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東南アジアで広がる越境ECの少額免税撤廃|タイ・ベトナム・インドネシアの課税強化とEC事業者の対策

  • EC・物流インサイト
2026年6月29日 公開

この記事は約13分で読めます

東南アジアで広がる越境ECの少額免税撤廃 アイキャッチ画像

少額の越境EC貨物を関税なしで送れる「少額免税(デミニミス)」が、東南アジアで相次いで撤廃・縮小されています。タイは2026年1月から少額貨物への課税を開始し、ベトナムは100万ドン以下の免税を撤廃、インドネシアはすでに3米ドル超で課税する制度を敷いています。米国の少額免税撤廃に続くこの流れは、日本から直送する越境ECの前提を揺るがします。この記事では各国の課税強化を一次資料で整理し、越境ECの発送代行も含めて、日本のEC事業者が取るべき物流・通関の対策を解説します。

この記事の内容

  1. 東南アジアで何が起きているか|少額免税の連鎖的な縮小
  2. タイ|2026年1月1日から少額貨物に課税
  3. ベトナム|100万ドン以下の免税を撤廃・VAT自動徴収
  4. インドネシア|すでに3米ドル超で課税
  5. なぜいま課税強化が広がるのか|背景と共通点
  6. EC事業者が取るべき対策|直送モデルからの転換
  7. まとめ:少額免税前提の越境ECは曲がり角に
  8. よくある質問(FAQ)

東南アジアで何が起きているか|少額免税の連鎖的な縮小

パレットラックとオリコン(折りたたみコンテナ)が並ぶ保管エリア
パレットラックとオリコン(折りたたみコンテナ)が並ぶ保管エリア

少額免税とは、一定金額以下の輸入貨物について関税や付加価値税(VAT)を免除する制度です。越境ECでは、商品を1点ずつ国際小包で海外の顧客へ直送し、この免税枠に収めることで価格競争力を保つモデルが広く使われてきました。ところがいま、その前提が各国で崩れつつあります。

米国デミニミス撤廃に続く世界的な潮流

2025年8月29日に米国が少額免税(デミニミス)を全世界対象で撤廃したのを皮切りに、各国・地域が相次いで同様の見直しに動いています。制度全体の流れは少額免税の世界的な撤廃やデミニミス改正と越境ECで整理していますが、東南アジアでもタイ・ベトナム・インドネシアで具体的な課税強化が進んでいます。越境EC市場として成長著しい地域だけに、日本のEC事業者にとっても無視できない変化です。

タイ|2026年1月1日から少額貨物に課税

タイ関税局は2025年12月11日、輸入申告価格が1,500バーツ以下の輸入貨物(少額貨物)について関税免除を廃止する関税通達第219号(2025年)を発表しました。これにより、2026年1月1日から少額貨物の輸入にも関税が課されるようになりました。

タイ関税局は2025年12月11日、輸入申告価格が1,500バーツ以下の輸入貨物(少額貨物)について、関税免除を廃止する関税通達第219号(2025年)を発表した。2026年1月1日から少額貨物の輸入には関税が課される。関税評価額(CIF価格)に基づき、1バーツ以上の全ての輸入品が対象となる。

出典:ジェトロ「タイ関税局、少額貨物の関税免除を廃止、1月1日から適用」(2026年1月)

VATのみから「関税+VAT」へ

2025年12月31日までは7%の付加価値税(VAT)のみが徴収されていましたが、2026年以降はVATと関税の両方が、製品の種類ごとの関税率に基づいて課税されます。狙いは、国内外の事業者間で公平な競争環境を確保することにあり、ECなどのオンラインプラットフォームを通じた大量の少額輸入が念頭に置かれています。タイ向けに小口で直送している事業者は、HSコードに基づく関税率を踏まえてコストを再計算する必要があります。

タイ向けに直送するセラーへの影響

これまでタイでは、1,500バーツ以下の小口貨物はVAT7%のみで通関できました。今後は品目別の関税が上乗せされるため、低単価・薄利の商材ほど採算が悪化します。たとえば雑貨やアパレル小物のように1点数百〜千円台で売る商材は、関税とVATを価格へ転嫁すれば競争力を失い、自社で吸収すれば利益が消えるという板挟みになりがちです。タイ向けの売上比率が高い事業者は、商材の絞り込みと現地在庫化を早めに検討すべき局面に入ったといえます。

