Shopifyで欧州に直販する日本の事業者の発送ガイド|€3定額関税・欧州ゾーンの送料・IOSSの考え方
- EC・物流インサイト
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Shopifyで欧州(EU)のお客さまに直接販売する日本の事業者にとって、2026年7月1日は大きな節目でした。EUは、少額の輸入貨物に1品目あたり€3の定額関税を課す暫定措置を始めています。送料に加えて関税の数え方まで価格に織り込む必要があり、国内向けと同じ感覚で発送すると、思わぬ負担が出ます。本記事では、Shopifyで欧州に直販する日本の事業者が発送代行を使うときに押さえておきたい実務を、€3の数え方、国際宅急便の欧州ゾーンの送料、HSコードと単価の登録、Shopifyの注文と倉庫のつなぎ方の順に整理します。制度の背景はEU少額小包への定額関税、2026年7月から導入、デミニミス撤廃の動きはEUデミニミス7月1日撤廃が目前で扱っているため、ここでは発送の実務に絞ります。別の国の例はShopifyで台湾に直販する日本の事業者の発送ガイド、発送代行の比較は発送代行おすすめ25選でつかめます。
Shopifyで欧州に売るときの3つの壁
欧州向けは、アジア向けより送料が高く、制度の変化も大きい市場です。つまずきやすい点を3つに絞ります。
関税が「品目」で決まり、注文の中身で変わる
€3は、荷物1個ではなく品目ごとに課されます。同じ商品を何点入れても1品目ですが、種類の違う商品を組み合わせると品目が増えます。セット販売やおまとめ買いの設計に直接影響するため、第2章で整理します。
送料が重さとサイズで大きく変わる
国際宅急便の料金は梱包後のサイズで決まります。欧州・中東ゾーンは、60サイズでも基本料金が4,300円(税抜)で、大きくなるほど差が開きます。第3章で積み上げ方を確認します。
関税を誰が負担するかを、販売前に決める必要がある
ヤマト運輸の国際宅急便のページでは、関税等の諸費用はお届け先に請求する前提で書かれています。一方、EUの€3は、少額の貨物に対して事業者側に課される措置として整理されています。販売価格に含めるのか、お客さまに別途案内するのかを、販売を始める前に決めておきます。関税負担の設計は越境ECの関税負担をどう設計するかで扱っています。
€3の定額関税は「品目」で数える
欧州委員会の税務・関税同盟総局(TAXUD)は、2026年6月8日に暫定措置のガイダンスを公表しました。数え方について、次のように説明しています。
The duty applies per item in a consignment, based on tariff classification (not quantity).
日本語にすると、「関税は、貨物に含まれる品目ごとに、関税分類に基づいて課され、数量では数えない」という意味です。同じページでは、Tシャツ5枚なら€3、Tシャツ1枚と腕時計1個なら€6という例が示されています。対象は価値が150ユーロ以下の貨物で、期間は2026年7月1日から2028年7月1日までです。
価格設計では「1注文に入れる品目の種類」を管理する
関税は品目の種類で増えるため、1回の注文に入る商品の種類数が、そのまま関税の負担額になります。おまとめ買いで同じ商品を増やしても関税は変わらず、別の種類の商品を足すと€3ずつ増えます。セット商品の組み方はセット品・アソート商品のEC物流運用ガイドも参考になります。
IOSSは、関税とは別のVATの制度として考える
TAXUDのガイダンスでは、€3の関税は、VATの申告の仕組み(IOSSなど)とは別に適用されると説明されています。IOSSはEUのVATに関する制度で、欧州委員会のVAT One Stop Shopのページで確認できます。「IOSSを使っているから関税がかからない」わけではないため、関税とVATは分けて整理します。プラットフォーム側の責任の動きはEUが越境ECの「事業者責任」を強化で取り上げています。
| 項目 | 内容(欧州委員会 TAXUDの説明) |
|---|---|
| 関税額 | 1品目あたり€3の定額 |
| 数え方 | 関税分類に基づく品目ごと。数量では数えない |
| 対象 | 価値が150ユーロ以下の貨物 |
| 期間 | 2026年7月1日から2028年7月1日まで |
| VATの制度との関係 | IOSSなどとは別に適用される |
国際宅急便の欧州ゾーンの送料を積み上げる
