並行輸入とは?|EC事業者が押さえるべき商標リスク・物流・販売実務ガイド【2026年版】
- EC・物流インサイト
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「並行輸入品を扱いたいが、商標権侵害にならないか不安」「Amazon・楽天でどこまで出品できるのか」——こうした疑問を持つEC事業者は少なくありません。並行輸入は最高裁判例により一定条件下で合法とされていますが、プラットフォームの独自規制や地域仕様の違い、通関リスクまで考慮すると、実務の落とし穴は多岐にわたります。本記事では、発送代行を活用して並行輸入品を販売するEC事業者が押さえるべき法的知識・仕入れ実務・物流設計を、2026年版の最新情報で体系的に解説します。並行輸入ビジネスの立ち上げから安定運営まで、意思決定に必要な情報をこの1記事で網羅しています。
並行輸入とは?定義・法的根拠・正規品との違い
並行輸入の定義と仕組み
並行輸入とは、商標権者や著作権者から直接ライセンスを受けていない第三者が、真正品(本物)を海外から輸入して国内で販売する行為です。「並行」という名称は、正規の輸入代理店ルートと「並行して」別ルートで流通することに由来します。
ブランドバッグ・高級時計・アパレル・スポーツ用品・海外コスメなど、正規代理店を通じた国内定価よりも低価格で販売できるため、差別化商材として注目を集めています。令和6年度のBtoC-EC市場規模は26兆1,654億円(前年比5.81%増)にのぼり、越境ECを含む物販系分野の取引拡大が続く中、並行輸入品のEC販売は有力なビジネスモデルのひとつとなっています。
正規輸入代理店が独占供給権を持つカテゴリや、日本未発売の海外限定モデルなどを扱える点も、並行輸入品の強みです。一方で、法的リスクと商慣習上のグレーゾーンを正しく理解しないと、商標権侵害・プラットフォームからの出品停止・税関での貨物留置といったトラブルに直面します。
並行輸入が合法とされる3つの条件(最高裁判例)
日本の最高裁判所は1971年の「パーカー万年筆事件」以来、商標権者が外国で商品を販売した時点で商標の目的は達成されており、輸入を禁止する権利は消尽する(権利消尽の原則)という考え方を採用しています。これが並行輸入を合法とする法的根拠です。
ただし、すべての並行輸入が自動的に合法となるわけではありません。最高裁判例および知財高裁の判断を踏まえると、並行輸入品の販売が適法とされるには以下の3条件をすべて満たす必要があります。
この3条件はいずれか1つを欠いた時点で合法性が揺らぎます。特に条件②(品質の同一性)は、化粧品・食品・電気製品などで日本向けと海外向けの成分・仕様・電圧規格が異なるケースが多く、見落としがちな落とし穴です。仕入れ前に必ず日本仕様との差異を確認してください。
正規品・並行輸入品・偽造品の違い一覧
消費者からの問い合わせ対応や商品ページの記載においても混乱しやすい3区分を整理します。
| 区分 | 定義 | 販売の可否 | メーカー保証 | 仕入れ証明の必要性 |
|---|---|---|---|---|
| 正規品 | ブランド正規代理店を通じて輸入・販売された商品 | ○ 問題なし | あり | 不要(代理店が管理) |
| 並行輸入品(真正品) | 本物の商品を非正規ルートで輸入・販売 | △ 3条件を満たせば合法 | なし(販売者保証で代替) | 必須(商標権申告への対抗手段) |
| 偽造品・コピー品 | 商標・デザインを無断で模倣した模造品 | × 商標権侵害(違法) | なし | —(販売自体が違法) |
EC販売において並行輸入品には「保証なし」と明記することが消費者トラブルを防ぐ最重要対策です。特定商取引法の改正動向でも解説しているように、通販における表示義務は年々厳しくなっており、商品の状態・保証範囲の明示が強く求められています。
令和6年度のBtoC-EC市場規模は26兆1,654億円(前年比5.81%増)で、物販系分野は14兆6,760億円となった。越境ECを含む海外からの輸入品流通も拡大傾向にある。
EC事業者が直面する商標権リスクとその回避策
3条件を満たしても訴訟・警告になるケース
3条件を満たす並行輸入品でも、販売方法や商品の取り扱い方によっては商標権者から警告・訴訟を起こされるリスクがあります。特に問題になりやすいのは以下の4パターンです。
- 地域仕様の違い——日本向けと海外向けで成分・仕様が異なる商品(化粧品・食品・電気用品など)を区別せず販売した場合。成分違いの化粧品は薬機法の観点からも問題になりえます。
- 改造・加工・バラ売り——輸入後に商品を加工したり、セット品を分解して単品販売したりした場合。改変後の商品は「同一品質」条件を満たさなくなる可能性があります。
- 商標ロゴの過度な使用——ブランドロゴを商品説明・バナー広告・店舗名に使用する際の表現が、商標権者の「出所混同」を招くと判断される場合。
- ライセンス生産品の見落とし——現地ライセンシー(使用許諾を受けた企業)が製造した商品は出所の同一性を欠く可能性があり、この点を確認せずに仕入れると条件③を満たさないリスクがあります。
特にコスメ・美容品のEC販売では、成分表示義務(薬機法・食品衛生法)と商標権リスクが複合するため、仕入れ前の法令確認が欠かせません。
プラットフォームの商標権申告制度とその対処法
Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングでは、商標権者がブランド保護プログラムに加入し、並行輸入品出品者に対して販売停止申告を行うことができます。3条件を満たしている並行輸入品であっても、申告された場合はプラットフォーム側が一時的に出品を停止します。
申告を受けた際の対処ステップは以下のとおりです。
- 仕入れ証明書類を即時提出できる状態にしておく——インボイス(仕入れ先からの送り状)・支払い証明・輸入申告書を入庫時から保管。SKU単位で紐付けて整理する。
- プラットフォームの異議申し立てフォームに申請する——AmazonはBrand Registry申告への反論フォーム、楽天は店舗からの申請窓口がある。書類提出後、通常1〜3週間で審査結果が届く。
- 書類で解決しない場合は弁理士に相談する——商標権者との直接交渉は法律専門家を介するのが原則。自力での交渉は認定を覆す主張の内容を誤りやすく、かえってリスクが高まる場合がある。
申告リスクが高いカテゴリは、欧米ラグジュアリーブランドのバッグ・時計・スポーツシューズです。これらは日本国内の正規代理店が厳格なブランド保護プログラムに加入しているケースが多く、仕入れ証明書類の管理体制が甘い事業者は撤退を余儀なくされるリスクがあります。
著作権・意匠権・不正競争防止法との関係
商標権以外にも、並行輸入に関わる知的財産権があります。取り扱い商材によっては以下の点を別途確認してください。
| 権利の種類 | リスクが高い商材カテゴリ | 具体的なリスク内容 | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 著作権 | 書籍・音楽CD・ゲームソフト・映像ソフト | 著作権法の「譲渡権」により並行輸入が制限される可能性がある | 著作権者または弁護士 |
| 意匠権 | 家電・インテリア・服飾雑貨 | 商品のデザイン・形状を保護する権利。海外では日本と意匠権の範囲が異なる場合がある | 特許庁の意匠登録データベース |
| 不正競争防止法 | 著名ブランドに外観が類似した商品全般 | 形態模倣商品として規制対象になる可能性がある | 弁理士・弁護士 |
| 薬機法・食品衛生法 | 化粧品・健康食品・医療機器・おもちゃ | 輸入届出・表示基準を満たさない場合は販売停止処分の対象になる | 厚生労働省・自治体保健所 |
書籍・ソフトウェア・エンタメ系商材を取り扱う場合は著作権の観点から専門家への確認を推奨します。なお、越境ECと関税・法規制の全体像では輸入に関わる規制の体系をまとめています。
並行輸入品の仕入れルートと通関実務
海外直接仕入れルートの種類と特徴比較
並行輸入品の仕入れルートは大きく3つに分類されます。それぞれのコスト構造・在庫リスク・対応難易度を比較した上で、自社の出荷量・資金力・物流体制に合ったルートを選択してください。
| 仕入れルート | 主な特徴 | 仕入れ単価 | 最低ロット | 対応難易度 |
|---|---|---|---|---|
| 海外現地の小売店・量販店 | 最安値で購入可能。実物確認できる。在庫が少量でも購入可能 | 最安 | 1点〜 | 高(現地渡航・外国語対応必須) |
| 海外ECサイト(Amazon.com / Tmallなど) | 国内から発注可能。在庫が比較的安定している | 中 | 1点〜 | 中(転送サービス・関税対応が必要) |
| 国内の並行輸入業者・卸業者 | 通関済みで国内在庫あり。ロット発注に対応。真正品確認が比較的しやすい | 中〜高 | 数点〜数十点 | 低〜中(日本語でやり取り可能) |
継続的な在庫確保を考えると、国内の並行輸入業者からの仕入れが最も安定しやすいです。海外直接仕入れは単価が低い反面、ロット・輸送費・通関対応・真正品確認のコストが積み重なります。月間出荷が200件を超えてきたら海外直仕入れへの切り替えを検討するのが費用対効果の観点から合理的です。海外仕入れ商品の物流設計では、航空便・船便の使い分けや輸送コストの試算方法を詳しく解説しています。
輸入通関の流れと必要書類
輸入通関手続きの基本的な流れは一般輸入品と変わりませんが、並行輸入品ならではの注意点があります。通関申告の主な書類と確認事項は以下のとおりです。
- コマーシャルインボイス(Commercial Invoice)——仕入れ価格・品名・数量・原産国を正確に記載。過少申告は関税法違反になります。海外小売レシートを使う場合も購入価格をそのまま申告してください。
- パッキングリスト(Packing List)——梱包ごとの品目・数量・重量・寸法を記載した書類。航空便・船便いずれも必要です。
- 輸入申告書(輸入通関申告書)——HSコード(関税分類番号)を正確に記載する必要があります。HSコードによって関税率が決まるため、誤分類は過不足申告につながります。
- 知的財産権の税関届出確認——商標権者が「輸入差止申立」を行っている場合、税関で貨物が留置されることがあります。申告前に税関の知的財産侵害物品情報(J-MOTIFシステム)で対象商品を確認することを推奨します。
通関業者(フォワーダー)に代行依頼する場合は、HSコードの事前確認と書類の内容確認を徹底してください。特に化粧品・食品・おもちゃは食品衛生法の輸入届出が別途必要な場合があります。
関税率とカテゴリ別コスト試算
並行輸入品の仕入れ原価は「海外仕入れ価格+輸送費+関税+輸入消費税+通関手数料」の合計です。ブランド品の主要カテゴリ別の関税率の目安は以下のとおりです。
- ハンドバッグ(革製):10〜16%
- 衣類(絹・毛織物):8.4〜13.4%
- 時計:0〜3%
- 香水・化粧品:5.8〜6.8%
- スポーツシューズ:27%(合成皮革製など品目によって変動)
関税に加えて輸入消費税10%が課税価格(CIF価格+関税額)に対して課されるため、仕入れ価格の15〜28%程度が通関コストとして上乗せされます。国内正規品と比較して十分な価格差が出るかどうかを仕入れ前に必ずシミュレーションしてください。
販売プラットフォーム別の出品ルールと規制対応
Amazonでの並行輸入品出品と商標権対応
Amazonでは「並行輸入品」として明示した上での出品が認められています。ASINページへの相乗り出品も可能ですが、以下の点を必ず守ってください。
- 「並行輸入品」と商品説明に明記する——正規品と誤認させる記載は規約違反になります。「メーカー保証対象外」「日本語マニュアルなし」なども明示が必要です。
- Amazon Brand Registryへの対応——商標権者が Brand Registry に登録していると、出品停止申告が自動化されているケースがあります。申告を受けた場合は速やかに真正品証明書類を添えて異議申し立てを行ってください。
- ASIN情報の正確な入力——ブランド登録済みASINに誤った商品情報を入力すると、出品削除や販売停止処分を受けることがあります。既存のASIN情報に誤りがある場合は変更申請ではなく別ASINの作成が推奨されます。
