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2026年6月の食品値上げ1,078品目と物流費高騰|食品EC事業者が夏の値上げラッシュに取るべき対策

  • EC・物流インサイト
2026年6月4日 公開

この記事は約13分で読めます

2026年6月の食品値上げ1,078品目と物流費高騰 アイキャッチ画像

2026年6月、食品の値上げが再び加速しています。帝国データバンクの調査では単月で1,078品目が値上げされ、値上げ要因のうち物流費由来は74.1%と2026年内で最高水準に達しました。仕入原価・梱包資材・配送費が同時に上がる局面では、食品EC事業者のコスト管理が利益を左右します。本記事では、調査データから値上げの構造を読み解き、夏の値上げラッシュに向けてEC事業者が取るべき対策を整理します。物流コスト全体の見直しには発送代行の活用も選択肢になります。

この記事の内容

  1. 2026年6月の食品値上げは1,078品目——5年連続の「年間1万品目」へ
  2. 値上げ要因の構造変化——物流費由来74.1%が年内最高に
  3. 中東情勢とナフサ供給難——包装資材と配送コストへの波及
  4. 食品EC事業者への影響——仕入原価・資材費・配送費のトリプルコスト高
  5. 夏の値上げラッシュに備える5つの対策
  6. 価格転嫁を進める際の法的留意点と支援策
  7. まとめ:値上げの夏を「コストの定点観測」で乗り切る
  8. よくある質問(FAQ)

2026年6月の食品値上げは1,078品目——5年連続の「年間1万品目」へ

コンベアラインが複数交差する出荷フロア全景(広角)
コンベアラインが複数交差する出荷フロア全景(広角)

帝国データバンクが2026年5月29日に公表した「食品主要195社」価格改定動向調査によると、2026年6月の飲食料品の値上げは1,078品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均14%となりました。単月で1,000品目を超えるのは2026年4月以来2カ月ぶりです。

2026年通年の値上げ品目総数は、1~10月までの判明分で9361品目となった。6月中にも、調査を開始した2022年から5年連続となる年間1万品目突破が判明する見通し。中東情勢の悪化を背景に、飲食料品では今夏以降に広範囲な値上げラッシュが続くとみられる。

出典:帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年6月」(2026年5月29日)

前月の13倍——夏に向けて値上げが再加速

2026年5月の値上げは84品目と小康状態でしたが、6月は前月比13倍に急増しました。さらに7月は判明分だけで2,269品目と、4月以来3カ月ぶりに単月2,000品目を超える見通しです。8月(849品目)・9月(580品目)も判明分が積み上がっており、最終的にそれぞれ単月1,000品目を超える可能性が指摘されています。つまり、6月の値上げは「単発」ではなく夏全体に続くラッシュの入り口と捉えるのが妥当です。

分野別では調味料・加工食品が中心

6月の値上げを分野別に見ると、香辛料やふりかけ類を中心とした「調味料」が450品目で最多、納豆製品・缶詰・即席麺などの「加工食品」が304品目で続きます。通年では「加工食品」3,029品目、「調味料」2,537品目、「酒類・飲料」1,494品目、「パン」978品目の順です。常温加工食品を扱うEC事業者ほど、仕入価格改定の通知が集中しやすい商材構成といえます。価格改定が迫る局面では消費者の駆け込み購入も発生しやすく、駆け込み需要への在庫・出荷対応も同時に考えておく必要があります。

値上げ要因の構造変化——物流費由来74.1%が年内最高に

今回の調査で食品EC事業者が最も注目すべきは、値上げ要因の構成変化です。要因別の割合(複数回答)は次のとおりです。

食品値上げの要因別割合(2026年5月末時点・複数回答) 0% 25% 50% 75% 100% 原材料高 97.7% 物流費 74.1% 2026年内で最高 包装・資材 73.7% 初の7割台 人件費 54.7% エネルギー 53.0% 中東情勢 22.7% ※ 出典:帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年5月29日公表)。複数回答のため合計は100%を超える

物流費は前月末から上昇し、年内最高水準に

「原材料高」(97.7%)が最大要因である構図は変わらないものの、3月以降は低下傾向にあります。一方で「物流費」は74.1%と前月末から上昇し、2026年内で最も高い水準になりました。中東情勢の悪化による原油高が輸送コストを押し上げており、メーカー側はその上昇分を製品価格へ転嫁し始めています。宅配運賃の改定が続く流れは宅配便値上げの動向としても確認されており、EC事業者は仕入と配送の両面で物流費上昇の影響を受ける状況です。

「包装・資材」は初めて7割台に

「包装・資材」由来の値上げは73.7%と前月を上回り、5月末時点として初めて7割台に乗りました。トレーや食品フィルムなどナフサ由来の資材価格高騰が背景にあり、「中東情勢」を要因とする値上げは22.7%を占めます。要因別の構成を時系列で見ると、労務費由来の値上げが相対的に弱含み、資材・物流などモノ由来のコストが主役に戻りつつあるのが2026年夏の特徴です。

