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物流と商流の違いは?フロー図を使って解説

作成者: STOCKCREW(公式)|2022年09月09日

物流と似ている単語として「商流」があります。これらはいずれも現代の商取引に欠かせない「流通」に関するワードです。今回は流通の中にある「物流」と「商流」について、それぞれの違いについて解説します。

まずはベースとなる「流通」について解説

流通の定義ですが、メーカーが作った商品(サービスも含む)がユーザー、消費者に届くまでの一連の流れを指します。商品がユーザーの手元に届くまでに、工場などの生産場所から卸売業者、そして小売業者というプロセスを経ることをイメージしていただくのがわかりやすいでしょう。

流通の大義は、生産者、販売者、消費者というそれぞれ異なる立場の間にあるギャップを少なくし、商品入手にあたっての利便性を高めることとなります。

そして、流通は「物流」と「商流」に分類されます。これらはもともと流通として認知されている流れですが、近年は商取引の形態などが多様化しているため、物流と商流に加えて「金流」や「情報流」という2つの流れに関しても重視されています。

商流=商的流通の略

商流とは「商的流通」を略したもので、「所有権」が生産者から消費者に移る流れを指します。上のフロー図では商品と所有権が一緒に動いているように感じられるかもしれませんが、これらは別に動く場合もあります。

生産者と販売者の間において、所有権と商品が別に動く例として「委託仕入」があります。委託仕入の場合、商品が生産者から販売者に移ったとしても、その商品の所有権はまだ生産者のほうにあります。消費者が商品を購入する段になり、所有権はようやく販売者に移ります。

そして、販売者と消費者の間においても所有権と商品が別に動くケースもあります。それは、消費者が商品をローンで購入した場合です。この場合、消費者は商品を手にできますが、所有権はいまだ販売者が持っていることになります。したがって、厳密に言えばローンで購入した商品は所有権は販売者にあるので、他人への売却など手放してはいけないことになります。この場合、商流としてはローン会社が入ってくるのでこれまでの流れとは若干異なりますが、ローン会社は販売者から信用され、そして消費者を使用して契約が成立する、という流れになります。

若干複雑な話も出ましたが、基本的に商流=所有権の移動で、そこに付帯する形で金銭や情報に関する移動もある、と覚えておけばOKです。

 

物流=物的流通の略

物流とは「物的流通」を略したもので、商品など「モノ」の流れ全般を指す言葉です。モノの流れというと、飛行機や船、そしてトラックなどでモノを運ぶとイメージされるかもしれませんが、これは「輸送」で物流のなかのひとつとなります。物流には商品の保管や梱包なども含まれます。ちょうど物流の内容について簡単に触れましたので、詳細な物流の分野を紹介します。物流は以下の5つの分野に分けられます。

 

調達物流

「調達物流」とは、生産工場に原料、部品を仕入れる、つまり原材料の移動となる物流です。

 

生産物流

商品を生産したのちに発生する、工場内における材料の在庫管理や商品の検品や梱包作業、そして出荷に関する作業が「生産物流」として扱われます。

 

販売物流

「販売物流」とは、工場などの生産拠点から卸売業者や小売店といった販売者への移動を指します。

 

回収物流

「回収物流」とは、消費者に商品が渡ったのち、不要になった品、場合によっては廃品を回収して再資源化する物流のことです。

 

消費者物流

「消費者物流」とは、通販やEC、そしてネットオークションやフリマアプリでの売買といった、一般的な消費者を相手にした物流を指します。商品の物流だけではなく、引っ越し業やトランクルームの貸出サービスも消費者物流に含まれます。

物流については下記の「物流完全ガイド」で更に詳しく解説していますので、そちらも確認ください。

また、ネットショップで行う発送業務も「物流」にカテゴライズされます。どのようなものなのか?また、それがどのように行われるのか?は以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

商流と物流の異なる点は?

商流は所有権、金銭や情報に関する移動で、物流はモノの移動ということはすでに紹介したとおりです。こうして見ればそれぞれ別物であるのはイメージしていただけたと思います。では、具体例とともに商流と物流の違いについて解説します。

まず、商品が製造されるところから見ますと、工場が受注データを受け取ります。これは「商流」になります。そして、そこで受注データをチェックした後に行う梱包作業。これは「物流」となります。この後、梱包した商品を販売業者に渡す段では「商流」と「物流」が発生……というように、たったひとつの商品が生産者から消費者の手に渡るまでには、商流と物流が密に関わり合いながらモノが流れていく、という訳です。

