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EC物流完全ガイド【2024年度版】:業務内容から選定ポイントを紹介

作成者: STOCKCREW(公式)|2023年07月05日

ECサイトの運営と物流の関係は非常に密接に絡み合っており、簡単に切り離すことのできない関係です。では、EC物流は他の物流と比較して何が特別なのでしょうか?

また、EC物流を行う、また、委託する上で重視すべき点は?ここではそういった疑問をひとつずつ整理しています。

EC物流とは?特異性と重要性

EC物流は「電子商取引の物流」の略で、通常はオンラインショッピングの物流プロセスを指します。これには、商品が電子商取引プラットフォーム上で販売されること、および商品が売り手から買い手に届くまでの過程が含まれます。オンラインショッピングの流れにおいて、EC物流は非常に重要な役割を果たします。なぜなら、取引を完了する上で欠かせない要素だからです。

ECサイトで注文された商品を買い手に届けるためには必ず、EC物流は発生します。注文の度に発生する物流を効率化することで物流コストが下がり、結果的に売上アップにつなげることも可能です。

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なぜEC物流が重要なのか?

EC物流は、ネットショッピングを行うために不可欠なプロセスであるため、その重要性は非常に高いと言えます。この物流プロセスにおいては、商品が購入者に届くまで、さまざまなステップが経なければなりません。これらのステップは、商品の梱包、出荷、配達、商品の管理などを含みます。また、物流プロセスは、商品が購入者の手元に届くまでの納期や配送料なども決定するため、顧客サービスにおいても非常に重要な役割を果たします。現在では、EC物流は、倉庫管理システムやツールを駆使して、よりスムーズかつ迅速な物流プロセスを実現することが求められています。

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販売物流としてのEC物流

販売物流は3つに分けることができます。実はつい最近までの販売物流の「動脈」と「静脈」という2種類の考え方でしたが、通販という新しい販売手法の登場により3つに細分化されました。

  1. 店舗物流
  2. EC物流(通販物流)
  3. 返品物流

店舗物流とEC物流は同じ倉庫から発送され場合でも、業務内容は大きく異なります。例えば、店舗向けの商品はお店で陳列・販売・在庫保管できるため1SKU(1種類)の商品を発送する場合でも複数点発送をします。

一方EC物流は、1人のお客様が購入された商品を発送するのみのため、複数SKUを各1点づつ発送します。

商品の種類と点数の比率が異なるため倉庫内の作業プロセスも変わってくるのです。

EC物流でおさえるべき3つの特徴

EC物流の特徴を3点ほどまとめると、次のようになります。

  1. スムーズな物流プロセス: EC物流は、商品が購入者の手元に届くまでの一連の流れをスムーズに進めることが特徴的です。これは、顧客満足度の向上やビジネスの向上につながります。
  2. 配送スピードの早さ: EC物流は、商品を購入者の手元に届けるスピードを重視するため、高い配送スピードが特徴的です。これにより、顧客は商品をより早く受け取ることができ、顧客満足度が高まることが期待できます。
  3. 複雑な商品の管理: EC物流は、複雑な商品の管理をシステムで対応できるようになっています。例えば、複数のサイズやカラーを取り扱う商品などは、個々の商品を正確に管理する必要があります。これを実現するために、EC物流はさまざまなシステムや管理ツールを駆使して、商品の管理をスムーズに行うことができます。

ECの物流の最大の特徴は消費者に商品が直接届くことにあります。何を当たり前のことを?と思われるかもしれませんが、先に挙げた全ての物流の中で、最終消費者に商品が直接届く物流はEC物流だけです。他の全ての物流はbtobと呼ばれる企業間、事業者間の商品の移動であり、EC物流(btoc)だけが特別になります。この消費者に直接届けるという特徴が以下のようなことを物流現場で発生させ物流の難易度を増加させています。


スムーズな物流プロセス

スムーズな物流プロセスとは、商品が顧客の手元に届くまでの一連の流れが円滑に進められる状態のことです。この状態を実現するためには、様々な要素が重要になります。例えば、商品の出荷や配送業者との協力関係、在庫管理などが挙げられます。また、物流システムや物流管理ソフトウェアなどのツールを活用することで、よりスムーズな物流プロセスを実現することができます。スムーズな物流プロセスは、顧客満足度の向上やビジネスの向上につながります。

