先入れ先出し(FIFO)とは?倉庫管理での実践方法とシステム活用|廃棄ロスを防ぐ在庫ルール
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「古い在庫がいつの間にか棚の奥で期限切れになっていた」「同じ商品なのにロットがバラバラで管理が追いつかない」——在庫を扱うEC事業者なら、一度は経験する悩みではないでしょうか。これを防ぐ在庫管理の基本ルールが「先入れ先出し(FIFO)」です。本記事では、先入れ先出しの意味とLIFOとの違い、メリット・デメリット、倉庫で実践する具体的な方法、そしてWMSを使って徹底する手順までを実務目線で解説します。在庫の保管と出荷を仕組みで支える方法は発送代行の活用とあわせて考えると、運用の負担を抑えやすくなります。
先入れ先出し(FIFO)とは
先入れ先出し(FIFO:First In First Out)とは、先に入庫した在庫から順番に出庫していく在庫管理の手法です。入庫日の古いものから先に出荷することで、在庫が倉庫内に長く滞留するのを防ぎます。スーパーの陳列棚で、手前に賞味期限の近い商品が並んでいるのと同じ考え方で、「古いものから先に使う・売る」というシンプルな原則です。
FIFOが特に重要になる商材
先入れ先出しは、賞味期限や使用期限のある商材でとりわけ大きな意味を持ちます。食品や飲料、サプリメント、化粧品、医薬部外品などは、期限を過ぎれば販売できず、廃棄するしかありません。また、明確な期限がなくても、パッケージの劣化や型番の切り替わりがある商材では、古い在庫を先に売り切ることが機会損失の防止につながります。アパレルや雑貨でも、シーズンや流行の移り変わりを考えれば、FIFOの発想は有効です。
逆にいえば、「期限のない商材だからFIFOは不要」と決めつけるのは危険です。長期在庫はホコリや日焼け、パッケージの黄ばみなど、目に見えにくい劣化を起こします。販売時に「届いた商品が古びていた」と感じさせれば、それだけでブランドの印象は下がります。期限の有無にかかわらず、在庫はできるだけ回転させ、古いものから手放すという姿勢が、結果的に顧客満足を守ることにつながります。
令和6年度のBtoC-EC市場規模は26兆1,654億円(前年比5.81%増)で、物販系分野は14兆6,760億円となった。
EC物販が拡大し、扱う商材も在庫量も増えるなかで、在庫を鮮度の良い状態で回す仕組みづくりは、利益を守る基本動作になっています。在庫管理を含むEC物流の全体像はEC物流の流れを押さえると理解が深まります。
FIFOとLIFOの違い
先入れ先出しと対になる考え方が、後入れ先出し(LIFO:Last In First Out)です。LIFOは、後に入庫した新しい在庫から先に出庫する方式です。両者は出庫の順序が正反対であり、適した場面も異なります。
| 項目 | FIFO(先入れ先出し) | LIFO(後入れ先出し) |
|---|---|---|
| 出庫の順序 | 古い在庫から出す | 新しい在庫から出す |
| 向いている商材 | 期限・鮮度・劣化のある商材 | 期限に左右されない商材 |
| 主なねらい | 廃棄ロス・品質事故の防止 | 取り出しやすさ・作業効率 |
| 注意点 | 入庫日・ロットの管理が必要 | 古い在庫が滞留しやすい |
LIFOが使われる場面
LIFOは、砂や砂利、ネジのような期限のない資材など、後から積んだものを上から取るほうが効率的なケースで使われます。物理的に「上に積んで上から取る」運用は自然とLIFOになりがちです。ただしEC商材の多くは何らかの形で鮮度や型番の影響を受けるため、現品の出庫は原則FIFOと考えておくのが安全です。
実務では、同じ商品でも入荷時期によって賞味期限やパッケージが異なることがよくあります。新旧が混在した状態で何も意識せずに出庫すると、新しいロットが先に出て古いロットだけが棚に残り、気づいたときには期限切れ寸前——ということになりかねません。こうした「うっかりLIFO」を防ぐことが、FIFO運用の出発点になります。
「現品の出庫」と「会計」は分けて考える
FIFO・LIFOという言葉は、倉庫での現品の出庫順序と、会計上の在庫評価の計算方法の両方で使われ、混同されがちです。本記事で扱うのは前者の現品管理です。会計上の評価方法は税務の論点であり、現品をどの順序で出すかとは切り離して理解しておくと、現場と経理ですれ違いが起きません。
先入れ先出しのメリット・デメリット
