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大手物流がBCP連携を始動|中小EC事業者が委託先選定で見るべき「止まらない物流」

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2026年7月13日 公開

この記事は約11分で読めます

大手物流がBCP連携を始動 アイキャッチ画像

地震・台風・大雨といった有事のたびに、物流は止まり、EC事業者は「届けられない」というリスクに直面します。そんな中、大手物流2社が「有事でも物流を止めない」ための連携に踏み出しました。セイノーホールディングス(HD)とAZ-COM丸和ホールディングスは2026年7月9日、「物流業界BCPネットワーク構想」を始動すると発表しました。本記事では、この動きの中身を紹介したうえで、中小EC事業者が自社のEC物流の"止まらなさ"をどう備えるか、とくに発送代行などの委託先選定で何を見るべきかを解説します。BCPは大企業だけの話ではなく、小さな事業者ほど一度の物流停止が経営に響きます。

この記事の内容

  1. 大手2社がBCPネットワーク構想を始動
  2. なぜ今「物流BCP」なのか
  3. 大手の連携がEC事業者に示すこと
  4. 中小EC事業者の委託先選定の視点
  5. "止まりにくい"出荷体制を持つ
  6. まとめ:BCPは委託先選定から始まる
  7. よくある質問(FAQ)

大手2社がBCPネットワーク構想を始動

コンベアラインが複数交差する出荷フロア全景(広角)
コンベアラインが複数交差する出荷フロア全景(広角)

有事でも物流を止めない相互支援

セイノーHDとAZ-COM丸和HDは2026年7月9日、災害などの有事が起きても物流を止めず、国民生活や経済活動を支えられるようにすることを目指す「物流業界BCPネットワーク構想」を始動すると発表しました。両社は2026年4月22日に物流ネットワーク連携に関する業務提携の基本合意書を締結しており、7月9日の発表はその具体化にあたります。構想では、有事を見据えた相互支援体制の構築や、平時からの共同訓練などが想定されています。

自治体との災害協定という土台

AZ-COM丸和HDは、東京都を皮切りに多くの自治体と災害時協定を締結してきており、全都道府県との締結完了を見込んでいると報じられています。過去には東日本大震災や熊本地震などで支援物資の輸送を担った実績もあり、こうした有事対応の知見をセイノーグループと共有していく方向性が示されています。一社では担いきれない有事の物流を、複数社のネットワークで支える——BCP(事業継続計画)を"業界の連携"で実現しようとする点が、この構想の特徴です。物流は、電気や水道と同じく社会を支えるインフラの側面を持ちます。平時は各社が競争していても、有事には協調して機能を維持する必要がある——今回の連携は、物流をそうした"社会インフラ"として捉え直す流れの一つといえます。競合同士が有事の備えで手を組むという事実は、それだけ物流停止のリスクが個社では抱えきれない大きさになっていることの表れでもあります。

セイノーHDとAZ-COM丸和HDは、災害などの有事が起きても物流を止めず、国民生活や経済活動を支えることを目指し、相互支援体制の構築や平時からの共同訓練などを含む「物流業界BCPネットワーク構想」を始動する。

出典:LNEWS「セイノーHD・AZ-COM丸和HD/BCPネットワーク構想、有事でも物流機能維持へ」

なぜ今「物流BCP」なのか

有事は「物流が止まる」ことと同義

近年、地震・台風・大雨などの自然災害が相次ぎ、そのたびに配送の遅延や集配停止が起きています。EC事業者にとって、物流が止まることは「商品を届けられない」ことと同義であり、売上機会の損失だけでなく、顧客の信頼低下にもつながります。とくに、在庫を一つの倉庫に集中させている、配送を一社に依存している、といった構造は、有事に弱いといえます。どこか一点が止まれば、出荷全体が止まってしまうからです。物流BCPとは、こうした「止まる」リスクをあらかじめ想定し、止まりにくく・早く復旧できる体制を整えておくことです。

小さな事業者ほど一度の停止が響く

BCPは大企業だけのものと思われがちですが、実際には体力の小さい事業者ほど、一度の物流停止が経営に大きく響きます。数日出荷できないだけで、キャンセルやクレームが増え、資金繰りにも影響します。大手が業界連携でBCPを強化する動きは、裏を返せば「有事の物流停止は、それだけ深刻なリスクだ」というメッセージでもあります。自社の物流が有事にどれだけ止まりにくいか——この視点を、平時のうちに持っておくことが重要です。

