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物流倉庫の建設ラッシュが止まらない!経緯や背景を解説

物流倉庫の建設ラッシュが止まらない!経緯や背景を解説

近年、物流倉庫の建設ラッシュが止まりません。しかも施主は倉庫事業者のみならず、国内外のファンドが建設のうえ賃貸するケースも増えています。そして最新型の物流倉庫のつくりは、従来のイメージとは様変わりしている点も見逃せません。その背景には一体何があるのでしょうか。今回は、物流倉庫の建設ラッシュの経緯や今後の見通し、さらに建設ラッシュが起きている3つの理由について解説します。

目次

 

物流倉庫は建設ラッシュが続いてきた

物流倉庫の過去を紐解くと、1990年代後半までは単に保管することを目的とした文字通りの「倉庫」がほとんどでした。ところが2000年に近づくと、在庫保管のみならず流通加工や梱包、出荷といった配送ニーズに応える高機能設備を有する物流センターが倉庫業者を中心に建設されるようになります。時を同じくして、Amazonが日本に上陸したり、楽天市場が開設されたりして個人の物流需要が増え始めました。

しかしこの時期は、インターネットの使用はパソコンが主流のWeb1.0世代で、建設ラッシュというには程遠い状況でした。ところが2010年を過ぎた頃から様相は大きく変化し始めます。

2008年にiPhoneが開発されると、モバイル市場はわずか数年のうちに携帯電話からスマートフォンに大きく入れ替わります。これにともない、インターネットの利用方法も企業から発信される情報を一方的に閲覧するスタイルから、サイトやアプリ、SNSを使って個人と企業、あるいは個人同士で双方向のやり取りをするWeb2.0世代に移行します。と同時にEC需要が急激に増加。経済産業省の調査では、2013年に11兆1,660億円だったBtoC-EC市場が、2017年には17兆9,845億円、2020年には20兆6,950億円と、わずか7年間で1.9倍近くの市場規模に拡大しました。さらに国土交通省の統計では、宅配便の取扱件数も2013年に約34億個だったものが、2020年には48億3,600万個と同7年間で42%近くの伸びを示しています。

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これだけ急増する物流需要に対応しようと思えば、物流倉庫を急ピッチで建設しなければ到底追いつかないことは、想像に難くないでしょう。現に国土交通省の調査では、2013年に4,000億円弱だった倉庫・物流施設建設工事受注額が、2019年には1兆円に迫る勢いにまで急増、100%超の伸び率をマークしています。ちなみに近年では、主に倉庫業者が建設するより、3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)が運営する賃貸型の超ハイテク機能を有する大規模なタイプの物流倉庫が増える傾向にあります。3PLとは、物流業務の効率化と競争力アップのために戦略を立案したり、物流代行業者を紹介あるいは自ら代行したりする専門業者のことです。

この賃貸型物流倉庫は、マルチ型とBTS型の大きく2種類に分けられます。


マルチ型は、巨大倉庫内に複数の物流業者をテナントとして誘致し、さまざまなレイアウトで多彩な物流機能が提供できるタイプのことです。

一方BTS型は、特定の物流業者のニーズに合わせてカスタマイズしたうえで賃貸するタイプを指します。

いずれにしろ、物流倉庫はかつてと比べると明らかに巨大化、ハイテク化していることは間違いありません。さらに特筆すべき特徴として、これらの最新式物流倉庫には、コンビニやカフェテラスにはじまり多目的ホールや育児スペース、化粧室、フィットネススペースまで完備されているケースが多い点が挙げられます。実はこれには、物流業界全体で深刻化する人手不足解消のためという重要な目的も多分に含まれています。「キツイ」「汚い」「危険」という昔ながらの3Kイメージを払拭し、さまざまな工程が自動化されクリーンで働きやすい、という働き方改革が確実に進んでいることを懸命にアピールする姿勢が窺えるのです。

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今後も建設ラッシュは続く

不動産サービス大手のCBREが2022年に行ったアンケート調査よると、「今後3年間で倉庫の総面積を拡大する」と答えたテナント企業が75%を占めました。しかもその41%が「10%以上拡大する」と回答しているのです。