楽天市場・Yahoo!ショッピングの表示規定
楽天市場では並行輸入品の出品は認められていますが、商品ページに以下の情報を明示することが規約で求められています。
- 並行輸入品である旨の表記
- メーカー保証の有無と、代替として提供する販売者独自の保証内容
- 輸入者名・連絡先(特定商取引法の表示要件)
- 仕様が日本向けと異なる場合の説明(電圧・言語・サイズ表記の相違等)
Yahoo!ショッピングも同様の表示ルールが設けられています。なお、2026年9月からYahoo!ショッピングが月額1万円+ロイヤリティ2.5%の有料化に移行するため、ネットショップ運営全体の収益シミュレーションを今一度見直すタイミングです。並行輸入品は利益率が低くなりがちなカテゴリもあるため、プラットフォーム手数料の上昇が採算性に直結する場合は出品先の再設計が必要になります。
特定商取引法の表示義務と返品ポリシー
通信販売では、商品の引渡しを受けた日から数えて8日以内であれば、消費者は事業者に対して、契約申込みの撤回や解除ができ、消費者の送料負担で返品ができる。ただし、事業者が特約を設けている場合はその特約が優先される。
並行輸入品を通販で販売する際は、特定商取引法に基づく以下の事項を商品ページに明記してください。
- 販売事業者の名称・住所・電話番号・メールアドレス
- 商品の性能・品質に関する説明(並行輸入品の特性・保証の有無を含む)
- 返品・交換の条件——「お客様都合の返品不可」とする場合はその旨を明確に表示。特約として有効に機能させるには申込み前の明示が条件です。
- 輸入品の仕様が日本国内向けと異なる場合の説明(電圧・言語・安全基準の相違等)
STOCKCREWでは消費者都合の返品対応は受託していませんが、宅急便の不在持ち戻り・受取拒否等の物流起因の返送品については対応可能です。返品ポリシーの設計段階から発送代行業者との連携体制を確認しておくことを推奨します。
並行輸入品の国内物流・発送代行との連携
並行輸入品に特有の入庫・保管ニーズ
発送代行倉庫で並行輸入品を管理する場合、通常のEC商品と異なる管理ニーズが生じます。事前に発送代行業者に確認・依頼が必要な主な項目を整理します。
- シリアル番号・ロット番号の個品管理——ブランド品はシリアル番号単位で管理し、出荷時に記録を取ることが商標権申告への対抗証拠になります。入庫時に番号を撮影・記録してもらう流通加工を依頼してください。
- 日本語ラベルの貼付——食品・化粧品・電気用品など法的に日本語表示が義務付けられている商品は、入庫時に日本語ラベルを貼付する流通加工が必要です。事前に表示内容のデータを倉庫側に提供し、ラベルプリントも委託すると効率的です。
- 保証書・真正品証明書の同梱——並行輸入品保証書や仕入れ先インボイスのコピーを同梱することで、購入者からの「偽造品では?」という疑義を防ぎます。同梱物の準備と封入作業も流通加工として依頼できます。
- 高額品の保管管理——時計・バッグ等の高額品は施錠管理エリアでの保管が望ましい場合があります。対応可否と追加費用を事前に確認してください。
発送代行での流通加工メニューと活用法
並行輸入品でよく利用される流通加工の主なメニューは以下のとおりです。EC物流の全体設計の観点から、どの作業を内製するか外注するかを入荷量・SKU数に応じて判断してください。
- 日本語表示ラベルの貼付——外国語パッケージへの追加表示。薬機法・食品衛生法に基づく表示項目を含める必要があります。
- 並行輸入品保証書・商品説明書の同梱——自社フォーマットで作成した保証書を入庫時から封入します。
- ギフト包装・化粧箱への詰め替え——高単価商品はギフト需要が高く、包装品質がレビュー評価に直結します。
- セット組み・バンドル化——海外で販売されているバリエーション商品を国内向けにセット化することで差別化を図れます。
- 入庫時の撮影・シリアル番号記録——商標権申告への対抗証拠として、入庫時の状態を写真と番号で記録します。
STOCKCREWで並行輸入品を委託する際の確認事項
