誰でも簡単にECサイトの構築ができる「Shopify」ですが、APIを活用することでより魅力的なECサイトの構築が可能です。
APIを上手に活用してECサイトを構築できれば、ユーザーにとって使いやすいサイトになることはもちろんのこと、ブランド価値の向上や売上向上などさまざまなメリットを享受できます。
本記事では「Shopify API」についての概要から、基本的な使い方、主なAPI、利用する際の注意点までを解説しています。Shopifyを活用してECサイトを運営する際は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
Shopify APIとは?
「API」とは「Application Programming Interface」の略語で、異なるソフトウェアやアプリケーション同士をつなぎ、機能を共有させるための仕組みのことです。
そして「Shopify API」とは、さまざまなデータを取得し、外部アプリケーションやシステムと連携することで、自社のECサイトをカスタマイズできる仕組みのことです。
Shopify APIでは、拡張アプリが7,000個以上リリースされており、アプリを組み合わせることで、自社オリジナルのECサイトの構築ができます。
Shopify APIの基本的な使い方
Shopify APIの基本的な使い方としては、以下の3点です。
- 既存アプリの活用
- 自社開発による機能追加
- 外部会社への依頼
既存アプリの活用
ShopifyではECサイトを充実させるためのアプリがさまざまリリースされています。
アプリ数は7,000個以上あるため、自社のECサイトで取り入れたい機能はすでにリリースされていると言っても過言ではありません。
既存アプリを導入することで、APIとの連携方法はもちろんのこと、どのように機能が拡張するのかを確認できます。既存アプリはShopifyのアプリストアから導入できるので、使いたい機能のアプリを抜粋してみてください。
自社開発による機能追加
Shopifyでリリースされている既存アプリを活用してもECサイト運営のニーズが満たせない場合、APIを活用して自社開発も可能です。
Shopifyには開発者向けに豊富なAPIドキュメントやツールが用意されているため、独自機能をもったアプリ開発がしやすい環境になっています。開発したAPIは自社のECサイトで利用するのはもちろんのこと、アプリストアにリリースすることも可能です。
しかし、アプリ開発は既存アプリを利用するのとは異なり、プログラミングスキルや一定の専門的な知識をもった人材が必要です。さらに連携までにかかる時間も、既存アプリよりもかかってしまうため、留意しておく必要があります。
外部会社への依頼
自社でアプリ開発のノウハウがない場合は、外部会社へ依頼をかける方法もあります。とくに自社の運用において特殊なフローが必要な場合などは、専門会社に依頼をかけるのがおすすめです。
外部会社へ依頼をかける場合、自社開発よりもコストがかかってしまうケースが多くあります。しかし、質の高いアプリが利用できるメリットもあるため、確実性を求めるのであれば最適です。
また、Shopifyには「Shopifyパートナー制度」があり、外部のパートナーがECサイトを運営する手法も採用することもできます。こうした運用を考えている場合、ECサイトの設計から運用までを一貫して依頼してしまうのも一つの方法です。
ECサイトでの運用目標や自社リソースと照らし合わせながら、選択すると良いでしょう。
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Shopify APIでできること
Shopify APIを活用することで、以下の3つができるようになります。
- 顧客情報の管理
- 商品情報の連携と管理
- 管理画面のカスタマイズ
顧客情報の管理
Shopify APIでは、顧客データベースと連携ができ、顧客の購入履歴から連絡先までを一元管理できるようになります。さまざまな顧客情報を適切に管理できるため、ECサイトでキャンペーンを展開する際には、ターゲットニーズに合わせた施策を効果的に行えます。
また、顧客情報の属性を分析することで、よりパーソナライズされたマーケティング戦略につなげることも可能です。
たとえば、ECサイト上である商品を購入しているユーザーに向けて、関連商品に関する情報を発信することで、さらなる購買意欲の醸成を行うなどです。
有益な顧客情報を管理できるため、ECストアの展開やマーケティング戦略において重要な役割を担えます。
商品情報の連携と管理
