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在庫証明書とは?書き方・発行タイミング・会計処理【2026年版】|棚卸資産評価と虚偽リスク対策の実務

  • EC・物流インサイト
2026年06月15日 更新 2023年5月29日 公開

この記事は約14分で読めます

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外部倉庫や発送代行業者に商品を預けているEC事業者にとって、在庫証明書(預り証)は単なる会計書類ではなく、在庫管理の品質を定点観測する経営ツールです。本記事では、在庫証明書が求められる理由から会計シミュレーション、虚偽報告リスク、実務での活用ポイントまで、2026年版として整理します。とくにシステム在庫と現物在庫の差異は利益計算に直結するため、定期的な確認が欠かせません。

この記事の内容

  1. 在庫証明書とは何か
  2. 在庫証明書が必要な理由と発行タイミング
  3. 能動的に取得すべき理由:在庫管理の定点観測
  4. 会計シミュレーション:在庫数と損益の関係
  5. 在庫数値操作のリスク:虚偽報告が生まれる構造
  6. EC事業者が在庫証明書を活用するポイント
  7. まとめ
  8. よくある質問(FAQ)

在庫証明書とは何か

在庫証明書(または預り証)とは、外部の第三者に預けている在庫について、受託者である第三者が「預かっている商品名と数量を証明する書類」です。在庫の所有権は預け元の企業や個人事業主にありますが、現物を管理しているのは外部業者であるため、この書類で現物在庫を客観的に裏付けます。

WMS(倉庫管理システム)上の在庫数が実際の現物と一致しているかを確かめる客観的な手段として、会計・税務・監査のいずれの場面でも重視されます。第三者による現物の裏付けがあってこそ、在庫数の信頼性が担保されます。上場会社等の会計監査では、監査人が実地棚卸の立会いや残高確認を通じて在庫の実在性を確かめるため、外部倉庫に預けた在庫については受託者が発行する証明書類が有力な裏付けとなります。在庫管理の考え方は在庫管理の目的と定点確認の重要性もあわせてご覧ください。

在庫証明書が必要な理由と発行タイミング

在庫証明書が求められる場面は、大きく3つに分けられます。第一に会計・税務対応、第二に監査対応、第三にEC事業者が自発的に行う在庫確認です。それぞれで求められる証明書の性格や発行者、情報の詳細度が異なります。これらの場面ごとに異なる要求へ応えられる体制を整えておくことが実務のポイントです。

在庫証明書が必要な3つの場面 ①会計・税務 期末在庫の確認 確定申告・決算対応 ②監査対応 内部統制の確認 上場・上場準備会社 ③能動的確認 在庫管理品質の 定点観測 受動的な取得から能動的な活用へ いずれの場面でも、第三者が現物を確認した証明が信頼性の前提になる

①会計・税務での必要性

ネットショップを運営する個人事業主は確定申告のため12月末基準で、法人は3月決算が多いため3月末基準で在庫証明書を取得するのが一般的です。期末在庫金額は売上原価の計算に直接影響するため、会計処理の正確性を支える書類です。棚卸資産の評価方法は、法人なら国税庁「棚卸資産の評価方法の届出」、個人事業主なら国税庁「所得税の棚卸資産の評価方法の届出手続」に基づき届け出ます。届出がない場合は最終仕入原価法が適用されます。青色申告で控除を受ける個人事業主は国税庁「青色申告特別控除」の要件もあわせて確認するとよいでしょう。

届出により選定しなかった場合は、最終仕入原価法が適用されます。

出典:国税庁「A1-18 所得税の棚卸資産の評価方法の届出手続」

青色申告者に対しては種々の特典がありますが、その1つに所得金額から55万円(一定の要件を満たす場合は65万円)または10万円を控除するという青色申告特別控除があります。

出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」

②監査対応での必要性

金融商品取引法に基づく会計監査人を置く上場会社や上場準備会社では、内部統制(社内ルールが適切に運用されているかの確認)の一環として在庫の実在性が問われます。監査人が現物確認の裏付けとして、倉庫業者による在庫証明書を求めることがあり、その対応可否が業者選定の判断材料になります。業者選定では、EC事業の立ち上げと管理体制整備の観点も踏まえて検討します。