EC物流に対応する倉庫ではスムーズに商品購入から発送までを対応するため、ECショップと物流システムをAPI連携でつなぎ、タイムリーに注文情報を受信して出荷する機能を用意しています。API連携により、EC事業者も倉庫へ情報を連絡する手間もなくなり最適化することが可能です。

在庫商品が目まぐるしく変化する。("超"小ロット多品種)

本来、倉庫・物流センターの機能には「市場の変化に対する緩衝材」という意味合いがあります。急な需給の変化を倉庫に在庫を大量に保管することによって対応するために存在しているという意味合いです。

しかし、EC物流では倉庫自体が販売の最前線になるため、在庫を保管することよりもオペレーションの対応力がより重要になりました。

その結果、クラウドファンディング型のEC物流やインフルエンサー起用のEC物流などより在庫期間が短く、よりスピード感の求められる物流が増加し、倉庫内の在庫商品が目まぐるしく変化することが常態化してます。

商品の出入りが多いことにより、より商品管理は倉庫もEC事業者も難しくなります。EC物流対応の倉庫では、物流システムにより商品管理しその情報を利用者のシステムへ連携することまで可能にします。

 

物流の品質がサービスの品質になる。

btob物流のように販売拠点を経過せずに直接商品が消費者に届くことにより、ECでは物流が最後の顧客接点になります。その結果、誤出荷や個人情報管理のエラー等の直接的な品質事故はそのままサービス全体の品質に悪影響を与えます。

また、そういった事故だけではなく、梱包状態や納期の正確性もサービス全体にポジティブにもネガティブにも強い影響を持つことになります。そのため、EC物流では他の物流と比較して納期回答の正確性が求められ、細やかなギフト対応など他の物流にはあまり見かけないサービスが必要になります。

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EC物流の倉庫内の流れ

ここまでEC物流の物流業界での区分とその特徴を見てきましたが、ここでは具体的な業務内容を見ていきます。

物流の業務は大雑把に分けると構内物流・輸配送物流に分けられ、EC物流もこの二つに分けて説明します。

  1. 倉庫・物流センター内の構内物流業務
  2. 在庫拠点から消費者・またはその指定地までの配送業務

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倉庫・物流センター内の構内物流業務

EC物流でも基本的な物流業務の工程は変わりませんが、その内容において特色がありますので、そちらを説明していきます。

  1. 入荷業務
  2. 入庫業務
  3. 出庫業務
  4. 出荷業務
  5. 在庫管理業務
  6. 付帯作業・流通加工業務

入荷業務

EC物流の入荷業務は複数の事業者からの入荷を一手に受ける必要があります。ネットショップの開設が容易になり事業者の数が増加する反面、1事業者毎の規模は年々縮小傾向であり、そのため、複数の荷主の商品を管理する必要が倉庫側で発生しています。ここで行われる業務は以下の確認です。

  1. 所有者の特定
  2. ユニークな商品コード貼付
  3. 数量の確認

入荷と入庫の違い

入荷と入庫は物流業務のなかでは厳密に意味が異なります。入荷は倉庫に商品が到着することで、入庫は倉庫内の適切な保管場所に格納することを指します。

EC物流の場合、在庫商品が目まぐるしく変化するため、この適切を定義することが難しく、フリーロケーションという保管方法で保管されるのが一般的です。

 

在庫管理業務

EC物流の在庫管理は基本的には点数管理になります。通販は在庫欠品=売り逃しになりますので、即、消費者のロイヤリティ低下につながってしまいます。僅少在庫ほど在庫管理の重要性が増すことになります。

 

出庫業務

出庫は保管場所から商品をピッキングし検品場所まで搬出する行為を指します。見積書等では単に「ピッキング」と呼ばれる行為です。EC物流では在庫が点数管理されておりますが、この時点で作業単位(作業をひとまとめに行うグループのこと)でピッキングするか、受注オーダー単位で行うかの2通りのピッキング方法があります。

