物流と運送の違い、説明できますか? 物流と運送は同じものではないのです。本記事では、物流と運送の違いから現状、そして今後について解説します。
目次
物流とは
物流とは、モノが消費者に届くまでの一連の流れのことです。具体的には、消費者が購入した商品を調達、保管、梱包、荷役、輸送、データの処理などのモノが消費者に届くまでさまざまな業務を指します。
このように、さまざまな業務を組み合わせることで物流が成り立っています。また、物流は各業務に従業員が必要であり、それぞれがスムーズに行われなければ消費者からの信用は失われます。スムーズにモノを届けるため、物流業界のほとんどの企業が各業務を一元管理できるシステムを導入し、効率化しています。
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運送とは
運送とは、前述した物流の業務の一部で、人やモノを指定された目的の場所へ運ぶことです。具体的には、消費者が頼んだ商品をトラックや車を利用してお届けすることです。
また、航空機や船などにより、商品を運ぶこともありますが、この場合は運送ではなく、輸送と呼ばれます。このようなことから、運送とはモノを目的の場所へトラックや車で運ぶこと、となります。
物流と運送の違い
物流と運送は、意味が似ているため、同じ扱いをされやすいのですが、物流と運送には厳密な違いが存在します。前述したように、物流はモノが消費者に届くまでの一連の流れであり、運送はモノを目的の場所へトラックや車により運ぶことです。
そのため、運送は物流の業務の一部であることがわかります。このようなことから、物流と運送は違う意味であり、物流業務の一部に運送が含まれています。また、運送と似た意味の輸送や配送なども物流の業務の一部になります。
物流業界の現状と問題点
物流業界の現状には、多くの問題点があります。以下に挙げる点が物流業界のイメージ低下を招いています。
- 過酷な労働環境
- 深刻な労働者不足
- 国際物流の低迷
- 燃料の高騰
- 個人向け配送の需要拡大と法人向け配送の需要低迷
過酷な労働環境
物流業界の労働環境は非常に過酷と言われています。その理由として、ドライバーの長時間労働が挙げられます。ドライバーの長時間労働は、とくに長距離の配達を行うドライバーに見られ、厚生労働省のデータによると、中小型トラックのドライバーの年間労働時間が約2,484時間となっています。日本全体の平均年間労働時間が約1,713時間であるため、700時間ほど多くなっています。
また、大型トラックのドライバーだと約2,604時間となっているため、さらに過酷であることがわかります。長時間労働だけでも過酷でありますが、トラックのドライバーは時間通りにモノを届けなけらばならないというプレッシャーもかかります。
深刻な労働者不足
物流業界は、ECサイトの普及により需要が高まっていますが、深刻な労働者不足に悩まされています。特に、物流業界の労働者の平均年齢は他業界と比較すると高くなっており、後継者の不足が深刻です。
現状では何とか物流を行えていますが、このままではいずれ労働者不足により、円滑な物流が行えなくなってしまうのではという懸念もあります。
国際物流の低迷
パンデミックや世界情勢の変化により、国際物流の低迷が問題視されています。具体的には、パンデミックや世界情勢の変化により、航空機や船での輸入・輸出が行えなくなっています。この影響で輸入・輸出を主なサービスとしていた物流会社は、利益が出ず、最悪の場合倒産しているのが現状です。
燃料の高騰
前述したパンデミックや世界情勢の変化により、燃料の高騰が起こっています。燃料の高騰は、物流業界にとって大きな痛手となります。なぜなら、モノを運ぶためにはトラックや航空機、船を動かす必要があり、それらを動かすためには燃料が欠かせないからです。
結果的に物流にかかる燃料費が高まり、従来までのサービスでは、企業の運営が厳しくなることもあります。
個人向け配送の需要拡大と法人向け配送の需要低迷
ECサイトの規模が拡大したことで、個人向け配送の需要が拡大し、法人向け配送の需要が低迷しています。個人向け配送の需要が高まることは物流業界にとって良いことではありますが、前述したように深刻な労働者不足が発生しています。また、個人向け配送は基本的に少ない数を多く運ぶ必要があるため、ドライバーの負担が多いです。
配送とECの問題は「EC物流の課題である宅配クライシスとは?その内容と解決法を探る」でより詳しく説明しています。
物流業界の問題解決のために必要なこと
物流業界には、前述したようにさまざまな問題がありますが、その問題解決のために必要なことを解説します。
- 労働環境の整備
- 労働者不足の解消
- 国際物流の円滑化
- 環境にやさしい配送
- 個人向け配送と法人向け配送の分離化
労働環境の整備
過酷な労働環境の問題解決として労働環境の整備が必要です。ドライバーの長時間労働の原因として労働環境が整備されていなかったことが挙げられます。
しかし、働き方改革により、時間外労働に上限が設けられるため、長時間労働を改善する動きが高まっています。また、AIの活用により、配送ルートの最適化や業務の自動化などの効率化が図れます。このように、労働環境の整備と最先端技術の融合により、ドライバーの負担軽減が実現されつつあります。
労働者不足の解消
深刻な労働者不足の問題解消として、IoTやAIによる業務の自動化を行うことで、人手不足を補えます。具体的には、商品の仕分け業務や梱包を自動化し、余った人手をドライバーに回すといった例があります。また、商品配送時のサインを自動化することで、ドライバー1人当たりが配送できる量が増え、労働者不足の解消につながります。
国際物流の円滑化
国際物流の低迷には、パンデミックや世界情勢の変化が関わるため、問題解決が困難な課題です。しかし、デジタル技術を活用することで、通関等貿易手続きのデジタル化やコストの低減などが図れます。
積極的にデジタル技術を取り入れ、業務のコスト削減や円滑化を図ることは今後も重要になってきます。
環境にやさしい配送
燃料の高騰により従来の配送コストでサービス展開が行えなくなってしまっていますが、電気自動車の開発を行うことである程度の問題解決を見込めます。大型トラックの電気自動車開発を行う企業も多く、今後環境にやさしい配送が実現する可能性があります。
個人向け配送と法人向け配送の分離化
ECサイトの普及により個人向け配送の需要が高まったことで、少量の荷物を多くの配送先へ配達しなければならなくなりました。
そこで、個人向け配送は小型の自動車で行い、法人向け配送(大量の商品を数カ所に配送するだけのもの)はトラックで、という使い分けをすることで、業務の効率化につなげています。
物流業界は今後どうなる
物流業界の今後については、以下の予測が立っています。
- 需要は高まる
- 物流のデジタル化
需要は高まる一方
物流業界は今後なくなるといわれていますが、需要は高まる一方です。その一因として、ECサイトの普及により、商品を購入しやすくなったことが挙げられます。ECサイトから購入した商品を消費者へ届けるため、物流業界は必要であり、なくなることはありません。
物流のデジタル化
現在の物流は人が行っていますが、IoTやAIを導入して物流のデジタル化がすでにさかんに行われています。倉庫内のロボット活用やドローンによる無人配送などがこれにあたります。
物流業界のデジタル化は「AIで物流は変わる?AI技術のメリット・デメリットを紹介」もあわせてご覧ください。
まとめ
まず、物流と運送の違いは、物流の業務の一部が運送ということになります。物流業界はECの発展などにより、今後も需要が高まる業界です。これまであまりよくないイメージを持たれているケースも多いとは思いますが、ロボットやドローンによる無人配送といった最先端技術を取り込むことにより、物流業界は今後ますます変革していくと予測されています。
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