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改正物流効率化法の届出実務Q&A|届出書類5種類の書き方・CLO選任・中長期計画の作成ポイント

作成者: STOCKCREW(公式)|2026年3月27日

2026年4月の改正物流効率化法施行を控え、特定荷主として指定される可能性のある企業・EC事業者の間で「具体的に何をしなければならないのか」という不安が高まっています。 本記事では、届出書類5種類の記載方法、CLO選任の実務フロー、中長期計画作成の3つのポイントを、実例を交えて詳しく解説します。

この記事の内容

  1. 2026年4月施行の改正物流効率化法:3分でわかるダイジェスト
  2. 特定荷主の指定基準と届出義務の範囲
  3. 届出書類5種類の書き方と記載例
  4. CLO(物流統括管理者)の選任要件と届出手順
  5. 中長期計画書の作成ポイント
  6. EC事業者が発送代行で法対応できること
  7. まとめ:法対応は「守りのコスト」ではなく物流改善の契機

2026年4月施行の改正物流効率化法:3分でわかるダイジェスト

改正物流効率化法とは、荷主と物流事業者が協働して物流効率化を推進するための法律です。 2026年4月施行により、一定規模以上の「特定荷主」に対して、以下の義務が課されます。

  • 届出義務:物流事業者との委託・受渡し状況を報告
  • CLO(物流統括管理者)選任義務:社内の物流統括責任者を指定・届出
  • 中長期計画策定・報告義務:年度ごとに物流改善計画を提出

「2026年問題」として知られるドライバー不足が深刻化する中、法改正は業界全体の物流効率化を加速させる転機となります。詳しい背景や法改正の狙いについては、別記事「物流2026年問題とは?改正物流効率化法4月施行でEC事業者に何が起きるか」をご参照ください。

出典:経済産業省 物流効率化法ポータル

特定荷主の指定基準と届出義務の範囲

改正物流効率化法が適用される「特定荷主」は、以下の要件で判定されます。

指標 基準値 判定方法
年間貨物輸送量(トンキロ) 3,000万トンキロ以上 前年度の実績で判定。トンキロ = 輸送トン数 × 輸送距離
対象事業者 製造業、卸売業、小売業、EC事業者など 荷主としての機能を有すること
届出時期 2026年5月まで 施行から1ヶ月以内に様式第1で届出

年間3,000万トンキロは、一見高い基準に思えますが、EC事業の成長に伴い該当企業は増加傾向です。 例えば、日本全国に月1,000トン、平均500km配送する企業であれば、年間輸送量は600万トンキロとなり、わずか1.7倍の成長で指定対象となります。

国交省の「物流効率化法理解促進ポータル」では、自社が特定荷主に該当するかを判断する自己診断シートが提供されています。

届出書類5種類の書き方と記載例

経産省が提供する5つの様式(様式第1~第5)は、それぞれ異なる目的を持っています。 以下は、特定荷主として初めて届出する場合の主要な手続きです。

様式第1:貨物の運送の委託及び受渡しの状況届出書

届出の最初のステップは、現在の物流体制を経産省に報告することです。記載内容は以下の通りです。

  • 企業基本情報:法人名、住所、代表者名、主たる事業
  • 物流事業者との委託関係:契約物流会社名、契約開始時期、委託範囲(運送、保管、流通加工など)
  • 年間貨物輸送量(トンキロ):過去1年間の実績を記入
  • 主要な流通経路:出荷地、主要な納入先、平均輸送距離

「記載例」:EC企業A社が月500トン、全国配送(平均600km)を行う場合、年間3,600万トンキロとなり特定荷主に該当します。様式第1には、主要な物流パートナー3~5社、各社の委託内容(輸送のみ、輸送+保管など)を明記する必要があります。

出典:経済産業省 様式第1~5(Word形式)

様式第2:特定荷主指定取消申出書

特定荷主の指定を取り消したい場合に提出します。通常は初回届出では不要ですが、事業縮小や物流体制の大幅な変更により年間トンキロが3,000万以下に低下した場合に使用します。具体的な物流体制の変更については、EC物流全般の改善ガイドも参考になります。

