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出庫と出荷は物流では違うもの?英語では何と言う?

出庫と出荷は物流では違うもの?英語では何と言う?

物流業界における「出庫」とはどのような意味があるのでしょうか。似たような言葉に「出荷」もあります。両者には明確な違いがあるのですが、その意味を正確に答えられる人は、意外と少ないかもしれません。

そこで今回は、物流における「出庫」の正しい意味、「出荷」との違い、またそれぞれを英語でどのように表現するのか、についても解説していきます。

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目次

 

出庫とは?物流における位置づけ

物流業界でいう「出庫」とは、倉庫内の商品をオーダーに応じて倉庫の外に出すことを意味します。倉庫の外というのは、どの場所でもよいのかというと、そうではありません。ニュアンスとしては、受注対象の商品を配送トラックが待つ敷地内に出し終えた、未発送の状態と理解するとよいでしょう。

ただし、この出庫には、在庫棚から対象商品や荷物をピッキングし、それらを納品先ごとに仕分けして、数量や品番に間違いがないかを検品し、さらに組み立てやラッピングをしたうえで、段ボールなどに梱包する作業までが含まれます。加えて、納品先情報などが記載された伝票を貼付して、梱包済みの荷物等を倉庫からすべて出し終えた旨の報告や確認作業も出庫の一部となります。

念のために付記すると、「出庫」は、倉庫内に在庫が存在しなければ成り立ちません。よって、必ず受注対象の商品がすでに「入庫」されていることが、大前提となります。入庫は、「棚入れ」と表現されることもあります。


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出庫業務の重要性

倉庫業務において、競争優位に立つには、この出庫業務を迅速かつ正確に行うことが、優先事項の第一に挙げられるといってよいでしょう。通販事業に乗り出す企業が急激に増え、巨大ECプラットフォーマーも加わって、当日配送や午前中、さらに1時間以内配送といった配送競争の激化が進むなか、出庫作業の遅れは命取りといっても過言ではありません。

今や消費者のなかでは、商品の中身や品質もさることながら、それがいつまでに届くのかという配送スピードが商品選択の大きな条件となっていることを無視できません。その意味では、スピーディーな配送の起点ともいえる「出庫」の役割は、極めて大きいといえるでしょう。

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出庫の効率化に必要なこと

物流各社は、重要度の高い出庫業務を効率化するために、さまざまな工夫を凝らし、DXを通じたイノベーションやそのための投資にも注力しています。その内容を具体的に3つ紹介しましょう。

 

WMS(倉庫管理システム)の導入

出庫業務は、受注と同時に商品をピッキングして、検品、仕分け、梱包を流れ作業で行います。これをすべてマンパワーで完結するのは、非常に困難です。しかもこれら一連の作業は経験によって差が出るので、ベテランと新人では業務にムラが生じ、一部の作業員にしかできない業務の属人化も避けられません。

そこでWMS(倉庫管理システム)を利用すると、商品の入庫、在庫管理、棚卸し、出庫に至るまで商品のステータスをリアルタイムで把握できます。加えて、ハンディーターミナルを併用することで、膨大な商品の中から、品番や数量、納品先を間違うことなくピッキングできるため、ヒューマンエラーが激減します。さらに、だれが手掛けても同じレベルで業務を遂行できるので標準化が進み、経験の差に左右されない体制の構築が可能となるのです。

マテハン機器の導入

膨大かつ重量の大きな商品群は、マテハン機器なくして入庫も出庫もできません。マテハン機器とは、マテリアル・ハンドリングの略で、フォークリフトやベルトコンベア、無人搬送機などの運搬系、ソーターやピッキングロボットなどの仕分け系、立体自動倉庫、移動ラックなどの保管系、自動梱包機などの梱包系といった各種機器の総称です。これらの機器を倉庫や業務規模に応じて備えることで、出庫業務の大幅な効率化が実現します。

例えば、自動梱包機を導入すると、段ボールを組み立てて商品を詰め、箱の蓋を閉じてガムテープで止める、という一連の作業がほぼ自動化されます。段ボールの大きさや詰め込む商品にもよりますが、自動梱包機を導入することで、人が作業する場合と比較すると1,000%の効率化がはかれたという例もあります。