Shopify APIを活用することで、ECサイトで取り扱っている商品情報の一元管理が行えます。商品情報は複数のECサイトを運営している場合でも一元管理が行え、在庫データのリアルタイム把握にも対応しています。
そのため、商品の在庫不足による機会損失を防ぎ、効果的なECサイト運営が可能です。
他にも売れ筋商品の分析に活用したり、在庫推移からの発注量の調整などにも活用できます。
購買に係る機会損失を防げるため、顧客満足度の向上にもつながります。さらに売れ筋商品を組み合わせてキャンペーンを展開するなど、ビジネスモデルの発展も期待できます。
管理画面のカスタマイズ
適切な在庫管理や発注管理が必要な管理画面を、自社独自にカスタマイズが可能です。独自カスタマイズに対応していることで、自社独自のワークフローを組み込むことや、顧客ごとに異なる同梱への対応などが行えるようになります。
管理画面は複数のECサイトを運営している場合でも一元管理ができ、オフライン店舗にも対応しています。カスタマイズによって管理者が操作しやすい管理画面になるため、管理業務の負担軽減に加え、業務効率化にもつながるでしょう。
他にも発送業務の自動化などの設定も行えるため、自社の管理用途にあわせた運用が行えます。
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Shopifyで利用する主なAPI
Shopifyで利用する主なAPIとしては、以下の5つが挙げられます。
API名 |
API概要 |
Admin API |
商品管理や在庫情報などShopifyストアで利用している情報の読み取りと書き込みを可能にするAPI。他アプリやサービスとShopifyを連携する際にも用いる。 |
Shopify Themes |
ShopifyストアのデザインをカスタマイズするAPI。 |
Storefront API |
商品情報や顧客情報、支払い情報などの読み書きを行い、他のECサイトでも利用できるようにするAPI。 |
Partner API |
ストアの代行事業を行っている企業や個人に対して、外部からクライアントの管理画面に入れるようにするAPI。 |
Marketing Activities API |
Shopifyの管理画面からマーケティング活動の管理ができるAPI。 |
それぞれのAPIの詳細については、以下から解説していきます。自社で運用できそうなAPIがあれば、積極的に利用してみてください。
Admin API
Admin APIは商品や在庫情報、注文や配送などの情報を一元管理できるようにする管理者向けのAPIです。
管理者向けであるため、多くのユーザーが利用しているAPIとしても知られています。
自社システムとの連携、他プラットフォームサービスとのデータ連携に対応していることに加え、Shopifyで活用する独自機能の追加にも対応可能です。独自機能を追加できるため、自社の運用にあわせた設定が行えます。
Admin APIは、「GraphQL」と呼ばれているWeb API規格に対応しており、データ処理速度の向上や安定したAPIの更新も可能です。
Shopify Themes
Shopify Themesとは、Shopifyで扱うストアデザインをカスタマイズするAPIです。
Shopify Themesには無料APIと有料APIがあり、扱う商品やジャンルにあわせて100種類以上のテンプレートから選択できます。そのためプログラミングに関する専門的な知識がなくても、おしゃれなサイトをデザインできます。
なお、ストアデザインはテンプレートではなく、HTMLやCSSを操作してカスタマイズすることも可能です。雰囲気に合うテンプレートがなければ、カスタマイズも検討すると良いでしょう。
Storefront API
Storefront APIは顧客情報から商品情報、顧客のカートに入っている商品の情報、支払い情報など、さまざまな情報を他のECサイトやアプリで取り扱えるようにするAPIです。
たとえばShopifyECサイトで販売している商品を、他のECサイトやスマートフォンアプリで販売したい場合、Storefront APIで商品情報を連携し、販売できるようになります。反対に他のECサイトで販売している商品を、Storefront APIで商品情報を連携し、ShopifyECサイトで販売することも可能です。
Storefront APIを活用することで、販売経路の拡大が簡単に行えるため、認知度向上や売上向上、新規顧客の獲得などが期待できます。
なお、Storefront APIにはAndroid、iOSの向けに開発ツールキッドであるSDK(Software Development Kit)が用意されているため、容易に利用できます。
