フィリピン越境EC2026年版|急成長市場の参入戦略・プラットフォーム選定・FDA規制・物流設計ガイド

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フィリピンは人口1億1,000万人超・平均年齢24歳の若い消費市場です。EC市場規模は2026年に200億ドル(約3兆円)超が見込まれ、年率13%超のペースで拡大を続けています。タイ・マレーシアに比べると参入事例が少ない分、日本EC事業者にとって「まだ競合が少ない市場」として注目が高まっています。東南アジア6カ国の越境EC解説シリーズの最終章として、フィリピン市場の全体像を2026年版でまとめます。

本記事では、フィリピンECの競争構図から越境EC参入の必須手続きであるFDA登録(食品・化粧品)、関税の最新情報(JPEPA優遇措置)、発送代行を活用した国際出荷フローの設計まで、実務的な観点から整理します。

フィリピンEC市場の現状と規模(2026年)

急成長する東南アジア第3位のEC市場

フィリピンのEC市場規模は2025年時点で約176億5,000万ドル(約2兆7,000億円)と推計され、2026年には約200億ドルを超えると見込まれています。2031年には380億ドル規模に達するとの予測もあり、年平均成長率(CAGR)は13.61%と東南アジアの中でもトップクラスの伸び率を維持しています。

東南アジア全体のEC市場規模が2025年に1,570億ドルに達した中で、フィリピンはインドネシア・タイに続く第3位のポジションを固めつつあります。インドネシアマレーシアシンガポールタイベトナムと並んで、フィリピンは東南アジア6カ国の中で最も若い人口構成を持つ市場です。

市場成長を支える3つの構造要因

フィリピンのEC成長は、単なる新型コロナ禍の需要増加ではなく、構造的な3つの要因によって支えられています。

  • モバイルファースト普及:スマートフォン保有率が急上昇し、2024年時点でモバイルウォレット普及率が65%を超えています。GCash・MayaなどのデジタルウォレットがEC決済の主流となっており、銀行口座を持たない層もECを利用できる環境が整いつつあります。
  • 若年層の厚み:平均年齢24歳という人口構成は東南アジアでも際立って若く、ECネイティブな世代が主要購買層を形成しています。TikTokのライブコマースへの適応速度が高く、短尺動画からの購買転換率が他国と比べて高い傾向にあります。
  • 地方ロジスティクスの整備:首都マニラ以外の地方都市への配送インフラが整備されつつあり、かつて配送が難しかったビサヤ・ミンダナオ地方でもEC購入が定着しています。プラットフォーム各社が地方向けの物流ミニハブを設置したことが購入者層の拡大につながっています。

国内市場の飽和と越境ECの位置づけ

令和5年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、24.8兆円(前年22.7兆円、前々年20.7兆円、前年比9.23%増)に拡大しています。また、EC化率は、BtoC-ECで9.38%(前年比0.25ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展しています。

出典:経済産業省「令和5年度電子商取引に関する市場調査」

日本国内のBtoC-EC市場規模は令和6年度(2024年)に26.1兆円(前年比5.1%増)に達した一方、EC化率は約9.4%と成熟期に入りつつあります。国内市場で成長の余地が縮まる中、年率13%超で拡大するフィリピンは越境ECの受け皿として有望な選択肢の一つです。ベトナム・フィリピンの2カ国を組み合わせた越境EC戦略については、ベトナム・フィリピン越境EC2026年版も参考になります。

2024年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、26.1兆円(前年24.8兆円、前々年22.7兆円、前年比5.1%増)に拡大しています。また、2024年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は514.4兆円(前年465.2兆円、前々年420.2兆円、前年比10.6%増)に増加しました。

出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」

国内BtoC-EC市場は年率5%台の成長に落ち着きつつある一方、フィリピンをはじめとする東南アジア市場は13%超の高成長を維持しています。国内市場の成熟を見据えて越境ECへの参入を検討するEC事業者が増えており、フィリピンはその有力な選択肢の一つです。

