1 min read

物流KPI(物流管理指標)のメリットや導入方法を解説

物流KPI(物流管理指標)のメリットや導入方法を解説

物流事業の効率化や最適化に向けて、国土交通省をはじめ物流関連団体が中心となり、物流KPI(物流管理指標)の導入・普及が進められています。その物流KPIとは?また、導入によりどのような効果が得られるのでしょうか。今回は、物流KPIの導入方法および導入メリットについて詳しく解説します。

目次

物流KPIとは?

そもそもKPIとは、英語の「Key Performance Indicator(s)」の略語であり、「重要業績評価指標」と呼ばれています。KPIは、事業活動におけるコストや生産性、品質などを数値化して、業務の見える化を行い、目標設定や業績評価、そして業務改善へと繋げるツールです。

物流事業者向けに作られた指標や計算式が「物流KPI」であり、2015年に国土交通省が「KPI導入の手引き」を公表して以降、普及活動も手伝い、物流事業者の間で広く利用されるようになりました。

今なぜ物流KPIが求められているのか?

物流KPIは、物流事業者の経営の高度化、および荷主と一体となった健全な効率化により、物流産業の発展を促進するツールです。

現在、日本の物流産業は、荷物の小ロット化、時間帯別配送などサービスレベルの向上に加え、ドライバー不足、エネルギー価格の高騰と厳しい経営環境に置かれています。これに加えて、中小事業者が多くを占めている物流産業においては、企業間の競争が激化。各企業が生き残るために、さらなるコスト削減が必要になりました。そこで、業務改善を通じた健全な効率化による物流産業の発展を手助けするために考案された指標が物流KPIです。

 

物流KPI導入のメリット

物流KPIを導入するメリットは、「業務の見える化」「物流事業者と荷主の一体化」「定量的かつ公平な評価」です。

漠然と捉えていた日常業務が、数字として見えるようになります。たとえば「荷台にスペースが余っている」と日々感じていても、どのように改善すればよいのか正解を導き出すのは難しいものです。業務を数字に置き換えると、問題点や改善点が見つけ出しやすくなります。

物流KPIは、物流事業者のみならず、委託元、発荷主・着荷主、委託先の倉庫会社など、関係する事業者が共に作り上げていくものです。物流KPI導入により関係者間のコミュニケーションが活性化され、現状認識や課題解決に向けた素地が生まれます。

また、物流KPIは定量的に測定した数値であり、公平な評価方法です。公平な評価に基づく業務の改善により、誰もが納得する形で物流産業の発展を促します。

物流KPI導入成功の秘訣とは?

日常の業務を物流KPIにより数値化するだけでなく、評価からスタートしてPDCAサイクルを回します。PDCAサイクルは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Acton(改善)の4つの工程で、ISO9001など品質管理の国際基準です。物流KPIにより数値化した評価を基に、改善方法を検討し、改善計画を策定。計画に沿って業務改善を実行したのちに、再評価してさらなる改善に繋げます。

立派な仕組みを作っても、日常業務の負担になり誰も使用しなくなる場合もあります。物流KPIの導入を成功させるために、簡単にできることから行い、徐々に対象範囲や関係事業者を広げていくとよいでしょう。

 

具体的な物流KPI導入手順

物流KPIの導入は、「業務の数値化」、「PDCAサイクルの構築」、「荷主など関係事業者と協力して改善」の3つのステップで進めます。

 

ステップ1:業務の数値化

物流KPIの視点である「コスト・生産性」および「品質・サービスレベル」の中から、取り組める指標を選び数値化します。合計して13指標あるものの、初めから全てを取り組む必要はありません。

 

ステップ2:PDCAサイクルの構築

ステップ1の業務の数値化は、PDCAサイクルのCheck(評価)です。現状を評価した数値を基に改善目標や方法を決めるとともに、実現に向けた具体的なスケジュール(計画)を策定。計画を実行した後に指標を測定します。

 

ステップ3:荷主など関係事業者と連携して改善

自社で実施したのち、荷主など関係事業者と連携して改善を進めます。物流KPIの視点の「物流条件・配送条件」は、荷主など関係事業者が課題を解決しなければならない項目です。併せて、業務の課題や改善目標、改善方法などを共有します。

