韓国越境EC市場の急成長と新規制2026年版|日本EC事業者が知るべき参入機会と物流・通関の実務

韓国は日本のすぐ隣に位置しながら、越境ECという観点ではまだ「未開拓市場」と感じているEC事業者が多い。しかし2026年時点で、韓国のBtoC-EC市場規模は約230兆ウォン(約24兆円)に達し、一人当たりEC消費額でも世界トップクラスの水準を誇る。さらにKカルチャー(ハルリュ)の逆風として「日本製品の需要」も根強く、食品・化粧品・日用品を中心とした日本→韓国向け越境ECは成長を続けている。

一方、韓国市場は2025〜2026年にかけてプラットフォーム規制やVAT義務化など制度面での変化が相次ぎ、正確な知識なしに参入すると税務リスクや通関トラブルに直面するケースも増えている。本記事では韓国越境EC市場の最新動向を整理した上で、日本のEC事業者が今すぐ取れる具体的な参入・物流対策を解説する。

越境EC・発送代行の基本については発送代行完全ガイド|仕組み・費用・業者選び・導入手順をすべて解説もあわせて参照してほしい。STOCKCREWの導入の流れは導入の流れページで、主な機能は主な機能ページで確認できる。

韓国越境EC市場の現状:なぜ今、日本EC事業者が注目すべきか

韓国のEC市場は、スマートフォン普及率95%超・ネット利用率98%というデジタル先進国の基盤の上に成立している。統計庁(韓国)のデータによれば、2024年の国内オンライン取引額は前年比約8%増加し、越境輸入(韓国消費者が海外から購入)も堅調な拡大が続いている。

2023年の韓国の越境EC輸入額(海外直購入)は約6兆4,700億ウォンで、そのうち日本からの購入は食品・化粧品・衣類を中心に全体の約12%を占め、米国・欧州に次ぐ第3位の購入元となっている。

出典:JETRO「韓国の越境EC市場動向」

日本製品の需要が根強い商材カテゴリ

韓国消費者が日本から購入する商品には、以下のような傾向がある。

  • 食品・菓子——韓国のコンビニやスーパーでは扱いのない日本限定品や季節商品への需要が高い。特に抹茶・わさび系フレーバーの菓子、だしパック、日本酒(ただしSTOCKCREWは酒類取扱不可)。食品ECの物流設計は食品EC発送代行の実務ガイドでまとめている
  • スキンケア・化粧品——日本ブランドの機能性化粧水・日焼け止め・UVケア商品はSNS(TikTok・Instagram)を通じて韓国で拡散しやすく、定番の強い需要がある。コスメECの物流選定は化粧品EC発送代行の選び方を参照
  • 日用品・生活雑貨——無印良品的な機能美・シンプルデザインの収納グッズ・キッチン用品。雑貨ECの発送代行については雑貨EC発送代行ガイドも参考になる
  • アパレル——日本の古着・ヴィンテージ系、スポーツブランドのコラボ商品。アパレルECの物流設計はアパレル発送代行2026年版でまとめている

越境ECを検討すべき事業者の特徴

国内売上が頭打ちを感じているEC事業者のうち、特に食品・化粧品・雑貨を扱い月間出荷200件以上の事業者にとって、韓国市場は現実的な拡大先となりつつある。言語・文化・地理的な近さはもちろん、配送リードタイムも3〜7日と他の海外市場と比べて短い。

2026年の韓国EC規制の変化:VAT・プラットフォーム法・消費者保護

海外EC事業者へのVAT(付加価値税)登録義務

韓国は2015年より、一定規模以上の外国B2Cデジタルサービス事業者に対してVAT(付加価値税10%)の登録・申告を義務付けてきた。2025〜2026年にかけて、この対象が物品販売にも実質的に拡大・強化されている。

具体的には、韓国消費者向けに直接販売している場合、以下を確認する必要がある。

  • 国内税務署への登録義務:韓国国税庁(NTS)のガイドに従い、一定売上基準を超える場合は申告義務が生じる
  • 課税書類の整備:韓国向け輸出入の際の申告書類と税務申告の紐付け
  • プラットフォーム経由での代理納税:韓国のNaver・Coupang等で販売する場合、プラットフォームがVATを代理徴収する仕組みが導入されるケースがある