2024年施行のインターネット取引法(ITA)

2024年1月、フィリピンではインターネット取引法(Internet Transaction Act / ITA)が施行されました。DTI(貿易産業省)傘下に電子商取引局が設置され、オンラインで販売を行うすべての事業者(海外セラーを含む)の情報登録が義務付けられています。主な規制内容は以下のとおりです。

  • フィリピン向けにオンラインで商品を販売する事業者はDTIのデータベースへの登録が求められる
  • 消費者保護の観点から返品・返金ポリシーの明示が義務付けられる
  • 偽造品・不正表示に対する当局の取り締まり権限が強化される

越境ECセラーへの実際の執行状況は段階的に進んでいますが、輸出国での関税申告と合わせて輸入国での法令遵守を事前に確認しておく姿勢が求められます。

主要ECプラットフォームの競争構図

フィリピンのEC市場は、ShopeeがシェアトップをキープしながらTikTok Shopが猛追する構図に移行しています。どのプラットフォームから参入するかによって、ターゲット層・手数料・物流フローが大きく変わります。

フィリピン主要ECプラットフォーム比較(2026年版) Shopee・TikTok Shop・Lazadaの3プラットフォームを比較したインフォグラフィック フィリピン主要ECプラットフォーム比較(2026年版) Shopee シェア約42% 最大手 フィリピン最大シェア ● 日本からの直接出店対応 ● 日本語サポートあり(Shopee JP) ● 化粧品・雑貨・食品に強い ● 手数料:売上の約3〜5% 日本語サポートあり TikTok Shop シェア急拡大中(第2位争い) 急成長プラットフォーム ● ライブコマースが主な購買導線 ● 若年層(10〜30代)に強い ● インフルエンサー連携が効果的 ● アニメ・コスメとの相性◎ 動画×ECで急拡大中 Lazada シェア約28% 老舗モール アリババ傘下・老舗モール ● 高所得層・プレミアム商材に強み ● LazMall(公式ブランド枠) ● 電子機器・家電カテゴリに強い ● 手数料:売上の約3〜5% ブランド品参入に最適 出典:STOCKCREW作成(各プラットフォーム公開情報より) 2026年4月時点
図1:フィリピン主要ECプラットフォーム比較(2026年版)

Shopee(シェア首位):フィリピン越境ECの玄関口

ShopeeはフィリピンのEC市場で約42%のシェアを持ち、日本からの越境EC出店を公式にサポートする数少ないプラットフォームの一つです。Shopee Japanを通じて日本語での出店サポートが提供されており、はじめての東南アジア越境EC参入先として最も選ばれています。Shopee出店×発送代行の実務ガイドでは、出荷フロー設計の詳細をまとめています。

Shopeeはフィリピンとともにタイ・マレーシア・シンガポール・台湾にも同時出店できるため、東南アジア全域への拡張を見据えた最初の拠点として優れた選択肢です。フィリピン国内では化粧品・食品・雑貨といった日本商品の得意カテゴリとの相性が特に高い傾向にあります。

TikTok Shop(急成長):ライブコマースで若年層を獲得

TikTok ShopはフィリピンでLazadaを追い抜き、2026年時点でShopeeに次ぐ第2位の地位を争うまでに急成長しています。ライブ配信と連動した購買体験によって10〜30代のユーザーを広く獲得しており、インフルエンサーとの連携で高い購買転換率を実現しています。コスメ・アニメグッズ・健康食品との相性が特に高く、動画での商品演出が購買意欲を直接刺激する点が特徴です。

TikTok Shopへの参入はShopeeでの実績を積んだ後の「第2の柱」として追加出店する戦略が実務的です。出品管理・物流フロー・広告運用のノウハウがShopeeと異なるため、並列での立ち上げよりも段階的な拡張を推奨します。

