今日の物流業界において、ロボットは労働力不足を補い、効率化を推進する重要な存在となっています。この記事では、物流現場で稼働するロボットとその実力に焦点を当て、その先端技術と未来への可能性について紹介します。ロボットがどのように業界の新たなスタンダードを設定しているのか、ぜひご一読ください。
目次
物流のロボットとは?
物流ロボットとは、倉庫作業員が担当している単純作業を代わりに担当してくれるロボットのことです。例えば、「仕分け作業」「ピッキング作業」「検品作業」などです。
また、物流ロボットの種類は豊富で、ひとつつひとつの作業を完結させられるロボットから作業員の業務を簡略化するために一部業務をサポートできるロボットまであります。物流ロボットを導入することで、人件費の削減や業務の効率化、業務精度の向上などさまざまな効果があります。
物流ロボットと自動倉庫の違い
物流ロボットと似ている役割として「自動倉庫」があります。「自動倉庫」は、倉庫全体の単純作業を機械が自動で進めるというものです。
物流ロボットと「自動倉庫」の大きな違いは、カスタム性があるか、無人化できるかです。「自動倉庫」は決められた作業をこなすために作られます。そのため、カスタム性はなく、使用用途が決まってしまいます。しかし、作業効率はとても良く、自動倉庫では機械のメンテナンスのみで維持できます。
一方で、物流ロボットは倉庫作業員のサポートがメインになります。そのため、倉庫内に作業員が必要不可欠となります。しかし、物流ロボットはカスタマイズ性に優れているため、これまで使用していた材料や配置を変更したい場合でも柔軟に対応できるのが利点です。
物流で役立つロボットの種類
物流で役立っているロボットの種類は以下の3つです。
- 「AGV(Automatic Guided Vehicle)」:無人搬送型ロボット
- 「AMR(Autonomous Mobile Robot)」:自律走行型ロボット
- 「GTP(Goods to person)」:棚搬送型ロボット
「AGV(Automatic Guided Vehicle)」
「AGV」は、無人搬送型ロボットのこと。事前に決められたマニュアルに従って自動で物流倉庫内を動きます。担当業務はおもに資材の運搬で、モノを運ぶ作業が多い倉庫で重宝される物流ロボットです。「AGV」では、決まったレーンでしか移動ができないため、障害物が走行レーン上にある場合は、避けられず停止してしまうというマイナス面があります。
「AMR(Autonomous Mobile Robot)」
「AMR」は自律走行型ロボットで、自身で加速・ブレーキなどの走行操作を判断できます。「AMR」は倉庫内のマップを理解して障害物を避けるなど、状況に合わせて臨機応変に対応できます。物流倉庫全体を自分の判断で移動してほしい場合は、「AGV」よりも「AMR」のほうが適しています。
当社でもAMRを利用して倉庫内作業を効率化しています。当社の利用状況は「STOCKCREWとは?我々の内側全部見せます!倉庫編」でも紹介しています。
「GTP(Goods to person)」
「GTP」は棚搬送型ロボットのことです。この「GTP」は、作業員のピッキング作業などの業務効率化を手助けします。GTPのおもな役割は、ピッキング対象商品などを保管場所から作業場所まで自動で運び出し、ピッキング作業が終わった商品を元の保管場所に戻してくれるところまでサポートすることです。
高所に保管してある商品の取り出しや戻しを代わりにしてくれるため、倉庫作業員の安全性や作業効率の向上にもGTPは一役買います。
物流にロボットを導入するメリット
物流にロボットを導入するメリットとして以下の3点が挙げられます。
- 倉庫内作業の効率化
- 精度の高い作業に期待できる
- 人件費の削減
倉庫内作業の効率化
ロボット導入によって倉庫内作業の効率化を期待できます。保管場所から作業場までロボットが材料や商品を運んだり、完成した商品を次の工程への移動を無駄なく行えるのがその理由です。
人件費の削減
