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宅配クライシスとは?~EC物流の課題と解決~

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「宅配クライシス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?2017年頃にヤマト運輸のドライバーへの未払残業問題を契機に日本中で一躍注目を集めた言葉です。

 

宅配クライシスとはEC市場の急成長によりラストワンマイルが混乱し、ドライバーの過剰労働や人員不足により現状のサービス品質が維持できなくなることです。

 

ここでは宅配クライシスと今後の課題、解決策、更には今後の展望について解説していきます。

 

宅配クライシスはなぜ起きるのか?

まず、はじめに宅配クライシスはなぜ起きたのか?起きるのか?ということを説明していきます。

 

宅配クライシスの本質的な発生原因は、一言でいうと、EC市場の急成長です。

 

そして、このEC市場の急成長が従来の物流業界に与えた影響が物流クライシスを招いています。

  1. 配達個数の激増:純粋な需要過多
  2. 消費者対応の増加:再配達等の配達員の対応範囲の増加

 

配達個数の激増:純粋な需要過多

配達個数の激増と宅配クライシスは密接に関係しております。

2005年時点で30億個だった宅配貨物が2020年には40億個を突破し2025年にはほぼ確実に50億個を突破すると言われております。

ブログ記事用-Jun-07-2022-05-07-23-93-AM

 

2021年(令和3年)の国土交通省の報告では以下のように指摘されています。


〇令和2年度の宅配便取扱個数は、48億3647万個で、前年度と比較して5億1298万個・約11.9%の増加となった。

〇令和2年度のメール便取扱冊数は、42億3870万冊で、前年度と比較して4億6322万冊・約9.9%の減少となった。

宅配便について
令和2年度の宅配便取扱個数は、48億3647万個であった(うちトラック運送は、47億8494万個、航空等利用運送は5153万個)。これを前年度と単純比較すると、5億1298万個・対前年度比11.9%の増加となる。便名ごとのシェアをみると、トラック運送については、上位5便で全体の約99.8%を占めており、さらに、「宅急便」、「飛脚宅配便」及び「ゆうパック」の上位3便で約94.8%を占めている。また、航空等利用運送については、「飛脚航空便」、「宅急便タイムサービス等」、「フクツー航空便」及び「スーパーペリカン便」の4便で全体の約35.0%を占めている。

細かい数字は資料によって異なりますが、30億個だった国内宅配貨物がこの15年間で150%増の45億個程度には少なくともなっているということが分かります。こうした需要過多の状態はある程度は見通すことはできましたが、物流業界の設備投資は1~2年で投資できるものではありません。それも全国全体への設備再編となれば数年~数十年のプロジェクトになり、また、下のような要因が複雑に絡み合って物流業界はわかっていながら宅配クライシスに直面することになりました。

  1. 宅配クライシスの到来に設備投資が間に合わなかった。
  2. 一部プラットフォーマーの市場寡占化が進み、売上増を利益増に繋げることができなかった。

その結果として収益性を高めることができないまま、設備投資も間に合わず、現場の人員に過剰に負担をかけることになり、「残業問題」という名前で危機が認識されることになりました。

※因みに、送料無料問題が宅配クライシスの原因のように説明されることがありますが、配送会社が無料で配送をしているわけではなく、事業者側が負担している構造なので間接的には関係がありますが、直接的な原因として説明されることには少し違和感があります。

ブログ記事用-Jun-06-2022-01-02-01-74-PM

 

消費者対応の増加:再配達等の配達員の対応範囲の増加

次にEC物流の性質が宅配クライシスにつながった事例を見てみましょう。EC物流はそれ以外の物流と違って物流機能が最後の顧客接点になり、物流側が顧客対応の一部を代行することになります。その結果、現場のドライバーへ次のようの負担が増加することになります。

  1. 再配達問題による業務量の増加
  2. 代引き・返品対応等の追加業務の増加
  3. 商品クレーム等のサービス以外の対応の増加

再配達問題による業務量の増加

ECの利用者は今ではごくごく一般的になりましたが、ECが急成長する当初では平日の日中に学校やオフィスに出て家を不在にしている若者世代を中心に成長しました。市場を牽引した層が配達というものと相性の悪い層だったこともあり、再配達問題は急増し社会問題になりました。

国土交通省の報告によれば再配達率は2019年には15%あり7件配達すると1件は再配達になるとい状態でした。2020年以降はこれは11~12%に微減しておりますが、大きな要因としてコロナによるリモートワークの普及が背景にあり、2022年以降にどのように推移するかは不明確です。