値上げ要因割合(複数回答)前月からの動きEC事業者への波及経路
原材料高97.7%3月以降は低下傾向仕入原価の上昇
物流費74.1%上昇・年内最高仕入物流費+出荷配送費の上昇
包装・資材73.7%上昇・初の7割台梱包資材・容器の調達コスト上昇
人件費54.7%上昇倉庫作業・出荷人件費の上昇
エネルギー53.0%低下保管・庫内作業の光熱費
中東情勢22.7%拡大中ナフサ由来資材・輸送コスト全般

中東情勢とナフサ供給難——包装資材と配送コストへの波及

ホルムズ海峡の混乱が国内の資材供給に波及

今回の値上げラッシュ再燃の引き金は、中東地域の地政学的リスクです。帝国データバンクは2026年の見通しを次のように分析しています。

米国とイスラエルによるイランへの攻撃で急激に高まった中東地域の地政学的リスク、ホルムズ海峡の混乱が国内産業にも波及し、石油由来の樹脂素材の供給力低下やコスト上昇圧力が顕著となっている。食品分野でもインクや食品フィルム、トレー類などで大幅な値上げや品薄状態が続き、解消の見込みも立っていない。

出典:帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年6月」(2026年5月29日)

こうした状況を受けて、メーカー側では商品パッケージの変更や一部商品の製造休止、商品点数の集約といった安定供給を優先する動きが進んでいます。パッケージ変更はJANコードや商品マスタの更新を伴うことが多く、EC側でも商品ページ・在庫データの改修が発生する点に注意してください。

EC事業者の梱包資材にも同じ圧力がかかる

ナフサ由来の資材高は食品メーカーだけの問題ではありません。EC出荷で使うポリ袋・緩衝材・OPPテープも同じ石油由来素材であり、梱包資材の調達価格は今後数カ月、上昇圧力を受け続けると考えるべきです。梱包資材費用を商品サイズ別に把握し、単価改定の影響を試算しておくと、値上げ通知を受けてからの対応が速くなります。また、円安が1ドル160円に迫る水準で長期化していることや、政府による輸入小麦の売り渡し価格引き上げも、仕入原価を押し上げる要因として並走しています。

食品EC事業者への影響——仕入原価・資材費・配送費のトリプルコスト高

今回の値上げラッシュが食品EC事業者に与える影響は、次の3つのコスト領域に分けて考えると整理しやすくなります。

コスト領域何が起きるか確認すべき指標
① 仕入原価メーカーの値上げ通知が7月(2,269品目)に向けて集中する商品別の仕入価格改定日と改定率
② 梱包資材費ナフサ由来資材(ポリ袋・フィルム・緩衝材)の価格上昇・品薄資材単価と在庫月数
③ 配送費・物流費原油高による輸送コスト上昇。宅配運賃も高止まり1件あたり平均配送費・送料負担率

利益率への影響は「実質原価率」で測る

3領域のコスト上昇が重なると、商品単体の粗利では見えない利益の毀損が起こります。販売価格に対して仕入原価だけでなく梱包資材費・配送費・保管費まで含めて計算する原価率の考え方を使い、商品別に「実質原価率」を再計算するのが第一歩です。値上げ局面では、売れ筋商品ほど実質原価率の悪化が早く進む傾向があるため、出荷上位20%の商品から優先的に点検してください。

食品ECは「常温」の範囲で物流設計を見直す

食品ECの物流は温度帯によってコスト構造が大きく異なり、食品ECの発送代行でも常温・冷蔵・冷凍で配送単価と委託可否が変わります。STOCKCREWの発送代行は常温食品のみ対応(冷蔵・冷凍は非対応)ですが、常温の加工食品・調味料・飲料・サプリメントであれば、保管から出荷まで委託することで自社の人件費・資材費を変動費化できます。食品定期便ECのように毎月の出荷数が読みやすいモデルは、賞味期限・ロット管理を含めた委託でコストの予実差を小さくしやすい商材です。

夏の値上げラッシュに備える5つの対策

7月に2,000品目超の値上げが控える今、6月中に着手できる対策を優先度順に整理します。

  1. 商品別の実質原価率を再計算する——仕入価格の改定通知を商品マスタに反映し、梱包資材費・配送費込みの実質原価率を出し直します。値上げすべき商品と価格を維持する商品を、感覚ではなく数値で仕分けることが起点になります。
  2. 梱包資材の調達を前倒し・複線化する——ナフサ由来資材は品薄が続いており、発注リードタイムが延びる可能性があります。主要資材は在庫月数を確認し、梱包コスト削減の観点からサイズ構成の見直しと併せて調達先の複線化を進めてください。
  3. 送料設定と送料無料ラインを再設計する——配送費が上がる局面で送料無料ラインを据え置くと、注文単価の低い注文ほど赤字化しやすくなります。送料設定の損益計算をやり直し、無料ラインの引き上げや送料の段階設定を検討しましょう。
  4. 駆け込み需要と買い控えの両方に備える——値上げ発表から実施日までは駆け込み需要が、実施後は買い控えが発生しやすくなります。需要予測と在庫計画の実務は出荷波動管理の手法が応用できます。過剰在庫は保管コストの増加に直結するため、仕入の前倒しは回転率とセットで判断してください。
  5. 物流委託費を含めた契約全体を見直す——自社出荷を続けるか、外部委託に切り替えるかの判断材料を揃えます。物流契約見直しのチェックリストを使い、現在の出荷コストと発送代行利用時のコストを比較すると、判断が具体化します。