様式第3:中長期計画書

中長期計画書は、改正物流効率化法で最も重要な書類です。 以下の3つの改善軸について、5年間の具体的な目標と施策を記入します。

改善軸 主な施策例 測定指標
①積載効率の向上 ・混載化による1台あたり積載率の向上
・パレット化・段ボール規格統一
・バックハウルの活用
積載率(%)
或いは一件あたり配送料金(円/件)
②荷待ち時間の短縮 ・配送予約枠の事前確保
・納品時間帯の短縮化
・積込・荷下ろしスタッフの配置最適化
平均荷待ち時間(分)
或いは年間待機時間削減率(%)
③荷役時間の短縮 ・自動化ソリューション導入
・作業手順の標準化・デジタル化
・人員配置の最適化
1件あたり荷役時間(分)
或いは年間人時削減率(%)

中長期計画は初回届出時に提出し、その後は毎年度報告が基本です。 ただし内容に大きな変更がない場合は、5年に1度の提出でも認められています。荷役時間の短縮にはWMS(倉庫管理システム)の導入や、物流加工の効率化も有効です。

様式第4:物流統括管理者(CLO)選任・解任届出

CLOの選任は、他の3つの届出と同時に行うことが推奨されています。記載項目は以下の通りです。

  • CLO候補者の氏名・生年月日・職務経歴
  • 物流実務の経験年数(原則5年以上の実務経験が必要)
  • 社内での立場(物流部長、サプライチェーン統括など)
  • 就任予定日

様式第5:定期報告書

毎年度、前年度の物流改善実績を報告する書類です。中長期計画との進捗の対比、新たな改善施策の追加などを記入します。

CLO(物流統括管理者)の選任要件と届出手順

CLO未選任の罰則は100万円以下の罰金、届出漏れは20万円以下の過料と、他の届出よりも厳しく設定されています。 CLO選任は法対応の中でも特に重要な手続きです。

CLOの選任要件

改正物流効率化法で定められるCLOの要件は、以下の通りです。

  • 物流実務経験が5年以上(物流企画、物流システム、サプライチェーン管理など)
  • 社内で物流に関する高い職務権限を有する(物流部長相当職以上)
  • 外部物流事業者との交渉・調整が可能な立場
  • 経営層への報告・提案機能を持つ

現在、物流担当者が経営層から距離がある企業の場合は、この機会に物流部署の権限と位置づけを組織内で高める必要があります。

CLO選任から届出までの実務フロー

以下のスケジュールで進めることをお勧めします。

  • 2026年2月~3月:CLO候補者の人選と、必要に応じた外部研修・資格取得
  • 2026年3月中旬:CLO選任、社内辞令発令
  • 2026年3月下旬~4月上旬:様式第4で経産省に届出
  • 2026年5月まで:様式第1(状況届出)、様式第3(中長期計画)を合わせて提出

中長期計画書の作成ポイント

中長期計画は「何をするか」の宣言ではなく、「どの数字をいつまでに改善するか」を明確にすることが成功のカギです。 以下の3つのポイントを実践すれば、現実的で評価可能な計画が完成します。

ポイント① 現状値の正確な把握

まず必要なのは、現在の物流KPI(重要業績評価指標)の定量化です。

  • 積載効率:現在のトラック1台あたりの平均積載率は何%か
  • 荷待ち時間:納品地点でのドライバーの平均待機時間は何分か
  • 荷役時間:1件あたりの積込・荷下ろし時間は何分か

これらのデータは、物流パートナーから取得するか、自社システムから抽出します。物流KPIの管理方法についてはこちらの記事をご参照ください。

ポイント② 改善ロードマップの設定

5年間を3段階に分け、段階的な改善目標を設定することが現実的です。

5年間の改善ロードマップ(積載効率向上の例) 1 1〜2年目:現状把握 積載率 60% → 65% 荷揃え改善 | 投資 0〜100万円 低コストで始められる 2 3〜4年目:混載実装 積載率 65% → 72% 他社商品混載 | 投資 200〜500万円 中規模投資で効果大 3 5年目:システム統合 積載率 72% → 78% 配車DX | 投資 500万円〜 本格DXで最適化 積載率 60% 65% 72% 78%目標