ベトナム|100万ドン以下の免税を撤廃・VAT自動徴収

ベトナムは2025年1月3日付の首相決定01/2025/QĐ-TTgに基づき、国際宅配便で送られる輸入品に対する輸入関税とVATの免除を2025年2月18日に廃止しました。それまでは2010年以降、100万ドン以下の国際宅配便で輸入された商品は関税とVATが免除されていました。長く続いた少額免税が撤廃された点で、影響の大きい変更です。

ベトナム政府は2025年1月3日付の首相決定01/2025/QĐ-TTgに基づき、国際宅配便で送られる輸入品に対する輸入関税と付加価値税(VAT)の免除が2月18日に廃止された。以前は2010年以降、100万ドン以下の国際宅配便で輸入された商品は、輸入関税とVATが免除されていた。

出典:ジェトロ「低価格輸入品の免税を廃止、EC輸入品は新たな免税措置の見直し提案も(ベトナム)」(2025年3月)

さらにベトナム税関は、通達29/2025/TT-BTCに基づき2025年8月1日から、100万ドン以下の輸入品に対するVATの自動徴収を開始しました。当初は税関システム側に自動計算機能がなく事業者が自ら計算・申告する必要がありましたが、徴収の仕組みが整いつつあります。長年続いた免税が短期間で撤廃され、しかも自動徴収まで動き出した点で、ベトナムは東南アジアの中でも変化の速い市場だといえます。

EC輸入の免税見直し政令案も検討中

ベトナム財政省は、ECを通じて輸入される商品の免税対象範囲を見直す政令案も検討しています。報じられている案では、年間の累計購入金額9,600万ドンを上限とし、200万ドン以下の商品のVATを免除するといった内容が含まれます。制度は流動的で、ベトナムの規制環境はベトナム電子商取引法とあわせて継続的な確認が欠かせません。市場全体の動向はベトナム・フィリピン越境ECでも整理しています。

インドネシア|すでに3米ドル超で課税

インドネシアは、東南アジアのなかでも早くから少額免税を絞り込んできた国です。国際郵便・国際宅配便を使って小口貨物を輸入する場合、1送付あたりのFOB金額が3米ドルまでは無税、3米ドルを超える場合は一般関税が適用されます。

国少額免税の状況課税の内容時期
タイ1,500バーツ以下の免税を廃止VAT+品目別関税(CIF価格1バーツ以上が対象)2026年1月1日〜
ベトナム100万ドン以下の免税を撤廃関税+VAT(8月からVAT自動徴収)2025年2月18日〜
インドネシア3米ドル超は課税(早期から絞り込み)3米ドル超〜1,500ドルは原則7.5%関税+VAT導入済み

3米ドル超〜1,500ドルの小口貨物には、原則として7.5%の輸入関税とVATがかかります。インドネシアはASEAN最大級のEC市場であり、市場の特性や物流設計はインドネシアEC市場の解説に整理しています。実質的に「少額でもほぼ課税される」状態が、東南アジア全体に広がりつつあると捉えるべきです。

「実質課税」が常態になる東南アジア

インドネシアの3米ドルという基準は、ほとんどの越境EC商品が課税対象になることを意味します。タイ・ベトナムの動きも、この「実質課税の常態化」へ各国が追随した結果と見るのが自然です。主要市場のどこを切り取っても、少額免税に頼った価格設計は通用しなくなりつつあるというのが、東南アジア全体に共通する到達点です。商材ごとの関税率は品目によって大きく異なるため、進出先の制度を国別に把握したうえで、利益が残るかどうかを一件ずつ試算しておくことが欠かせません。

