ネットショッピング利用世帯が55.6%へ2.4ポイント低下|2026年7月の家計データで読むEC需要
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ネットで買う世帯が減っています。総務省統計局が2026年9月4日に公表した家計消費状況調査の2026年7月分では、ネットショッピング利用世帯の割合が55.6%、前年同月から2.4ポイントの低下でした。一方で支出額は名目0.7%減とほぼ横ばいです。世帯数が4%近く減っているのに支出がほとんど動いていないなら、1世帯あたりの買い方はむしろ厚くなっているという読み方になります。この記事では公表された数字を分解し、出荷件数と客単価の前提をどう置き直すかまで落とします。件数が変わったときのコスト構造は発送代行おすすめ25選にまとめています。
2026年7月の数字|利用世帯は減り、支出はほぼ横ばい
家計消費状況調査は、総務省統計局が毎月実施している家計の調査です。ネットショッピングの利用状況を月次で追える数少ない公的統計で、2026年7月分は2026年9月4日に公表されました。対象は二人以上の世帯です。
ネットショッピング利用世帯の割合は55.6%で、1年前に比べ2.4ポイントの低下
公表されたのは3つの数字
今回読み解く材料は3つです。いずれも前年同月との比較で示されています。
| 指標 | 2026年7月 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| ネットショッピング利用世帯の割合 | 55.6% | -2.4ポイント |
| ネットショッピング支出額(名目) | — | -0.7% |
| マイナス寄与の主因 | チケット/贈答品 | -0.53%/-0.40% |
表1:2026年7月分の家計消費状況調査のうちネットショッピング関連(総務省統計局の公表値をもとにSTOCKCREW作成。対象は二人以上の世帯)
前年の利用世帯は58.0%だった
55.6%が2.4ポイントの低下なら、前年同月は58.0%だった計算になります。比率で見ると約4.1%の減少で、10万世帯のうち約4,100世帯がネットでの購入から抜けた規模感です。ポイント差だけを見ると小さく感じますが、母数に掛け直すと無視できない動きになります。
「EC需要が縮んだ」と言い切れる数字ではない
ここで結論を急がないほうが安全です。支出額の減少は0.7%にとどまっており、利用世帯の減り方(約4.1%)とは桁が違います。需要そのものが縮んだのであれば、支出額も同じ方向に大きく振れるはずです。両者のズレこそが、この月のデータで一番読む価値のある部分になります。年単位の市場規模は家計消費状況調査で読むEC需要と自社売上の点検法で扱った通り拡大基調が続いており、単月の動きと長期トレンドは分けて扱う必要があります。
世帯が減って支出が横ばいなら、何が起きているのか
この2つの数字は同時に成り立ちます。ネットショッピング支出額は「利用した世帯だけの平均」ではなく、買わなかった世帯も含めた全体の平均として集計されるためです。買う世帯が減ったのに全体平均が動いていないなら、残った世帯が以前より多く使っていることになります。
1世帯あたりは約3.6%増えている計算
公表値から割り戻すと、次のようになります。
- 全体平均は99.3——前年を100としたときの2026年7月の水準(0.7%減)です。
- 利用世帯の割合は95.9%に縮小——55.6÷58.0で、前年を100としたときの比率です。
- 99.3÷0.959で約103.6——買った世帯1世帯あたりの支出は約3.6%増という概算になります。
これはSTOCKCREWが公表値2つから割り戻した試算で、統計として公表された数値ではありません。それでも方向としては明確で、裾野が縮み、コアが厚くなっているという構図が浮かびます。客単価と購入頻度の設計はECサイトの売上アップ戦略と4つのレバー設計法で整理しています。
「買う人」と「買わない人」に分かれ始めている
物価が上がるなかで、支出を絞る世帯とネットに集約する世帯が分かれていく動きは、他の統計とも整合します。実質賃金の推移は実質賃金6か月連続プラスと夏季賞与で、消費者マインドは消費者態度指数34.9でEC需要を先読みするで追っています。二極化が進むと、出荷件数は伸びないのに1件あたりの点数や金額が上がるという形で倉庫側に効いてきます。
減らしたのはチケットと贈答品|物販側の寄与はプラス
公表資料は、前年同月比マイナスへの寄与が大きい項目まで示しています。ここが今回いちばん実務に効く部分です。
寄与度は「全体の増減率を項目ごとに割り当てた数字」
寄与度は、各項目が全体の増減率に対してどれだけ押し下げた(押し上げた)かを表します。全項目の寄与度を足すと全体の増減率に一致するという性質があるため、名指しされた項目を差し引けば残りの動きが見えます。
