物流業界の市場規模は新型コロナウイルスの影響で一度低下しましたが、2023年現在回復の兆しを見せています。しかし、「どのような方法で市場規模を調査しているのか?」や「今後の物流業界の市場規模の予測を具体的に知りたい」と思う方もいることでしょう。
本記事では、物流業界の市場規模の分析の手法や今後の予測について解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
物流業界の定義とは
物流業界の定義は、モノの流れを取り扱う業界です。具体的には、調達から消費者への運搬までを物流と呼び、それまでに複数の業務が存在しています。「物流」という単語についての詳細は「意外に知らない物流と運送の違いとは?現状と今後について解説」でも解説していますので、ぜひご参照ください。
物流の業務
物流の業務は、前述した調達や運搬以外に次のものがあげられます。
- 保管:モノを倉庫に保管管理
- 荷役:輸送機器にモノを積み込みや積み下ろし
- 流通加工:ラベル貼りや値札付け
- 梱包・包装:運搬中にモノが痛まないように梱包材で保護
- 情報管理:コンピューターシステムを利用し、物流業界の業務を管理
これらの業務の全てを物流と呼び、どれかが欠けてしまうと成り立ちません。また、物流には、以下のような職種も存在しています。
物流の職種
物流の職種は、次の6つです。
- ドライバー:商品や荷物をトラックや自動車に積み込み消費者の元へ届ける
- 管理:輸送された商品や荷物を入出荷するまで管理する
- 営業:自社商品やサービスを認知してもらい、新規ユーザーの獲得を行う
- パイロット:商品や荷物を航空貨物により輸送する
- 鉄道運転士:商品や荷物を貨物列車により輸送する
- 航海士:商品や荷物を貨物船により輸送する
こちらも業務と同じようにどれかが欠けてしまうと物流が成り立たなくなります。
物流業界の市場規模とは
物流業界の市場規模は、ECサイトの普及により、拡大する可能性が高くなっています。ECサイトとは、インターネット通販やネットショップと呼ばれるものです。具体的には、Amazonや楽天市場などが該当します。
これらの普及により、消費者は商品を購入しやすくなり、商品を消費者の元へ届けるために物流業界の企業が必要になります。このようなことから、ECサイトの普及により、物流業界の市場規模は拡大する可能性が高いと予測できます。
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物流業界の市場規模分析の手法
物流業界の市場規模を分析する際には、複数のフレームワークを利用し、市場全体の現状や課題を導き出します。ここでは、物流業界の市場規模分析のフレームワークをご紹介します。市場規模分析のフレームワークは次の通りです。
- 3C分析
- SWOT分析
- PEST分析
- ファイブフォース分析
以下、それぞれについて詳しく解説します。
3C分析
3C分析は「Customer(顧客)」・「Competitor(競合他社)」・「Company(自社)」の3つのCから成る分析方法です。
「Customer(顧客)」では、購買人口や購入決定者、購入者と利用者のギャップを調査します。
「Competitor(競合他社)」では、競合他社の強いポイントや売上高、市場シェア率などを調査し、自社と比較します。
「Company(自社)」では、自社を競合他社と同じ評価基準により評価することで、客観的な分析が可能です。
3C分析により、現在の経営環境の成功要因を調査し、最適な戦略を決められます。
PEST分析
PEST分析は「Politics(政治)」・「Economy(経済)」・「Society(社会)」・「Technology(技術)」の4つからなる分析方法です。
「Politics(政治)」では、法律や規制などが市場に与える政治的要因から分析し、「Economy(経済)」では、経済成長率や景気などによる経済的要因から分析します。
また、「Society(社会」では市場に関与している組織や消費者などのライフスタイルといった社会的要因から分析し、「Technology(技術)」では、事業の開発や製造技術などの技術的要因から分析します。
PEST分析によって、影響力の高い外部要因を導き出し、最適な戦略を探ります。
SWOT分析
SWOT分析は「Strength(強さ)」・「Weakness(弱み)」・「Opportunity(機会)」・「Threat(脅威)」の4つからなる分析方法です。
「Strength(強さ)」と「Opportunity(機会)」の評価が高ければ企業にとってプラスであり、「Weakness(弱み)」や「Threat(脅威)」が高い場合は企業にとってマイナスでああることが分析できます。
SWOT分析により、企業のプラスとマイナスの面を分析できるため、自社と他社を比較し、最適な戦略を決められます。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析は、さまざまな分析結果をもとに「売り手の競争力」・「買い手の競争力」・「新規参入者の影響力」・「競合他社の脅威」・「代替製品の脅威」の5つに当てはめ、さらに深堀していくことで、業界が儲けられる市場なのか調査します。
物流業界の市場規模の予測
「矢野経済研究所」の調査によると、物流業界の市場規模は今後さらに拡大していくと予測しています。理由として、商品や荷物の動きが新型コロナウイルス拡大以前まで回復する可能性は低いが、海運や宅配便、航空貨物などが大幅に増加していき市場価値が高まると分析しています。
新型コロナウイルスの影響を大きく受けた2020年度の市場規模は20兆405億円となっていました。しかし、現在回復し始め、2021年度は21兆5,810億円の見込みで、2022年度は22兆500億円になり、2023年度には22兆4,610億円になることを予測しています。
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物流業界の市場規模を分析するためには
物流市場の規模を分析するための方法は、次の2種類あります。
- 自分で調査する
- 専門企業に依頼する
まず、自分で調査する方法は、前述した分析方法を活用し、分析していくことになります。分析する際には、1つの分析方法ではなく複数を併用することで、より密度の高いデータを取得できます。また、分析をサポートするツールを利用することで、効率よく分析できます。しかし、自分で調査する方法の場合、多くの労力が必要になります。
一方で、専門企業に依頼する方法は、調査してほしい内容を伝えることで、専門企業に属する専門家が分析を開始します。依頼するために費用はかかりますが、専門家が分析するため、分析結果が正確であり、自分で調査する負担を考慮すると専門企業に依頼する方法がおすすめです。
物流市場の今後の将来性
物流市場は前述した「矢野経済研究所」の調査から海運や宅配便、航空貨物などが大幅に増加していくことで、今後さらに市場価値が高まることが予測できます。特に、ECサイトの普及により、小口の消費者が増加するため、物流市場のサービスはとても重要です。また、AIやIoTを物流業務に導入することで、業務の効率化が図れるため、数十年後には今以上に拡大した市場になる可能性もあります。
物流業界の今後の進展は「物流DXとは?課題や4つの導入事例を紹介」もご覧ください。
まとめ
本記事では、物流業界の市場規模の分析の手法や今後の予測について解説しました。物流業界の市場規模はECサイトの普及により、今後さらに拡大していくことが予測されています。また、AIやIoTが本格的に導入できるようになれば、業務の効率化が図れるため、さらに市場拡大が見込めます。物流業界は新たな技術により大きく変化する業界です。今後の物流業界に注目していきましょう。
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