自動運転トラックの幹線輸送で連携が加速|三菱地所・TRC・NANKAIの共同検討とEC事業者への影響
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2026年7月13日、三菱地所・東京流通センター(TRC)・NANKAIの3社が、自動運転トラックなどの次世代モビリティを活用した「物流施設間連携」の共同検討に着手すると発表しました。同じ日に三菱地所は、国土交通省の令和8年度「自動運転トラック実装支援事業」への採択も公表しています。ニュースの主役は不動産・施設開発の会社ですが、これは中堅EC事業者にとっても他人事ではありません。幹線輸送が自動化されれば、そのコスト構造の変化は、いずれ送料やリードタイムというかたちで自社に返ってくるからです。本記事では、何が始まったのかを整理し、EC事業者が今から備えるべきことを、発送代行の活用も含めて解説します。
何が始まったのか:3社の共同検討と国の後押し
発表の要点
三菱地所・TRC・NANKAIの3社は、幹線輸送とラストマイル輸送の接続効率を高めることで物流全体を効率化しようと、共同検討に着手することで合意しました。具体的には、TRCが保有する東京・平和島の物流施設、NANKAIが保有する東大阪・北大阪流通センター、三菱地所が「ロジクロス」シリーズとして展開する物流施設、そして開発中の高速道路IC直結型の次世代基幹物流施設などを連携させ、主要都市を結ぶ物流ネットワークをつくることを目指すものです。
あわせて三菱地所は、国土交通省の令和8年度「自動運転トラック実装支援事業」に採択され、自動運転トラックに対応した物流施設内の車両誘導・施設内状況把握システムの構築・実証を開始すると発表しました。加えて、同時期にはアイリスオーヤマやT2などが自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせた輸送実証を進めるなど、幹線の自動化に向けた動きが同時多発的に立ち上がっています。単発の実験ではなく、施設・車両・国の制度が足並みをそろえ始めた、という点に今回のニュースの意味があります。
| 動き | 主体 | 内容(2026年7月) |
|---|---|---|
| 物流施設間連携の共同検討 | 三菱地所・TRC・NANKAI | 幹線とラストマイルの接続効率化。主要都市を結ぶネットワーク構築 |
| 施設内の車両誘導システム実証 | 三菱地所 | 国交省「自動運転トラック実装支援事業」に採択 |
| 幹線×貨物鉄道の輸送実証 | アイリスオーヤマ・T2ほか | 自動運転トラックと鉄道を組み合わせた輸送 |
なぜ「幹線の自動化」がいま急がれるのか
幹線輸送とは、倉庫と倉庫、あるいは地域と地域を結ぶ長距離の大量輸送のことです。私たちが普段目にする「玄関先まで届ける」ラストマイルの手前で、荷物を都市間で運ぶ工程を指します。この幹線が、いま最も深刻な人手不足に直面しています。背景にあるのは、トラックドライバーの時間外労働に上限規制が課された「2024年問題」です。国土交通省は、何も対策を講じなければ輸送力が構造的に不足すると試算しています。
「関する法律が2024年4月から適用される一方、物流の停滞が懸念される『2024年問題』に直面。何も対策を講じなければ、2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力不足の可能性。」
出典:国土交通省「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」資料
「人を増やす」以外の解が必要になった
この34%という数字が意味するのは、需要が今のままでも、運ぶ人が足りなくなるという構造です。賃上げでドライバーを確保する努力は続いていますが、それだけでは埋まらない。だからこそ、長距離を定速で走り続ける幹線輸送は、自動運転や貨物鉄道との組み合わせによる「省人化」の効果が最も大きい領域として、集中的に取り組まれています。下図は、荷物が生産地から消費者に届くまでの流れの中で、今回の自動化がどの区間を狙っているかを示したものです。幹線(施設間)を自動化・省人化し、その分の人手を、自動化が難しいラストマイルに振り向ける——これが全体の設計思想です。