③発行タイミングと頻度

個人事業主は最低でも年1回(12月末)、法人は決算月末に発行を依頼します。在庫回転率が高いEC事業では、四半期ごと(3ヶ月ごと)の取得をおすすめします。これにより在庫差異を早期に発見でき、経営判断の精度が上がります。

上場企業や上場準備会社では、監査人の要求により四半期ごと、あるいは月次での発行を求められることもあります。定期確認の進め方は発送代行と在庫管理の定期確認の方法も参考になります。

能動的に取得すべき理由:在庫管理の定点観測

在庫証明書は会計・監査から求められる「受動的な取得」だけでなく、自社の商品管理が適切に行われているかを継続的に確かめる「能動的な取得」としても活用できます。

WMS在庫と現物在庫の差異リスク

外部の発送代行業者に在庫を預けている場合、WMS(倉庫管理システム)上の在庫数と実際の現物在庫に差異が生じることがあります。システム在庫が実際より多いと、実在しない商品の注文を受けてしまい、受注キャンセルによる売上の逸失や顧客の信用毀損につながりかねません。WMS上の数値はあくまで入力・スキャンの結果であり、現物との一致は別途の確認を要します。

信頼できる発送代行業者に預けていることは大前提ですが、定期的に在庫証明書を取得して自分の在庫が正確に管理されているかを確かめることは、EC事業者として取り組みたい経営習慣です。

EC事業が成長すると、複数の倉庫に分散して在庫を保管するケースが増えます。その場合は倉庫ごとに在庫証明書を取得し、各倉庫の証明書を統合してWMS上の在庫数と照合することで、多拠点管理における差異を早期に発見できます。過剰在庫の防止と在庫証明書の活用もあわせてご覧ください。

会計シミュレーション:在庫数と損益の関係

在庫数が損益に与える影響を具体的な数値で見ていきます。これを理解すると、在庫証明書の財務的な意味が明確になります。

基本的な売上原価の計算式

売上原価は次の式で求められます。

期首在庫金額+年間仕入額-期末在庫金額=売上原価

この式から、期末在庫金額が増えれば売上原価が下がり、売上総利益が上がることがわかります。つまり期末在庫の計上金額は、損益計算書の利益額に直結する要素です。

具体的なシミュレーション例

項目通常シナリオ在庫操作後差異
期首在庫金額150,000円150,000円–
年間仕入額2,250,000円2,250,000円–
期末在庫数量150個280個+130個
期末在庫金額225,000円420,000円+195,000円
売上原価2,175,000円1,980,000円-195,000円
売上(1,450個×1,900円)2,755,000円2,755,000円–
売上総利益580,000円775,000円+195,000円

在庫数が利益に与える影響の実例

仮に銀行との融資条件で「今期の売上総利益100万円以上」が求められていたとします。通常シナリオでは580,000円の利益ですが、期末在庫のシステム上の数字を150個から280個に書き換えるだけで、売上総利益を約77万円まで膨らませられてしまいます。在庫数値を不正に操作すれば、融資条件の達成や税務申告の粉飾につながりかねません。実際に過去には在庫の過大計上を起点とする不正会計の事例が報告されています。この130個の差異(150個 vs 280個)は在庫証明書による現物照合で発見できるため、不正の抑止に直結します。在庫管理の精度向上はネットショップ運営ガイドでも解説しています。

在庫数値操作のリスク:虚偽報告が生まれる構造

前述のシミュレーションのとおり、期末在庫の数値を増やせば売上総利益を操作できてしまいます。こうした数値操作による財務諸表の改ざんは虚偽報告にあたり、実際に国内外で不正会計の事例が発生しています。

なぜWMS依存になるのか

とくに外部倉庫に在庫を預けているケースでは、現物確認が難しいためWMS上の在庫数だけを信頼してしまいがちです。しかしWMS上の在庫数は誰かが入力した数値であり、システムと現物が一致しているかは別問題です。

EC倉庫ではセキュリティ強化に伴い、荷主による倉庫内への立入が制限されるケースが増えています。盗難防止やセキュリティ管理の観点では妥当ですが、一方で現物を自分の目で確認できないという側面もあります。そのため在庫証明書のような第三者による現物確認書類が、有効な検証手段となります。