有事が物流を止め、ECに影響する構造 有事 地震・台風・大雨 物流機能が停止 集配停止・遅延 出荷できない 在庫が届かない 売上・信頼に影響 ▼ 「一点集中」をやめ、冗長性で止まりにくくする 拠点・在庫の分散 一つ止まっても 他でカバー 複数キャリア 一社依存を避け 配送を切替可能に 相互支援・広域網 有事に助け合える ネットワーク

大手の連携がEC事業者に示すこと

キーワードは「冗長性」と「広域網」

今回の大手2社の連携から、EC事業者が学べることは明確です。それは「冗長性(余裕・代替の効く仕組み)」と「広域網(広い地域をカバーするネットワーク)」の重要性です。有事に強い物流とは、どこか一つが止まっても別の経路で補える仕組みを持つ物流です。逆に、拠点も配送も一本化された物流は、平時は効率的でも、有事には脆くなります。大手ですら一社では担いきれないからこそ連携する——この事実は、規模の小さいEC事業者にとっても、「自社の物流に代替経路があるか」を問い直すきっかけになります。

有事に弱い物流・強い物流

下表は、有事に弱い物流と強い物流の要素を対比したものです。すべてを自前で完璧に備えるのは現実的ではありませんが、「どこにリスクが集中しているか」を把握し、可能な範囲で分散・代替の余地をつくっておくことが、有事の被害を小さくします。とくに、自社で倉庫や配送を抱えていない事業者は、委託先がこうした強さを持っているかどうかが、そのまま自社の物流BCPの水準になります。ここで大切なのは、「有事に強いか」は平時にはコストとして見えやすい点です。拠点を分散すれば固定費は増え、複数キャリアと契約すれば管理は煩雑になります。だからこそ、平時の効率だけを追うと冗長性は削られ、有事に脆い物流になりがちです。冗長性は「無駄」ではなく「保険」であり、その保険料をどこまで払うかは経営判断だと捉えると、委託先選びの見え方が変わってきます。

観点有事に弱い物流有事に強い物流
拠点一箇所に在庫を集中複数拠点・在庫分散
配送一社のキャリアに依存複数キャリアを使い分け
体制属人的・代替要員なし自動化・相互支援で継続
ネットワーク局所的で代替経路がない広域網で迂回・カバー可能

中小EC事業者の委託先選定の視点

委託先のBCPが自社のBCPになる

倉庫や配送を自前で持たないEC事業者にとって、物流BCPの多くは「委託先の体制」に依存します。つまり、発送代行や物流会社を選ぶ段階で、その事業者が有事にどれだけ止まりにくいかを見ておくことが、実質的な自社のBCP対策になります。料金やスピードだけでなく、拠点の分散状況、利用できる配送キャリアの数、繁忙・非常時でも出荷を回せる自動化・体制、そして情報連絡の仕組みなどを、選定の観点に入れておきたいところです。平時の効率だけで選ぶと、有事に弱い物流を選んでしまうことがあります。

確認しておきたい5つの観点

下図は、委託先の物流BCPを評価する際に確認しておきたい観点を整理したものです。すべてを厳密に満たす必要はありませんが、「一点集中になっていないか」「代替が効くか」という視点で委託先を見ると、有事に強い物流かどうかが見えてきます。契約前のヒアリングで、これらの点を質問してみるとよいでしょう。

委託先の物流BCPを評価する5つの観点 ① 拠点の分散 複数拠点・地域分散で 一箇所停止に強いか ② 複数キャリア 配送会社を使い分け 切替できるか ③ 在庫の分散 在庫を分けて置き 全損を避けられるか ④ 継続体制 自動化・相互支援で 出荷を止めない ⑤ 情報・連絡 有事の連絡・状況共有 の仕組みがあるか

"止まりにくい"出荷体制を持つ

自動化と複数キャリアで安定させる

有事に完全に止まらない物流は存在しませんが、「止まりにくく・早く戻せる」体制に近づけることはできます。そのために有効なのが、出荷オペレーションの自動化と、複数の配送キャリアを使い分けられる体制です。発送代行を活用すれば、こうした体制を自社でゼロから構築せずに得られます。STOCKCREWは初期費用0円・固定費0円で、AMR110台による自動化オペレーションを備え、ヤマト運輸・佐川急便など複数のキャリアを使い分けて出荷します。特定の人手や一社の配送に依存しない体制は、平時の効率だけでなく、繁忙期や不測の事態での安定性にも寄与します。