物流KPIの指標と算出方法

物流KPIの指標を、「コスト・生産性」「品質・サービスレベル」「物流条件・配送条件」別に紹介します。

 

「コスト・生産性」の指標

・保管効率(充填率、坪効率など)
倉庫などの保管スペースの保管効率を測る指標。充填率=保管間口数÷総間口数 の数式で算出します。

・人時生産性(庫内作業)
ピッキングや仕分けなどの生産性を測る指標。人時生産性=処理ケース数÷投入人数 の数式で算出します。

・数量当たり物流コスト
物流センターの数量当たりの総物流コストを測る指標。数量当たり物流コスト=物流コスト÷出荷数量(ケース、重量、容積など) の数式で算出します。

・日次収支
財務会計上のルールとは別に、日次単位で収支を算出。日次収支=1日当たりの収益-1日当たりのコスト の数式で算出します。

・実車率
車両の空車走行の削減に向けて稼働状況を測る指標。実車率=実車キロ÷走行キロ の数式で算出します。

・実働率
車両の非稼働の削減に向けて稼働状況を測る指標。実働率=実働日数÷営業日数 の数式で算出します。

・積載率
車両の積載効率を改善するための指標。ルート別、顧客別に把握する。積載率=積載数量÷積載可能数量(重量、容積、容積換算重量) の数式で算出します。

・日次収支(トラック)
財務会計上のルールとは別に、日次単位で収支を算出。日次収支(トラック)=1日当たりの収益-1日当たりのコスト(1台当たり) の数式で算出します。

 

「品質・サービスレベル」の指標

・棚卸差異
在庫の紛失や誤出荷などによる帳簿在庫と実在庫の差異を計測し、在庫管理に活用。棚卸差異=棚卸差異(帳簿在庫-実在庫)÷棚卸資産数量 の数式で算出します。

・誤出荷率
品間違い、数量間違いなど誤出荷の発生率。誤出荷率=誤出荷発生件数÷出荷指示数(受注数など) の数式で算出します。

・遅延・時間指定違反率
納期遅延、時間指定違反の発生率。遅延・時間指定違反率=遅延・時間指定違反件数÷出荷指示数(受注数など) の数式で算出します。

・汚破損率
商品の汚れや破損などの発生率。汚破損率=汚破損発生件数÷出荷指示数(受注数など) の数式で算出します。

・クレーム発生率
誤出荷、遅延・時間指定違反、汚破損以外の顧客クレームの発生率。クレーム発生率=クレーム発生件数÷出荷指示数(受注数など) の数式で算出します。

 

「物流条件・配送条件」の指標

・出荷ロット
輸送効率、庫内作業効率などの改善に向けて、顧客別に出荷ロットのサイズを計測。出荷ロット=出荷数量(数量、重量など) の数式で算出します。

・出荷指示遅延件数
出荷指示の遅延件数を顧客別に計測。出荷指示遅延件数=締め切り時刻以降の出荷指示件数 の数式で算出します。

・配送頻度
多頻度納品改善に向け配送先当たりの配送頻度を計測。配送頻度=配送回数÷営業日数 の数式で算出します。

・納品先待機時間
指定時間到着後に納品先で待機した時間を計測。納品先待機時間=納品先における待機時間の平均 の数式で算出します。

・納品付帯作業時間
契約外の荷役や開梱など納品先で発生した付帯作業時間を計測。納品付帯作業時間=納品先における付帯作業時間の平均 の数式で算出します。

・納品先付帯作業実施率
契約外の荷役や開梱など納品先で発生した付帯作業の回数を計測。納品先付帯作業実施率=納品先における付帯作業実施回数÷納品回数 の数式で算出します。

まとめ

色々な計算式が出てきた物流KPIを見て、「なんだか難しそう」と思われたのではないでしょうか。実際やってみると、想像されるほど難しくはありません。まずはできることから始めて業務の見える化を行い、業務の効率化を実現しましょう。

STOCKCREWではSLA(Service Level Agreement)をヘルプページで公開しています。利用者の皆様にわかりやすいサービス提供が、発送代行サービスを検討する1つの指標にもなります。SLA含め、わからないことなどありましたら、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら