ShopifyのB2B機能で卸売EC参入【2026年版】|取引先管理・カスタム価格・物流設計の実務手順
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D2C・BtoC向けとして知られるShopifyですが、2026年4月に企業間取引(BtoB)機能が標準プランにも開放され、中小の卸売事業者でも利用しやすい環境が整いました。取引先ごとのカスタム価格設定・会社単位の顧客管理・NET支払い対応が月額数千円のプランで使えるようになった今、ShopifyでBtoB販売を始める選択肢は現実的です。この記事では機能の実態・標準プランとPlusの差・日本商習慣への対応・物流設計の4点を実務目線で解説します。BtoB出荷を含む発送代行の選び方全体は発送代行完全ガイドも参照してください。
Shopify B2B機能が標準プランに開放(2026年4月)
Shopifyは2026年4月2日、これまでShopify Plusプラン(月額368,000円〜)でのみ利用できたB2B機能の基礎部分をBasic・Grow・Advancedの各標準プランで追加料金なしに開放しました。これにより、月額数千円から数万円のプランを使っている中小EC事業者がBtoB販売に参入できる環境が整いました。
2026年4月時点、Shopify B2B(企業間取引)の基礎機能がBasic・Grow・Advancedの各プランに追加料金なしで開放。標準プランで使えるようになった主な機能は、Companies(法人顧客管理)・Company locations・最大3つのアクティブカタログです。
従来、BtoB卸売EC向けには外部アプリ(Wholesale Club・BSS B2B Solutionなど)を月額費用を払って導入する必要がありましたが、この開放によりネイティブ機能での取引先管理・価格出し分けが標準で使えるようになりました。既存のD2CストアにB2Bチャネルを追加したい事業者にとって、2026年は参入コストが大幅に下がった転換点です。
B2B on Shopifyの主要機能5つ
B2B on Shopifyが提供するコア機能を5つに整理します。それぞれの機能がどんな業務課題を解決するかを中心に説明します。
①会社プロファイル(Companies)
取引先企業ごとに「会社情報」を作成・管理できる機能です。一つの会社情報の中に複数の担当者(発注担当・経理担当・承認者)と複数の配送先(本社・支社・倉庫)を紐づけられます。例えば「本社発注→倉庫着荷」のパターンや「支社別に個別発注」といった実態に合わせた管理が可能です。
②カスタム価格設定(カタログ機能)
取引先ごとに表示する商品・価格を出し分けられる機能です。「A社には全商品15%OFF」「B社には特定カテゴリのみ20%OFFで専売商品も表示」といった設定が一括で行えます。標準プランでは最大3つのアクティブカタログが使えるため、顧客ランク(ゴールド・シルバー・スタンダード)のような段階的な価格管理ができます。
| カタログ例 | 対象取引先 | 価格設定 |
|---|---|---|
| ゴールドカタログ | 月間発注100万円以上 | 定価の60% |
| シルバーカタログ | 月間発注30〜100万円 | 定価の70% |
| スタンダードカタログ | 新規・スポット取引 | 定価の80% |
③支払い条件・MOQ設定
掛け売り(NET払い)や支払いサイトをCompanyごとに設定できます。「月末締め翌月末払い」をチェックアウト時に自動適用し、取引先担当者が発注のたびに支払い方法を選ぶ手間をなくします。また最小注文数(MOQ)をSKU単位で設定できるため、「ケース単位(12個)でしか発注できない」という制限を自動で適用でき、小口注文によるオペレーションコスト増を防げます。
④下書き注文・再注文機能
電話・メール受注をShopify管理画面から入力し、取引先にメールで確認・決済してもらうフローが組めます。定期発注の取引先には再注文(Reorder)機能で過去の注文内容をワンクリックで呼び出せるため、「毎月同じ商品を注文する」業務の手間を大幅削減できます。
⑤Company-level permissions(拠点別権限管理)
同一企業の複数拠点(支社・倉庫)それぞれに異なる発注権限・閲覧権限を設定できます。「本社の経理担当者のみ決済可能」「各支社担当者はカートへの追加まで可能」といった承認フローをShopifyのネイティブ機能で実現できます。
標準プランとShopify Plusで何が違うのか
標準プランでもB2B基礎機能は使えますが、事業規模・取引先数・商習慣の複雑さによってはShopify Plusが必要なケースがあります。
| 項目 | 標準プラン(Basic/Grow/Advanced) | Shopify Plus |
|---|---|---|
| 月額費用(目安) | 数千〜数万円 | 約368,000円〜 |
| アクティブカタログ数 | 最大3つ | 無制限 |
| B2B専用ストアデザイン | BtoC共用 | B2B専用ストアフロント構築可 |
| 複雑な決済条件(分割・前受金) | 対応困難 | カスタマイズ可 |
| Shopify Functions | 一部制限あり | フル活用可 |
| サポート | 標準 | 専任マーチャントサクセス |
標準プランで十分なケース:取引先数が数社〜20社程度、価格パターンが3種類以内、シンプルな掛け払いのみで運用できる場合は標準プランで開始できます。
Shopify Plusが必要になるケース:取引先が数十〜数百社規模になり、カタログを4種類以上作りたい場合や、「分割払い」「前払い金管理」など複雑な決済条件が必要な場合はPlus推奨です。
日本の商習慣(掛け払い・インボイス)への対応
日本のBtoB取引では「掛け払い・締め払い・請求書払い」が一般的で、外国生まれのShopifyでどこまで対応できるかが導入判断の大きなポイントです。
インボイス対応
2023年10月に施行されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)に対応した請求書を発行するには、「Order Printer Pro」などのアプリを組み合わせることで登録番号(T番号)・税率ごとの消費税額を明記した適格請求書の発行が可能です。Shopify標準機能の領収書では対応できないため、アプリ選定が必要です。
インボイス制度の公式要件(登録番号・記載事項・保存義務)については国税庁の公式サイトで最新情報を確認してください。
適格請求書には、①適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号、②取引年月日、③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)、④税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率、⑤税率ごとに区分した消費税額等、⑥書類の交付を受ける事業者の氏名または名称、の6項目の記載が必要です。
2026年現在、ShopifyはOrder Printer Proなどのアプリと組み合わせることで、登録番号(T番号)や税率ごとの消費税額を明記した法的に有効なインボイスを発行可能です。
出典:商流研「ShopifyはBtoB(卸)に対応可能か?「B2B on Shopify」の機能・費用・日本独自の商習慣への対応を徹底解説」(2026年)
掛け払い・NET支払いの実装
Shopify B2BのNET支払い設定では、NET15(15日後払い)・NET30・NET60など、取引先ごとに異なる支払いサイトを指定できます。ただし実際の入金管理・延滞フォロー・仕訳連携は別途会計システム(freee・弥生・MoneyForward等)との連携が必要です。Shopify標準では入金消込の自動化はされないため、中小規模では経理担当者による手作業確認が前提です。
日本語対応の注意点
B2B機能のアカウント登録フォームやメール通知は初期設定が英語です。Liquidテンプレートのカスタマイズで日本語化できますが、技術知識が必要なため、Shopifyパートナー(Shopifyパートナー・エキスパートの選び方ガイド)への依頼を検討してください。
BtoB卸売物流の設計ポイントと発送代行活用
BtoCとBtoBでは出荷の特性が大きく異なります。Shopifyでの受注フローを整備しても、物流体制がBtoB出荷に対応できていないと、オペレーションが破綻します。
BtoB出荷の特性(BtoCとの主な違い)
| 項目 | BtoC(消費者向け) | BtoB(法人向け卸売) |
|---|---|---|
| 出荷単位 | 1点〜数点 | ケース・パレット単位 |
| 梱包 | 個別梱包・ギフト対応 | 外装ダンボール・バンドル重視 |
| 配送先 | 自宅・コンビニ等 | 法人の倉庫・店舗・事務所 |
| 納期管理 | 最短翌日希望 | 指定日・入荷予約に合わせる |
| 返品 | 高頻度・消費者起因 | 少頻度・検品不良が主因 |
発送代行をBtoB卸売に活用できるか
発送代行の多くはBtoC向けの小口出荷を前提としていますが、法人向けのまとめ出荷(ケース単位・パレット出荷)にも対応している業者は存在します。STOCKCREWでは1点からの小ロット出荷に対応しており、BtoB取引でも受注ごとに柔軟な出荷数量に対応できます。Shopifyとの連携はCSV連携を基本とし、外部連携ページで対応システムを確認できます。