平時に備え、有事に差がつく

物流BCPは、有事が起きてから慌てても間に合いません。平時のうちに、在庫の置き方、使う配送手段、委託先の体制を見直しておくことが、いざというときの差になります。今回の大手2社の連携は、「物流は連携と冗長性で守る時代」に入ったことを示しています。中小EC事業者にとっての現実的な一歩は、自前で大がかりなBCPを構築することではなく、止まりにくい体制を持つ委託先を選ぶことです。自社の物流が有事にどれだけ耐えられるか、この機会に点検してみてください。委託先選定の観点は発送代行完全ガイドもあわせてご確認ください。

まとめ:BCPは委託先選定から始まる

セイノーHDとAZ-COM丸和HDが2026年7月9日に始動した「物流業界BCPネットワーク構想」は、有事でも物流を止めないための相互支援体制の構築を目指すものです。大手ですら一社では担いきれず連携する——この事実は、有事の物流停止が深刻なリスクであること、そして「冗長性」と「広域網」が有事に強い物流の鍵であることを示しています。倉庫や配送を自前で持たない中小EC事業者にとって、物流BCPの多くは委託先の体制に依存します。だからこそ、拠点分散・複数キャリア・継続体制などを委託先選定の観点に入れることが、実質的なBCP対策になります。BCPは、有事の準備であると同時に、平時の委託先選びから始まっているのです。

止まりにくい出荷体制を検討したい方は発送代行完全ガイドを、STOCKCREWのサービス全体像はSTOCKCREW完全ガイドをご覧ください。自社の物流体制の見直しはお問い合わせから、料金感の把握は資料ダウンロードからご確認いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q. セイノーHDとAZ-COM丸和HDのBCPネットワーク構想とは何ですか?

災害などの有事が起きても物流を止めず、国民生活や経済活動を支えることを目指す連携構想です。2026年7月9日に始動が発表され、有事を見据えた相互支援体制の構築や平時からの共同訓練などが想定されています。両社は同年4月22日に業務提携の基本合意書を締結しています。

Q. なぜ物流BCPが重要なのですか?

地震・台風・大雨などの有事が起きると物流が止まり、EC事業者は商品を届けられなくなります。これは売上機会の損失だけでなく顧客の信頼低下にもつながります。とくに体力の小さい事業者ほど、一度の物流停止が経営に大きく響きます。

Q. 有事に強い物流とはどんな物流ですか?

どこか一つが止まっても別の経路で補える「冗長性」を持つ物流です。具体的には、拠点や在庫の分散、複数キャリアの使い分け、自動化・相互支援による継続体制、広域のネットワークなどが要素になります。一点集中の物流は平時は効率的でも有事に弱くなります。

Q. 中小EC事業者は物流BCPをどう備えればよいですか?

倉庫や配送を自前で持たない場合、物流BCPの多くは委託先の体制に依存します。発送代行などを選ぶ際に、拠点分散・複数キャリア・継続体制・情報連絡の仕組みといった観点で、有事にどれだけ止まりにくいかを確認することが実質的な対策になります。

Q. 発送代行はBCPの観点でどう役立ちますか?

出荷の自動化や複数キャリアの使い分けを備えた発送代行に委託すれば、特定の人手や一社の配送に依存しない、止まりにくい出荷体制を自社でゼロから構築せずに得られます。平時の効率だけでなく、繁忙期や不測の事態での安定性にも寄与します。

この記事の監修者

仲井暉人

仲井暉人

株式会社KEYCREW オペレーション部DX推進リーダー。IT業界でシステムエンジニアとして客先常駐・受託開発に約1年従事した後、KEYCREWに入社。現在は物流の仕組みづくりと改善を担当し、現場とシステムの両面から効率的な物流設計を支援している。倉庫出荷件数10倍拡大に伴うシステム連携・アーキテクチャ設計、自社ハンディ端末の機能設計・開発・導入、YFF移管1,000社超のシステム移管責任者として大規模プロジェクトを完遂。高負荷になるDB・インフラの見直しにより月額50万円のコスト削減も実現した。「心頭滅却」を信条に、バックエンド・フロントエンド・インフラの幅広い技術領域をカバーし、WMS・倉庫DX・庫内効率化・自動化技術に関する実装経験に基づいた記事を発信している。

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