  1. 作業単位:トータルピッキング
  2. 受注オーダー単位:オーダーピッキング

出庫と出荷の違い

出荷業務では正しく商品が出荷されているかを検品し、検品した商品を梱包、納品書同梱を行い、送り状を貼付し出荷されます。EC物流での出荷業務は個人情報の取り扱いが現場レベルで行われるのでこの作業工程や作業現場の管理は厳格に行われる必要があります。

EC物流では出荷検品をバーコードスキャナで読み取り正誤判定するスキャン検品が広く使われています。

付帯作業・流通加工業務

ネットショップの付帯作業は他の物流の養生とは異なり、販売目的で行われることは多いのが特徴です。特にブランディングのために行われるギフトラッピングや購入者と送付先が違う場合の納品書の修正などは通販特有の付帯作業だと言えます。

 

配送の業務集荷業務

次にEC物流の輸送・配送業務の特徴を見ていきましょう。

  1. 輸送業務
  2. 配送(配達)業務

輸送業務

EC物流の輸送業務は従来のbtob物流と差はほとんどありません。倉庫・物流センターへ配送会社が集荷を行い、集荷拠点へ出荷物を集約します。

基幹店と呼ばれる集約拠点で集約された出荷物は方面別仕分けを行い、各地方の基幹店へと輸送されます。配達側の基幹店では配達店別仕分けが行われ、配達店へと輸送されます。便種によって差はありますが、関東発の出荷物を北海道、四国、中国、九州を除く地域であれば、集荷から配達店までの輸送を、当日18時~翌日の明朝までに完了させます。

 

配送業務

配送業務は配達店へ日本中から集められた商品を配送ルート別に仕分け、配達車両に積み込まれ行われます。ヤマト運輸や佐川急便が代表例いなります。

EC物流ではこのラストワンマイルと呼ばれる業務の比重が大きく、従来の拠点間の物流と比較すると工数が増加します。拠点間物流であれば、「不在」ということはほとんどあり得ませんが、ECでは頻繁に発生し再配達問題という社会問題にまでなっています。

 

EC物流を行っているのはどんな企業?

EC物流を行っている企業は多数ありますが、ここでは代表的な企業をいくつか紹介します。各社、それぞれの特徴があるので、選定にあたっては、自社のサービス内容とマッチしたEC物流を選ぶようにしましょう。意外と忘れがちなのが、EC物流企業の倉庫の場所。送料を考えた場合、なるべく関東や甲信越にある倉庫から発送する企業を選ぶのがベターです。

そのほか、EC物流企業の詳細については「EC物流企業ランキング!選定基準やおすすめサービスを比較【2023年版】」で紹介していますので、ぜひこちらも合わせてご確認ください。

 

株式会社STOCKCREW

入荷から出荷まで一貫したサービス提供をしており、初期費用、固定費、システム利用料なしという非常にシンプルな料金体系が特徴です。

過去4回の値下げを実施しお客様の物流コストダウンを実現し続けています。

 

ディーエムソリューションズ株式会社(ウルロジ)

少ロットでも対応可能なオンライン完結型のEC物流を提案しています。オリジナルダンボールの作成など物流だけではなくマーケティングサービスまで提供しています。

ディーエムソリューションズ株式会社

 

株式会社イー・ロジット

関東圏と関西圏に8か所、床面積の合計200,000平米弱におよぶフルフィルメントセンターを有する3PLで、とくにアパレル・健康食品・化粧品では高い支援実績があります。

株式会社イー・ロジット

 

EC物流は自社と他社どちらで行うべきか?