STOCKCREWへの委託を検討する際に、事前に確認・準備しておきたいポイントをまとめます。
- 対応商材——常温保管可能な並行輸入品(雑貨・アパレル・コスメ・スポーツ用品等)は受け入れ可能です。冷蔵・冷凍品、医薬品、酒類は取り扱い不可です。医薬部外品・化粧品・サプリメントは対応可能です。
- 配送手段——ヤマト運輸・佐川急便での国内配送に対応(日本郵便は非対応です)。配送方法を商品ページで案内する際は注意してください。
- 初期費用・固定費——初期費用・月額固定費ともに0円。出荷件数が少ない立ち上げ期でも低コストで物流を外注化できます。最短7日で導入可能です。
- 流通加工の事前依頼——ラベルデータ・保証書テンプレートを入庫予定日の1週間前までに共有することで、スムーズな流通加工が可能になります。
STOCKCREWのサービス詳細では、荷主2,200社以上の実績をもとにした並行輸入品ビジネスへの対応体制を公開しています。またEC物流の初めての外注化ガイドでは、自社倉庫から発送代行への移行ステップを解説しています。
並行輸入ビジネスの収益シミュレーション
仕入れ原価・通関コスト・物流費の試算
並行輸入ビジネスの採算性は「海外仕入れ価格との価格差」と「通関コスト+国内物流費+プラットフォーム手数料」のバランスで決まります。以下は1商品あたりの原価構造の試算例です。
| コスト項目 | 試算例(USD 100のブランドバッグ、CIF価格) | 備考 |
|---|---|---|
| 海外仕入れ価格(CIF) | USD 100 ≒ 15,000円 | 関税はCIF価格に対して計算 |
| 関税(革製バッグ 16%) | 2,400円 | HSコードによって変動 |
| 輸入消費税(課税価格×10%) | 1,740円 | (仕入れ+関税)×10% |
| 通関手数料(フォワーダー) | 500〜2,000円/件 | ロット数で変動 |
| 国内輸送費(倉庫着荷) | 200〜500円 | 航空便・船便で大きく変動 |
| 発送代行費用(入庫+保管+出荷) | 300〜600円 | STOCKCREWは初期・固定費0円 |
| 合計仕入れ総原価 | 約20,140〜22,240円 | 仕入れ価格の約34〜48%増 |
この例では、国内で28,000円以上で販売できれば販管費・広告費(売上の10〜15%想定)を引いても利益が出る水準です。正規代理店の国内定価が40,000〜50,000円台の商品であれば、28,000〜35,000円での販売でも競争優位を持てます。
販売プラットフォーム手数料と利益率計算
プラットフォームごとの手数料構造は異なり、並行輸入品の利益率計算に大きく影響します。以下を参考に販売チャネルを設計してください。
- Amazon出品サービス手数料——カテゴリによって8〜15%程度。FBA利用時はさらに保管料・出荷手数料が加算されます。
- 楽天市場——出店プランによって月額2万〜10万円+ロイヤリティ2〜7%程度。決済手数料も別途かかります。
- Yahoo!ショッピング——2026年9月以降、月額1万円+ロイヤリティ2.5%に移行。現在の無料モデルから変わるため、採算シミュレーションの更新が必要です。
- 自社ECサイト(Shopify等)——プラットフォーム手数料はゼロか最小限ですが、集客コスト(広告費)が発生します。
月間出荷が100件以下の段階ではAmazonマーケットプレイスと自社ECを組み合わせるのが効率的です。出荷規模が拡大したら3PL(物流代行)へのアウトソーシングを検討し、在庫管理の精度を高めることで在庫ロスを最小化してください。
スケールアップ時の物流コスト最適化
並行輸入品ビジネスを月間300件以上にスケールアップする段階では、物流コストの最適化が利益率の鍵を握ります。
- ロット仕入れによる通関コスト削減——1件ずつ個人輸入で通関するよりも、まとめてコマーシャルベースで通関する方が1個あたりの通関コストは大幅に下がります。月間発注量が安定してきたら業者間取引(B2B輸入)への切り替えを検討してください。