物流ロボットを導入によって人員を減らせるため、人件費の削減につながります。倉庫の規模が大きく倉庫内作業員を多く雇っている企業ほど、物流ロボット導入によってトータルでのコストダウンに期待が持てます。
精度の高い作業に期待できる
ロボットは人間よりも正確に作業をこなせるので、設定した手順に沿って作業を進めるため、ダブルチェックやミス修正などの手間が省けます。また、教育コストがかからないため時間の節約にもなります。
物流ロボットを導入するデメリット
一方で、物流ロボットを導入するデメリットとして以下の2つが挙げられます。
- 導入・維持費用がかかる
- 物流現場の環境を変える必要がある
導入・維持費用がかかる
物流ロボットのデメリットは、やはり導入・維持にコストがかかることです。物流ロボットの導入費用は数十万〜数千万円と幅広く、ロボットの性能や機能によって大幅に変動します。
【ロボット導入費用例】
・産業用ロボット本体:300~500万円
・エンドエフェクター・ロボットの架台:200万円~
・ビジョンセンサーやレーザーセンサー:20万円~
・安全対策:300万円~
また、物流ロボットが故障してしまうなどの維持費がかかることも考慮しなければなりません。そのため、物流ロボットを導入する際は、導入コストを何年で回収できるか計算しておく必要があります。
物流現場の環境を変える必要がある
物流ロボットを新しく導入すると、物流現場の環境を変えることにもなります。現場内のレイアウト変更はもちろん、既存社員に対して物流ロボットの扱い方や、設定方法などマニュアルを覚えてもらう必要があるというように、モノ・人ともに環境を変えなければなりません。
物流ロボットの具体例
最後に、各メーカーが提供している代表的な物流ロボットを紹介します。
シリウスジャパン株式会社の自律移動型ロボット
中国・深センに本部を置くSyrius Roboticsの日本子会社であるシリウスジャパン株式会社では、最先端のロボット技術とAIを組み合わせた自律移動型ロボット(AMR)を提供しています。
シリウスジャパンの自律移動型ロボットの特徴は、倉庫内のレイアウト変更などを行わずに現状のままで導入できる点です。また、ロボット以外のインフラへの投資も不要で、最短2時間ほどで設置が完了するという点も大きな特徴として挙げられます。
そのほかにもこのロボットを扱う人員に対するトレーニング時間が短く済むなど、ロボットが納品されたらすぐに稼働できるのがメリットです。そして、繁閑に応じて台数を調整できるなど、現場のニーズに応える点を多く持っているのがセールスポイントとなっています。
なお、STOCKCREWの物流倉庫(Sugito Dock)にてこちらのロボットが活躍しています。
Clearpath社の「OTTO(オットー)」
Clearpath社は、自動走行型搬送ロボットの「OTTO」を提供しています。「OTTO」は、周囲の環境を分析し、現在の倉庫内状況から最適なルートを自分で導き出します。大型搬送用であれば最大搬重量は1,900㎏と、重量物の搬送が可能です。
まとめ
物流ロボットは、倉庫内の人員削減や作業精度の向上など、さまざまな点において役立ちます。物流ロボットは「AGV(Automatic Guided Vehicle)」:無人搬送型ロボット「AMR(Autonomous Mobile Robot)」:自律走行型ロボット「GTP(Goods to person)」:棚搬送型ロボットの3種類に分けられ、それぞれニーズに応じた作業内容をこなします。
ロボット導入にあたってはコストがかかりますが、人件費の削減につながるので長期的なスパンで見ればコストの抑制を期待できるほか、作業の正確性、従業員の安全性の確保といったメリットがあります。
STOCKCREWではロボットが活躍し、作業の効率化=コストダウンにつなげています。コストが下がるということは、お客様に負担いただく分も減る、ということになります。ネットショップ、ECサイトの発送作業にお悩みなら、お気軽にお問い合わせください。