STOCKCREWの国際配送は、ヤマト運輸の国際宅急便を利用しています。倉庫から空港までをヤマト運輸が、通関から海外の配送をヤマト運輸の提携パートナーであるUPSが担当し、200か国以上へ送れます。料金は梱包後のサイズで決まり、燃油サーチャージや遠隔地手数料などの変動費用は発生しません。ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、オーストリアなどは「ヨーロッパ・中東」のゾーンに入ります。ゾーンに含まれる国の一覧は、料金ページで確認してください。
| 費目(ヨーロッパ・中東ゾーン・税抜) | 書類パック | 60サイズ | 80サイズ | 100サイズ | 120サイズ |
|---|---|---|---|---|---|
| 基本料金(1件) | 2,050円 | 4,300円 | 7,200円 | 13,700円 | 22,200円 |
| 海外発送手数料(1件) | 一律300円 | ||||
| 追加ピッキング(2点目以降・1点) | 30円 | ||||
発送料金は、1点あたりの作業費・資材費・配送料を含んだ料金です。最新の料金は料金ページで公開しています。
計算例:60サイズに2点入れて送る場合
欧州・中東ゾーンへ60サイズの1件に2点入れて送ると、基本料金4,300円に、海外発送手数料300円と追加ピッキング30円(2点目)を足して、4,630円(税抜)です。ここに、EUの関税が品目の数だけ別に加わります。サイズが80サイズになると基本料金は7,200円、100サイズでは13,700円になるため、梱包を60サイズに収められるかが価格に大きく響きます。EMSとの比較は国際配送サービスの比較(EMS・ヤマト)で確認できます。
関税の負担は、ヤマトの案内を確認して決める
ヤマト運輸の公式ページは、関税等の諸費用はお届け先さまに請求し、金額は国や品目で異なり事前には確認できないと案内しています。EUの€3の請求先や、ヤマト運輸・UPS側の取り扱いは、公式ページの「欧州向けのお知らせ」や担当者への確認が必要です。お客さま負担にするのか、販売価格に含めるのかを決め、ヤマト運輸の案内と食い違わない運用にします。
HSコードと単価を商品情報に登録する
STOCKCREWで海外向けの注文を出荷するには、受注明細の単価と商品ごとのHSコードが必要です。€3は関税分類で品目を数えるため、HSコードは単なる書類の項目ではなく、関税の額に関わる情報でもあります。
HSコードは商品マスタに1回登録する
HSコードは、品目を国際的に共通の番号で分類したものです。日本の税関の実行関税率表で品目の分類を確認できます。調べ方の手順はHSコードの調べ方ガイド、関税の仕組みは関税の仕組みと計算方法にまとめています。商品マスタに一度登録しておけば、出荷のたびに入力する必要はありません。
単価は「実際に売った金額」で入れる
受注明細の単価は必須項目です。EUの対象は価値150ユーロ以下の貨物なので、書類の金額と実際の販売価格がずれないよう、注文の金額をそのまま使うのが基本です。インボイスの書き方はプロフォーマインボイス(PI)とは?が手がかりになります。
送れない商品と、個人宛ての制限を確認する
ヤマト運輸の国際宅急便のページは、概要を次のように説明しています。
世界の国々へ贈り物や商品等を送る場合にご利用いただける、海外向けの宅急便です。
出典:ヤマト運輸「国際宅急便」
同じページでは、一部の国で、個人が関わる場合は書類以外の荷物を取り扱えないとされており、ヨーロッパではポルトガルとロシアが挙げられています。また、法律や規制で禁止されている品目(禁制品)は引き受けできず、含まれていた場合は禁制品手数料36,828円(税込)が1件ごとに請求されると案内されています。化粧品や食品の可否は、このページには記載がないため、国別ガイドで確認します。商品ごとの輸出入の手続きは、JETROの商品ごとの輸出入手続きでも調べられます。
Shopifyの注文を倉庫の出荷につなげる
STOCKCREWでは、ShopifyとのAPI連携を利用料0円で組めます。連携の具体例はShopifyとSTOCKCREW発送代行のAPI連携、業者選びはShopify×発送代行の連携方法と業者選定ガイドで扱っています。
取り込みの前提はバリアントSKU
STOCKCREWの新連携方式(ShopifyV2)では、Shopify側の商品バリアントにSKUを設定しておくことが前提です。SKUが空白のまま注文が入ると受注を取り込めず、倉庫のシステムに手作業で登録し直すことになります。SKUの考え方はSKUとは?EC在庫管理での意味・設定・活用法で整理しています。
海外宛の受注は、単価を入れて登録する
STOCKCREWのシステムで海外宛の受注を登録するときは、単価が必須です。手入力のほか、CSVで取り込む方法もあり、CSV取り込みでは「海外受注」の設定を使います。Shopifyの海外宛の注文が連携でどのように取り込まれるかは、導入前の相談で確認しておくと確実です。