近年、コンビニエンスストアのように1つの店舗で多くの商品を扱う小売業が増加し、流通もそれに合わせた形態に変化するケースが増えています。その結果、複雑化した商流と商品をできるだけ短いルートで運ぼうとする物流を分けて合理化を図ろうとする「商物分離」の概念が増えてきています。

ほかの2つの「流」についても解説

ここまでは流通における「商流」と「物流」について解説してきました。続いては残りの2つ「金流」と「情報流」についても解説します。

 

金流

金流とは、生産者から消費者へ商品を提供するまでの「お金」の流れです。一般的な商取引であれば、まずは生産者と販売者の間にお金のやりとりが発生します。販売者が生産者に対し、商品の代金を支払います。これは通常、掛売という取引になり、都度の精算・支払いではなく、決まったサイクルで商品の代金を支払う形となります。

そして、消費者は販売者に対して代金を支払います。店舗で商品を購入する場合はその場で支払いが完了しますが、通販の場合は送料という形で配送業者への支払いも発生します。消費者が払った送料は一旦、販売者へ渡りその後、決まったタイミングで宅配業者に支払われます。このお金の流れも金流になります。

 

情報流

情報流とは、生産者から消費者へ商品を提供する際に発生する「情報」の流れを指します。情報にはさまざまありますがよりイメージしやすいものは、その商品の原材料や産地といった、生産者側がアピールしたいこだわりや消費者にとって購入の決め手となるような情報でしょうか。

具体的にはスーパーなどで販売されている野菜に「生産者の顔が見える」として、その野菜を生産した農家の方の顔写真を添えている場合があります。これは消費者に向けての「情報」のひとつと言えます。ほかにも、化粧品などでそれの開発コンセプトをアピールする場合もありますが、こうしたものも消費者にその商品を選んでもらうための情報と言えます。

商品を軸にすると、消費者はその商品を自分が購入すべきか否かの判断材料としてさまざまな情報を欲しますが、生産者や販売者も同様にその商品はどのような消費者が購入したのか、そしてその消費者はどのような人物なのかという情報を求めます。購入履歴などから傾向を掴むようなマーケティングは、情報流によって実現したものと言えるでしょう。それに付随する形で、クレジットカード払いやローン払いの場合、生産者や販売者サイドは、消費者の信用情報、つまりその人物が商品を購入するに値するか否かを得ています。

このように現在では商品の動きと同時に多くの情報も動いているのです。

物流だけではなく商流も理解すべき重要性

商流と物流を別立てにする理由は、需要と供給の均衡を保つためです。商流と物流は同時進行する場合もあれば、異なる時間軸で進む場合もあります。実際の商取引においては、どちらかと言えば後者のほうが多いでしょう。生産者が商品を販売者に卸しても、販売者がそれを売るまではビジネスとして成立しなくなるという事態を軽減するために需要と供給、商流と物流はバランスよく行われる必要性があります。

以上のような点から、商流を理解するメリットとして、第一に取引先とのコミュニケーションを取りやすいことが挙げられます。ビジネスは自社だけではなく、相手、取引先がいて成立するものです。その取引先とのやりとりにおいて、商流まで理解しておけば共通認識が増えるので、なにか問題があっても迅速な対応が可能になるでしょう。

そして、商流と物流を理解しておくと全体を俯瞰で見られるようになるので、問題発生時にどこがその原因になっているのかを割り出しやすくもなります。

 

俯瞰図を構築すれば商流を明らかにしやすい

 

商流と物流をさらに理解しやすくするためには俯瞰図、フロー図を作成してみるのがおすすめです。

自社を中心にし、仕入先や販売先をその周囲に配置します。それぞれには基本情報を入れておきます。自社の情報に関してはできるだけ詳細に記入しておくと自社の強みや克服すべき課題が見えてくることが多々あります。

こうした俯瞰図やフロー図を作成するメリットとしては、商流、物流が明確になるだけではなく、売上向上に向けた改善点が浮き彫りになる点が挙げられます。そのためには、できるだけ多くの情報を書き込む必要があります。

 

まとめ

商流と物流の違いは、商品が生産者から消費者に渡る際に「所有権」が移動するか「商品」が移動するかです。商流に関しては所有権と付随する形でお金や情報も移動することになります。物流は単に商品を運ぶだけではなく、それに付随する倉庫の管理や梱包作業なども物流に含まれます。

商流と物流を明確に理解しておけば、取引先とのコミュニケーションをスムーズに行えるほか、トラブルが発生した場合でも迅速な対応を期待できます。これらの理解にあたっては俯瞰図、フロー図を作成するのがおすすめです。こうした図を作成することにより、商流と物流の理解はもちろん、自社が抱える問題や課題、そしてその改善策についても発見できるようになります。

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