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AI技術の導入

上記のマテハン機器には、次々とAI技術が搭載されています。とくに仕分けやピッキングにおいては、AIロボットによる完全自律作業により、吸着や多指ハンドなど、アームの先を使い分けることで、さまざまな商品への対応が可能となりつつあります。業務の遂行過程は遠隔で確認できるため、最小限の人員で24時間フル稼働することもできます。まとまった初期投資は必要ですが、時間を問わずに作業ができて人件コストも削減できるので、メリットは大きいといえるでしょう。

発送代行サービスを提供しているSTOCKCREWでは、ここで紹介した出庫の効率化に必要なアイテムをすべて取り揃え、サービスの提供価格の削減も実現しています。

 

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出庫と出荷の違い

物流の世界では、「出庫」とよく似た言葉で「出荷」も多用されます。この違いについて説明しましょう。

出庫が、受注商品を倉庫の外に出すことを意味するのに対し、出荷はそれに加えて、売上計上を済ませたうえで、商品をトラックに積み込んで納品先に配送するまでを意味します。つまりニュアンスとしては、出荷業務の一部に出庫業務が含まれると考えるとわかりやすいでしょう。

出庫が倉庫会社や倉庫を持つメーカーなどの内うちの業務だとすると、出荷はそこに運送会社や納品先など外部との関わりが色濃くなるといえます。したがって、トラック手配のタイミングや配送ルートの事故・渋滞情報の把握、納品先への搬入時間の厳守などについて、同業者間で競争優位に立つためにも、高度な管理体制の構築が、求められるでしょう。

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出庫と出荷、英語にすると?

さて、最後に参考までに、「出庫」と「出荷」の英語表現について解説しましょう。

出庫」は、goods issue、「出庫する」という動詞の場合は、(to)issueを使います。


似た言葉で、deliverもありますが、これには出庫以外に、「届ける」とか「納品する」という意味もあるので、物流における「出荷」の意味合いが含まれてしまいます。飲食店や惣菜店の「デリバリー」を思い浮かべると分かりやすいでしょう。その点、issueの方が「倉庫から外へ出す」というニュアンスが強いといえます。

一方の「出荷」は、shippingが一般的です。「出荷する」という動詞は、shipになります。おそらく多くの方が、shipと聞くと船を想起するでしょう。実は、この動詞は、船を使って荷物を運んだことに由来するので、非常に「出荷」との関連が深いのです。そう考えると、とても覚えやすいかもしれません。

ほかにもshipmentも使われます。たとえば、Shipment of goods (商品の出荷)やShipment of products (製品の出荷)など、Shipment of ○○で○○の出荷となります。

ちなみに、AmazonやeBayで「ドロップシッピング(drop shipping)」というワードが使用されることがあります。これは、第三者が出品者の代わりに購入者に向けて直接出荷することを指します。ECモールの出品者が、配送の手配まで手が回らない場合に活用できる大変便利なシステムです。つまり、「シッピング(shipping)」が使われるのは、商品が、手元から納品先やクライアントに向けて離れる、というニュアンスが強くなるといえるでしょう。

「すでに納品先に出荷した」なら「already shipped」となります。物流現場では、荷物のステータスが非常に重視されるので、倉庫からトラックが出発(=出庫から出荷へシフト)したのかどうかが、問われることがよくあります。その際は、一言「shipped」を使えば通じやすいでしょう。

参考までですが、先ほどのissueとshippingを合わせて「shipping issue」という表現が使われることがあります。これは、「発送上の問題」とか「配送業務におけるトラブル」といった意味となり、出庫や出荷とは少し異なる意味で使用されるので注意してください。この場合のissueは、「問題」「論点」「争点」などを意味する名詞となります。

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まとめ

物流業界における「出庫」について解説し、「出荷」との違いについても紹介しました。出庫も出荷も物流業界で生き残り、成長・発展し続けていくために、決してないがしろにできない重要テーマです。英語表現についても、issueやshipping、shipmentなど、ニュアンスや使われる背景から理解すると、分かりやすいでしょう。

STOCKCREWでは確実な出庫、出荷が行えるように日々サービスの改善に努めています。ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。

 

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