なぜいま課税強化が広がるのか|背景と共通点

各国の動きはばらばらに見えて、根っこにある問題は共通しています。要点は次の3つです。

中国発の格安ECへの対応という共通点

  1. 少額免税の悪用への対応——中国発の格安ECプラットフォームが少額免税を最大限に活用し、税・関税なしで大量の小口貨物を流入させてきたことへの対抗策です。
  2. 国内事業者との公平な競争環境——免税の小口輸入が増えるほど、国内で税を負担して販売する事業者が不利になります。各国は「内外無差別」を理由に課税へ動いています。
  3. 税収の確保とデジタル化——ECの拡大で増える小口輸入から確実に徴税するため、プラットフォームやキャリアを通じた徴収・自動化の仕組みが整えられています。

米国の全世界デミニミス撤廃で米国向け越境物流の前提が変わったのと同じ構造が、東南アジアでも進行しているわけです。中国発ECの国内シフトは中国越境ECの国内倉庫シフトでも触れており、課税強化はこうした「在庫の現地化」を後押しする圧力にもなっています。関税制度の基本は税関「実行関税率表」でも確認できます。

EC事業者が取るべき対策|直送モデルからの転換

少額免税を前提に「安く・少額で・直送する」モデルは、課税強化のなかで成立しにくくなります。日本のEC事業者が取れる対策を整理します。

少額免税の撤廃で越境ECモデルはどう変わるか これまで:日本から直送(少額免税) 日本の倉庫 国際小包 少額は免税 海外の顧客 これから:少額でも課税 日本の倉庫 国際小包 関税+VAT 海外の顧客 割高・遅延 EC事業者が取る3つの対策 ① 現地在庫化 主要国に在庫を前進 国内発送で関税を平準化 ② 関税込み(DDP)対応 購入時に税込み総額を提示 受取時のトラブルを回避 ③ 単価・商材の見直し 利益率の取れる商材へ HSコードの正確な分類 ※少額免税=少額貨物の関税・付加価値税を免除する制度。タイ・ベトナム等で撤廃・縮小が進む。

在庫前進と正確な通関を支える発送代行

第一の対策は在庫の現地化(在庫前進)です。出荷量の多い国にあらかじめ在庫を置き、国内発送に切り替えれば、1点ごとの少額課税を避けて関税を平準化できます。第二は関税込み(DDP)での販売で、購入時に税込みの総額を提示すれば、受取時に顧客が追加で課税されるトラブルを防げます。第三は単価・商材の見直しで、関税を吸収できる利益率の商材へ絞り込む判断です。

これらを支えるのが、正確な通関書類とHSコード分類、複数キャリアの使い分けです。日本側の出荷を効率化する発送代行を使えば、EMSやDHLなどの国際配送手段を、商品や仕向地に応じて使い分けられます。小ロットから始める方法は個人・小規模輸出者向けの発送代行に、EC物流全体の組み立てはEC物流の全体像に整理しています。なお現地在庫化には海外拠点の確保が必要で、日本国内を起点とする発送代行とは役割が異なる点には注意してください。

対策を進めるうえで見落とせないのが、国ごとに制度のスピードと中身が違うという点です。タイは2026年初からの新制度、ベトナムは自動徴収の整備途上、インドネシアは早期から課税という具合に、足並みはそろっていません。だからこそ、売上比率の高い国から優先的に対策するのが現実的です。まずは主要仕向地の関税率とVATを把握し、税込みの着地価格でも利益が残るかを商材ごとに試算します。そのうえで、関税を吸収できない商材は思い切って外し、利益率の取れる商材へ資源を集中させる判断が要ります。日本側の出荷品質を一定に保ちながらこうした見直しを進めるには、通関書類の精度と出荷オペレーションの安定が土台になります。越境EC市場の全体像を踏まえ、どの国にどれだけ投資するかを描いておくと、課税強化の波にも振り回されにくくなります。

まとめ:少額免税前提の越境ECは曲がり角に

タイは2026年1月から1,500バーツ以下の少額貨物に関税とVATを課し、ベトナムは100万ドン以下の免税を2025年2月に撤廃して8月からVAT自動徴収を開始、インドネシアはすでに3米ドル超で課税しています。米国の全世界デミニミス撤廃に続く東南アジアの動きは、「安く・少額で・直送する」越境ECモデルの曲がり角を示しています。日本のEC事業者は、在庫の現地化・関税込み(DDP)対応・単価や商材の見直しを軸に、直送一辺倒からの転換を検討すべき局面です。日本側の出荷を効率化する発送代行の活用や、STOCKCREWのサービス内容もあわせて、越境ECの体制を見直す参考にしてください。各国制度は流動的なため、最新情報はジェトロや各国税関などの一次情報で都度確認しておくと安心です。具体的な体制づくりに迷う場合は、お問い合わせや資料ダウンロードから相談してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. タイの少額貨物への課税はいつから始まりましたか?

