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ネットショップおを開設したら知っておきたい『在庫とお金の関係性』

簡単かつ低料金でネットショップが開設できるようになった昨今、個人でネットショップを開設する方も多いのではないでしょうか?

いざネットショップを開設してみたければ、思いがけない出費や在庫過多などお金まわりで困ることもあるかと思います。今回はネットショップを開設したらまずは確認したい、在庫とお金についてポイントを紹介します。

 

 

COVID19とスタートアップの関係性

 

2020年といえば、新型コロナウイルス(以下、COVID19)の世界的大流行が発生しました。
ウィルス拡大の対策として世界各国でロックダウンの施策が実行され、日本国内でも2020年4~5月に緊急事態宣言が政府から発令され、外出自粛となりました。

人々の移動が制限された結果、日常的にオンラインで人々が交流する状態が加速した印象です。
そして世界的にデジタル化が遅れていた日本でも、ようやくデジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、可能な限りオンラインで物事を済ませようという流れになりました。

 

この変化が最も激しい業界は買い物、つまり、EC(Electronics Commerce)と呼ばれるオンラインの物販ビジネスでしょう。
CMでもお馴染み、無料ネットショップサービスを提供しているBASE株式会社の、2020年12月期第2四半期の決算資料がTwitterでにわかに話題に上がりました。
2020年4~6月のGMV(Gross Merchandise Value – 流通総額)が従来比+200%成長をしていた数字でもわかる通り、オフラインからオンラインへの移行によりネットショップの新規開設も増加しています。

 

ネットショップの開設は簡単にできたとしても、商品を仕入れ在庫し、販売そして売れた商品を発送することなど、実はあまりフォーカスされていない大切な部分があります。

お金の管理を誤ると簡単に事業を起こせても、すぐ倒産してしまう…なんていう最悪な事態になりかねません。

 

スタートアップ企業は毎年10万社以上設立されますが、そのほとんどが生存することができない現実があります。過去日経ビジネスで語られてた生存率は、設立から5年後が15%、10年後は6.3%、20年後は0.3%という統計もあります。

倒産はなぜ起こるかというと、お金が回らない=支払わなければならないものを支払えない、こうなると倒産となるのです。お金の管理がしっかりできればその分、企業の生存確率を上げられるのです。

 

 

 

在庫の考え方

 

物販事業を営むには、まず商品を仕入れる必要があります。そして仕入れた商品が“在庫”となります。

販売するためだけではなく、販売するために製造する商品も在庫に含まれます。そのためより正確な在庫の定義は、“将来販売したり、生産に使ったりするために備えて所有する商品”となります。

 

どの物販事業者も在庫を保有することになりますが、なぜ“保有する”しなければならないのでしょうか?

キーワードは時間軸(タイムラグ)です。
例えば、日用品を買いに近くのスーパーに行った際、お目当ての商品が品切れだった場合、他店舗に行きお目当ての商品を購入するということはありませんか。
ネットショップで買い物する場合、特にこうした行動は検索1つでできるため、簡単に他のネットショップへ移動してしまうでしょう。

まさにこれが在庫を持つ理由になるのです。つまり、在庫を持たないと“販売機会を逃す”ことになるのです。

 

すぐに取り寄せができれば、在庫を持たなくても問題無いと思うかもしれません。
しかし商品によっては、海外の製造工場から輸送し日本で通関を行い、日本の倉庫へ搬入し…と販売可能な状態になるまで相応の時間がかかってしまいます。

 

それでは、在庫をたくさんもてば問題無い!と思う方もいるかもしれません。
しかしそれ相応の数量の商品を在庫として保管する場合、まず商品を購入する費用が発生し、保管すれば倉庫へ保管料を支払う必要があります。

 

わかりやすい例として今年の“マスクの販売”を見ていきましょう。

 

日本でマスクの需要が高まったため、製造する時間から日本へ輸送する時間も加味し、多くの事業者は在庫を保有しました。

緊急事態宣言後は、マスクが高値で販売できたため、高い金額で買ってしまえと工場から通常より高い金額で購入した事業者もいたかもしれません。
しかし最近では、一時期よりも供給量が全体的に増加したため購入活動も値段も落ち着きました。