韓国国税庁(NTS)は、越境EC取引に係る付加価値税の適正徴収に向け、海外ECプラットフォームおよび外国販売者への情報提供・申告支援を強化していく方針を示している。

出典:Korea National Tax Service(韓国国税庁)公式サイト

プラットフォーム責任の強化

韓国では2024年〜2026年にかけて、ECプラットフォームに対する不公正取引防止・消費者保護責任が段階的に強化されている。日本EC事業者にとって直接的な影響として注意すべきは以下の点だ。

  • 返品対応:韓国の電子商取引法(전자상거래법)では、購入後7日以内の返品受付が義務付けられている。海外事業者がプラットフォーム経由で販売する場合、返品ポリシーの表示が必須となる
  • 製品安全情報の表示義務:韓国語での製品説明・安全情報の記載がプラットフォームから求められるケースが増えている

RCEP活用によるコスト低減

2022年1月に発効したRCEP(地域的な包括的経済連携協定)の枠組みの下、日本から韓国への輸出については原産地規則を満たす一定品目で段階的な関税削減が適用されている。化粧品・加工食品・繊維製品など越境ECでよく扱われる商材にも適用されるケースがあるため、品目ごとの税率確認をJETROや税関資料で事前に行うことを推奨する。RCEP原産地規則の詳細は外務省の公式情報で確認できる。

RCEPは2022年1月1日に日本、中国、韓国、ASEAN加盟国等15カ国で発効した。日韓間では関税の段階的撤廃が進み、日本から韓国への輸出において原産地規則を満たす多くの製品カテゴリで関税が削減・撤廃されている。越境EC事業者は品目のHSコードとRCEP税率を確認することで、物流コストの削減につなげられる。

出典:外務省「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」

主要プラットフォームと日本EC事業者の参入チャンス

プラットフォーム特徴日本商品への親和性海外出品
Naver Shopping韓国最大の検索・ショッピングポータル。スマートストア出店型◎ 食品・美容・雑貨の検索需要大△(韓国法人推奨)
Coupangロケットデリバリー(当日配送)が強み。Prime会員制度あり○ 日本ブランド公式ショップ多数○(Coupang Global経由)
11번가(11st)SKT系のモール型EC。海外直購入コーナーあり○ 日本カテゴリ独立○(直接出品可)
Gmarket(G마켓)eBay傘下から新韓금융グループに移管。海外購入コーナーを持つ△ 中国・米国商品が主流
Kakao GiftKakaoTalkギフティングに特化。プレミアム感のある日本商品に適合◎ 贈答品需要が高い△(代理店経由)

参入時の現実的なアプローチ

日本のEC事業者が韓国市場に参入する際、最も現実的なルートは以下の3段階だ。

  1. 越境EC代行サービスの活用——韓国語対応・現地返品先確保・VAT申告まで代行してくれるサービスを使い、まず月10〜50件規模で試験販売。初期投資を抑えながらニーズを検証できる
  2. Coupang Global経由の出品——Coupang GlobalはCoupangが運営する越境EC向けマーケットプレイスで、日本国内倉庫から直接出荷できるスキームがある。在庫を韓国国内に持たなくてよいため、初期コストが低い
  3. 韓国国内倉庫への在庫配置——月間出荷300件を超えてきたら、韓国国内の3PL倉庫(現地フルフィルメント)を検討。リードタイムの短縮とCoupang・Naver上での優良配送バッジ取得につながる

越境ECの物流設計全体についてはEC物流の仕組みと全工程をわかりやすく解説【2026年版】を参照してほしい。越境ECビジネスの構造についてはAmazon Global Selling物流実務ガイドも参考になる。デミニミス制度の廃止が越境EC全体に与えた影響はデミニミス廃止と越境ECリスクでまとめている。

韓国向け越境配送の実務:輸送手段・コスト・リードタイム比較

日本→韓国 越境EC 配送フロー 日本EC事業者 発送代行倉庫から出荷 日本国内キャリア EMS / ヤマト国際 / DHL 韓国税関 輸入申告・KC確認 韓国宅配業者 CJ大韓通運など EMS:3〜5営業日 航空小包:4〜10日 課税対象:CIF150米ドル超 特定品目はKC認証必要 DHL/FedEx:2〜3営業日 コスト高・高付加価値品向け

