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中国発越境ECの国内倉庫シフトとEC物流競争の変化【2026年版】|Temu・SHEINの日本戦略と対策

  • EC・物流インサイト
2026年06月17日 更新 2026年3月30日 公開

この記事は約13分で読めます

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TemuやSHEINに代表される中国発の越境ECプラットフォームが、日本市場での物流戦略を大きく転換しています。従来は中国の倉庫から直送する「越境直送モデル」が主流でしたが、2025年後半から日本国内に物流拠点を構築し、国内在庫からの迅速な配送を実現する「国内倉庫シフト」が加速しています。この動きは単に配送スピードの改善にとどまらず、日本のEC事業者にとっての物流コスト競争と配送品質基準に根本的な影響を与えます。本記事では、中国発越境ECの国内倉庫シフトの背景と、日本のEC事業者が取るべき物流戦略を解説します。EC物流の基礎を体系的に押さえたい場合は、発送代行の基本ガイドに仕組み・費用・業者選びをまとめています。

この記事の内容

  1. 中国発越境ECプラットフォームの国内倉庫シフトとは
  2. 国内倉庫シフトを加速させる3つの要因
  3. Temu・SHEINの日本市場物流戦略【2026年最新動向】
  4. 日本のEC事業者への影響と物流競争の変化
  5. 日本のEC事業者が取るべき物流戦略
  6. まとめ:越境EC時代の物流競争力を維持する3つの優先事項
  7. よくある質問

中国発越境ECプラットフォームの国内倉庫シフトとは

「国内倉庫シフト」とは、TemuやSHEINなどの中国発ECプラットフォームが日本国内に倉庫を確保し、あらかじめ在庫を配置してから国内配送で消費者に届ける物流モデルへの転換を指します。従来の「中国から直送」モデルでは配送に7〜14日かかっていましたが、国内倉庫からの出荷により翌日〜3日配送が実現できるようになります。

越境直送モデル vs 国内倉庫モデルの比較

比較項目越境直送モデル(従来)国内倉庫モデル(シフト後)
配送日数7〜14日1〜3日
配送コスト低(一括大量輸送)中(国内配送料が発生)
関税・通関個人輸入扱い(デミニミス適用の場合あり)商業輸入として事前に通関済み
返品対応困難(国際返送コストが障壁)国内返品処理が可能
商品バリエーション小型・軽量商品中心大型商品・家具も出品可能
日本のEC事業者への脅威度配送スピードで劣るため限定的配送スピードでも価格でも競合する

この変化のインパクトは大きく、従来は「中国直送だから配送が遅い」という弱点が日本のEC事業者の競争優位でした。国内倉庫シフトにより、価格競争力と配送スピードの両方で中国発プラットフォームが競合するようになります。

国内倉庫シフトを加速させる3つの要因

中国発ECプラットフォームが国内倉庫シフトを急ぐ背景には、3つの構造的要因があります。

要因1:デミニミス制度の見直し・撤廃リスク

米国では2025年にデミニミス制度(少額免税枠)が撤廃され、中国からの少額貨物にも関税が課されるようになりました。日本でも同様の制度見直しが議論されており、個人輸入扱いでの免税メリットが将来的に失われるリスクがあります。国内倉庫に在庫を事前配置し、商業輸入として通関を済ませておけば、デミニミス制度の変更に左右されない物流設計が可能です。なお、個人輸入と商業輸入では通関・課税の扱いが異なる点は、税関の個人輸入の解説(カスタムスアンサー)でも確認できます。米国デミニミス撤廃の影響と日本への波及は、米国デミニミス制度撤廃後の越境EC物流に整理しています。

要因2:配送スピードの競争激化

楽天のあす楽、Amazonのプライム配送、Yahoo!ショッピングの優良配送など、日本のECモールは翌日〜2日配送を標準品質として競っています。中国直送の7〜14日配送では、この品質基準に到達できません。各モールが配送スピードを競う環境では、出荷リードタイムそのものが売上を左右する競争軸になっています。国内倉庫シフトはTemuやSHEINが日本市場でのシェアを拡大するために配送品質を日本のモールと同等水準に引き上げる戦略的な動きです。

要因3:Local-to-Localモデルの展開

Temuは「Local-to-Local」と呼ばれる戦略を打ち出し、各国市場で地場の売り手を招致し、国内倉庫からの出荷を実現する仕組みを構築しています。日本では日本法人として登録された国内在庫を持つ事業者のマーケットプレイス招致を2025年初頭から段階的に開始し、年央には本格的な募集へと移行しました。これにより、国内在庫からの迅速な配送や、大型商品を含む幅広いカテゴリの取り扱いが可能になっています。従来は越境直送では扱いにくかった大型家具のような商品も、国内倉庫モデルでは出品しやすくなります。