LazadaとQoo10:ポジション別の活用法

Lazada(アリババ傘下)はかつてフィリピン最大のECプラットフォームでしたが、TikTok Shopの台頭により現在は第3位ポジションに後退しています。一方で高所得層・プレミアム商材には根強い支持があり、LazMallと呼ばれる公式ブランド向けストアを開設すると信頼性の高い販売ができます。電子機器・スポーツ用品・家電商材はLazadaのユーザー層との親和性が高い傾向にあります。

Qoo10もフィリピンに展開しており、韓国系プラットフォームという出自から美容・ファッション系商材との親和性が高い特徴があります。複数プラットフォームへの展開については、越境EC×発送代行の始め方と業者選定を参照してください。

フィリピンで需要が高い日本商品カテゴリ

美容・スキンケア:「Made in Japan」への根強い信頼

フィリピンでは日本製の化粧品・スキンケア商品への信頼が厚く、化粧水・日焼け止め・ホワイトニングケア・ヘアケアが特に高い需要を示しています。東南アジアの紫外線環境から美白・UVケアへの関心が高く、日本ブランドの「安全性・品質・効果」への信頼が購買動機として強く働きます。化粧品の発送代行の実務については後述のFDA登録とあわせて確認が必要です。

ただし化粧品は後述のFDA Philippines(フィリピン食品医薬品局)への製品届出(CPN)が必須です。CPN取得前の無認可販売はリスクが高いため、参入前に必ず規制要件を確認してください。

サプリメント・健康食品:健康意識の高まりと需要拡大

若年層の健康意識向上とともに、日本製サプリメント・プロテイン・機能性食品への関心が高まっています。フィリピンはカトリック教徒が人口の約80%を占めるため、マレーシアのハラール認証のような宗教的な制約はほとんどありません。ただし食品はFDA Philippinesへの製品登録(CPR)が参入前に必要で、特にサプリメント・栄養補助食品はカテゴリに応じた規制区分を確認する必要があります。サプリメントEC×発送代行の観点からも事前確認が重要です。

日本食品・スナック菓子:スーパーでも購入できないユニーク商品

日本のスナック菓子・インスタント食品・お菓子は、現地のスーパーでは手に入りにくいプレミアム商品として需要があります。特に季節限定品・地域限定品・コンビニ限定フレーバーがEC上で人気を集める傾向があります。常温保存可能な食品は発送代行での取り扱いが可能で、STOCKCREWも常温食品の国際出荷に対応しています(常温商品のみ)。

アニメグッズ・雑貨:日本文化への高い親和性

フィリピンでは日本のアニメ・マンガカルチャーへの支持が強く、キャラクターグッズ・フィギュア・ゲーム関連商材は安定した輸出需要があります。また、日本の高品質な日用品・キッチン用品・文具類も「コスパの高い日本製品」として人気があり、中国製との価格差を品質で補える商材として有利なポジションにあります。

個人・小規模出荷での越境EC参入については、個人EC・小規模輸出者向け国際発送代行のガイドも参考になります。

カテゴリ選定の判断基準

商材カテゴリ需要度FDA登録主要プラットフォーム
化粧品・スキンケア★★★★★LTO+CPN(必須)Shopee・TikTok Shop
サプリメント・健康食品★★★★☆LTO+CPR(必須)Shopee・Lazada
日本食品・スナック★★★★☆CPR(必須)Shopee・TikTok Shop
アニメグッズ・雑貨★★★☆☆不要TikTok Shop・Shopee
電子機器・家電★★★☆☆不要(NTC認証必要な場合あり)Lazada・Shopee

FDA登録と輸入規制(化粧品・食品・健康食品)

FDA Philippinesとは:米国FDAとは別の機関

フィリピンの食品・化粧品・医薬品を規制するのは、FDA Philippines(フィリピン食品医薬品局)という独立した行政機関です。米国のFDAとは全く別の組織であり、フィリピン国内で流通させる食品・化粧品・医薬品・サプリメントの安全性・品質管理を担っています。越境ECでフィリピン向けに化粧品や食品を販売する際は、このFDA Philippinesへの登録手続きが必要になります。

