今回は物流の中でも特に分かりづらい保管について説明します。保管とはモノの価値を保全する機能と定義できますが、実際の保管業務はかなり理解するのが難しい点があります。物流を委託する、発送代行を利用する、という時に避けては通れない項目ですので、しっかりと理解を深めておきましょう。
目次
倉庫の保管料が「なぜ」分かりづらいのか?
冒頭で「分かりづらい」と当たり前のように説明を始めましたが、物流費のなかで保管料は圧倒的に分かりづらい費用です。その理由は2つあります。
- 「商品」ではなく、「スペース」に対して発生する費用だから
- 保管料の単位が「坪」や「パレット」など普段使わない単位だから
商品ではなくスペースに対して発生すると、なぜ分かりづらいかと言うと、商品を預ける荷主は、当然自分の商品のサイズや量感は分かっています。ただ、その商品がどのように保管されるか、ということについては分かりません。
一方で物流会社側も、出荷の頻度や商品の形状、規模などによって、保管の仕方の「正解」を答えるのは難しかったりします。
同じ商品で同じ量を保管するにしても、出荷がほとんどない場合と出荷頻度の高い商品では保管方法が異なります。出荷がほとんどない場合、商品を段に詰めて保管効率を上げるため「つめぐら」のようなぎっちりとした保管の仕方になります。一方、出荷の頻度が高ければ、なるべく作業のしやすいように、フォークリフトなど機器の操作が無い状態で作業ができるように手の届く場所を使い、結果広々と倉庫を使うことになります。
また、物流業がとても古い産業だということがこの分かりづらさを増す原因になっています。それが分かりづらい理由の二つ目である「単位」問題です。
物流倉庫の保管単位で最も多く使われる単位が「坪」です。
現実に多くの物流倉庫は「坪」単位で取引がされていますし、物流業界に入ると「3000坪の倉庫」と聞くと「あぁ、だいたいサッカーコートくらいだなぁ」と条件反射でわかるようになってしまいます。なので、次のことは保管料を検討する際に避けては通れないことなので、しっかりと覚えてください。
1坪 = 3.3㎡
初めから㎡で言ってくれれば誰も苦労しないのですが、これは商習慣なので慣れてもらうしかありません。ただでさえ、保管の仕方の正解が分かりづらいのに、さらに単位まで分かりづらいというのが荷主の目線で保管料が物流費のなかで圧倒的に分かりづらい理由になっているわけです。
倉庫保管料の4つの体系
保管料が分かりづらい理由として①適正な保管の仕方がわかりづらい、②保管料の単位が分かりづらいという話をしましたが実は「坪」単位の他にも更に分かりづらい料金体系があるので、紹介します。
- どんな商品にも対応できる坪建て
- 商品サイズがすべて一緒なら個建て
- 1回に出荷する量が多いときはパレット建て
- トン級の重い商品を取り扱うなら重量建て
今回は4つに代表される保管料の体系と、3つの計算方法についてご案内します。お手元に見積がありましたら是非見比べながら確認してください!
坪建て
最も業界的にも多い契約形態として、1坪あたりの坪建て保管料が挙げられます。入庫する商品が小物から家具まで取り扱っているなど、多種多様な形の商品を一緒に保管する場合、この料金体系で契約することが多いです。
1坪の大きさですが、3.3平米(㎡)、約たたみ2畳分になります。
坪建て保管料の契約形態は、予め使用する坪数が固定化される固定坪契約や、使用している坪数を請求する使用坪契約が存在します。
個建て
商品の大きさが均一の場合、よく使われる保管料の計算単位です。この場合、商品1個あたりの単価を設定し、入庫した個数を合算して保管料金を算出します。ネットショップを開設して間もないスタートアップの場合、商品の在庫数量や種類が少ないときは個建て保管料の計算方法が、保管料のコストダウンに適していることがあります。
STOCKCREWはこの個建て保管料金体系を更に発展させ、商品の三辺サイズを基に算出した体積 x 個数 x 保管日数で算出する形式をとっております。
STOCKCREWの保管料金についてはこちらの料金一覧もご参照ください。
パレット建て
パレットは商品を輸送、保管するときに使用する板状の物流機器です。
このパレットに商品を載せ、パレット単位で荷動きする商品の場合、適用される料金体系となります。
重量建て
商品の大きさに関係なく、重量で算出する料金体系です。容積よりも重量が大きい貨物(液体物や穀物など)の場合、この料金体系で契約する場合がございます。
このように商品特性により、保管料を計算する単位も異なります。商品の特性に応じた保管料の計算単位をしっかり把握することが重要になります。
倉庫の保管料 3つの計算方法
保管料金の計算単位が決まると、次に1か月の保管料を算出する計算方法を確認する必要があります。
大きく分けて3つの計算方法があります。
- 1ヶ月を3つの期間に分ける 3期制
- 1か月間固定 1ヶ月単位
- 1か月間毎日計算 日割り計算
倉庫保管料:3期制とは?