また、同アンケートでは物流企業のうちの82%が倉庫の総面積を拡大すると答えたデータもあります。さらにその方法として、「募集に出ている既存物件の賃借・今後の開発物件に賃借(マルチ型)」と答えた物流企業が59%にのぼっています。この状況を勘案すると、2023年以降も物流倉庫の建設ラッシュはしばらく継続すると見てよいでしょう。

さらにそれを裏付けるデータを紹介しましょう。CBREの発表では、2022年7〜9月の首都圏(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県を中心とする地域)における大型物流施設の平均賃料が1坪あたり4,550円で、前期4〜6月から30円上昇しています。とりわけ東京湾岸エリアにおいては同7,550円と圧倒的高さをマークしながらなお上昇傾向にあります。つまり物流倉庫に対する需要はなお高まっている状況といえるのです。しかも2023年には、さらに首都圏だけで300万平方メートルもの新規供給面積が予定されています(日本経済新聞2022年11月9日朝刊)。その9割以上は、国道16号線や圏央道付近といったエリアに集中していることから、地代が安くて好立地な郊外に物流倉庫が新設され続けていく傾向が強いともいえるでしょう。

 

建設ラッシュの理由1 巣ごもり需要による追い風

建設ラッシュに拍車をかけている大きな要因として、新型コロナウィルス流行による巣ごもり需要が挙げられます。突然のステイホームを強いられたため、従来のように実店舗での買い物が難しくなりました。しかも予想に反して長期化したため、日用品のみならず、家電や家具、たまにしか買わない季節商品にまでEC需要が急激に広がっていきます。

総務省の統計では、1人あたりのネットショップ支出額が、2020年3月に比べて2021年3月の方が約40%近く増加しています。2人以上世帯のネットショップ利用割合も同時期比較で約9%弱増加し、52.5%と半数を超えました。

経済産業省の調査では、2021年のEC物流におけるBtoC市場は、20兆6,950億円です。2013年の11兆1,660億円と比較すると2021年度は約1.88倍にも拡大している計算になります。そして2022年には宅配便だけでも50億個に迫る勢いで、なお増加の様相を呈しています。これら顕著なネットショップ依存の高まりが、物流倉庫の建設ラッシュの大きな要因となっているのです。

 

建設ラッシュの理由2 投資対象になっている

近年、物流倉庫は、REIT(不動産投資信託)という形で国内の投資家から非常に注目されています。REITは、投資家から資金を集めて物流倉庫を建設したり買い取ったりして得た賃料収入や売却益を投資家に分配する不動産に特化した投資商品です。

アイビー総研の調べでは、2011年の段階ではJ-REIT(日本のREIT)の保有する物流倉庫の全物件に占める割合がわずか3%でした。ところが2021年には19%にまで急拡大、額にして3兆9,476億円と2011年比で約18倍にまで高騰します。これらのことから、物流倉庫が国内外のファンドから有望な投資対象として評価を受けていることも、建設ラッシュを下支えしているといえるでしょう。

 

建設ラッシュの理由3 老朽化施設の建て直しが増加

国土交通省の調査によると、東京都内だけでも、築40年を超えている物流倉庫が全体の3割弱、築30年超は5割を超えている状況にあります。多くの施設において老朽化が進んでおり、建て直しを迫られている現状にあるのです。物流倉庫は他の施設に比べて大規模なため、事故が起きると大災害につながりかねません。とくに多発する自然災害は要注意です。また設備も古いため現在の物流需要に対応でき難くなっている点も見逃せません。

これらの理由からさまざまなデベロッパーやファンドが物件を買い取るなどして建て直す動きも出てきています。これも建設ラッシュを後押しする要因になっているとみてよいでしょう。

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まとめ

EC市場の拡大にともなって物流倉庫の建設ラッシュが続いています。しかもネットショップ依存は今後も拡大していく可能性が高いため、さらに建設ラッシュも継続すると見て間違いないでしょう。ただその裏には人手不足の問題が色濃くついて回るので、その対策を一体化した開発が求められます。

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