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EC物流の今後は?需要増と減の分野・将来性について詳しく解説

EC物流の今後は?需要増と減の分野・将来性について詳しく解説

2020年初頭から突如発症した新型コロナウイルスは、瞬く間に世界中に蔓延しました。これにより世の中の消費動向は一変。EC物流市場には「巣ごもり需要」という名の大きな追い風が吹きました。そのコロナ禍の終焉が現実的となる中、この後のEC物流はどのようになっていくのか。需要増が見込まれる分野と、需要減の可能性がある分野、さらにEC物流の将来性について解説します。

目次

コロナ後のEC物流市場はどうなる?

コロナ禍の終焉が見え始め、長らく中止されていたイベントが再開されたり、旅行やアウトドアを久しぶりに楽しむ動きが見られたりしています。本来なら長期の我慢を強いられた後のため、世の中全体が未曾有の高揚感に包まれてもおかしくない状況でしょう。しかし現実はそう単純ではありません。

ロシアによるウクライナ侵攻や米国の利上げを契機に始まった円安と資源高、国際紛争とコロナ禍により急激に進んだサプライチェーンの分断、さらに気候変動と、複数のマイナス要因が重なったことにより数十年ぶりの物価高が猛威を奮っています。食料品や日用品、光熱費など日常生活で欠かせないほぼ全てのモノやサービスが軒並み値上げされ、家計を直撃。この状況に財布の紐はかたくなり、消費マインドが冷え込んでしまっているのが現状といってよいでしょう。

この状況下では、巣ごもり特需の恩恵を受けたEC物流市場も、少なからずマイナスのあおりを受けざるを得ないのが現実といえます。ただこの流れを前提としても、今後需要が伸びそうな分野は数多く存在します。その一方、物価高と巣ごもり需要の反動をダブルで受けて需要が低迷すると考えられるジャンルもあります。

その動向を予想する上で、経済産業省 商務情報政策局 情報経済課が発表した「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」が、有力な参考資料となります。

同調査では、2021年度のBtoCのEC市場規模が20兆6,950億円と初めて20兆円を突破したと報じています。さらに同市場を、以下の3分野に分けて分析しています。

  1. 物販系(食品・家電・雑貨等)
  2. サービス系(旅行サービス、飲食サービス、チケット販売、フードデリバリーサービス等)
  3. デジタル系(電子出版、有料音楽・動画配信、オンラインゲーム等)

それぞれの2021年の市場規模と前年度比の伸長率は以下の通りです。

  1. 物販系:13兆2,865億円 8.61%増
  2. サービス系:4兆6,424億円 1.29%増
  3. デジタル系:2兆7,661億円 12.38%増

一見すると全ての分野であきらかに市場規模が増大しているように見えます。しかし、サービス系については、2019年に7兆1,672億円だった市場規模が2020年には4兆5,832億円と約40%弱の大幅ダウンをマークしているのです。その理由は新型コロナウイルスの蔓延による旅行サービスと飲食サービスの激減です。

以上のデータを前提として、以下に今後の需要増が予想される分野と需要減の可能性がある分野について見ていきましょう。

需要増が予想される分野

まず需要増が予想されるのは、コロナ禍が明けることにより「モノ消費」から「コト消費」へと消費動向が変化することにより追い風が吹く分野です。具体的には、

  1. 旅行サービス
  2. 飲食サービス
  3. チケット販売
  4. アウトドア関連商品

などです。つまり前述の「サービス系」で、深刻な落ち込みを見せていたジャンルへのニーズが反動によって高まると考えられます。

さらに長らく外出機会が減っていたことで手控えていたファッション関連、化粧品などへの消費も相当程度伸長するとみてよいでしょう。

物販系については物価高と巣ごもり需要の反動で頭打ちが見られるものが多いです。しかし、サブスクリプションによる食品や飲料品、雑貨などは人気を維持しているものも少なくありません。