チケットと贈答品を差し引くと、残りはプラス
マイナス寄与の主因はチケットの-0.53%と贈答品の-0.40%で、合計-0.93%です。全体が-0.7%なので、この2項目を除いた残りは合計で+0.23%のプラス寄与だったことになります(STOCKCREW試算)。
物販の出荷にどう効くか
チケットは配送を伴わないデジタル取引が中心で、倉庫の出荷件数には直結しません。実務に効くのは贈答品のほうです。ギフトはのし・ラッピング・メッセージカードといった流通加工が乗るため、件数の減り方以上に作業工数へ影響します。ギフト対応の設計は母の日・父の日ギフトECの物流設計ガイド、贈り先へ直接届ける形態はLINEギフトの送り方・手数料とEC事業者の活用法にまとめています。
単月では決めない|並べて見る3つの指標
7月分の1か月だけで在庫方針を変えるのは危険です。夏休みや天候の影響が入りやすい月でもあります。年単位・年度単位の実額と並べて、方向が一致しているかを見てください。
年単位の市場規模は拡大が続いている
2024年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、26.1兆円(前年24.8兆円、前々年22.7兆円、前年比5.1%増)に拡大しています。また、2024年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は514.4兆円(前年465.2兆円、前々年420.2兆円、前年比10.6%増)に増加しました。
市場規模は2024年時点で26.1兆円・前年比5.1%増です。物流側の実績を見ても、令和6年度の宅配便取扱個数は50億3147万個で前年度比約0.5%の増加でした(国土交通省「令和6年度 宅配便・メール便取扱実績について」)。中期の方向は上向きのままで、7月の利用世帯の低下はその上に乗った短期の揺れという位置づけになります。
自社の数字と突き合わせる
公的統計は平均です。自社にそのまま当てはまるとは限らないので、次の3つを並べてください。
| 並べる指標 | 見るポイント | 関連する社内データ |
|---|---|---|
| 購入者数(ユニーク) | 前年同月から減っているか | 受注データ・会員データ |
| 客単価・1注文あたり点数 | 減った分を単価が埋めているか | 受注明細 |
| 出荷件数 | 倉庫の作業量が実際に減っているか | WMS・出荷実績 |
表2:公的統計と突き合わせる自社側の3指標(STOCKCREW作成)
購入者数が減っていて客単価が上がっているなら、公表データと同じ形です。逆に購入者数が保てているなら、7月の低下は自社の商材には及んでいないと判断できます。指標の設計はEC物流KPI完全一覧2026に、需要の読み方は在庫予測の実務手法に整理があります。月次の小売全体の動きは商業動態統計の読み方とEC事業者の需要判断でも扱いました。
7月という月の特殊事情も差し引く
7月は夏のセール、ボーナス支給、猛暑による外出の減少といった要因が同時に効く月です。前年の7月に大型セールや大型キャンペーンがあった場合、その反動だけで数ポイント動くこともあります。前年同月に何があったかを思い出してから比較すると、数字の受け取り方が変わります。天候要因については、猛暑が続くと重量物やかさばる商品のネット購入が増える一方、外出前提のチケット類は落ちるという反対方向の動きが同居します。今回チケットが最大のマイナス寄与になっているのは、この構図と整合的です。
出荷計画と在庫をどう手直しするか
「世帯は減り、1世帯あたりは厚くなる」という前提を置くと、手を入れる場所は3つに絞られます。
件数前提を下げても在庫は同じだけ要る
購入者数が減る想定でも、SKUごとの品揃えは維持しないと単価は上がりません。件数だけを見て発注を絞ると、動きの遅いSKUから欠品してまとめ買いの機会そのものを失うという失敗になります。欠品の影響は欠品が起きる原因と影響・防止策、回転の見方は在庫回転率の計算式と業界別目安で整理しています。
1件あたりが厚くなるなら梱包とサイズを見直す
1注文あたりの点数が増えれば、箱のサイズが1段上がりやすくなります。サイズが上がると送料も保管も効いてくるので、同梱の順序と箱サイズの当てはめを先に決めておいてください。同梱の設計はEC事業者が今すぐ使える同梱戦略実務ガイド、1配送あたりの採算は「1配送あたりの粗利密度」で送料値上げに勝つが具体的です。
件数が読めない時期こそ固定費を持たない