- 発送代行への集約による出荷コスト削減——複数販路の出荷を1か所の発送代行倉庫に集約することで、梱包資材・出荷作業のスケールメリットが出ます。
- 在庫回転率の管理——並行輸入品は季節性・トレンド依存度が高い商材も多く、物流コスト全体の管理手法を参照しながら保管料が積み上がる前に回転率を確認する仕組みが必要です。
ケーススタディ:並行輸入×EC販売の成功・失敗事例
事例①:欧州コスメの並行輸入で月商500万円を達成したEC事業者
欧州ブランドのスキンケア商品を並行輸入で仕入れ、国内ECで販売する事業者の事例です。
課題:商品を自宅で保管・梱包していたが、月間500件を超えたところで作業が追いつかなくなった。また、商品ごとに日本語ラベルの貼付が必要で、毎回手作業での対応が発生していた。
解決策:発送代行への移行を決断し、流通加工(日本語ラベル貼付・保証書同梱・入庫時撮影記録)を委託。ラベルデータをExcelで一括管理し、入庫指示書とともに提出する運用フローを構築した。
結果:梱包・ラベル作業から解放され、月間出荷が800件に拡大。医薬部外品の取り扱いに詳しいコスメECの発送代行を活用したことで、薬機法の表示義務についても安心できる体制を整えられた。商標権申告を1件受けたが、入庫時の撮影記録とインボイスを即時提出して2週間で出品を復活させた。
事例②:商標権申告を受けたスポーツシューズ事業者の対処事例
海外ブランドのスポーツシューズを並行輸入で販売していたところ、Amazonのブランド保護プログラムを通じて出品停止申告を受けた事例です。
経緯:真正品(本物)の並行輸入品を販売していたにもかかわらず、商標権者の日本法人がAmazonに申告し、出品が一時停止された。仕入れ先インボイスはあったが、英語で書かれており翻訳が必要だった。
対処法:①仕入れ先インボイスの翻訳・公証を取得、②Amazonの異議申し立てフォームに書類一式を提出(真正品証明・輸入申告書・支払い証明の3点セット)、③商標権者の日本法人との直接交渉は弁理士を通じて実施。約3週間で出品が復活した。
教訓:仕入れ証明書類の「即時提出できる状態」での保管が最重要です。入庫時にインボイス・輸入申告書・支払い証明を電子化してSKU単位でクラウド管理することで、申告を受けた翌日に書類提出できる体制を整えてください。
まとめ:並行輸入ビジネスを安全に運営する5つの原則
並行輸入品のEC販売を安全かつ安定して運営するために、以下の5つの原則を守ってください。
- 真正品3条件を仕入れのたびに確認する——「真正品・品質同一・出所同一」の3条件をチェックリスト化し、新規仕入れのたびにSKU単位で確認。証明書類は電子化して即時提出できる状態で保管する。
- プラットフォームの規約を定期確認する——Amazon・楽天・Yahoo!の並行輸入品に関する規約は随時改定される。特にYahoo!ショッピングの有料化(2026年9月)のように採算性に直結する変更には早期に対応する。
- 商品ページで「並行輸入品」を明示する——保証なし・日本語マニュアルなし・仕様の相違等の情報を正確に記載し、特定商取引法の表示義務を遵守する。消費者トラブルを未然に防ぐことが返品・クレームコストの削減につながる。
- 仕入れ書類をSKU単位で完全管理する——インボイス・輸入申告書・支払い証明・入庫時写真をSKUと紐付けてデジタル管理する。商標権申告の対抗証拠として即時提出できる体制が事業継続の生命線になる。
- 物流を標準化して品質と対応力を担保する——発送代行に入庫検品・流通加工・出荷を委託し、EC物流を安定稼働させる。ラベル貼付・保証書同梱を標準フローに組み込むことで、法令対応とブランド品質を同時に担保する。
並行輸入品のEC販売を拡大する段階で物流の効率化を検討している方は、STOCKCREWのサービス詳細をご覧ください。初期費用・固定費ゼロで荷主2,200社以上の実績をもとに、並行輸入品ビジネスに適した物流体制をご提案しています。まずはお問い合わせまたは資料ダウンロードからお気軽にどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q. 並行輸入とはどういう意味ですか?