FIFOは在庫品質を守る基本ですが、徹底するには相応の管理負担も伴います。両面を理解しておきましょう。
| 観点 | FIFOのメリット | 運用上の注意点 |
|---|---|---|
| 品質 | 劣化・期限切れを防げる | 入庫日の記録が前提になる |
| コスト | 廃棄ロスを削減できる | 管理の工数が増える |
| 顧客満足 | 新しい状態で届けられる | 現場ルールの徹底が要る |
表のとおり、メリットと運用負担は表裏一体です。だからこそ、後述するように仕組みで自動的にFIFOが守られる状態を作れるかどうかが、現場で続けられるかの分かれ目になります。
メリット:廃棄ロスと品質事故を防ぐ
最大のメリットは、在庫の滞留による品質劣化と廃棄ロスを防げることです。古いものから出庫すれば、期限切れによる廃棄が大幅に減り、利益を守れます。さらに、顧客に古い在庫が届くリスクを抑えられるため、クレームやレビュー悪化といった品質事故の予防にもつながります。食品ロスの削減は社会的にも重視されており、消費者側でも「てまえどり」のような行動が呼びかけられています。
「てまえどり」は、日頃の買物の際、購入してすぐに食べるものについて、商品棚の手前にある商品等、販売期限の迫った商品を選ぶことです。
デメリット:入庫日・ロット管理の負担
一方で、FIFOを正確に行うには入庫日やロット番号を記録し、古い在庫を識別できる状態を保つ必要があります。商品点数が増えるほどこの情報は膨大になり、手作業では管理担当者の負担が増大します。先入れ先出しを「ルールとして掲げる」ことは簡単でも、現場で確実に守り続ける仕組みづくりこそが本当の課題になります。
倉庫で先入れ先出しを実践する方法
FIFOを現場で機能させるには、物理的な工夫と記録の両輪がそろって初めて機能します。具体的な進め方を整理します。
- 入庫日・ロットを明記する——入庫時に日付やロット番号をラベルで貼り、古い在庫を一目で見分けられるようにします。
- 古い在庫を取りやすい位置に置く——棚の手前や出口側に古いロットを配置し、自然と先に取れる動線にします。
- 補充は奥から・出庫は手前から——新しい在庫は奥や後ろから補充し、出庫は手前からというルールを徹底します。
- 定期的に棚卸しで滞留を発見する——棚卸しの際に滞留在庫をチェックし、古いものが奥に埋もれていないか確認します。
物理的な工夫でFIFOを「守りやすく」する
人の注意力に頼るのではなく、仕組みで自然とFIFOになる配置を作ることが重要です。たとえば、流動ラック(手前に傾斜した棚で、奥から補充すると手前に商品が流れてくる)を使えば、補充と出庫の方向が物理的に固定されます。ロケーション管理の前提となる商品コードの整備はSKUの考え方を押さえておくとスムーズです。
もし流動ラックのような設備を導入できない場合でも、「古い在庫の前に新しい在庫を置かない」という一点を徹底するだけで、現場のミスは大きく減ります。新しく入庫したら必ず奥または下に回す、というルールを掲示し、新しく入った作業者にも最初に伝えておくことが、低コストでできる最も効果的なFIFO対策のひとつです。
入庫日・ロットを記録に残す
物理的な配置だけでは、繁忙期の慌ただしさのなかでルールが崩れがちです。入庫日とロットを記録に残し、出庫時に古い順を指示できる状態にしておくと、誰が作業しても先入れ先出しを守れます。ロット単位での在庫の捉え方はロット管理の考え方が土台になります。記録と照合を人手だけで回すのが難しくなったら、システム化が次の一手です。
もう一つ見落としがちなのが、返品在庫の扱いです。返品されて再入庫した商品は、入庫日が新しくても製造は古いことがあり、ルールを決めておかないと鮮度の判断を誤ります。返品分は元のロット情報をたどって戻すか、別ロットとして管理するかをあらかじめ決めておくと、現場が迷いません。こうした細かなルールの積み重ねが、先入れ先出しの精度を地道に支えていきます。
WMSで先入れ先出しを徹底する
商品点数や出荷件数が増えると、入庫日・ロットの管理を紙やExcelで回すのは限界が来ます。ここで力を発揮するのがWMS(倉庫管理システム)です。
WMSでの賞味期限・ロット管理
WMSを導入すると、入庫時にロットや入庫日・賞味期限を登録し、出庫指示の際に古い在庫から自動で引き当てることができます。これにより、作業者が個別に古さを判断しなくても、システムが先入れ先出しを保証してくれます。賞味期限が迫った在庫のアラートを出す機能を使えば、滞留や期限切れを未然に防げます。WMSの選び方や機能は物流WMSの解説で判断軸を確認できます。在庫が滞留しがちな場合は過剰在庫の対策とあわせて見直すと効果的です。
