ネットショップ経営において物流コストを安く抑えることは、利益を確保するうえで非常に重要です。よって物流倉庫に業務委託する場合は、事前に予算を見積もっておく必要があるでしょう。今回は、物流倉庫の料金相場について解説します。委託項目ごとの平均金額や物流倉庫を選択する際のポイントも紹介するので参考にしてください。
目次
物流倉庫の料金体系
物流倉庫の料金体系は、毎月必ず請求がある「固定費」と、委託する業務量や内容によって料金が変わる「変動費」の合計で算出されるのが一般的です。
代表的な固定費として以下の3つの料金があります。
- 倉庫保管料
- システム手数料
- 業務管理料
代表的な変動費は、以下の6つの料金が挙げられます。
- 入庫料
- 検品料
- ピッキング料
- 流通加工・梱包料
- デバンニング料
- その他オプション料
物流倉庫の料金は、首都圏を中心として都心に行くほど高くなり、郊外や地方になるほど安くなる傾向が強いです。その差は多くて2倍近くになることもあるので、委託先は慎重に選択しなければ先で大きく損をする可能性があるでしょう。
ただ物流倉庫にかかるコストがいくら安くても、配送料金が高くなれば想定以上にトータルコストがかさみます。配送料を自社負担しない場合でも、顧客の負担が増すので客離れの要因になりかねません。顧客が一定地域に限定されている傾向が強ければ、そのエリアに近い物流倉庫の方が配送料が安くなるため有利です。一方、顧客エリアが全国区であれば、甲信越など本州の中心地域が狙い目といえるでしょう。つまり予算面だけで考えると、物流倉庫のコストと配送料の合算で検討することが、最適解を導く方法のひとつになると理解してください。
固定費の料金相場
それではここから各項目ごとの毎月かかる料金相場について解説しましょう。まず固定費からです。
倉庫保管料
1坪(3.3平方メートル)あたり3,000~7,000円/月が相場です。
文字通り荷物を保管するスペースに対する料金で、坪単位以外にもラックやパレット単位で計算される場合もあります。よって委託する荷物の数量や大きさによって金額にも大きな開きが生じるでしょう。
システム手数料
20,000~50,000円/月が相場です。
物流倉庫では、入庫から棚入れ、在庫保管、ピッキング、梱包、出荷といったプロセスをWMS(倉庫管理システム)を使って管理するのが一般的です。WMSを利用すると、どの商品がどこでどのような状態にあるかを常時デジタル管理のうえ関係者全員で共有できるので、物流業務のクオリティが格段にアップします。そのシステムにかかる費用にあたります。
業務管理料
10,000~50,000円/月が相場です。
物流倉庫は単に荷物を預かるだけの場所ではありません。温度や湿度の管理、落下や破損防止、防カビ、防虫、そしてセキュリティにいたるまで、荷物の危険と劣化を回避することが最大の使命の一つといってよいでしょう。本来なら荷主自らが行うべきところですが、その責務を代行するためのコストが業務管理料です。
変動費の料金相場
続いて変動費の料金相場を紹介します。
入庫料
1個につき10~100円。
荷主から届いた荷物を荷降ろしして、指定された在庫棚に格納する作業にかかる手数料です。フォークリフトなどのマテハン機器を使うのが一般的で、その維持管理や操作者の人件費、棚入れするロケーションを決める手数料などになります。
検品料
1個10~100円。
入荷後の荷物を検品する際の手数料です。数量や品番、ロットに誤りがないかを確認します。さらに動作確認が必要な場合は、料金が高くなります。
ピッキング料
1個10~30円。
出荷指示にしたがって商品を仕分け、ピッキングし、流通加工や梱包スペースまで運ぶのにかかる手数料です。人ではなく、AIなどのロボティクスを使った自動ピッキングや自動ソーターなども普及しています。
流通加工・梱包料
1個100~300円。
家具や家電の組み立て、食品加工、ギフトラッピング、お中元・お歳暮の包装、アソートといった流通加工は、作業工程の複雑なものほど高くなります。
また梱包料は、段ボールに商品を詰めたり、商品のサイズや形状に合わせて緩衝材を入れたりしてガムテープで蓋をするとか、送り状を貼付するといった梱包作業の手数料です。
デバンニング料
20,000~35,000円。
コンテナから荷物を降ろす際の手数料です。荷崩れがないか確認し、あった場合はその処理をするのにかかる費用も含まれます。
その他オプション料金
とくにネットショップの場合は、扱う商品が少量多品種化している傾向が強いため、委託内容が多彩化、複雑化することもあるでしょう。また独自のキャンペーンや特典により、チラシやカタログ、プレゼントの同梱が増えるケースも考えられます。それらの追加業務や商品管理のためのバーコード貼付といった作業を委託する場合は、別途オプション料が必要になることがあります。
逆に、委託する数量によって一部の手数料が割引かれることも多いです。運送会社とも法人契約すると数量に応じて配送料が安くなるケースがあるので、ぜひチェックしてください。
物流倉庫を選ぶ際のポイントは?