今回、不動産・施設側が主導している点も重要です。自動運転トラックは、ただ道路を走るだけでなく、施設に入り、荷物を積み替え、また出ていく必要があります。この「施設内の動き」まで含めて設計しなければ、幹線の自動化は完成しません。高速道路ICに直結した施設や、施設内の車両誘導システムの実証は、まさにその"つなぎ目"を整える取り組みです。
EC事業者にどう波及するのか:送料とリードタイム
「自動運転トラックの幹線輸送」と聞くと、大手物流会社や不動産会社の話であって、自社には関係ないと感じるかもしれません。しかし、幹線は物流コストの土台です。土台が変われば、その上に乗る送料もリードタイムも動きます。EC事業者への波及は、短期・中期・長期の3つの時間軸で考えると整理しやすくなります。
3つの時間軸で見る影響
短期的には、直接の影響はほとんどありません。実証段階であり、明日から送料が下がるわけではありません。ただし、幹線の人手不足がすぐ解消するわけでもないため、当面は運賃上昇圧力が続くという前提は変わりません。中期的には、幹線が省人化されることで、これまで人手不足で維持が難しかった長距離・地方向けの輸送網が安定し、リードタイムのばらつきが小さくなる可能性があります。長期的には、幹線コストの構造的な低下が、送料の抑制やサービス水準の向上として、EC事業者にも還元されていくと期待されます。
| 時間軸 | EC事業者への影響 | 取るべきスタンス |
|---|---|---|
| 短期(〜数年) | 直接の変化は小さい。運賃上昇圧力は継続 | 値上げ前提で送料原価を管理 |
| 中期 | 幹線の安定化でリードタイムのばらつき縮小 | 拠点配置・在庫の置き方を見直す |
| 長期 | 幹線コスト低下が送料・サービスに還元 | 柔軟に届け方を切り替えられる体制に |
ここで大切なのは、EC事業者が自前で幹線輸送をどうこうしようとする必要はない、という点です。幹線は物流業界と国が総力を挙げて取り組む領域であり、個社が手を出す場所ではありません。EC事業者がやるべきは、その変化を前提に、自社がコントロールできる「在庫の置き方」と「届け方の柔軟性」を整えることです。
中堅EC事業者が今できる備え
幹線の変化に振り回されないために、中堅EC事業者が今から着手できる備えは3つあります。いずれも大規模な投資を必要とせず、自社の物流を"変化に強い形"に整えるものです。
備え①:出荷拠点を「消費地に近い」設計にする
幹線が安定しても、拠点から消費者までの距離が遠ければリードタイムは縮まりません。主要な需要地に近い倉庫から出荷できる体制にしておくことで、幹線の状況にかかわらず配送の速さと安定性を確保できます。自社で倉庫を増設するのは負担が大きいため、消費地近くに拠点を持つ発送代行を活用するのが現実的です。
備え②:在庫の置き方を柔軟にする
需要予測にもとづいて在庫を適切な拠点へ配置し、欠品と過剰在庫を抑える設計は、幹線が変わっても効いてくる基本です。在庫と需要予測の精度を高め、在庫回転を意識した運用に切り替えておくことで、輸送環境の変化に対する耐性が上がります。とくに幹線のリードタイムが読みにくい局面では、需要地の近くに一定の在庫を持っておくことが、配送の遅延や欠品といった機会損失を防ぐ最も確実な保険になります。逆に、幹線が安定して短納期での補充が見込めるようになれば、拠点あたりの在庫を薄くしてキャッシュフローを改善する、といった攻めの調整も可能になります。つまり在庫配置は、幹線の状況に応じて「厚くも薄くもできる」柔軟性そのものを設計しておくことが要点であり、自社の倉庫キャパシティに縛られずに調整できる点が、拠点を"使う"発想の大きな利点です。
備え③:届け方を切り替えられる体制にする
特定のキャリア・特定の届け方に固定されていると、環境変化のたびに影響をまともに受けます。複数キャリアを使い分けられるマルチキャリアの体制を、発送代行の仕組みを通じて確保しておけば、幹線・ラストマイルの双方で最適な届け方を選べます。STOCKCREWは初期費用・固定費0円、全国一律260円〜の配送料と自動化倉庫(AMR)による出荷体制で、こうした柔軟性を小ロットからでも利用できます(STOCKCREW完全ガイド)。なお、STOCKCREWが担うのは国内・常温の発送代行であり、幹線輸送そのものを運営するわけではありません。幹線は業界の進化に委ね、自社は「どこに在庫を置き、どう届けるか」で備える——この役割分担が、変化の時代における合理的な構えです。