保管料の計算方法では代表的な計算方法です。1ヶ月間を1期(1日~10日)、2期(11日~20日)、3期(21日~末日)に分けてそれぞれの期で計算し、合算して1か月分の保管料を算出します。
各社計算方法は異なりますが、一般的な計算方法をご紹介します。
1か月の保管料=(1期末保管在庫数+2期末保管在庫数+3期末保管在庫数+当月入荷総数) x 保管料単価
3期制のメリットとて挙げられるのは、倉庫内の在庫量に応じた支払いが可能な点です。1ヶ月間を3つの期間に分けることで、それぞれの時期に実際の動きがあった物量に応じた料金を支払えばよい、つまり倉庫内の在庫の変動に合わせた支払いができることになります。
しかし、倉庫内の荷動きが活発だと3期制はデメリットになりうることもあります。倉庫に預けている荷物が頻繁に入出庫がされると、実際の在庫数・在庫量よりも料金が高くなる可能性があります。
倉庫保管料:1ヶ月単位とは?
1か月単位では、保管料の計算単位で説明した坪建て保管料の固定坪契約があります。
その他にも1期制と呼ばれる計算方法があります。
1か月の保管料= 前月末在庫数+ 当月入荷総数 x 保管料単価
保管料の一期制のメリットとして、以下のようなことが挙げられます。
- 保管料を一括で支払うため、月々の負担が軽減されます。
- 総額で見ると、長期にわたる保管料の支払いよりも、一期制の方が安くなる場合があります。
- 保管料を一括で支払うことで、保管料の支払い忘れや遅れの心配がなくなります。
- 保管料を一期制で支払うことで、資金の管理がしやすくなります。
倉庫保管料:日割り計算とは?
1日単位で保管数量x単価で計算する方法です。この計算方法が最も日々の入出荷量を反映し、実態にあわせた保管料の算出が可能です。
STOCKCREWの保管料も日割り計算を適用しています。
保管料の日割り計算のメリットとして、以下のようなことが挙げられます。
- 使用期間に応じて保管料が計算されるため、使用期間が短い場合は保管料も少なくなります。
- 日割り計算では、保管料の使用期間を短くすることで費用を節約することができます。
- 日割り計算では、使用期間に応じて保管料を調整することができるため、使用期間によって保管料を変えることができます。
- 日割り計算をすることで、保管料を最適に調整することができます。
保管料の計算方法は、商品の入出荷の特性によってどの方法を採用するか大きく異なります。
毎日ある程度の出荷量がある場合、その分保管料が減額される日割り計算が適していて、1か月間全く動かない在庫を保管する場合は1ヶ月単位の計算にして適用単価を交渉することができます。
まとめ
保管料の計算単位・計算方法の基本の考え方について紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
保管料は他にも、最低契約坪数や契約期間の縛りなど制約が発生することが多々あります。物流の料金体系は単位・計算方法や機能を知ればより身近なものになるかと思います。例えば、みなさんが賃貸物件に住んでいる場合、賃料は場所や大きさによって異なりますよね。倉庫も立地・サイズ・倉庫スペック(温度管理可否など)が価格に大きく関わります。
STOCKCREWの保管料の算出方法はとてもシンプルなものになっています。倉庫での保管、発送業務の外注、発送代行をお考えでしたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。