第三者による現物検証手段

在庫証明書は倉庫業者が現物を確認したうえで発行する書類であり、システム上の数値との差異を客観的に把握する手立てになります。第三者による現物確認を定期的に実施することが、自社の財務健全性を守るうえで効果的です。3PL発送代行業者の在庫管理水準を見極める基準は、発送代行業者の比較で整理しています。

EC事業者が在庫証明書を活用するポイント

在庫証明書を効果的に活用するための実践的なポイントを整理します。在庫証明書は会計期末に取得するだけの書類ではなく、継続的な在庫管理体制づくりに役立つツールです。発送代行業者との関係構築、システム照合プロセスの確立、保管・活用の体系化という3つの観点から、段階的に取り組むとよいでしょう。

発送代行業者選定時の確認項目

在庫証明書は、在庫を預けている発送代行業者・倉庫業者に発行を依頼します。セキュリティ上の理由から倉庫への立入が制限されている事業者も多いため、在庫証明書を発行できるかを業者選定の段階で確認しておくとよいでしょう。WMSと在庫証明書の連携活用で業者選定のポイントを紹介しています。

発送代行業者の選定は費用比較だけでは不十分です。とくに次の点に注目してください。①在庫証明書の定期発行に対応しているか、②発行手数料が妥当か、③月次レポートなど在庫データの提供体制が整っているか、④システムトラブルや在庫差異時の対応ルールが明確か、⑤情報セキュリティ管理の体制が整っているか。これらを契約前に確認し、契約に明記しておくと、在庫管理に関する紛争を未然に防げます。

確認項目優先度確認方法
在庫証明書の定期発行対応必須契約前に発行可否・手数料を確認
WMSのリアルタイム確認高システムアクセス権の確認
在庫差異時の対応ルール高補償ポリシーの明確化
情報セキュリティ管理体制中アクセス制御・運用ルールの確認

WMSとの照合プロセス

在庫証明書を取得したら、自社で管理しているWMSや在庫管理表の数値と照合します。差異があれば業者に原因の説明を求め、必要に応じて実地棚卸を実施します。月次の入出庫明細と時系列で照合すると、差異の原因(誤出荷・紛失・計上ミスなど)がより明確になります。同一商品で繰り返し差異が出る場合は、バーコード入力エラーや置き場所の混同が疑われるため、WMS入力時の二重チェックやロケーション管理の見直しを検討します。物流コストへの影響は物流コストと在庫管理の損益への影響でも確認できます。

在庫差異の原因別対応フロー

在庫差異が発生した場合は、原因の特定と対応が肝心です。次の表は、よくある原因パターンと対応・予防策を整理したものです。各パターンに適切な対応を取ることで、同じ差異を繰り返さない体制を築けます。

差異の原因発生パターン対応方法予防策
誤出荷別の顧客の商品を出荷、返品未処理業者に補償請求、顧客対応を実施月次の入出庫明細確認、定期監視
紛失・盗難倉庫内での物品の紛失発生保険請求、新たな在庫確保の検討業者のセキュリティ水準確認、定期実地棚卸
計上ミスWMS入力ミス、スキャンエラーシステム内のデータ修正、再確認プロセス導入入出庫時の二重チェック、バーコード管理
返品未処理返金は実施したが在庫未反映顧客返品の確認、在庫数値の修正返品フロー自動化、月次確認ルール
破損・劣化保管期間中の商品損傷・品質低下破損品の除外、原因究明(保管環境)保管環境の定期チェック、回転率の改善

保管と活用の実務知識

取得した在庫証明書は、確定申告や監査のための書類として適切に保管します。保管期間は税法上の帳簿書類の保存期間に準じて最低7年間を推奨します。税務調査時に提出を求められることがあるためです。デジタルで受け取った証明書は電子帳簿保存法の要件に従って管理し、紙で受け取った場合は決算期ごとにフォルダ分けして整理すると後から参照しやすくなります。

過去の在庫証明書を時系列で保管しておくと、在庫の推移を把握でき、過剰在庫や在庫不足の傾向を分析できます。たとえば毎年同じ時期に在庫が増える傾向があれば、需要予測の精度向上や仕入計画の見直しを検討する兆候です。このように在庫証明書は、経営判断の質を高める資料にもなります。