日本から韓国への越境配送には大きく3つの選択肢がある。それぞれの特徴とコスト感を整理する。

配送手段リードタイムコスト目安(500g)向いている商品
EMS(日本郵便)3〜5営業日2,500〜3,500円食品・化粧品・雑貨・衣類
国際eパケット・小形包装物7〜10日800〜1,500円小型・軽量な低単価商品
ヤマト国際宅急便2〜4営業日3,500〜5,000円中〜高単価商品・追跡重視
DHL/FedEx2〜3営業日5,000〜9,000円高付加価値品・B2B納品
フォワーダー(まとめ便)4〜7日1,500〜2,500円月100件超・重量物・コスト優先

コスト構造の考え方

韓国向け越境ECで利益を確保するには、配送コストが商品単価の15〜25%以内に収まる商品設計が目安となる。単価3,000円の商品なら配送コスト450〜750円以内が理想だが、EMS最低料金でもその水準を超えることが多い。このため、初期段階では単価5,000円以上・重量600g以内の商品から越境ECを始めるのが現実的だ。

発送代行との連携については発送代行完全ガイドで詳しく解説している。

通関・輸入規制・KC認証の基礎知識

韓国の輸入関税・ミニマスデ(少額免税)

韓国の課税最低限(ミニマム・デ・ミニミス)は物品価格がCIF(運賃・保険料込み)150米ドル以下であれば関税および付加価値税が免除される。ただし以下の場合は免税対象外となる。

  • 健康機能食品・サプリメント(全額課税)
  • 化粧品の一部カテゴリ
  • 個人輸入とみなされないまとめ買い

越境ECで扱う商品単価が150ドル(約22,000円)を下回るケースが多ければ、この免税枠が実質的な参入コスト優位性となる。

KC認証(한국인증)とは

韓国では特定製品カテゴリに対して、安全基準の適合を示すKC(Korea Certification)マークの表示が義務付けられている。KC認証が必要な主な商品カテゴリは以下のとおりだ。

  • 電気用品・電子機器(USB充電器・モバイルバッテリー・電気調理器具など)
  • 玩具・育児用品(14歳以下が使用するもの)
  • 生活化学製品(洗浄剤・芳香剤など)

食品・化粧品・一般衣類はKC認証の対象外だが、食品は別途「食品安全法」に基づく表示要件(韓国語表記など)が求められる。越境EC事業者が最も扱いやすいのは食品・化粧品(医薬부外品)・雑貨(非電気)であり、電子機器・おもちゃ・育児用品はKC認証取得コストを事前に見積もることが必須だ。

税関申告の実務

日本から韓国へ商品を送付する際、輸出申告はEMSや国際宅急便の送り状(商業インボイス相当)で自動的に処理される場合が多い。ただし以下の点に注意が必要だ。

  • インボイスに商品の正確な品目・単価・数量を記載する(過少申告はリスク)
  • 食品の場合は原材料表示・製造者情報の記載義務がある
  • 化粧品は「化粧品」カテゴリで申告し、成分表を添付できるよう準備する

越境物流の制度面については物流完全ガイドの越境物流セクションも参考になる。

発送代行を活用した韓国向け越境物流の設計

日本国内の発送代行(フルフィルメント)を活用して韓国向け越境ECを運営するパターンが増えている。特に月間出荷50〜300件規模では、国内在庫管理と国際発送を一体で委託できる体制が効率的だ。

発送代行×越境ECのメリット

  • 在庫を日本国内に集約できる——国内・海外向けを同一在庫で運用。国内EC(楽天・Amazon・Yahoo!)と韓国向けを一括管理できる
  • 国際配送の手配代行——EMSや国際宅急便の送り状作成・インボイス発行を代行してもらえる倉庫もある
  • 梱包品質の統一——検品・梱包を一元管理することで、越境クレームの削減につながる

注意点:発送代行会社の国際対応確認

国際発送の対応範囲は発送代行各社によって異なる。事前に確認すべき項目は以下のとおりだ。

  • 韓国向け国際発送キャリアとの契約の有無(EMS・ヤマト国際・DHLなど)
  • インボイス・パッキングリストの作成代行サービスの有無
  • 食品・化粧品など特定カテゴリの輸出書類対応
  • 越境返品の受取先設定(韓国国内住所が必要な場合への対応)

