の違いです。サプライチェーンは、原材料の調達から製造、物流、販売、消費までの一連の連鎖全体を指す概念であり、物流はその中の一要素にあたります。つまり、流通と物流の関係と同様に、サプライチェーンの中に物流が含まれる包含関係になっています。

EC事業者にとって最も身近な英語は「fulfillment(フルフィルメント)」でしょう。これは注文を受けてから商品を消費者に届けるまでの一連のプロセスを指し、物流(logistics)と商流(commerce)が交差する領域です。Amazonの「FBA(Fulfillment by Amazon)」がこの言葉を広めました。EC物流企業の比較記事でもフルフィルメントサービスの選び方を詳しく解説しています。

実務で使える表現例

海外の取引先やプラットフォームとやり取りする際に知っておくと便利な表現をいくつか紹介します。「3PL(Third Party Logistics)」は物流を第三者に委託するサービス、つまり発送代行のことです。「last mile delivery」は配送の最終区間(倉庫から消費者の自宅まで)を指し、EC物流では最もコストがかかる工程とされています。「cross-docking」は倉庫に在庫を保管せず、入荷した商品をすぐに仕分けして出荷する手法で、生鮮食品やファストファッションで活用されています。こうした用語を押さえておくと、物流パートナーとのコミュニケーションがスムーズになります。

まとめ:物流と流通の違いを理解して、EC事業の物流戦略を考えよう

物流と流通の違いは、所有権の移転を含むかどうかです。流通は生産者から消費者に所有権が移る一連の流れ(商流+金流+情報流+物流)全体を指し、物流はその中の「モノの移動と保管」に特化した工程です。

EC事業者にとって特に重要なのは「販売物流」、つまり倉庫から消費者に商品を届ける工程です。この販売物流の品質とスピードが、配送レビュー・リピート率・売上に直結します。WMSの導入やマテハン・AI技術の活用、そして発送代行サービスの利用が、物流効率化の3本柱です。

「物流と流通の違いがわかった。では自社の物流をどう改善すべきか?」。その答えのひとつが、販売物流をプロに任せる発送代行サービスです。STOCKCREWは初期費用・固定費0円の完全従量課金制で、楽天・Amazon・Shopify・BASEなど主要プラットフォームとAPI連携済み最短7日で導入可能です。物流戦略の見直しをお考えの方は、まずは無料の資料ダウンロードから、またはお問い合わせからお気軽にご相談ください。