タイ関税局が2025年12月11日に発表した関税通達第219号(2025年)により、2026年1月1日から1,500バーツ以下の少額貨物の関税免除が廃止されました。2025年末まではVAT7%のみでしたが、2026年以降はVATと品目別関税の両方が課されます。

Q. ベトナムの少額免税はどう変わりましたか?

2025年1月3日付の首相決定01/2025/QĐ-TTgにより、100万ドン以下の国際宅配便輸入品の関税・VAT免除が2025年2月18日に廃止されました。さらに通達29/2025/TT-BTCに基づき、2025年8月1日から100万ドン以下の輸入品のVAT自動徴収が始まっています。

Q. インドネシアの少額免税の基準はいくらですか?

国際郵便・国際宅配便の小口貨物は、1送付あたりのFOB金額が3米ドルまでが無税で、3米ドルを超えると一般関税が適用されます。3米ドル超〜1,500ドルの貨物には原則7.5%の輸入関税とVATがかかります。

Q. なぜ東南アジアで課税強化が広がっているのですか?

中国発の格安ECが少額免税を活用して大量の小口貨物を流入させてきたことへの対応、国内事業者との公平な競争環境の確保、ECの拡大に伴う税収確保とデジタル徴税の整備が主な理由です。米国の全世界デミニミス撤廃と同じ構造が各国で進んでいます。

Q. 課税強化で日本のEC事業者は何をすべきですか?

少額免税を前提とした直送モデルは成立しにくくなります。出荷量の多い国への在庫前進(現地在庫化)、関税込み(DDP)での販売、利益率の取れる商材への絞り込みとHSコードの正確な分類が有効です。日本側の出荷は発送代行で効率化できます。

Q. 発送代行で現地在庫化まで対応できますか?

現地在庫化には海外拠点の確保が必要で、日本国内を起点とする発送代行とは役割が異なります。発送代行は、日本からの越境EC出荷における正確な通関書類の準備やHSコード分類、EMS・DHLなど複数キャリアの使い分けを支える役割を担います。

この記事の監修者

北川七重

北川七重

株式会社KEYCREW 管理部門の責任者。IT業界でシステムエンジニアとして約10年間、客先常駐・受託開発に従事した後、KEYCREWに入社。経理・労務・採用を統括し、業務の標準化や体制整備を通じて管理部門の強化を推進している。販管費の約7%削減を実現するなど、単純作業の外部化と社内リソースの最適化により「戦略的に動く管理部」の構築を目指す。日商簿記2級および応用情報技術者の資格を保有し、経理の専門知識とITスキルを兼ね備えた視点でEC事業者の会計・税務・制度対応に関する情報を発信。「凡事徹底/積小為大」を信条に、正確さと信頼感を重視した記事を執筆している。

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商品入庫時に発生する基本料金です。入庫登録処理・外装検品作業を含みます(チラシ・梱包資材は対象外)。

入庫料
入庫点数
× 10円/点
員数検品(10円/点)
混載仕分け(8円/点)
シール貼付
入庫料 合計(税抜) ¥0
モジュールを追加

必要に応じて追加料金を見積もりに含められます。

Monthly Cost Estimate
配送料(税抜/月)¥0
保管料(税抜/月)¥0
入庫料(税抜)¥0
越境EC配送料¥0
ピッキング手数料¥0
BtoB配送料¥0
FBA専用便¥0
流通加工オプション¥0
入荷時付帯¥0
コンテナ関連¥0
在庫関連オプション¥0

合計(税抜/月)¥0
※ 実際の請求額は利用状況により変動します。
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