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物流DXとは?課題や4つの導入事例を紹介

物流DXとは?課題や4つの導入事例を紹介

デジタル技術で業務上の問題を解決する「DX」と物流を組み合わせた物流DX。この組み合わせによってどのような効果が生まれるのでしょうか?今回は物流における問題とそれを解決するためのデジタル技術について解説します。

目次

物流DXとは?

まずDXは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、デジタル技術で業務上の問題を解決したうえで、さらに新たなビジネスモデルを創出することを表しています。

物流+DXつまり「物流DX」は、機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革し、他産業に対する物流の優位性を高めるとともに、我が国産業の国際競争力の強化につなげる、と国土交通省が定義しています。

そして、具体的に「既存のオペレーションを改善・働き方改革を実現」「物流システムの企画化などを通じ物流産業のビジネスそのものを革新」という2つの目標を挙げています。そのために幹線輸送の自動化・機械化(自動トラック、自動運航船の試験運用)や倉庫内の自動化(ロボットによるピッキングなど)、ドローンでの配送といった「機械化」と、手続きのデジタル化などITやIoT技術を使って物流をデジタル化することにより、情報やコストなどの「見える化」を図り、さらに作業プロセスを「単純化・定常化」することも紹介しています。

こうした流れは試験段階のものもありますが、実用化されているものもあります。弊社の例として挙げるならば、倉庫内でのピッキングにロボットを活用しています。ロボットという「機械」とそのロボットを動かすためのプログラミングによって、ピッキングという作業を「単純化・定常化」しています。この取り組みはわかりやすい弊社の「物流DX」のひとつの事例です。

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物流DXの推進にはどのような取り組みが必要か?

物流DXの推進には先に紹介したように「機械化」と作業プロセスの「単純化・定常化」が必要となります。ここではそれぞれについてもう少し詳しく解説します。

まず、機械化に関してですが、自動トラックや自動運航船を「自動」で動かすときに鍵を握るのが「AI」や「IoT」といった技術です。自動トラックに関しては、AIを使ったトラックの後続車無人隊列走行技術、そして自動運航船は船員をAIが行動提案によってサポートする技術が開発されています。このほかにもドローンによるいわゆる「ラストワンマイル」問題を手助けする輸送が挙げられます。

作業プロセスの「単純化・定常化」についてはITを使った倉庫内の管理システムがまずは具体例として挙げられます。このシステムは在庫管理のほかにも従業員のシフトをAIで自動的に作成し、モノ・ヒトの管理を効率化するというものです。そして、さきほど紹介したピッキングロボットのような走行内を自走するロボットの以外にも据え置きタイプの仕分けロボットも登場しています。

ちなみに、倉庫内で働く機械やロボットは物流業界では「マテハン」という略語で呼ばれています。このマテハンについては「マテハンと物流現場についての解説!」でさらに詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

なぜ物流DXが求められるのか?物流業界の課題

まず挙げられる課題は労働力の不足です。これに関しては物流業界だけに限った話ではありませんが、厚生労働省のデータからはとくに運輸業ならびに郵便業といった、いわゆる物流業界での労働人口不足は顕著になっています。単に労働人口が減っているのに加え、その中の年齢層が高くなっているのも懸念材料のひとつになっています。若年層の定着率が低くなっている点も問題になっています。

続いての課題は、小口宅配の増加です。この課題はEC、ネット通販の普及によってより顕在化したものと言えるでしょう。ネット通販が広がる前の2005年はおよそ30億個だった年間の宅配貨物は、15年後の2020年には45億個を突破。そして2025年にはほぼ確実に50億個の突破が見込まれています。2005年からの15年で150%増というこれまでにないスピードで宅配貨物が増えているのです。個数が増えれば仕分けや配送の手間も増えます。しかし、それをさばく人員が不足している、という悪循環に陥っています。

宅配についての問題点などは「EC物流の課題である宅配クライシスとは?その内容と解決法を探る」にて、さらにまとめています。

さらに、これだけの宅配貨物が増えているため、倉庫不足という状況にもつながっています。あちこちで倉庫の新設も始まっていますが、まだ倉庫の空室率は過去最低という状況になっています。

こうした状況を打破、課題を克服するための方法として、これまでに紹介した物流DX、物流の機械化や作業プロセスの単純化・定常化が求められているのです。

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物流DX実現で解決できる問題

人手不足、倉庫の空き問題といった物流が抱える問題は、物流DXでどのように解決を図れるのか?その一例を紹介します。

すでに紹介しているトラックの自動隊列走行自動運航船によって、幹線輸送を行い、そして物流拠点からエンドユーザーの手元に届けるいわば最終配達区間、いわゆる「ラストワンマイル」をドローンで運ぶ実験が盛んに行われています。こうした物流の機会化は省力化、つまり人手不足解消の一助になります。