化粧品:LTO+CPN(製品届出)

フィリピンで化粧品を輸入・販売するには、以下の2段階の手続きが必要です。

  • LTO(License to Operate):輸入・販売を行う現地法人または現地代理人がFDA Philippinesから取得する営業許可証。薬剤師が責任者として登録される必要があります。
  • CPN(Certificate of Product Notification):個別製品ごとに必要な製品届出証明書。ASEANコスメティクス指令(ACD)に基づく安全性データを提出し、FDAのデジタルプラットフォーム経由で申請します。有効期間は1〜3年(申請時に選択可)。

Applicants are reminded to check the expiration date of issued Certificate of Product Notification (CPN) prior to filing of revalidation applications. Revalidation applications may only be submitted on or before the validity date of the CPN.

出典:FDA Advisory No.2023-1160 – FDA Philippines

CPN取得には現地代理人(ローカルトレーダー)の協力が実務的に必要なケースが多く、複数の現地代理業者に見積もりを取ることを推奨します。なお、フィリピンはマレーシアタイシンガポールなどとともにASEANコスメティクス指令に加盟しており、ASEAN域内で統一した基準で化粧品規制が適用されています。日本で薬機法に準拠した製品なら多くの場合、成分要件を満たしやすい傾向にあります。

食品・サプリメント:CPR(製品登録)

食品・飲料・サプリメント・栄養補助食品をフィリピンに輸出する場合は、CPR(Certificate of Product Registration)の取得が必要です。CPRは製品ごとの登録証であり、製品の成分・栄養成分表・製造基準・ラベル表示が一定の基準を満たしていることをFDA Philippinesが確認します。

サプリメントは「食品」と「医薬品」の境界線に位置するカテゴリで、成分によっては医薬品扱いになるケースもあります。有効成分・含有量の事前確認と専門業者への相談を強くお勧めします。STOCKCREWでは医薬品の取り扱いは不可ですが、化粧品・医薬部外品・サプリメント(常温保存可能なもの)の国内保管・出荷代行は対応しています。

輸入時の注意点:禁止・制限品目

フィリピンへの輸入において日本EC事業者が特に注意すべき制限品目を整理します。

品目規制内容
化粧品CPN取得必須。ASEAN成分規制(禁止・制限成分リスト)準拠が必要
食品・飲料CPR取得必須。ラベルに英語表記(成分・賞味期限・製造業者情報)が必要
サプリメントCPR取得必須。医薬品成分が入る場合は医薬品登録に切り替わる可能性あり
医薬品FDA Philippinesへの医薬品登録が必要。一般的に個人セラーでの越境販売は困難
電波使用機器NTC(National Telecommunications Commission)の認証が必要な場合あり

関税・税制とJPEPA優遇措置(2026年最新)

一般消費税(VAT)と輸入関税の基本

フィリピンの付加価値税(VAT)は12%で、輸入品にも適用されます。輸入関税はカテゴリによって異なりますが、一般的な消費財(食品・化粧品・雑貨)では0〜30%の範囲で設定されています。低価格帯の商品ほど関税コストが割合として大きく響くため、越境ECの関税の仕組みを事前に把握しておくことが重要です。

フィリピンには少額商品への免税制度(デミニミス)が設定されていますが、近年は世界的なデミニミス制度の縮小・廃止の流れと同様に、フィリピンでも課税強化の方向で議論が進んでいます。現行制度の最新情報は輸出前に必ず確認してください。

JPEPA(日本・フィリピン経済連携協定)の優遇措置

日本とフィリピンは2008年にJPEPA(Japan-Philippines Economic Partnership Agreement)が発効しており、多くの日本製品に特恵関税が適用されます。電子機器・工業製品・一部の農産加工品では関税削減の恩恵を受けられます。