Temu・SHEINの日本市場物流戦略【2026年最新動向】

2026年時点での主要プラットフォームの日本市場向け物流戦略を整理します。

Temuの日本物流戦略

Temuは以下の3つの施策を並行して進めています。

  • 日本国内事業者の招致(Local-to-Local)——日本法人として登録され、国内在庫を持つ事業者をTemuマーケットプレイスに取り込む。ヤマト運輸・佐川急便による国内配送で翌日〜3日配送を実現
  • 越境直送の高速化——中国からの直送でも4〜6日配送を実現し、従来の7〜14日から大幅に短縮。物流パートナーとの提携強化で配送品質を改善中
  • 国内物流拠点の拡充——首都圏を中心に物流拠点を確保し、人気商品のバッファ在庫を国内に配置する動きが進行中

SHEINの日本物流戦略

SHEINは日本市場でアパレルを中心に急成長しており、以下の物流施策を展開しています。

  • ポップアップストア+EC連動——実店舗での商品体験とオンライン購入を組み合わせ、返品率の低減を図る
  • 配送スピードの段階的改善——標準配送で5〜8日を実現し、プレミアム配送では3〜5日に短縮
  • 日本語カスタマーサポートの強化——返品・交換対応を日本語で行える体制を整備し、顧客体験の改善を推進
指標Temu(日本)SHEIN(日本)楽天市場Amazon Japan
配送日数4〜6日(直送)/ 1〜3日(国内倉庫)5〜8日 / 3〜5日(プレミアム)翌日(あす楽)翌日〜2日(プライム)
価格帯超低価格低価格中〜高価格中価格
出品者中国事業者+日本事業者(招致中)SHEIN直販+マーケットプレイス日本法人中心日本法人+海外セラー
物流モデル越境直送+国内倉庫(移行中)越境直送中心RSL / 自己出荷FBA / 自己出荷

日本のEC事業者への影響と物流競争の変化

中国発プラットフォームの国内倉庫シフトは、日本のEC事業者にどのような影響を与えるのか。3つの観点で分析します。

影響1:価格+配送スピードの「二重脅威」

これまで中国発ECは「安いが届くのが遅い」という評価でした。国内倉庫シフトにより配送スピードの弱点が解消されると、価格と配送スピードの両面で日本の事業者と直接競合する状態になります。とくにアパレル・雑貨・小型家電など、中国発プラットフォームの主力カテゴリで競合するEC事業者は大きな影響を受けます。

影響2:物流コストの比較優位が希薄化

中国発プラットフォームが日本国内に大規模な物流拠点を構築すると、ボリュームディスカウントにより配送コストが低下します。個別のEC事業者が1件あたり数百円〜1,000円超の配送コストを負担しているのに対し、大規模プラットフォームは大量出荷による交渉力で配送コストを圧縮できます。そもそも国内の物流は、ドライバー不足という構造的な逼迫に直面しており、配送コストには中長期的な上昇圧力がかかっています。

関する法律が2024年4月から適用される一方、物流の停滞が懸念される「2024年問題」に直面。何も対策を講じなければ、2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力不足の可能性。荷主企業、物流事業者(運送・倉庫等)、一般消費者が協力して我が国の物流を支えるための環境整備に向けて、抜本的・総合的な対策を「政策パッケージ」として策定。

出典:国土交通省「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」

こうした環境下では、個別事業者ほど配送単価の上昇を受けやすいため、物流コストの最適化が急務になります。

影響3:「ブランド体験」と「カスタマイズ配送」の価値が上昇

価格と配送スピードだけでは差別化が難しくなるため、ブランドロゴ入りのオリジナル梱包、同梱物(サンクスカード・チラシ)、ギフトラッピングといった「配送体験の質」が競争優位の源泉になります。TemuやSHEINの大量出荷モデルではこのカスタマイズが困難であるため、日本のEC事業者が差別化できるポイントです。

2024年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、26.1兆円(前年24.8兆円、前々年22.7兆円、前年比5.1%増)に拡大しています。また、2024年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は514.4兆円(前年465.2兆円、前々年420.2兆円、前年比10.6%増)に増加しました。

出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年8月)

拡大を続ける国内EC市場では、消費者の配送品質への期待も年々高まっています。中国発プラットフォームの台頭は、その期待値をさらに押し上げる要因となります。

日本のEC事業者が取るべき物流戦略

中国発プラットフォームとの物流競争に備えるために、日本のEC事業者が実行すべき物流戦略を4つ提示します。

戦略1:配送スピードを「テーブルステークス」として確立する

翌日〜2日配送は「差別化要因」ではなく「参加条件(テーブルステークス)」になりつつあります。自社発送で翌日出荷が難しい場合は、首都圏に拠点を持つ発送代行の活用が現実的です。STOCKCREWは初期費用0円・固定費0円で導入でき、AMR 110台による自動化オペレーションで当日出荷体制を構築できます。導入の流れは最短7日です。