Partner API
Partner APIは、Shopifyパートナー向けのAPIで、主にストア代行事業を行っている企業や個人向けのものです。Shopifyパートナーとは、ECサイトのオーナーに代わって実際にサイト運営を行う制度のことです。
Shopifyパートナー制度によって、ShopifyECサイトを運用している場合、Partner APIを活用することで、外部からECサイトの管理画面にアクセスできます。
また、複数のShopifyECサイトを運用している場合でも、一つの管理画面から情報を確認できます。それぞれのサイトの管理画面にアクセスすることがないため、管理業務の効率化が可能です。
複数のサイトを運用している場合でも、注文管理や在庫管理、売上集計などが容易に行えるようになるAPIになります。
Marketing Activities API
Marketing Activities APIは、マーケティング活動の管理ができるAPIです。
標準機能として搭載されており、広告プロモーションやSNS運用などを、Shopifyの管理画面から行えるようになります。
従来のマーケティング活動では、広告プロモーションやSNS運用を行っていても、別々のアプリの管理画面から確認するのが主流でした。そのため「適切な分析が行えていない」「管理が複雑化している」などの課題を抱えていました。
しかし、Shopifyの管理画面からマーケティング活動に係るすべての情報を確認できるようになっているため、マーケティング担当者の業務効率化にも貢献します。
ECサイトの運営や成長のためには、マーケティング活動は不可欠のため、効果検証がしやすくなるMarketing Activities APIを活用しているサイトは多くあります。
ShopifyでAPIを導入する3つのメリット
ShopifyではAPIを導入すると、以下の3つのメリットが得られます。
- オリジナリティのあるECサイトの構築
- 顧客の利便性が向上し、購買率の向上も可能
- バックエンド業務の効率化
オリジナリティのあるECサイトの構築
Shopifyはサイトデザインのテンプレートが豊富なことに加え、プログラミングスキルがあればHTMLやCSSを操作して自由にデザインを設定できます。
ユーザーの利便性を向上させるために購入ボタンの視認性を上げる、スマートフォンでも見やすい設定となるレスポンシブ対応にできるなど、自由に機能などを追加し、唯一無二のEXサイト構築が可能です。
多くのECサイトは、テンプレートを活用して簡単に構築ができます。しかし、オリジナリティを出すのが難しく、ブランド確立などに課題を抱えていることが少なくありません。
APIの活用や追加できる機能が豊富なShopifyであれば、さまざまなカスタマイズによって競合サイトとの差別化ができ、オリジナリティのあるECサイトの構築につながります。
顧客の利便性が向上し、購買率の向上も可能
ShopifyのAPIを活用することで、SNSとの連携やサイト内の購入までの動線がわかりやすくなるなど、顧客の利便性向上が期待できます。
ECサイトを立ち上げたとしても、直感的な操作ができなかったり、決済手段が限定されてしまっていると、ユーザーにとって満足度のいくサイトではなくなり、機会損失につながってしまいます。
たとえばShopifyのAPIには、決済手段が拡張できるものもあるため、対応する決済手段を増やすことでユーザーは購買意欲を損ねないことが可能です。
他にもSNSと連携ができるAPIを活用すれば、サイトに訪れなくても、該当のSNSから商品を購入する手法も行えます。
ユーザーが便利だと感じ、より魅力的なECサイトとして機能を揃えられれば、顧客満足度が向上し、購買率の向上にもつながります。
バックエンド業務の効率化
ECサイトを運営する際には、適切な管理を行い、効率的な運用をすることが求められます。Shopifyを活用することで、こうした管理者側のバックエンド業務の効率化も可能です。
たとえば発注業務の自動化です。顧客情報と商品情報、在庫情報を紐付けし、顧客から発注があった際には自動的に処理できる設定が行えます。
顧客からの発注処理を人の手で管理すると、発注数が増えれば増えるほど、対応する案件数が増えてしまい、見落としやスケジュールの遅延につながってしまうでしょう。
こうしたバックエンド業務を効率化させるために、さまざまなAPIが用意されています。ECサイトの規模感にあわせて運用することで、適切なECサイトの運営が可能です。
ShopifyでAPIを導入する際の5つの注意点
ShopifyでAPIを導入する際は、以下の5つの点に注意しながら進めることが大切です。