JPEPAの特恵税率を活用するには、原産地証明書(Form JP)の取得が原則として必要です。商工会議所や貿易専門業者を通じて申請します。インコタームズの設定と組み合わせて、輸出コストの最適化を検討しましょう。

プラットフォーム経由の関税・VAT代理徴収

Shopee・Lazada・TikTok Shopなどの主要プラットフォームは、越境EC取引における関税・VATの代理徴収機能を順次整備しています。プラットフォームが購入者から税額を徴収して当局に納付する仕組みが広がっており、セラー側での個別対応が軽減される方向に向かっています。

ただし代理徴収の範囲・対象プラットフォーム・対象国は変化が速いため、各プラットフォームの最新仕様を都度確認することを推奨します。EUの少額小包課税米国関税措置と同様に、フィリピンでもデジタル課税の整備は国際的な潮流です。

物流設計と発送代行の活用

日本からフィリピンへの国際配送オプション

日本からフィリピンへの越境EC配送には、主に以下の選択肢があります。STOCKCREWは日本郵便(EMS・ゆうパック等)には現時点で非対応ですが、ヤマト運輸・佐川急便経由での国際発送に対応しており、国内3PLとの連携による越境EC出荷フローの構築が可能です。

配送方法日数目安特徴向き不向き
国際宅急便(ヤマト)3〜5営業日追跡あり、信頼性高い高単価商品・ギフト用途
国際宅配便(佐川)4〜7営業日ボリューム割引に強い大量出荷・繰り返し発注
DHL・FedEx・UPS2〜4営業日最速・書類手続きが確実高額商品・緊急対応
SAL便・航空小包7〜14日低コスト、追跡あり軽量・低単価商品

フィリピンの国内ラストマイルはNinja Van・J&T Express・Lalamoveなどのローカル配送会社が担っており、Shopee・Lazadaではプラットフォームが配送を手配するため、日本側の発送代行業者は「日本国内倉庫から国際輸送会社への引き渡し」までを担当するケースが一般的です。

発送代行を活用した越境ECフロー設計

日本EC事業者がフィリピン向け越境ECを開始するにあたって、発送代行(3PL)を活用したフロー設計が最もスケーラブルな方法です。受注→国内倉庫でのピッキング・梱包→国際配送業者への引き渡し→フィリピン国内での通関・ラストマイル配送、という流れを整備します。

発送代行を活用することで、国内の梱包・出荷作業から解放されながら、マニラ・セブ・ダバオへの発送を一元管理できます。国際発送代行の選び方・業者比較もあわせて把握しておくと物流設計がスムーズに進みます。

ケーススタディ:スキンケアブランドのShopee PH参入事例

日本国内でEC販売を月300件規模で運営していたスキンケアブランドのケースを紹介します。自社製品の化粧水・美容液ラインがフィリピンの若い女性層に受け入れられると判断し、Shopee PHへの越境出店を検討しました。

【課題と対応】 最大の課題はFDA PH(フィリピン食品医薬品局)へのCPN(製品届出)の取得でした。現地の貿易代理業者と提携し、LTOはすでに保有している業者を見つけることで、CPN取得のみに集中することができました。化粧水2SKU・美容液1SKUの計3製品について、申請から約5ヶ月でCPNを取得しています。

【物流設計】 STOCKCREWの国内倉庫に在庫を集約し、Shopee PHからの受注に合わせてヤマト運輸の国際宅急便で発送するフローを構築しました。初月は20件程度のテスト発送からスタートし、3ヶ月後には月150件超の安定出荷体制に移行しています。フルフィルメントの国際対応という観点では、国内3PLとの連携が起点となるケースが多いです。