これまでに紹介した固定費や変動費、それらと送料の兼ね合い、つまり料金的な部分が物流倉庫選びのウエイトとしては大きくなるでしょうが、それだけでは不十分。料金だけで選んでしまうと、のちのち面倒なことになりかねません。一度預けた商品をまた別の物流倉庫に移管するのは、時間・コストともに大きくかかってしまいます。始めから安定した運用をするために、物流倉庫選定のポイントをまとめましたので、こちらもしっかりとチェックすることをおすすめします。
選ぶ際のポイント1:料金とサービス内容
まず物流倉庫を選ぶうえで料金を比較するのは必須です。ただし、単に高いか安いかだけでなく、自社が必要としているサービスがあるか、それがどの範囲まで網羅されているかという細かな点まで確認し、トータルでの費用対効果を検証する必要があるでしょう。
選ぶ際のポイント2:API連携があるかどうか
とくにネットショップの場合、楽天やShopify、BASEといったECサービスとのAPI連携が可能かどうかも大切です。API連携ができれば、いちいち自社を通さずともユーザーからの注文データがダイレクトに物流倉庫へ送信されます。すると迅速な出荷対応ができると同時に、余分な手間が大幅に省けるでしょう。
選ぶ際のポイント3:過去の実績
ネットショップで扱う商品の種類は実にさまざまです。物流倉庫によっては対応が可能な場合とそうでないケースがあるので、同等品を扱った実績があるかどうかを確認することも忘れてはなりません。
選ぶ際のポイント4:現場の様子
ユーザーに向けた商品の送り手は、ネットショップオーナーではなく物流倉庫の作業員になります。そのため、必ず現場を見学して商品の扱いや作業員の働く姿勢、倉庫内の雰囲気などをチェックするようにしてください。整理整頓がなされていないとか、荷物の扱いが雑な場合は契約を見送る方が無難でしょう。
選ぶ際のポイント5:いつでも連絡可能か
ネットショップ経営では、24時間・365日いつでも対応できるのが理想です。ユーザーもそこに価値を見出していたり期待していたりする面が強いといってよいでしょう。そのため不測の事態があれば、いつでも連絡可能でサポートが受けられるかどうかも重要なポイントとなります。
選ぶ際のポイント6:急な需要増にも対応可能か
ネットショップでは、季節商品やキャンペーン商品などの場合、時期によって需要量が急激に増加することが珍しくありません。しかし、その際に在庫スペースが足りなくなったり、出荷作業が追いつかなくなったりすると、ユーザーに多大な損失を与えてしまいます。自社にとっても売れたはずのものが売れない機会損失を招きかねません。一度でもそのような事態が発生すると、ユーザー離れを起こし、信用を失う要因にもなるでしょう。よって、年末やクリスマスシーズン、入学・進級・入社シーズン、ゴールデンウィークといった繁忙期の対応ぶりについて詳しく確認しておくようにしましょう。
まとめ
物流倉庫を選択する際には、料金のみならず配送料も考慮しておくことが大切です。それ以外にもサービスの詳細、過去の実績、倉庫の雰囲気や企業理念などをしっかりと確認したうえで、慎重に契約するようにしてください。
なお、STOCKCREWではわかりやすい料金体系やAPIへの対応、豊富な過去の実績など、大手企業から個人のショップオーナー様まで、400社超の実績を賜っています。物流倉庫に預けようかお悩みなら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。