BtoB卸売で発送代行を活用するメリットは、BtoCとBtoBの出荷を同一倉庫で一元管理できる点です。自社在庫を1拠点に集約し、BtoCはShopifyのBtoCストアから、BtoBはB2B on Shopifyから受注して同じ倉庫から出荷するモデルにより、在庫の二重管理を防げます。
BtoB物流設計で確認すべき5つのポイント
- ケース・パレット出荷への対応可否:発送代行業者がまとめ出荷の梱包・出荷に対応しているか確認する
- 入荷予約の受付:取引先倉庫の入荷予約に合わせた出荷日指定ができるか
- 納品書・送り状のカスタマイズ:BtoB出荷では納品書フォーマット指定・商品コードの記載を求められることが多い
- 出荷実績のCSVフィードバック:Shopify側に出荷完了通知をフィードバックする仕組みがあるか
- 返品検品:BtoB返品(商品不良・誤出荷)の受け入れと検品対応フローの確認
発送代行業者の評価基準については発送代行完全ガイドで詳しく解説しています。また倉庫選定の実務はEC物流倉庫の選び方と失敗しない比較ポイントも参考になります。
まとめ:Shopify B2BでBtoB販売を始める実務ステップ
2026年4月のShopify B2B機能の標準プラン開放により、中小事業者がBtoB卸売ECを始めるハードルは大幅に下がりました。会社プロファイル・カスタム価格カタログ(最大3種)・NET支払い設定の基礎機能が月額数千円から使えます。
実務導入のステップは、①Shopifyプラン選定(カタログ数・取引先数で判断)→②Companies設定と価格カタログ作成→③インボイス対応アプリ導入→④物流体制(発送代行業者)の選定→⑤テスト発注・出荷フロー確認、の順で進めることを推奨します。
BtoBとBtoCの在庫を同一拠点で管理したい場合、発送代行業者への切り替えが効果的です。STOCKCREWは初期費用・固定費0円・最短7日で導入可能で、Shopifyとの連携も対応しています。詳細はShopifyとSTOCKCREW発送代行のAPI連携またはお問い合わせよりご相談ください。
よくある質問
Q. Shopify B2B機能は2026年4月から標準プランで使えますか?
はい。2026年4月2日よりBasic・Grow・Advancedの各標準プランでB2B基礎機能(Companies管理・最大3カタログ・NET支払い)が追加料金なしで利用できるようになりました。ただし4カタログ以上・複雑な決済条件はShopify Plusが必要です。
Q. Shopify B2Bで日本の掛け払い(月末締め翌月末払い)は実現できますか?
Shopify B2BのNET支払い設定(NET15・NET30・NET60)で取引先ごとに支払いサイトを指定できます。ただし入金消込・延滞管理は別途会計システムとの連携が必要です。完全な自動化には追加開発またはShopify Plus+アプリが必要になる場合があります。
Q. インボイス(適格請求書)はShopify標準機能で発行できますか?
Shopify標準の領収書ではインボイス制度(登録番号・税率別消費税額の記載)に対応していません。「Order Printer Pro」などの対応アプリを導入することで、法的に有効な適格請求書の発行が可能になります。
Q. BtoCとBtoBの出荷を同一倉庫・発送代行で管理できますか?
対応している発送代行業者であれば可能です。Shopifyの受注データをCSV等で発送代行側に連携し、BtoCとBtoBの出荷を一元管理できます。在庫の二重管理を防ぎ、BtoC・BtoB合算の出荷量でコスト効率を高められます。
Q. Shopify B2Bで卸売り先(取引先)の登録数に上限はありますか?
標準プランではCompanies数に公式な上限は設定されていません。ただしカタログ数が最大3つに制限されるため、価格パターンが4種類以上必要な取引先構成の場合はShopify Plusへのアップグレードを検討してください。
この記事の監修者
金子将大
株式会社KEYCREW ソリューション部門の責任者。大手ECプラットフォーム会社にてEC構築に関する開発・PM業務を7年間担当し、EC業界での豊富な技術知見を持つ。応用情報技術者・証券外務員2種の資格を保有。UIリニューアルやサービスリニューアルのプロジェクトマネジメント、Temu・ShopifyなどのEC外部API連携の新規開発・リプレイスを手がけてきた。クラウド環境のアプリログコストを60%程度削減するなどの技術的成果も上げている。KEYCREWではソリューション部門全体を統括し、技術で組織の仕組みを改善し、安定した運営と今後の成長につながる基盤づくりに注力。API連携・システム統合・EC自動化・DX推進に関する実践的な知見を記事に反映している。