STOCKCREWのSTOCKCREW完全ガイドでは対応している発送オプションの詳細を確認できる。また、発送代行選びの全体論は発送代行完全ガイドで整理している。STOCKCREWの倉庫・設備導入事例も合わせて参考にしてほしい。

月間出荷規模別の推奨体制

月間出荷数推奨体制ポイント
〜50件自社対応 or 越境EC代行サービス市場検証フェーズ。まずニーズを確かめる
50〜300件国内発送代行から国際発送在庫を一元管理。国内と同倉庫から発送
300件超韓国現地3PLの検討Coupang・Naver Logisticsとの連携で配送スピード向上

まとめ:韓国越境EC参入で今すぐやるべきこと

韓国越境EC市場は、地理的・文化的な近さと根強い日本製品需要という追い風がある。一方、VAT登録義務の拡大・KC認証要件・プラットフォームの消費者保護強化といった規制面の変化もあり、適切な準備なしの参入はリスクが大きい。

今すぐ取り組めるアクションをまとめる。

  1. 取扱商品のKC認証要否を確認する——電子機器・玩具・生活化学製品は必須。食品・化粧品・雑貨は対象外
  2. 商品単価とリードタイムから配送手段を決める——単価5,000円以上ならEMS・ヤマト国際が現実的。低単価なら国際eパケット
  3. プラットフォームを1つ選んで試験販売から始める——Coupang Globalは日本国内倉庫から出荷可能で参入障壁が低い
  4. 国内発送代行の国際発送対応を確認する——在庫を一元化できるか、インボイス作成代行があるかを確認する

越境ECも含めた発送代行全体の仕組みは発送代行完全ガイド|仕組み・費用・業者選び・導入手順をすべて解説で詳しく解説している。また、EC物流の全体像はEC物流完全ガイドも参考にしてほしい。詳しい内容はSTOCKCREWのお問い合わせページからもご相談いただける。

よくある質問(FAQ)

Q. 韓国向け越境ECで課税される金額の目安は?

A. 韓国の輸入課税最低限(ミニマス・デ・ミニミス)はCIF価格150米ドル(約22,000円)です。この金額以下であれば関税および韓国VAT(10%)は免除されます。ただしサプリメント・健康機能食品は例外で全額課税となるため注意が必要です。商品単価が低い場合はコスト面での参入優位性が高い市場といえます。

Q. KC認証が必要な商品を韓国向けに販売する場合の費用は?

A. KC認証の取得費用は品目・試験機関によって異なりますが、電気用品であれば申請・試験費用で20〜50万円程度、取得期間は2〜4カ月が目安です。認証取得後は定期的な更新手続きも必要です。食品・一般化粧品・衣類などはKC認証が不要なため、初めて越境ECに挑戦する場合はこれらのカテゴリから始めることを推奨します。

Q. 韓国向け越境ECで返品が発生した場合の対応方法は?

A. 韓国の電子商取引法では購入後7日以内の返品が保証されています。返品対応の主な方法は(1)韓国国内に返品受取住所を設ける(現地代理人や3PLを活用)、(2)小額商品は返送なし・返金のみで対応する、の2パターンです。越境EC代行サービスを利用している場合は返品住所を代行してもらえるケースもあるため、事前に確認してください。

Q. 日本のどの発送代行業者が韓国向け国際発送に対応していますか?

A. 対応状況は業者によって異なります。確認すべき点は、EMSや国際宅急便の手配代行が可能か、輸出用インボイス・パッキングリストの作成を代行してもらえるか、食品・化粧品など特定商材の輸出書類に対応しているかです。STOCKCREWでは海外配送オプションに対応しており、アジア・北米・欧州向けの発送手配が可能です。詳細はお問い合わせから確認できます。

Q. Coupang Globalとはどのようなサービスで、日本から利用できますか?

A. Coupang Globalは韓国最大手ECプラットフォーム「Coupang(クーパン)」の越境EC販売支援スキームです。日本国内の倉庫から商品を発送し、Coupangが韓国側の通関・ラストマイル配送を担当する形で、日本のEC事業者が韓国消費者に販売できます。在庫を韓国国内に持つ必要がないため、初期リスクを抑えて参入できる点が特徴です。詳細はCoupang公式のセラーサポートページで確認してください。

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