梱包・通関書類の準備ポイント

フィリピン向け越境ECでは、通関書類の不備が配送遅延・返送の最大の原因になります。以下のポイントを必ず確認してください。

  • 送り状(インボイス)の英語記載:商品名・数量・単価・合計金額・HS Code(関税分類番号)を明記する
  • 製品の英語ラベル:食品・化粧品はフィリピン当局が求める英語表記(成分・賞味期限・製造業者等)を事前に貼付する
  • 規制品目の申告:化粧品・食品はCPN/CPR番号をインボイスに記載しておくと通関がスムーズになる場合がある
  • 破損・開封リスクへの備え:フィリピンの税関は抜き取り検査の頻度が比較的高いため、個装から外箱まで耐久性の高い梱包資材を選択する

欧米の発送代行サービスとの違いも参考にしながら、フィリピン市場に適した物流フローを設計しましょう。越境EC全体のEC物流設計の考え方も合わせて確認することを推奨します。

参入ロードマップと6ステップ

フィリピン越境EC参入の全体像

フィリピン越境ECへの参入は、市場調査からFDA登録・プラットフォーム選定・物流設計・テスト販売・本格運用まで、段階的に進めるのが成功率を高める鍵です。最初から大量の在庫を用意して全力で参入するよりも、少量のテスト販売でPDCAを回してから規模拡大する手順が現実的です。

フィリピン越境EC参入ロードマップ(6ステップ) 市場調査から本格運用まで6つのステップを示したフロー図 フィリピン越境EC参入ロードマップ(6ステップ) STEP 1 市場・商材 リサーチ STEP 2 FDA登録・ 輸出手続き STEP 3 プラット フォーム選定 STEP 4 発送代行 物流設計 STEP 5 テスト販売・ KPI設計 STEP 6 本格運用・ スケールアップ 競合調査・需要確認 LTO/CPN/CPR取得 Shopee/TikTok/Lazada 国内3PL×国際配送 少量出荷→効果検証 出荷数拡大・多sku化 出典:STOCKCREW作成
図2:フィリピン越境EC参入ロードマップ(6ステップ)

ステップ別の所要期間と注意点

ステップ内容所要期間目安主な注意点
STEP 1:市場調査競合調査・需要確認・商材選定2〜4週間Shopeeのフィリピンカテゴリで販売数・レビュー数を確認
STEP 2:FDA登録LTO・CPN・CPR取得(商材に応じて)1〜6ヶ月現地代理人が必要。化粧品・食品は早期着手が必須
STEP 3:プラットフォーム選定Shopee / TikTok Shop / Lazada の出店申請1〜4週間まずShopeeから開始、段階的に追加出店が現実的
STEP 4:発送代行・物流設計国内3PLとの契約・国際配送業者の選定2〜4週間梱包資材・送り状フォーマット・英語ラベルの準備を並行して進める
STEP 5:テスト販売少量出荷でKPI計測1〜3ヶ月配送リードタイム・クレーム率・転換率の3指標を基準に判断
STEP 6:本格運用出荷数拡大・多SKU化・広告投資継続在庫切れ防止のためSTOCKCREWでの在庫バッファ管理が有効

STOCKCREWによる越境EC出荷の対応範囲

STOCKCREWは国内3PL(保管・ピッキング・梱包・出荷代行)として、フィリピン向けの国際発送の引き渡し業務まで一括対応できます。初期費用0円・固定費0円・最短7日での導入が可能で、月間出荷件数が10件からでも対応しています。STOCKCREWの機能と対応範囲料金一覧は各ページで確認できます。

越境EC物流の全体設計については、EC物流完全ガイドおよび物流完全ガイド2026年版が包括的な参考資料になります。

まとめ

フィリピンは人口1億1,000万人・平均年齢24歳の若い消費市場で、EC市場規模は年率13%超のペースで成長しており、2026年に200億ドル超が見込まれます。東南アジア越境ECシリーズの最終章として、以下のポイントを押さえておくことが参入成功のカギです。