需要の振れ幅が読みにくい局面で、自社倉庫の家賃と人員を固定で抱えるのは重い選択になります。出荷件数に連動する料金体系へ切り替えると、件数が下振れした月の損失を小さくできます。判断の分岐点は発送代行の損益分岐を出荷件数別にシミュレーションで数値化しており、考え方の整理は物流を「固定費」から「変動費」へにまとめました。保管料の相場はEC・物流倉庫の料金相場、滞留してしまった在庫の扱いは滞留在庫の原因・リスク・解消方法が使えます。
年末に向けた波動は別枠で見る
7月の数字をそのまま年末に延長しないでください。年末商戦は例年もっとも大きな波動が立つ時期で、準備の前倒しが効きます。年間の波動設計はEC通販の年間出荷波動管理ガイド、年末の具体的な段取りはEC年末商戦2026の出荷準備ガイドにあります。
まとめ:世帯数と単価を分けて見る
2026年7月のネットショッピング利用世帯は55.6%、前年同月から2.4ポイントの低下でした。一方で支出額は名目0.7%減にとどまり、押し下げの主因はチケット(-0.53%)と贈答品(-0.40%)です。この2項目を除けば残りはプラス寄与で、物販が一斉に落ちたという読み方にはなりません。買う世帯は減り、買う世帯の単価は厚くなっている——これが7月のデータから取れるいちばん確かな示唆です。
実務としては、件数前提を下げても品揃えは削らないこと、1件あたりが厚くなる前提で梱包とサイズの当てはめを整えること、そして件数が読めない時期に固定費を増やさないことの3点になります。倉庫と配送をまとめて見直すなら発送代行おすすめ25選とSTOCKCREW完全ガイドが出発点として使えます。EC物流の全体像はEC物流完全ガイド、ショップ運営そのものの設計はネットショップの始め方にまとめています。自社の出荷データを持ち込んで試算したい場合はお問い合わせから、料金と機能を先に見たい場合はサービス資料のダウンロードをご利用ください。
よくある質問(FAQ)
Q. ネットショッピング利用世帯の割合が下がったのは、EC需要が縮んだということですか?
A. 断定はできません。利用世帯の割合は55.6%で前年同月から2.4ポイント低下しましたが、支出額の減少は名目0.7%にとどまっています。需要が一様に縮んだのであれば支出額も同程度に落ちるはずで、買う世帯が絞られた一方で1世帯あたりの支出は厚くなっている可能性が高い数字です。
Q. 前年同月のネットショッピング利用世帯の割合は何%でしたか?
A. 55.6%が2.4ポイントの低下という公表値から、前年同月は58.0%だった計算になります。比率にすると約4.1%の減少です。ポイント差だけでは小さく見えますが、母数に掛け直すと相応の規模の世帯がネットでの購入から抜けたことになります。
Q. 支出額を押し下げた「チケット」「贈答品」は物流に影響しますか?
A. チケットは配送を伴わないデジタル取引が中心のため、倉庫の出荷件数には直結しません。影響が出るのは贈答品のほうで、のし・ラッピング・メッセージカードといった流通加工が乗るため、件数の減少幅以上に作業工数へ響きます。
Q. この統計はいつ、どの世帯を対象に公表されたものですか?
A. 総務省統計局の家計消費状況調査で、2026年7月分が2026年9月4日に公表されました。対象は二人以上の世帯です。ネットショッピングの利用状況を月次で追える公的統計は限られるため、EC事業者の需要判断では使いやすい部類に入ります。
Q. 1か月の数字だけで在庫の方針を変えてよいですか?
A. おすすめしません。7月は夏休みや天候の影響が入りやすく、単月の振れが出やすい月です。年単位のBtoC-EC市場規模は2024年で26.1兆円・前年比5.1%増、令和6年度の宅配便取扱個数も50億3147万個で前年度比約0.5%増と方向は上向きです。中期トレンドと並べて判断してください。
Q. 買う世帯が減る前提で、出荷体制は何から手をつければよいですか?
A. 件数前提を下げても品揃えは削らないこと、1注文あたりの点数が増える前提で箱サイズと同梱ルールを整えること、そして件数が読みにくい時期に固定費を増やさないことの3点です。出荷件数に連動する料金体系へ切り替えると、下振れした月の損失を抑えられます。
この記事の監修者
保阪涼子
株式会社KEYCREW 営業部長。物流会社で10年間、EC物流の現場担当・営業事務を経験し、EC・物流業界で通算10年以上のキャリアを持つ。STOCKCREWではサービス開始初期から商談を担当し、500社以上のEC事業者への導入支援を一貫して手がけてきた。YFF(Yahoo!フルフィルメント)移管時には1,000社超の顧客接点・フロー設計を主導。月間10万件以上の出荷管理に携わり、顧客の物流費を平均15%削減する成果を上げている。成約率50%を達成した営業手法には、「『売る』より『解く』」という顧客課題解決型のアプローチが根底にある。物流メディア(Logistics Today、ECのミカタ)へのインタビュー掲載実績も持つ。