一方、高い金額で多くのマスクを購入した事業者は、商品を購入した金額より安売りはできないため、第3波・第4波を想定し在庫することになります。

 

外部に商品の保管を委託している場合、保管料やその商品を買うために借入をした場合は金利の支払い等…いわゆる在庫金利が発生します。
在庫金利は量に比例するため、販売して在庫を減らさない限りコストダウンができません。
こうしてお金だけが流出し、経営困難になり結果、事業をたたむ事例は少なくありません。

 

上記のマスクの例からもわかるように、在庫を保有することにより売り逃しはなくなり販売機会は増加します。

しかし、在庫を持つことによりコストが発生するため、適正な在庫量にとどめておくことが重要になります。

 

 

 

利益の考え方

 

販売してもなぜか自転車操業のお金周りが一向に改善しない、という事がないでしょうか。
この話をするには、利益とキャッシュフロー(お金の周り方)が別なものであることを知る必要があります。

利益について考えるとき、この話は少々難しい話になってしまいます。なぜならば、考え方が時代の変遷とともに変わるからである。

 

例えば前章では「在庫は多ければいいということではない」と断言しましたが、「そんなことはない!多く持つことが重要なのだ」という時代もありました。

 

これは、経済状況とその利益の考え方からくるものである。

在庫を持てば持つほどいいというのは、1960年代の高度成長期の日本で成り立つ考え方でした。
この時代は、供給能力より需要の方が多いときが続いていたからです。

 

つまり、この時代ではモノは作ればその分売れ、在庫は売上や利益を生むものと考えられ在庫を多くもつことが重要になりました。
一方、近年ではモノ余りの時代となり、不用意に在庫を持つと売上や利益を失う状況に変わっているのです。

 

更に少し小難しい話をすると、利益とは売上から費用を引いたものです。

 

売上 – 費用 = 利益

 

費用収益対応の原則というものがあり、在庫は買った時点では会計的に費用にはならず、資産になります。
それではいつ費用になるのでしょうか。その答えは販売時点で費用になります。

 

上記により、在庫を積み増しても利益に影響を与えることがなく、在庫を持つほど売上と利益の機会を逃さないので是とされていた時代もありました。

 

 

お金の回りの考え方

 

販売が増え利益も増えてきているのに、自転車操業的な資金繰り(お金まわり)が改善しないという悩みがある方もいるのではないでしょうか。

これは利益とキャッシュフローのタイムラグが原因です。

 

黒字倒産というものを聞いたことがあるかもしれません。この黒字倒産の本質が利益とキャッシュフローのタイムラグから生じるものなのです。

 

ビジネスの流れを簡単に記載すると、製造→仕入→販売→回収の4段階になります。
利益という概念は、製造~販売のエリアの話をしています。

一方、キャッシュフローという概念は、製造~回収というすべてのエリアの話をしています。

つまり、ネットショップで商品を販売した段階で利益は計上しますが、現金という意味では、購入者から現金を回収できない限り増えません。だから、利益が増えても資金繰りはすぐには改善しないのです。

 

また在庫は資産であり費用にはなりません。しかし商品を購入しているのでお金の支払は発生しています。
よって在庫は“カネ”として取扱えるのです。(在庫の本来の価値は販売されて初めて万人が認める本当の“お金”になるため、区別するためカタカナ記載のカネにしています。)

従って、在庫を持つほどお金が必要になるため、資金繰りが厳しい場合、在庫を現金化することにより、お金の流出は防げます。

 

 

現在の経済環境下では、スタートアップの起業が簡単にできるようになりましたが、モノの管理とお金の関係性のポイントをしっかり把握しないと事業継続が難しくなります。

今回紹介しましたモノの管理とお金の関係性のポイントをまとめると…

 

1.在庫を持つ意味をきちんと考え、

2.適正在庫がどのくらいなのか、

3.販売したものの利益がどうなっていて、

4.利益と手許現金のタイムラグがどのくらいなのか、

 

ネットショップを開設し物販をはじめたみなさんの、事業運営に少しでも役立つ情報になれば幸いです。

上記の4つのポイントは今後深堀してコラムで紹介していきます。是非今後のコラムもご覧ください!