戦略2:物流コストを徹底的に最適化する

大規模プラットフォームとのコスト競争では、従量課金型で固定費ゼロの発送代行が中小EC事業者にとって最大の武器です。自社で倉庫を持つ固定費モデルでは、出荷件数が変動するEC事業の特性に合いません。STOCKCREWは全国一律260円〜、60サイズ510円〜の料金体系で、料金の詳細はこちらから確認できます。

戦略3:ブランド体験で差別化する

中国発プラットフォームの大量出荷モデルでは実現しにくいオリジナル梱包・同梱物・ギフト対応を積極的に活用してください。STOCKCREWでは流通加工(同梱物の封入・ギフトラッピング等)にも対応しています。配送体験の質がリピート率に直結するブランドEC・D2Cにとって、物流パートナーのカスタマイズ対応力は重要な選定基準です。発送代行の選び方の全体像は発送代行の選び方と比較の5つの判断軸に整理しています。

戦略4:越境ECを「攻めの一手」として活用する

中国発プラットフォームの日本市場参入は脅威ですが、逆に日本から海外への越境ECも成長チャネルです。日本製品は品質・安全性で海外消費者から高い評価を受けており、越境ECは新たな売上源になります。越境ECの始め方と配送設計については越境EC×発送代行の始め方と業者選定の実務ガイドを確認してください。越境EC市場の規模と参入戦略は越境EC市場規模と商材別需要構造【2026年版】に整理しています。

まとめ:越境EC時代の物流競争力を維持する3つの優先事項

中国発越境ECプラットフォームの国内倉庫シフトは、日本のEC物流競争の前提条件を変えつつあります。「安いが遅い」中国ECが「安くて速い」に進化する中で、日本のEC事業者が物流面で取るべきアクションは明確です。

  1. 出荷スピードを最低基準として確保する——翌日〜2日配送は「差別化」ではなく「必須条件」。発送代行を活用して当日出荷体制を構築してください
  2. 物流コストを変動費モデルで最適化する——固定費ゼロの従量課金型発送代行でコスト構造を柔軟にし、売上変動に対応できる体制を整えてください
  3. 配送体験で差別化する——オリジナル梱包・同梱物・ギフト対応など、大量出荷モデルでは真似できない配送体験の質で勝負してください

EC物流全体の将来動向はEC物流の将来性と市場動向【2026年版】に、EC物流の基礎はEC物流完全ガイドにまとめています。物流戦略のご相談はお問い合わせまたは資料ダウンロードからどうぞ。

よくある質問(FAQ)

Q. TemuやSHEINの国内倉庫シフトは日本市場にどの程度影響しますか?

2026年時点ではTemuの国内倉庫出荷は一部商品に限られていますが、今後2〜3年で対象カテゴリが拡大する見込みです。とくにアパレル・雑貨・小型家電カテゴリで競合するEC事業者は、配送スピードと価格の両面で直接的な競争圧力を受ける可能性が高くなります。

Q. 中国発ECプラットフォームに対して物流面で差別化するにはどうすればいいですか?

オリジナル梱包・同梱物(サンクスカード・商品カタログ)・ギフトラッピングなど、配送体験のカスタマイズが最大の差別化ポイントです。TemuやSHEINの大量出荷モデルでは個別カスタマイズが困難なため、ブランドECやD2C事業者が優位性を発揮できます。

Q. デミニミス制度は日本でも撤廃される可能性がありますか?

米国では2025年に中国からの少額貨物に対するデミニミス制度が撤廃されました。日本でも同様の議論が進んでおり、制度変更の可能性は否定できません。中国発プラットフォームの国内倉庫シフトは、デミニミス撤廃リスクへの備えとしても機能しています。

Q. Temuへの出店は日本のEC事業者にとってメリットがありますか?

Temuの日本事業者招致プログラム(Local-to-Local)に参加すれば、Temuの集客力を活用した販路拡大が期待できます。ただし、Temuの主要顧客層は価格重視のため利益率が低くなる傾向があります。自社の価格戦略とブランドポジショニングに合致するかを慎重に判断してください。

Q. STOCKCREWは越境ECの出荷にも対応していますか?

STOCKCREWは国内出荷を主力としていますが、越境ECの出荷にも対応可能です。国内のECモール出荷と越境EC出荷を1拠点で管理できるため、在庫の一元管理が可能です。初期費用0円・固定費0円のため、越境EC参入時のリスクも低く抑えられます。

この記事の監修者

北原一樹

北原一樹

株式会社KEYCREW オペレーション部長。大手物流会社にて現場担当からセンター長を経て、営業・管理職を12年間歴任。物流業界での経験は24年に及ぶ。大規模顧客の初のEC・DCが併設された10,000坪規模の大型倉庫の立ち上げを主導した実績を持ち、月間100Mの赤字を抱えていた物流センターをわずか3か月で黒字化に転換させた。現在はSTOCKCREWにおいて部門管理・各拠点の収支管理・業務改善を統括。「現地・現物」「数字で現場を見る」「何事にも基準を作る」を信条に、年間5千万点の入出荷を支える高品質な物流オペレーションを実現している。

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