ブランドの正規輸入代理店を通さずに、海外で正規に販売された本物(真正品)を第三者が輸入して国内で販売する流通形態です。日本の最高裁判例により、①真正品であること、②品質の同一性、③出所の同一性の3条件を満たせば合法とされています。正規品より低価格での販売が可能なため、EC事業者の有力な商材調達手段のひとつです。
Q. 並行輸入品の販売は本当に合法ですか?
3条件(真正品・品質同一・出所同一)を満たす限り合法です。ただし、地域仕様が日本向けと異なる商品、ライセンシーが製造した商品、加工・改変を施した商品などは条件を満たさなくなる可能性があります。また、Amazonや楽天などプラットフォームの独自規約によって出品が制限される場合もあるため、法的合法性とプラットフォームルールの両方を確認してください。
Q. 並行輸入品をAmazonや楽天市場で販売できますか?
いずれのプラットフォームでも並行輸入品の販売は認められています。ただし「並行輸入品」である旨・保証の有無・仕様の相違点を商品ページに明記することが規約で求められています。商標権者からのブランド保護申告によって出品が一時停止されるリスクもあるため、仕入れ証明書類(インボイス・輸入申告書・支払い証明)を常時保管し、異議申し立てに備えておくことが重要です。
Q. 並行輸入品の保証はどうすればいいですか?
メーカー保証は原則適用されません。代わりに販売者独自の保証(初期不良対応・一定期間の修理対応など)を設けて商品ページに明示することが消費者トラブルの防止につながります。「メーカー保証対象外・当店保証○ヶ月」という形式で記載するのが標準的な対応です。特定商取引法の返品特約も商品ページ上で事前に明示してください。
Q. 並行輸入品をSTOCKCREWで発送代行してもらえますか?
常温保管可能な並行輸入品(雑貨・アパレル・コスメ・スポーツ用品等)は対応可能です。冷蔵・冷凍品、医薬品、酒類は取り扱い不可です。日本語ラベルの貼付・保証書の同梱・入庫時撮影記録などの流通加工にも対応しています。初期費用・固定費ゼロで最短7日から導入可能です。詳細はお問い合わせください。
Q. 並行輸入品の輸入時に税関で止められることはありますか?
商標権者が税関に「輸入差止申立」を行っている場合、並行輸入品が税関で留置されることがあります。真正品であることを証明するインボイス・支払い証明等の書類を税関または商標権者に提出することで異議申し立てが可能です。コピー品・模倣品は没収され、場合によっては刑事罰の対象になります。仕入れ段階での真正品確認が最大の予防策です。
この記事の監修者
北川七重
株式会社KEYCREW 管理部門の責任者。IT業界でシステムエンジニアとして約10年間、客先常駐・受託開発に従事した後、KEYCREWに入社。経理・労務・採用を統括し、業務の標準化や体制整備を通じて管理部門の強化を推進している。販管費の約7%削減を実現するなど、単純作業の外部化と社内リソースの最適化により「戦略的に動く管理部」の構築を目指す。日商簿記2級および応用情報技術者の資格を保有し、経理の専門知識とITスキルを兼ね備えた視点でEC事業者の会計・税務・制度対応に関する情報を発信。「凡事徹底/積小為大」を信条に、正確さと信頼感を重視した記事を執筆している。