まとめ:幹線は業界に任せ、自社は「在庫の置き方」で備える
三菱地所・TRC・NANKAIの共同検討と、国交省事業への採択は、幹線輸送の自動化・省人化が「実験」から「実装」へと段階を移し始めたことを示す動きです。背景には、2024年問題に象徴されるドライバー不足という構造的な課題があり、幹線を省人化してラストマイルに人手を振り向けるという全体設計が進んでいます。この変化は短期的には直接影響が小さいものの、中期・長期でリードタイムの安定や送料の抑制として、EC事業者にも波及していきます。
EC事業者が取るべきスタンスは明快です。幹線は業界と国に委ね、自社は「消費地に近い拠点からの出荷」「柔軟な在庫配置」「届け方を切り替えられる体制」という、自らがコントロールできる領域を整えること。これらは幹線がどう変化しても効き続ける普遍的な備えです。自社倉庫を増設せずに柔軟性を確保する方法は発送代行完全ガイドで、STOCKCREWの拠点・設備・料金はSTOCKCREW完全ガイドで解説しています。物流体制の見直しを相談したい方はお問い合わせから、費用感を先に把握したい方は資料ダウンロードからご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 自動運転トラックの幹線輸送は、いつから本格稼働しますか?
2026年7月時点では、実証・共同検討の段階です。三菱地所は国交省の令和8年度「自動運転トラック実装支援事業」に採択され、物流施設内の車両誘導システムの構築・実証を始める段階にあります。本格的な社会実装には段階的な時間がかかると見込まれます。
Q. 幹線輸送とは何ですか? ラストマイルとの違いは?
幹線輸送は、倉庫と倉庫、地域と地域を結ぶ長距離の大量輸送です。一方ラストマイルは、拠点から消費者の玄関先までの最終区間を指します。今回の自動化の主な狙いは、人手不足が深刻で省人化効果の大きい幹線区間です。
Q. なぜ不動産・施設開発の会社が主導しているのですか?
自動運転トラックは道路を走るだけでなく、物流施設に入って荷物を積み替え、また出ていく必要があります。この「施設内の動き」まで含めて設計しないと幹線の自動化は完成しません。高速道路IC直結の施設や施設内の車両誘導システムは、その"つなぎ目"を整える取り組みで、施設側が主導する必然性があります。
Q. 中堅EC事業者に直接の影響はありますか?
短期的には直接の影響は小さいですが、幹線は物流コストの土台であるため、中期・長期でリードタイムの安定や送料の抑制として波及していきます。当面は運賃上昇圧力が続く前提で、送料原価を管理しておくことが必要です。
Q. EC事業者は幹線輸送に自分で取り組むべきですか?
いいえ。幹線は物流業界と国が総力を挙げて取り組む領域で、個社が手を出す場所ではありません。EC事業者がやるべきは、消費地に近い拠点からの出荷、柔軟な在庫配置、届け方を切り替えられる体制づくりなど、自社がコントロールできる領域を整えることです。
Q. 発送代行はこの変化への備えになりますか?
なります。消費地近くの拠点からの出荷や複数キャリアの使い分けを、自社で倉庫を増設せずに利用できるため、輸送環境の変化に対する柔軟性を確保できます。ただし発送代行が担うのは国内・常温の出荷オペレーションであり、幹線輸送そのものを運営するわけではありません。幹線は業界に委ね、自社は在庫の置き方と届け方で備えるのが合理的です。
この記事の監修者
保阪涼子
株式会社KEYCREW 営業部長。物流会社で10年間、EC物流の現場担当・営業事務を経験し、EC・物流業界で通算10年以上のキャリアを持つ。STOCKCREWではサービス開始初期から商談を担当し、500社以上のEC事業者への導入支援を一貫して手がけてきた。YFF(Yahoo!フルフィルメント)移管時には1,000社超の顧客接点・フロー設計を主導。月間10万件以上の出荷管理に携わり、顧客の物流費を平均15%削減する成果を上げている。成約率50%を達成した営業手法には、「『売る』より『解く』」という顧客課題解決型のアプローチが根底にある。物流メディア(Logistics Today、ECのミカタ)へのインタビュー掲載実績も持つ。