在庫管理を体系的に学びたい場合は、JILS(日本ロジスティクスシステム協会)のロジスティクス教育の枠組みが土台になります。先入れ先出しは在庫管理という大きな仕組みの一部であり、発注・保管・出荷の各工程と連動させてこそ効果を発揮します。FIFOだけを単独で頑張るのではなく、在庫情報を一元化し、入庫から出庫までを一気通貫で見える化することが、結果的に先入れ先出しを無理なく守る近道になります。
発送代行に任せるという選択肢
WMSの導入や、ロット管理を前提とした倉庫運用の構築には、相応のコストとノウハウが必要です。自社だけで抱えるのが難しい場合は、ロット管理や先入れ先出しに対応した発送代行に保管・出荷を委ねるのも有力な選択肢です。専門の倉庫であれば、入庫日やロットの管理、古い在庫からの引き当てを仕組みとして備えているため、自社で一から構築する手間をかけずに在庫品質を保てます。物流の基礎知識は物流の全体像から押さえておくと、委託先との会話もスムーズになります。
とくに食品やサプリメントなど期限管理がシビアな商材では、ロット・賞味期限管理に対応した倉庫かどうかが委託先選びの分かれ目になります。先入れ先出しを仕組みとして担保できるパートナーを選べば、在庫品質の不安から解放され、商品開発や販促に集中できます。FIFOは突き詰めれば、「顧客に良い状態の商品を届け続ける」ための約束事だといえます。
まとめ:FIFOは在庫品質の基本ルール
先入れ先出し(FIFO)は、古い在庫から順に出庫することで、廃棄ロスと品質事故を防ぐ在庫管理の基本ルールです。賞味期限や鮮度のある商材ではとりわけ効果が大きく、LIFOとの使い分けや、入庫日・ロットの記録が運用の鍵になります。現場では、古い在庫を取りやすい位置に置き、補充は奥から・出庫は手前からというルールを徹底し、点数が増えたらWMSで自動化するのが定石です。自社で在庫品質を保つ仕組みづくりが難しい場合は、発送代行の選び方とSTOCKCREWのサービス全体像から、外部委託を検討してみてください。具体的な相談はお問い合わせから、費用感の把握には資料ダウンロードが役立ちます。
よくある質問(FAQ)
Q. 先入れ先出し(FIFO)とは何ですか?
先に入庫した在庫から順番に出庫していく在庫管理の手法です。入庫日の古いものから先に出荷することで、在庫が長く滞留して品質が落ちるのを防ぎます。賞味期限や鮮度のある商材で特に重要になります。
Q. FIFOとLIFOの違いは何ですか?
FIFOは古い在庫から、LIFO(後入れ先出し)は新しい在庫から先に出庫します。期限や鮮度のある商材はFIFO、期限に左右されない資材などはLIFOが向きます。EC商材の多くは鮮度や型番の影響を受けるため、現品の出庫は原則FIFOが安全です。
Q. 先入れ先出しのメリットは何ですか?
在庫の滞留による品質劣化や廃棄ロスを防げることが最大のメリットです。顧客に古い在庫が届くリスクも抑えられ、クレームやレビュー悪化といった品質事故の予防にもつながります。
Q. 倉庫で先入れ先出しを守るにはどうすればよいですか?
入庫日やロットをラベルで明記し、古い在庫を手前や出口側に置いて先に取れる動線を作ります。補充は奥から、出庫は手前からというルールを徹底し、流動ラックなど物理的にFIFOになる仕組みを取り入れると守りやすくなります。
Q. システムを使わずにFIFOを徹底できますか?
商品点数が少ないうちは、ラベルと配置の工夫、入庫日の記録で運用できます。ただし点数や出荷件数が増えると手作業では限界が来るため、WMSでロットや賞味期限を管理し、古い在庫から自動で引き当てる仕組みへの移行が効果的です。
この記事の監修者
北原一樹
株式会社KEYCREW オペレーション部長。大手物流会社にて現場担当からセンター長を経て、営業・管理職を12年間歴任。物流業界での経験は24年に及ぶ。大規模顧客の初のEC・DCが併設された10,000坪規模の大型倉庫の立ち上げを主導した実績を持ち、月間100Mの赤字を抱えていた物流センターをわずか3か月で黒字化に転換させた。現在はSTOCKCREWにおいて部門管理・各拠点の収支管理・業務改善を統括。「現地・現物」「数字で現場を見る」「何事にも基準を作る」を信条に、年間5千万点の入出荷を支える高品質な物流オペレーションを実現している。