では、実際にEC物流を行うにはどうしたら良いのでしょうか?大きく分けると3つの方法があります。

  1. 自社発送
  2. 発送代行

自社発送

自社発送は自社の商品を自社の施設・人員で出荷する方法です。多くのスタートアップがそうであるようにEC事業開始時点ではどのような規模感まで成長するか確かではなく、まず自社のリソースを利用して始める物流として自社発送を行うのが一般的です。

  1. 事業が成長し、発送業務の比重が重くなってきた。
  2. 発送個数が少なく、配送会社と有利な契約が結べなかった。
  3. 自社発送の管理とは切り離して一時的に別の方法で出荷したい。

自社発送を行う中で上記のような課題が出てきた際に利用するのがEC物流の発送代行になります。

 

発送代行

発送代行とはネットショップ運営者向けの入荷から出荷、輸送、配送、在庫管理を物流会社が代行するサービスです。発送代行を利用するメリットには以下のようなものがあります。

  1. 誤出荷の減少と在庫確認精度を向上できる。
  2. ネットショップの成長を維持する出荷キャパシティの確保できる。
  3. 発送業務のコストが利用した分だけのコストにできる。(変動費化)

物流のコストに関しては「物流ABCとは?物流担当者必見!基本から算出方法まで解説」も併せてご確認ください。

また、発送代行は個人オーナーのECショップでも十分にご利用いただけます。とくにSTOCKCREWは固定費ゼロで始められるようになっています。

発送作業=物流はショップ運営にはあまり影響を及ぼさないのでは?と考えられるかもしれませんが、質の高い発送はショップの強みにもなるのです!こちらに関しましては、ぜひ「ブランディングがECサイトの生き残るカギ!CS向上に物流にも影響」からご確認ください。

なお、STOCKCREWにもさまざまな発送代行を提供する会社があります。その中から大手7社にしぼって特徴やサービスを「EC物流を積極的に活用するには?大手物流会社7社のサービス解説」にて紹介しています。

EC物流業界の社会問題

ここまでEC物流の概要と業務内容を説明しましたが、ここでは現状のEC物流の課題について説明します。

  1. ラストワンマイル問題
  2. 労働人口問題

ラストワンマイル問題

EC物流と言えば、この問題を説明せずには通れません。ラストワンマイル問題は「宅配クライシス」という言葉で2017年頃から一気に社会に認知されることになりました。この原因については種々言われているところがありますが、本質的には従来の配送スキームでは現在のEC市場の拡大を支えるのに限界があったということです。主な原因としては以下の通りです。

  1. EC市場の急拡大によるドライバー不足
  2. 再配達の増加
  3. モールの寡占化による荷主側の交渉優位

3つ目のモールの寡占化とはamazonに代表されるようなマーケットプレイス側が寡占化されることにより規模の経済が大きくなりすぎて価格交渉における有利な地位が磐石となることで配送会社側の収益が圧迫されるという状況です。

 

労働人口問題

ラストワンマイル問題におけるドライバー不足はEC市場の急拡大というきっかけがあり労働力が一気に不足したというものでした。ただ、物流業界全体で見ても慢性的な労働力不足になっており、サービス提供の継続が困難になるという事例も発生しています。主な原因としては以下の通りです。

  1. 物流業界全体として設備投資が遅れ、人海戦術に頼ったオペレーションが続いたこと。
  2. EC市場の拡大により従来より細かい作業が発生し、人員増加を余儀なくされたこと。
  3. そもそも就業年代の人口が減少し、ブルーカラー敬遠の風潮が拍車をかけたこと。

物流業界は荷主との契約を中心に事業を考える風土があり、自社で積極的に生産性の向上を目的とした投資を行うことが敬遠されてきた歴史があります。その結果、いざ労働人口が不足した現在時点において苦戦を強いられているということが言えます。

こうした物流業界の課題や解決策については「EC物流の課題である宅配クライシスとは?その内容と解決法を探る」でさらに掘り下げています。興味がある方はぜひご一読ください。

そして、こうした課題の克服にはIT技術の導入・利用が欠かせません。また、貴社のEC業務において発送作業も同時に行っていた場合、こうした諸問題によって生じるリスクやコスト面で考えた場合、発送業務は発送代行会社にアウトソーシングしてしまうのが広義のコスト削減という点では有利になります。その点につきましては「EC物流の課題と改善点・物流代行について解説」で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

まとめ

EC物流完全ガイドとして、EC物流の概要、業務内容、課題を説明してきました。あくまで概論のため、詳細はかなり省いて説明しておりますが、ここに記載されている内容を把握しておくだけで、EC物流の変化を理解できると自負しています。

さらなるEC物流・発送代行について知りたい方はSTOCKCREWにお気軽にお問い合わせください!