価格転嫁を進める際の法的留意点と支援策

仕入先からの値上げ要請は「協議」が原則

仕入先のメーカー・卸から値上げ要請を受けた場合、一方的に拒否して取引条件を据え置く行為は、2026年に施行された取引適正化関連の法制度(いわゆる取適法)の趣旨に反するおそれがあります。公正取引委員会は取適法の概要を公表しており、価格交渉は協議のうえで合意することが原則です。EC事業者が自社の販売価格を改定する場合も、根拠データを揃えて段階的に実施するのが安全です。

中小企業向けの価格転嫁支援を活用する

中小企業庁は取引適正化・価格交渉・価格転嫁に関する支援策を整備しており、価格交渉促進月間のフォローアップ調査や相談窓口が利用できます。コスト上昇の根拠を示す資料として、今回の帝国データバンク調査のような公開データを添えると交渉が進めやすくなります。販売側・仕入側のどちらの立場でも、転嫁の根拠を文書化しておくことが2026年の商習慣として定着しつつあります。

販売価格の改定は「告知→実施→検証」の3段階で

自社ECサイトやモール店舗で販売価格を改定する際は、改定日の1〜2週間前に告知し、実施後は購入点数・客単価・リピート率の変化を検証する3段階の運用が基本です。値上げ幅を一度に大きく取るよりも、送料設定や同梱施策と組み合わせて実質的な顧客負担をなだらかにする方が、購入離脱を抑えやすい傾向があります。モール販売では二重価格表示にならないよう、参考価格の表記ルールにも注意が必要です。

まとめ:値上げの夏を「コストの定点観測」で乗り切る

2026年6月の食品値上げは1,078品目、7月は2,269品目と、夏に向けて値上げラッシュが続きます。注目すべきは物流費由来74.1%・包装資材由来73.7%という要因構成の変化で、食品EC事業者は仕入原価・梱包資材費・配送費のトリプルコスト高に直面します。対策の核心は、商品別の実質原価率を毎月更新し、送料設定・資材調達・在庫計画を数値で見直す「定点観測」の仕組み化です。自社出荷のコストが膨らんでいる場合は、発送代行への切り替えで物流費を変動費化する選択肢があります。STOCKCREWは初期費用・固定費0円で常温食品の保管・出荷に対応しており、料金や導入手順の詳細はお問い合わせまたはサービス資料のダウンロードからご確認いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q. 2026年6月の食品値上げは何品目ですか?

帝国データバンクの調査では1,078品目です。単月で1,000品目を超えるのは2026年4月以来2カ月ぶりで、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均14%でした。7月は判明分だけで2,269品目とさらに増える見通しです。

Q. 値上げ要因として物流費はどのくらい影響していますか?

値上げ要因のうち物流費由来は74.1%(複数回答)で、2026年内では最も高い水準です。中東情勢の悪化による原油高が輸送コストを押し上げ、メーカーが製品価格へ転嫁する動きが強まっています。

Q. 食品EC事業者が最初に取り組むべき対策は何ですか?

商品別の実質原価率の再計算です。仕入価格の改定を反映したうえで、梱包資材費・配送費・保管費まで含めた原価率を出し直し、価格改定する商品と維持する商品を数値で仕分けることが、送料設定や資材調達の見直しの前提になります。

Q. 梱包資材の値上がりはいつまで続きますか?

中東情勢とナフサ供給難を背景に、食品フィルム・トレー類の値上げや品薄は解消の見込みが立っていないと調査では分析されています。少なくとも2026年夏の間は上昇圧力が続く前提で、在庫月数の確認と調達先の複線化を進めるのが現実的です。

Q. STOCKCREWは食品の発送代行に対応していますか?

常温食品のみ対応しています。冷蔵・冷凍の保管・配送には対応していないため、常温の加工食品・調味料・飲料・サプリメントなどが対象です。初期費用・固定費0円で、保管から出荷までを変動費型で委託できます。

この記事の監修者

北川七重

北川七重

株式会社KEYCREW 管理部門の責任者。IT業界でシステムエンジニアとして約10年間、客先常駐・受託開発に従事した後、KEYCREWに入社。経理・労務・採用を統括し、業務の標準化や体制整備を通じて管理部門の強化を推進している。販管費の約7%削減を実現するなど、単純作業の外部化と社内リソースの最適化により「戦略的に動く管理部」の構築を目指す。日商簿記2級および応用情報技術者の資格を保有し、経理の専門知識とITスキルを兼ね備えた視点でEC事業者の会計・税務・制度対応に関する情報を発信。「凡事徹底/積小為大」を信条に、正確さと信頼感を重視した記事を執筆している。

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