また、音楽・動画配信、オンラインゲームなどのデジタル系については引き続き堅調な伸びが強く予想されます。

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需要減が予想される分野

一方、需要減が予想されるのは、巣ごもり需要が顕著だったテレビや冷蔵庫、洗濯機、掃除機といった家電。さらにテレワークで需要が激増したパソコンとその関連デバイスやガジェットについては買い控えが目立ちます。

その他にも、インドア用のゲームや室内エクササイズ・トレーニング用品、キッチングッズなどは需要が一巡して低迷する可能性があります。

さらに、国内では2023年が世帯数のピークとなり、これを境に人口減に加えて世帯数も下降していきます。すると、先ほども挙げた家電製品に加えて、寝具や家具調度品なども徐々に売れにくくなり過当競争が激化すると予想されます

EC越境は将来性あり

上記とはまったく異なる視点ですが、実は海外に向けてネット販売を行うEC越境が、堅調な伸びを見せています。2021年における米国での販売実績は3,362億円で前年比9.3%増、中国は同365億円で前年比7.6%増と大きく拡大しています。

メイドインジャパンは、品質が高く、オリジナリティとブランド力があり、しかも円高による相対的なコストパフォーマンスの良さにより非常に評価が高いです。

具体的には以下の7ジャンルが人気です。

  1. おもちゃ・ゲーム・アニメグッズ
  2. 高級腕時計
  3. 本・DVD・エンタメ
  4. 家電製品・カメラ・AV機器
  5. 日用品・雑貨
  6. 化粧品
  7. 陶芸品

世界で見た日本のEC市場シェアはわずか3%でしかありません。しかも2020年時点でBtoC市場のEC化率はわずか8.08%のため、見方を変えるとかなりの伸び代があるといえるでしょう。

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EC物流の将来性が高い理由

EC物流は、今後もさらに市場規模が拡大していくと考えられていますが、その理由は以下のとおりです。

  1. スマホの使用率の上昇
  2. 5Gの本格普及
  3. ロボティクスの発達と普及

スマホ使用率の上昇

2021年のEC物販でのスマートフォンを経由した取引率は52.2%となり、初めて過半数に達しました。つまり、パソコンよりスマートフォンを使ってネットショップを利用しているユーザーの方が多いということです。スマートフォンの普及率は年々上昇しており、2022年時点で94.0%に達しています。この調子でさらに普及が進めば、利便性の高いスマートフォンを経由したEC物流需要はさらに増加すると考えてよいでしょう。

 

5Gの本格普及

5Gの高速・大容量通信が都心部を中心に広がりを見せています。4Gの最大20倍の通信速度を実現しているため、音楽や動画といったデジタル系を中心としてECの利便性は飛躍的に高まると予想できます。VRを使った大容量通信も可能となるので、物販系でも従来より商品価値をより強く、リアルに訴求できるようにもなるはずです。これによって、ネットショップで取り扱える商品やサービスが増加すれば、市場規模は確実に拡大すると見てよいでしょう。

 

ロボティクスの発達と普及

EC市場の拡大に欠かせないのが、物流システムの拡充です。たとえ商品が大量に売れても、それを遅滞なく的確に消費者に届ける物流機能が備わっていなければ、ビジネスとして成立しません。近年では物流倉庫におけるデジタル化とロボティクスの積極導入が進んでおり、荷役や棚入れ、仕分け、梱包といった負担が多く、複雑な作業が次々と自動化されています。ネットショップの利便性と物流の進化が融合すれば、多くのユーザーにとってEC市場は益々魅力的な存在となり得るに違いありません。

まとめ

コロナ後のニューノーマルにおいて、EC物流は今後さらに発展していくと考えられます。スマホの普及と通信環境の充実に伴うネットショップの利便性、コト消費へのアプローチ、そして物流システムのDXと、その将来性を裏付ける十分な条件が確実に揃いつつあります。そう考えるとEC物流のこれからの進化と発展は、益々注目に値するといってよいでしょう。

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