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国際物流管理士とは?グローバル物流にかかせない資格

国際物流管理士とは?グローバル物流にかかせない資格

企業活動にあたって、日本国内ですべてが完結するパターンはすでに少なくなっているのではないでしょうか。海外から原材料を輸入したり、完成した商品を輸出したりといった流れ、つまりはグローバル物流は、企業の成長に必要不可欠と言えます。このときに役立つのが海外の物流についても精通しているエキスパート、国際物流管理士です。

目次

国際物流管理士とは?

国際物流管理士は、社団法人日本ロジスティクスシステム協会が授与する資格で、国際物流に関するマネジメント技術などを習得した上で得られる、世界で通用する資格です。

ちなみに、社団法人日本ロジスティクスシステム協会とは、日本全国区の物流会社や流通業、さらにはメーカーも含む総数およそ1000社が会員となっている、物流業界においては国内でもっとも権威がある団体です。

国際物流管理士を得るために必要なこと

まず必要となるのは、国際物流業務に従事して2年程度の経験です。このほかにも国際物流のスペシャリストを志向する人、国際物流に携わる中堅管理者や担当者であることも条件になります。

国際物流管理士は単にテストを受けるだけではなく、全9単元からなる講義を受講し、最終テストで合格する必要があります。この講義についてはおよそ3ヶ月ほどの期間を要します。

講義~最終テストを含め、費用は何パターンかあり、社団法人日本ロジスティクスシステム協会の会員であれば440,000円(税込)、非会員は550,000円(税込)が必要となります。なお、有資格者には優待制度があり、「物流技術管理士補」「物流技術管理士」「グリーンロジスティクス管理士」「物流現場改善士」のいずれかを取得していると、会員は385,000円(税込)、非会員は495,000円(税込)になります。

国際物流管理士の講義内容

国際物流管理士の講義は9単元から構成されており、これをおよそ3ヶ月、1単元は1~3日ほどで、全19日で開催されます。1日の講義時間はだいたい9時から17時までとなっています。

続いて、国際物流管理士の講義内容を、2022年9月から始まった第44期国際物流管理士資格認定講座のカリキュラムをもとに紹介します。

第1単元は「グローバルロジスティクスのアウトラインを捉える」という内容で、国際物流から、ロジスティクス、サプライチェーンへの展開を学んで次単元以降の講義を理解する基盤を作ります。講義だけではなく、グループ討議もあり、実践的な課題解決への考え方を学べるほか、受講者間の交流づくりも行えます。

第2単元は「輸出入業務の流れと貿易実務に必要な知識を学ぶ」という内容で、国際物流の業務に携わるうえで必要不可欠な、輸出入業務に関わる通関 、条約、インコタームズ、決済 、外国為替 、国際ファイナンス等の事項を、貿易取引のデジタル化(Fintech)等の最新動向を盛り込みながら解説します。

第3単元は「国際物流の根幹を成す海上輸送を理解する」という内容で、全世界における貿易の約9割(重量基準)を占める海上貨物輸送の概論から、輸送技術、おもなプレイヤーの役割、フォワーダーのデジタル化事例を解説します。

第4単元は「航空輸送の仕組みとポイントを理解する」という内容で、商品ライフサイクルの短縮化やグローバルにおける在庫の最小化への対応を進める上で不可欠な航空貨物輸送について解説します。内容としては、航空産業、航空貨物輸送市場の概要、最新動向、航空輸送の仕組みとそのポイントとなっています。

第5単元は「グローバルサプライチェーンの可視化と最適化の手法を学ぶ」という内容で、在庫管理や SCM、3PLといった、物流 ・ロジスティクスの高度化を考えるうえで重要なテーマを、理論・実例の両面から解説します。ここでもグループ討議や発表の機会が設けられ、情報収集やその整理の仕方、グループでの企画・提案力を身に着けられるようになっています。

第5単元と第6単元の間には、現地見学会として、羽田空港などの国際的な物流施設を見学(第44期はオンライン見学)し、輸送機関の特徴や、国際物流における現場、オペレーションに関する理解を深めます。

第6単元は「国際物流のリスクを理解し、対処する方策を学ぶ」という内容で、国際物流におけるリスクの概要と、その中でもとくに重視される貨物事故防止対策、並びに貿易貨物保険とクレーム手続のポイントについて解説します。

第7単元は「海外の最新物流環境を学ぶ」という内容で、物流コストを削減しつつ、高品質な国際物流を構築するために欠かせない海外の物流状況である、各地域における物流インフラ、通関等の物流事情について、最新事情を盛り込みながら解説します。

第8単元は「グローバル企業が直面した課題と解決方法を学ぶ」という内容で、経済成長が著しい中国や東南アジア等の新興国で重要が高まっている、物流拠点の構築 ・マネジメントの構築を進めるうえでのポイントについて解説します。このほか、駐在経験者による座談会も用意されています。

最後の第9単元は「あるべき姿に到達するための実践力を身につける」という内容で、グローバルな事業展開を行っている企業のロジスティクス改革をテーマに据えたケーススタディにグループで取り組みます。また、サプライチェーンマップ分析や在庫分析など、SCM の視点に立った課題抽出方策や改革・改善技法も学びます。

 

国際物流管理士の修了・合格基準

国際物流管理士を取得するためにはまず講義を修了する必要があります。そのための基準は以下のとおりです。なお、欠席は減点対象になるのでご注意ください。

  1. 各講義に14日以上出席する
  2. 該当する単元で出題されるレポート試験を全て受験している
  3. 客観試験を受験している
  4. 第9単元「あるべき姿に到達するための実践力を身につける」に2日間出席する

そして合格基準は以下のとおりです。

  1. 全5回のレポート試験:各100点満点中70点以上獲得
  2. 客観試験(1回):各100点満点中70点以上獲得
  3. 欠席減点:1日欠席で1点減点、半日欠席で0.5点減点
  4. 総合平均点{(レポート試験+客観試験)÷6}-欠席減点:100点満点中70点以上獲得

国際物流管理士取得後のメリット

国際物流管理士の取得は、個人、企業どちらにもメリットがあります。個人であれば、国際物流業界の最新ノウハウのほか、グループ討議といったほかの参加者とのコミュニケーションを取る機会も多いため、新たな人脈形成を獲得できます。そして、国際物流管理士は産業界からも高評価を得ているという一面もあるので、有利な転職を期待できます。今後はさらに国際物流はさかんになると考えられるため、将来性が高いというのもメリットとして挙げられます。

企業側のメリットとしては、参加者が得た最新のノウハウをフィードバックしてもらうことによって業務にそのノウハウを反映できるようになります。さらには物流の最適化を行う際にフォワーダーとの交渉も国際物流管理士が社内にいることで、より自社に合った物流の最適化を行えるようになります。

海外輸入と物流に関しては「商品を海外から輸入するときに知っておきたい貿易知識=インコタームズ」でより詳細を紹介しています。

まとめ

グローバル化は当然のごとく物流業界においても推し進められており、それに伴って専門的な知識も必要不可欠になります。そうした知識を補完するのが国際物流管理士です。

資格取得までには講義料・時間ともに多大なコストが必要になりますが、海外まで含めた企業の物流を最適化するのであれば、国際物流管理士の資格はおおいに役立つでしょう。

STOCKCREWでは海外への発送の経験も豊富にあります。業務によっては国際物流の一端を担うことになります。国際物流についてはもちろん、海外への発送業務など気になる点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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