欧州向けの発送を発送代行に任せる前の準備
ここまでの内容を、切り替え前のチェックリストにまとめます。多くは商品情報と価格設計にかかわるため、倉庫に商品を送る前に済ませておくと立ち上がりがスムーズです。
- 1注文に入れる品目の種類を決める——€3は品目ごとなので、セットの組み方を見直します。
- 1注文の価値を150ユーロ以下に収める設計か確認する——対象の範囲を、価格設計の前提にします。
- 梱包サイズを商品構成ごとに決める——60サイズに収まる組み合わせを優先します。
- すべての商品にHSコードを登録する——商品マスタに一度入れておけば出荷ごとの入力は不要です。
- Shopifyのバリアントすべてに SKUを入れる——空欄があると注文が取り込まれません。
- 関税の負担方法を決める——ヤマト運輸の案内とあわせて、お客さまへの表示を整えます。
- 送れない商品と個人宛ての制限を確認する——国際宅急便の公式ページと国別ガイドで確認します。
越境ECの発送代行の選び方
越境ECで発送代行を比べる軸は越境EC×発送代行の始め方と業者選定の実務ガイド、海外発送に強い業者の比べ方は海外発送代行サービスの選び方と越境EC業者比較にまとめています。Shopify以外の販路で海外に売る場合はEtsyで海外に販売する日本の事業者の発送ガイドも参考にできます。STOCKCREWは初期費用0円・固定費0円で、1点から預けられ、導入は最短7日です。
まとめ:欧州直販は「品目の数え方」と「送料の積み上げ」で設計する
Shopifyで欧州に直販する日本の事業者が押さえておきたいのは、2026年7月から2028年7月まで、価値150ユーロ以下の貨物に1品目あたり€3の関税がかかることと、その数え方が数量ではなく品目だという点です。送料は国際宅急便の欧州・中東ゾーンの基本料金に海外発送手数料300円を足して積み上げ、60サイズに収められるかで価格が大きく変わります。商品ごとのHSコードとバリアントSKUを先に登録しておけば、Shopifyの注文を倉庫の出荷につなげられます。
発送代行の仕組みや業者の比べ方は発送代行おすすめ25選、物流全体の設計はEC物流完全ガイド、ネットショップ運営はネットショップ運営完全ガイド、物流の基礎用語は物流完全ガイド、STOCKCREWのサービス内容はSTOCKCREW完全ガイドにまとめています。欧州向けの出荷件数やサイズで費用を確かめたい場合はお問い合わせから、まずは情報を集めたい段階であれば資料ダウンロードをご利用ください。
よくある質問(FAQ)
Q. EUの€3の関税は、いつからいつまでかかりますか?
A. 欧州委員会のガイダンスでは、2026年7月1日から2028年7月1日までの暫定措置とされています。対象は価値が150ユーロ以下の貨物で、1品目あたり€3の定額です。
Q. 同じ商品を複数入れると、関税は商品の数だけかかりますか?
A. かかりません。関税は関税分類に基づく品目ごとに課され、数量では数えません。Tシャツ5枚なら€3、Tシャツ1枚と腕時計1個なら€6という例が示されています。
Q. 欧州向けの国際宅急便の送料はいくらですか?
A. 欧州・中東ゾーンの60サイズで、基本料金は4,300円(税抜)です。これに海外発送手数料が1件300円、同梱の2点目以降の追加ピッキングが1点30円かかります。燃油サーチャージや遠隔地手数料などの変動費用は発生しません。
Q. IOSSを使えば、€3の関税はかからなくなりますか?
A. 欧州委員会のガイダンスでは、€3の関税はVATの申告の仕組み(IOSSなど)とは別に適用されると説明されています。関税とVATは分けて整理する必要があります。
Q. Shopifyの海外宛の注文を倉庫で出荷するには、何が必要ですか?
A. 受注明細の単価と、商品ごとのHSコードが必要です。ShopifyのAPI連携では、商品バリアントにSKUを設定しておくことが前提になります。送れない品物や個人宛ての制限は、ヤマト運輸の国際宅急便の公式ページで確認します。
この記事の監修者
重光翔太
株式会社KEYCREW 営業管掌取締役。ヤマト運輸にて本社営業部長を歴任し、物流業界で16年以上のキャリアを積む。法人営業・コスト最適化・業者比較選定を専門とし、累計1,500社以上のEC事業者への物流支援を手がけてきた。数百万件/日規模の出荷オペレーション管理や、6,000社が利用するフルフィルメントサービスの構築、温度帯コールドチェーンの大規模荷主向け事業設計など、業界でもトップクラスの実績を持つ。STOCKCREWでは営業戦略全体を統括し、「数字で語り、ROIで証明する」をモットーに、EC事業者の物流コスト最適化を推進している。