この段階的アプローチにより、初期投資を最小限に抑えながら、現実的な改善を実現できます。各段階での在庫管理の見直しについては、EC事業における在庫管理の最適化も参考になります。

ポイント③ リスク要因と対応策の記載

中長期計画には、以下のようなリスク要因と対応策も明記することが求められています。

  • 供給チェーン断絶:自然災害などで物流パートナー機能が低下した場合、バックアップ業者を確保
  • ドライバー確保困難:賃上げや待遇改善への投資、自動運転トラックへの早期対応
  • 燃料費変動:エネルギー効率化投資の前倒し、EV・LNG車への転換計画

こうしたリスク記載は、経産省の審査で「現実的な計画」と評価される重要な要素です。

EC事業者が発送代行で法対応できること

改正物流効率化法は、必ずしも自社で全てを実行する必要はありません。 発送代行サービスをうまく活用することで、「特定荷主としての法対応」と「物流効率化」を両立させることが可能です。

発送代行の活用で実現できる改善

大手の発送代行企業(例:EC物流アウトソーシングサービス)では、以下のような物流最適化が既に実現されています。

  • 積載効率向上:複数の荷主の荷物を混載化し、トラック1台あたりの積載率を75%以上に維持
  • 荷待ち時間短縮:配送予約システムにより、ドライバーの待機時間を平均10分以下に削減
  • 荷役時間短縮:自動化設備(ロボットアーム、自動仕分け機)により、1件あたり荷役時間を2分以下に

発送代行を利用すれば、自社の中長期計画に「当社は認定発送代行業者と協業し、以下の改善を実現する」と記載するだけで、既に法対応の3要件を満たすことができます。

STOCKCREWを利用した法対応の一例

例えば、STOCKCREW(ストッククルー)のような発送代行サービスを利用する場合、以下の効果が期待できます。

  • 初期費用0円・固定費0円・全国一律260円~で、最短7日から利用開始可能
  • 導入実績2,200社以上の実績に基づき、業界標準の効率化手法が直ちに適用される
  • AMR(自動運搬ロボット)100台以上稼働する最新の物流インフラで、荷役時間の大幅短縮を実現
  • 毎月の配送実績レポートが自動生成され、中長期計画の進捗管理が容易になる

つまり、発送代行を利用することは「法対応を外注する」ことではなく、「プロの物流インフラに自社業務を統合させて、物流改善を加速させる」という戦略的な選択肢なのです。 発送代行導入に合わせて、受注管理システムの連携や、OMSの導入も検討すると、さらに一体的な効率化が実現できます。

発送代行導入時の届出上の注意点

発送代行を利用する場合、様式第1(状況届出書)には、発送代行業者を「主要な物流パートナー」として記載する必要があります。その際、以下の情報を用意しておくと手続きがスムーズです。

  • 発送代行業者の法人名・所在地
  • 委託範囲(梱包、配送、返品処理、在庫管理など)
  • 契約開始時期
  • 年間取扱数量(トン数、件数)

STOCKCREWへのお問い合わせの際に、改正物流効率化法対応を踏まえた中長期計画の相談もできます。

まとめ:法対応は「守りのコスト」ではなく物流改善の契機

改正物流効率化法の施行を「面倒な届出義務」と捉えるのではなく、「物流効率化を経営課題として真正面から向き合うチャンス」と捉えることが重要です。

本記事で解説した通り、届出書類の作成プロセスそのものが、以下の成果をもたらします。

  • 現状把握:初めて自社の物流KPIを定量化し、改善余地が見える
  • 中長期戦略の明確化:漠然とした「物流コスト削減」ではなく、段階的で実現可能な計画が立案できる
  • 組織横断的な推進体制の構築:CLO選任により、物流部署が経営層に近づき、権限と責任が明確化される
  • ドライバー待遇改善・採用促進:物流効率化は「ドライバー不足対策」にもなり、業界全体の人材確保に貢献できる

ハコベルの2026年3月調査では、4割超のEC事業者が法改正対応に「不安がある」と答えていますが、正しい手順と相談相手を持つだけで、その不安は大きく軽減されます。 発送代行などの外部リソースも活用しながら、2026年4月を「物流最適化元年」にしましょう。また、アパレル業界など業種別の物流戦略も参考になります。