- APIでどのようなことをやりたいのかを明確にする
- プランによってAPIのレート制限がある
- 日本語対応が少ない
- セキュリティ対策が必須
- 一定のプログラミングスキルが必要
APIでどのようなことをやりたいのかを明確にする
豊富なAPIがある反面、目的を持たずに次々に連携してしまうと、効果的なECサイト運営にはつながりません。「どのような機能を活用して、どのようなことをやりたいのか」を明確にすることが大切です。
たとえば「SNSと連携して訴求効果を高めたい」のであれば、SMSと連携できるAPIを入れるなどです。Shopifyには有料アプリ、無料アプリを含めさまざまなアプリが公開されているため、ECサイトの運営方針に沿って、必要な機能を搭載しているAPIを選択していくようにしましょう。
プランによってAPIのレート制限がある
ShopifyでのAPI活用はプランによってレート制限が変わっていきます。レート制限とは、APIがユーザーからのアクセス回数に制限を設けることです。
APIもレート制限を行うことで、DoS攻撃やDDoS攻撃に対する脆弱性への対応やプラットフォームの安定性の維持につながります。
Shopifyのプランごとのレート制限は、以下の通りです。
API名 |
レート制限の方法 |
標準の制限 |
Shopify Plusの制限 |
Admin API(GraphQL) |
計算されたクエリコスト |
50ポイント/秒 |
100ポイント/秒 |
Admin API (REST) |
リクエストベースの制限 |
2リクエスト/秒 |
4リクエスト/秒 |
Storefront API |
時間ベースの制限 |
最低0.5秒/リクエスト、ユーザーIPあたり60秒 |
最低0.5秒/リクエスト、ユーザーIPあたり120秒 |
引用:レート制限について
通常の運営時にレート制限に引っかかってしまうことはほとんどないでしょう。しかし、ECサイトの規模が大きくなった場合や繁忙期に大容量のデータを一斉に扱う場合などには、留意しておく必要があります。
日本語対応が少ない
Shopifyには豊富なAPIがリリースされていますが、多くが英語のみの対応となっており、日本語対応が少ないことに注意が必要です。
英語対応が問題なければスムーズに運用が可能です。しかし日本語での対応が必要な場合は、翻訳機能や翻訳サイトを活用したり、対象のAPIを日本語訳した記事がないかを探したりする必要があります。
他にも英語対応が可能な従業員を採用するなど、自社の状況にあわせた運用が求められます。
セキュリティ対策が必須
APIは開発者によってセキュリティレベルが異なります。セキュリティレベルの低いAPIと連携してしまうと、脆弱性を突かれてしまい、情報漏洩などの重大なインシデントにつながってしまう恐れもあります。
たとえば顧客情報の流出です。一度でも顧客情報が流出してしまうと、サイト運営が難しくなってしまうのはもちろんのこと、社会的信用の失墜にもつながってしまいます。
こうした事態が発生しないように、連携するAPIのセキュリティ対策レベルを確認したり、プライバシーポリシーやトラブル発生時のサポート先などを確認しておくことが大切です。
また、自社においてもログ監視をするなど、不正を検知する体制を整えておくと良いでしょう。
一定のプログラミングスキルが必要
ShopifyでAPIを連携する際には、一定のプログラミングスキルが求められる場合があります。とくに自社開発でアプリを立ち上げる場合は、適切な連携ができないと、エラーやバグなどが発生してしまう可能性もあるため、プログラミングスキルをもった人材配置しておくことが大切です。
プログラミングスキルをもった人材が用意できない場合は、Shopifyの制作会社に依頼を検討するなどして、対応していきましょう。
まとめ
Shopify APIを上手に活用できれば、唯一無二のECサイトを構築することが可能です。
APIを連携する際には、ユーザーにとって使いやすいサイトになっているか、どのような機能があれば便利か、サイトデザインは商品とあっているかなどの視点から選択することが大切です。
Shopify APIでユーザーにとっても、運用する自社にとっても、満足度のあるサイトを構築してみてください。
STOCKCREWのAPI連携
STOCKCREWシステムではShopifyと既にAPI連携しているため、利用者の皆さんが構築必要はありません。API連携により、注文から発送まで完全に自動化することが可能になっています。
API連携が既に構築されているこのSTOCKCREWシステムは月額利用料ゼロ円・初期費用も発生しません。
まずはお問い合わせください!