国土交通省では、トラックドライバーの人手不足が深刻化する中、再配達の削減を図るため、宅配ボックスや置き配をはじめ多様な方法による受取を推進しており、これらの成果を継続的に把握すること等を目的として、宅配便の再配達率のサンプル調査を年2回(4月・10月)実施しています。
 令和3年10月の宅配便再配達率は約11.9%で、前年同月(約11.4%)と比べて約0.5%ポイント増、本年4月(約11.2%)と比べて約0.7%ポイント増となりました。これは本年9月の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の解除に伴い、在宅時間が減少したこと等が影響したものと考えられます。

 

 

代引き・返品対応等の追加業務の増加

EC物流では販売と物流が密接に関わり合うことからお届け時の代引き対応や商品の返品対応等の従来の宅配では少数であった対応が一般的になりました。その結果、現場でのドライバーの接客対応の時間は増加しており、単純な需要過多で見える数量以上の負担が発生しています。

 

商品クレーム等のサービス以外の対応の増加

また、上記のような配送サービスの多様化のによる業務増加以外にも本来であれば配達員のサービス外の対応も増加しています。特に多いのはサブスクリプションでの販売によるトラブルです。

サブスクリプションは商品の定期購入・リピート購入による定期通販という分類に当たりますが、悪質な業者によっては解除方法が不明確であったり、更には、連絡がつかなかったりという場合があります。その際に、消費者は商品の受取りを拒否することでしか意思表示ができず、結果としてそういったクレームを配送会社が受けることになります。

法規制が進んでおり、「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」が2022年6月1日に施行されました。概要としては以下の通りです。

  1. 通販の「詐欺的な定期購⼊商法」対策
  2. 送り付け商法対策
  3. 消費者利益の擁護増進のための規定の整備

 

宅配クライシスに解決策

宅配クライシスがECの急成長とそれに伴う、設備投資が間に合わなかったこと、更にEC特有のサービスの増加により発生したと説明しましたが、それではどのように解決できるのでしょうか?ここではその解決策として取り組まれている内容を紹介していきたいと思います。

  1. 配達アプリで再配達の削減
  2. 置き配?宅配BOX?シンプルかつ強力
  3. ロボット?ドローン?未来の技術で省人化

 

配達アプリで再配達の削減 main

宅配クライシスは物流業界への投資を加速させ様々な取り組みを加速させましたが、その中でも最も効果があり、最も利用されているのがヤマト運輸の提供するクロネコメンバーズのアプリです。

  1. 宅急便をスマホで送る
  2. 集荷依頼
  3. 再配達依頼
  4. 受取時間・場所変更

こういったことをスマートフォンで簡単に操作できるようにするアプリにより現場での負担を軽減することに成功しています。

 

置き配?宅配BOX?シンプルかる強力

次に注目されているのは置き配や宅配BOXと呼ばれる手渡し業務の発生しない配送方法です。こうすることにより再配達問題や消費者対応の問題は緩和され、ドライバーの業務負荷を軽減することができます。代表的な例としては以下の通りです。

  1. amazon.comの置き配指定サービス
  2. ヤマト運輸のEAZY配送

マンションに宅配BOXが設置されることも一般的になっており、こういった取組はますます進むことが予想されます。

ブログ記事用-Jun-07-2022-07-26-13-47-AM

ロボット?ドローン?未来の技術で省人化

未来技術の中では自動配送ロボットやドローン配送技術は社会実装に向けてとても多くの取り組みが日々進められております。

  1. つくば市で楽天、パナ、西友のUGV配送スタート 初日は開始前の午前9時に“売り切れ”!
  2. 「Uber Eats」、ロボット配送を試験導入へ--カリフォルニア州で
  3. 「自律運航AI」を搭載したドローンを用いて荷物配送を行う実証実験を実施

これらの取組はほんの一例ではありますが、今後の開発により社会に溶け込んで利用される日も遠くはありません。特に労働人口の減少はブルーカラーにおいて顕著でもあり現場に近い部分でのこういったロボットは特効薬になる可能性を秘めております。一方で以下のような課題もあります。

  1. 安全性を含めた関連法規制が未整備であり特区でしか実証実験ができていないこと。
  2. 投資対効果が見込める段階まで社会実装が進まないこと。

こういった課題は新技術にはつきものではありますが、配送という社会生活に密接に関係した部分でのイノベーションには相当な行政の関与がないと難しい現状があります。

 

ブログ記事用-Jun-07-2022-07-34-24-26-AM

おわりに

ここまで宅配クライシスについて説明してきました。宅配クライシスはEC市場の急拡大によって始まりましたが、同時に物流業界にとって変化のきっかけにもなっており、必ずしも否定的な文脈だけではなく、新たなビジネスチャンスとしてむしろ歓迎されています。

今後もこの危機の乗り越えるべく様々な変化は生まれてくることになることと思います。また、改めて新技術関連については記事にできればと思っております。EC物流について更に知りたい方は下のリンクより確認してください。

 

 『EC物流完全ガイド』   

 

 

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