また、倉庫の空きがシビアになっている状態に関しては、倉庫内の管理作業、運搬や仕分け、そしてピッキングといった一般的な作業をIT、AI、IoTの力を借りて自動化や機械化することによって作業効率を高められます。これは、無駄な在庫の減少にもつながるため、限られたスペースを効率的に使えるようなります。

細かい部分ではありますが、物流、輸送や倉庫への収受に関するペーパーレス化、電子化を進めて業務負担やコストの削減といった取り組みも行われています。

さらに、全体を通して勤務管理や輸送に関するシステムを導入して多くの業務を効率化することで、労働環境の改善を図れるようになります。

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物流DX導入事例1:株式会社日立物流

物流DX 事例

IoTを用いて輸送を担う業者の業務効率化から事故の撤廃を支援するサービス「SSCV(Smart & Safety Connected Vehicle)」を開発した株式会社日立物流。

SSCVでは車両のみならずドライバーの状態をセンサーで監視し、AIで分析。これによってなにか問題があればリアルタイムで運行の管理者などに警告を発信して未然に事故を防げるようにしています。ほかにも、車両の管理や整備実績をデジタル化して管理工数を削減。これによって車両稼働率の向上を図っています。このほか、SSCVにて得たデータを協業企業と共有し、新たなビジネスや社会問題の解決につなげるとしています。

 

物流DX導入事例2:CBcloud株式会社

物流DX 事例

CBcloud株式会社では「PickGo」という、運送会社とフリーランスドライバーをつなぐ配車サービスを提供しています。

これまで、運送業界では荷主からフリーランスドライバーへ配送依頼する場合、いくつもの業者が仲介することとなり、フリーランスドライバーの報酬は荷主が払った金額からするとかなり少なくなってしまっていたのが常態化していました。しかし「PickGo」では荷主、運送会社とフリーランスドライバーを直接結ぶことによって中間マージンを省けるため、フリーランスドライバーの収入増加が見込めるようになりました。

ドライバーサイドのメリットだけではなく、荷主や運送会社側にも必要なときにそれに応じた車両、ドライバーを確保できスムーズな配車が行える、というメリットが生じています。また、どのドライバーでも効率のよい配送ルートを辿れるLAMSというシステムも開発し、業務効率の改善も実現しています。

 

物流DX導入事例3:日本郵船株式会社

物流DX 事例

日本郵船株式会社は、自動車専門の輸送船の運航スケジュールを策定するシステムを導入しています。寄港地、そのときに積み下ろしをする台数などの条件がさまざま変化するため、正確な運航スケジュールの策定は難しいものでした。しかし、このシステムの導入によって数十万単位でのシミュレーションを短時間で行い、最適な運航スケジュールを効率よく算出できるようにしています。

効率的な運航スケジュールは業務の改善のほか、温室効果ガスの排出の抑制にもつながるため気候変動に対応したサービスとしても注目されています。

 

物流DX導入事例4:株式会社オプティマインド

物流DX 事例

株式会社オプティマインドが提供するのは、配送業者が誰でも簡単に最適な配車計画を作成できるサービス「Loogia(ルージア)」です。Loogiaは先ほども紹介した小口配送の増加によって出てきた「ラストワンマイル」問題を解決しようとするものです。

ビッグデータの解析から独自技術の組み合わせ最適化や統計処理を行うことによって高精度な経路検索を誰でも行えるようにしました。その結果、配送コース数の削減、ドライバーの稼働時間の圧縮を実現しています。

まとめ

労働人口の減少とECショッピングの普及による小口配送の増加など、物流業界における問題はさまざまありますが、その解決策として「DX」を物流と結びつける動きが加速化しています。

デジタル化によって業務の効率化を図るだけではなく、産業として他国との競争力をつけるという側面もある物流DX。まだ実験段階だったり始まったばかりの取り組みではありますが、物流DXは現実のものとして少しずつ始まっています。今後、この流れはさらに加速していくのは間違いないでしょう。

STOCKCREWでも倉庫内作業、ピッキング作業にロボットを導入したり、ITによるシステムを活用し、DXを進めています。これにより、コスト削減も実現して競争力の高い価格でサービスを提供しています。そうしたことも含め、不明点などございましたらお気軽にお問い合わせください。

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