出典:全日本トラック協会 物流効率化法関連資料

物流効率化に関するご質問や、中長期計画策定の具体的な相談は、STOCKCREWへのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。業界の最新動向や、実例に基づいたアドバイスが得られます。

サービス資料のダウンロードも可能です。改正物流効率化法対応の詳細な手引きや、実例に基づいた改善ケーススタディが含まれています。

また、2026年問題の概要や背景をしっかり理解したい場合は、別記事「物流2026年問題とは?改正物流効率化法4月施行でEC事業者に何が起きるか」も合わせてお読みください。 物流コスト削減の具体的な方法については、EC事業の配送料金最適化戦略もご参照ください。

よくある質問

Q. 年間貨物輸送量3,000万トンキロをどうやって計算するのですか?

貨物輸送量(トンキロ)= 輸送トン数 × 平均輸送距離(km)です。例えば、月100トン、平均300km配送する企業の場合、年間輸送量は100トン × 300km × 12ヶ月 = 360万トンキロとなります。配送実績データから、各区間の輸送トンと距離を集計することで算出できます。不確実な場合は、経産省の簡易診断ツールを利用することをお勧めします。

Q. CLOは外部から採用することもできますか?

改正物流効率化法では、CLOは「特定荷主の従業員であることが望ましい」と示されていますが、法的に社員であることを絶対要件としていません。ただし、外部から採用する場合でも、物流実務経験5年以上の要件は変わらず、また社内権限や経営層への報告機能が確保される必要があります。いずれにせよ、届出様式第4には職務経歴が詳しく記載されるため、採用後すぐの届出は避け、3~6ヶ月の在任期間を設けることが推奨されています。

Q. 中長期計画の改善目標が達成できなかった場合、ペナルティはありますか?

改正物流効率化法では、目標未達成についての直接的なペナルティは設けられていません。ただし、毎年の定期報告書(様式第5)では進捗状況の報告が求められ、目標と実績の乖離が大きい場合は、経産省から改善指導が入る可能性があります。重要なのは「無理な目標を立てる」ことではなく、「現実的で段階的な改善計画を立て、実績をベースに見直し続ける」ことです。

Q. 複数の物流パートナーと取引している場合、それぞれに様式を提出する必要がありますか?

いいえ。届出は特定荷主(貴社)から経産省への一度きりの報告です。様式第1には、主要な物流パートナー3~5社の名前と委託内容を記載しますが、各パートナー企業が別途届出をする必要はありません。ただし中長期計画では、複数パートナーとの連携による積載効率化などを記載する場合、事前にパートナー各社と改善内容の確認・調整を進めておくことが重要です。

Q. 発送代行を利用している場合、中長期計画では何を書きますか?

発送代行利用時は、「当社は認定発送代行業者との協業を通じ、以下の改善を実現する」という記載が有効です。具体的には、(1) 発送代行業者が既に提供している積載効率化・荷待ち短縮・荷役自動化の実績、(2) 自社における在庫管理やオーダー管理の改善施策、(3) 発送代行業者と共同で実施する新システム導入の計画などを組み合わせて記載します。重要なのは「他社任せ」ではなく「協業による改善」という姿勢を示すことです。

Q. 2026年5月までに届出できなかった場合はどうなりますか?

改正物流効率化法では、届出義務を怠った特定荷主に対して「50万円以下の過料」が課される可能性があります。また、CLO未選任で届出漏れの場合は「100万円以下の罰金」、CLO届出漏れは「20万円以下の過料」と、より厳しい処罰が想定されています。何らかの理由で5月に間に合わない場合は、まず経産省の相談窓口に連絡し、猶予期間の相談をすることをお勧めします。

Q. 国交省と経産省、どちらに届出をするのですか?

改正物流効率化法の届出は、基本的に経済産業省が窓口です。経産省が提供する様式第1~5を用いて届出を行います。一方、国交省の「物流効率化法理解促進ポータル」は、法改正の背景や理解促進を目的とした情報提供窓口であり、届出先ではありません。不明点がある場合は、経産省の物流政策課に問い合わせてください。