  • プラットフォームはShopeeから始める:日本語サポートがあり、フィリピン向け直接出店に対応しているShopeeが最初の参入先として最適。TikTok Shopは実績を積んだ後の第2弾として追加出店を検討する。
  • FDA登録は早めに着手する:化粧品(LTO+CPN)・食品(CPR)の取得には1〜6ヶ月かかるため、市場調査と並行して現地代理人への相談を開始する。
  • JPEPAを活用した関税優遇:日本製品の多くはJPEPAにより特恵関税が適用される。原産地証明書(Form JP)の取得コストと関税削減効果を比較して取得の要否を判断する。
  • 発送代行で物流を効率化:国内3PLと国際配送会社の役割分担を整理し、梱包・通関書類・英語ラベルの準備を事前に整える。日本郵便(EMS)は一部業者が非対応のため確認が必要。
  • コスメ・食品・アニメグッズが有力商材:「Made in Japan」への信頼を活かしやすいカテゴリから着手し、テスト販売で需要を確認してからSKUを拡大する。

東南アジア6カ国のうちタイマレーシアシンガポールインドネシアベトナムの各市場についても個別解説記事があります。複数市場への同時展開を検討する場合は、ベトナム・フィリピン越境EC2026年版もあわせて参照してください。発送代行の活用で国内出荷業務を効率化しながら、新市場への一歩を踏み出しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. フィリピン向けにShopeeで販売するにはどの程度の初期費用がかかりますか?

Shopee Japanを通じた越境EC出店自体は基本的に無料で開始できます。ただし化粧品・食品の場合はFDA登録(LTO・CPN・CPR)に代理人費用を含めて数十万円規模の初期費用が発生します。雑貨・アニメグッズなどFDA登録不要のカテゴリであれば、出品費用はほとんどかかりません。

Q. 化粧品をフィリピン向けに販売するのに何ヶ月かかりますか?

FDA PhilippinesへのCPN(製品届出)取得には、現地代理人の確保・書類準備・審査期間を合わせて最短3ヶ月・通常4〜6ヶ月程度かかるケースが多いです。LTO(営業許可)は代理人がすでに保有していれば省略できますが、保有していない場合はさらに期間が追加になります。早期から現地代理人を探すことが重要です。

Q. STOCKCREWでフィリピン向け越境ECの発送代行はできますか?

STOCKCREWは国内倉庫での保管・ピッキング・梱包・国際配送会社への引き渡しまで対応しています。ヤマト運輸・佐川急便経由での国際発送に対応しており、フィリピン向けの出荷フローを組むことが可能です(日本郵便・EMS経由は2026年4月時点で非対応)。初期費用0円・固定費0円・最短7日での導入が可能です。お問い合わせフォームから具体的な出荷ボリューム・商材をお伝えいただければ、対応可否と概算費用をご案内します。

Q. フィリピン向け越境ECでJPEPAの特恵関税を使うにはどうすればよいですか?

JPEPAの特恵税率を適用するには原産地証明書(Form JP)の取得が必要です。日本商工会議所または指定商工会議所に申請し、輸出申告時に提出します。単価が低い少額商品では証明書取得コスト(手数料)が関税削減額を上回る場合があるため、コスト試算を行ったうえで判断してください。

Q. フィリピン向け越境ECで扱える食品のカテゴリを教えてください。

STOCKCREWは常温保存可能な食品のみに対応しており、温度管理が必要な生鮮品には対応していません。フィリピン向けに適したカテゴリは、スナック菓子・インスタント食品・乾物・常温飲料・粉末スープなどです。温度管理が必要な食品については、対応可能な専門業者への相談をお勧めします。

Q. フィリピン越境ECにおいてデミニミス(少額免税)制度は適用されますか?

2026年4月時点でフィリピンにはデミニミス制度が存在しますが、適用範囲・金額基準は変更の可能性があります。世界的なデミニミス制度の縮小傾向と同様に、フィリピンでも課税強化の議論が進んでいるため、出荷前に最新の制度を確認することを推奨します。デミニミス改正と越境EC2026も合わせて確認しておくと制度変更への備えができます。

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