発送代行業者のセキュリティと在庫管理の信頼性

在庫を外部業者に預ける場合、情報セキュリティと在庫管理の信頼性は見落とせない評価軸です。アクセス制御や運用ルールが整備され、在庫データの管理体制が明確な業者を選ぶことで、データの取り扱いに関するリスクを抑えられます。個人情報を含む注文データを扱う発送代行業者では、とくにこの観点が問われます。在庫証明書の発行対応・WMSの透明性・セキュリティ体制を総合的に評価することで、信頼性の高い発送代行業者を選定できます。

まとめ:在庫証明書を経営の定点観測に活かす

在庫証明書は、外部倉庫に預けている在庫の商品名と数量を第三者が証明する書類です。会計・税務・監査という受動的な必要性だけでなく、自社の在庫管理品質を定点観測する能動的な目的でも取得することをおすすめします。

期末在庫の数値が損益に直結する会計の構造上、システム在庫と現物在庫の差異を定期的に確かめることが財務健全性の維持につながります。本記事の会計シミュレーションは、わずか130個の在庫差異で約20万円の利益が動くことを示しており、定点観測の意味は小さくありません。発送代行業者を選ぶ際は、在庫証明書を発行できるかもあわせて確認してください。

在庫証明書の取得は、発送代行業者との信頼構築のプロセスでもあります。定期取得とWMS照合を続けることで、双方に在庫管理品質の共通認識が生まれ、差異発生時の対応もスムーズになります。STOCKCREWの仕組みは発送代行完全ガイドとSTOCKCREWサービス概要で確認できます。導入相談はお問い合わせから、検討材料としてSTOCKCREW完全ガイド(無料)もご活用ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 発送代行業者から在庫証明書を発行してもらうコストはかかりますか?

業者によって対応が異なります。定期発行を無料で行う業者もあれば、有料で対応する業者もあります。契約前に発行可否と手数料を確認しておくとよいでしょう。

Q. 個人事業主でも在庫証明書は必要ですか?

確定申告に向けた期末在庫の確認という目的では有効です。事業規模が大きくなり金融機関から融資を受ける際に求められることもあります。自社の在庫管理品質の確認という目的でも積極的に活用してください。

Q. 在庫証明書の発行頻度はどれくらいが適切ですか?

最低でも決算期末に1回、可能であれば四半期ごとの取得をおすすめします。在庫回転率が高い(月に大量の入出庫がある)ショップは月次での確認も検討してください。発送代行の料金体系と各種書類対応で発行頻度別の費用も確認できます。

Q. WMS上の在庫と証明書の在庫が異なる場合、どう対応すればよいですか?

①業者に差異の原因説明を求める、②原因が特定できない場合は実地棚卸を依頼する、③差異が誤出荷・紛失によるものと判明した場合は補償を請求する、という順序で対処してください。

Q. 在庫証明書を保管する期間は法律で定められていますか?

税法上の帳簿書類の保存期間に準じて、最低7年間の保管をおすすめします。監査対応や今後の経営判断の資料として、できればデジタルと紙の両方で保管してください。個人事業主のEC事業における在庫管理と確定申告で保管に関する税務知識も確認できます。

この記事の監修者

北川七重

北川七重

株式会社KEYCREW 管理部門の責任者。IT業界でシステムエンジニアとして約10年間、客先常駐・受託開発に従事した後、KEYCREWに入社。経理・労務・採用を統括し、業務の標準化や体制整備を通じて管理部門の強化を推進している。販管費の約7%削減を実現するなど、単純作業の外部化と社内リソースの最適化により「戦略的に動く管理部」の構築を目指す。日商簿記2級および応用情報技術者の資格を保有し、経理の専門知識とITスキルを兼ね備えた視点でEC事業者の会計・税務・制度対応に関する情報を発信。「凡事徹底/積小為大」を信条に、正確さと信頼感を重視した記事を執筆している。

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シール貼付
入庫料 合計(税抜) ¥0
モジュールを追加

必要に応じて追加料金を見積もりに含められます。

Monthly Cost Estimate
配送料(税抜/月)¥0
保管料(税抜/月)¥0
入庫料(税抜)¥0
越境EC配送料¥0
ピッキング手数料¥0
BtoB配送料¥0
FBA専用便¥0
流通加工オプション¥0
入荷時付帯¥0
コンテナ関連¥0
在庫関連オプション¥0

合計(税抜/月)¥0
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