出口側の循環利用率が43.6%へ低下、ピークは2013年度の46.1%|EC物流の梱包と在庫処分を点検する
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梱包資材の値上がりや在庫の廃棄費用に悩んでいても、それを「資源循環の話」として考える機会はあまりないはずです。しかし国の指標を見ると、EC物流の現場で起きていることと地続きの数字が並んでいます。環境省は2026年9月17日、第五次循環型社会形成推進基本計画の進捗状況の第1回点検結果を公表しました。資源生産性は2023年度で約50.9万円/トンまで改善した一方、出口側の循環利用率は2013年度の46.1%をピークに約43.6%まで低下しています。この記事では点検結果の中身を確認し、EC事業者が梱包と在庫処分でどこを見直せるかを整理します。物流全体を外に出す判断は発送代行おすすめ25選が土台です。
点検結果の概要|何が公表されたのか
まず位置づけを押さえます。循環型社会形成推進基本計画は、資源循環に関する国の基本方針です。第五次計画は令和6年8月に閣議決定され、今回はその第1回目の評価・点検にあたります。
点検は2年に1回程度
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年9月17日 |
| 対象 | 第五次循環型社会形成推進基本計画(令和6年8月閣議決定) |
| 今回の位置づけ | 第1回の評価・点検 |
| 点検の頻度 | 2年に1回程度 |
| 審議 | 中央環境審議会 循環型社会部会で令和7年6月から審議 |
| 報告経路 | 中央環境審議会(第66回部会)から環境省へ報告 |
点検報告書はPDFで公開されており、環境省のウェブサイトから取得できます。指標に基づく定量的な点検と、取組指標の評価の両輪で構成されている点が特徴です。
物質フロー指標という考え方
点検で使われるのは「物質フロー指標」です。経済に入ってくる資源、社会の中で回る資源、外に出ていく廃棄物という流れを、3つの数字で捉えます。入口・循環・出口をそれぞれ別の指標で見るため、どこで詰まっているかが分かる仕組みになっています。
3つの物質フロー指標の読み方
今回公表された数字は次のとおりです。
出口側の循環利用率は、2013年度の46.1%をピークに横ばいから減少傾向にあり、2023年度は約43.6%となりました。
資源生産性は上がっている
資源生産性は、投入した天然資源1トンあたりでどれだけのGDPを生んだかを示します。2023年度は約50.9万円/トンで、増加傾向にあります。増えた理由は分子のGDPが増え、分母の天然資源等投入量が減ったためと説明されています。
最終処分量は約79%削減
埋め立てに回る量を示す最終処分量は、2000年度から2023年度までに約79%削減され、目標値の達成に向けて順調とされました。4つの指標のなかで最も明確に改善しています。
なぜ出口側の循環利用率だけ下がっているのか
ここが今回の点検で読み解くべき部分です。入口側は横ばい、最終処分量は大幅減、それなのに出口側だけが下がっています。
入口側と出口側の違い
| 指標 | 何を見ているか | 今回の状況 |
|---|---|---|
| 入口側の循環利用率 | 投入される資源のうち循環利用されたものの割合 | 2013年度以降おおむね横ばい、長期的には増加傾向 |
| 出口側の循環利用率 | 発生した廃棄物等のうち循環利用されたものの割合 | 2013年度46.1%をピークに約43.6%へ低下 |
入口側が横ばいで推移している背景として、点検結果は分母である天然資源等投入量の減少と、分母・分子の双方に算入される循環利用量の微増を挙げています。つまり経済全体が使う資源そのものが縮んでおり、率だけを見ても実態が掴みにくい構造になっています。
率の低下は「まだ回せる資源が残っている」という意味
出口側が下がっているということは、出てきた廃棄物のうち再び使われる比率が落ちているということです。最終処分量が減っているのと同時に起きているため、埋め立て以外の処理に回ってはいるものの、資源として戻る割合は伸びていない構図が浮かびます。
現場の感覚に引き直すと、分別できる状態で出せているかどうかが効いてきます。段ボールと緩衝材とテープが一体化したまま排出されれば、資源として戻る道筋は細くなります。梱包を設計する段階で、開梱後に分けやすい構成にしておくことが、出口側の数字に効く数少ない打ち手です。
重点点検分野は「事業者間連携」と「地域の循環」
第1回点検では、第五次計画のなかから2つの分野が重点点検分野に設定されました。
- 資源循環のための事業者間連携によるライフサイクル全体での徹底的な資源循環——1社で完結させず、サプライチェーンをまたいで資源を回す取り組みが対象です。
- 多種多様な地域の循環システムの構築と地方創生の実現——地域単位で資源を回す仕組みづくりが対象です。
「事業者間連携」がEC物流に近い
1つ目はEC事業者にとって遠い話ではありません。メーカー・倉庫・配送会社・販売者のあいだで資材や容器をどう回すかは、まさに事業者間連携の領域です。国際輸送で繰り返し使う容器の実証が同じ時期に動いているのも、この文脈と重なります。詳細は国交省が国際間RTIの実証輸送を公募で扱いました。
環境訴求には表示のルールがある
資源循環の取り組みを商品ページで訴求する場合、表示の適正さが問われます。環境ラベルの扱いについては消費者庁が実態調査を公表しています。
環境ラベルによって、その商品・サービスが実際のもの又は事実に相違して競争事業者のものよりも著しく環境に配慮していると一般消費者に誤認される場合には、不当表示(優良誤認表示)として景品表示法上問題となる。
根拠のない環境訴求は景品表示法上の問題になり得ます。実際の運用に裏づけがあるかを確かめてから書くのが順番です。
EC事業者に引き直すと見えてくる3つの論点
国の指標をそのまま自社に当てはめることはできませんが、考え方は流用できます。前提として、ECの取引そのものは拡大を続けています。
2024年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、26.1兆円(前年24.8兆円、前々年22.7兆円、前年比5.1%増)に拡大しています。
取引が増えれば、出荷1件ごとに投入される段ボール・緩衝材・封緘材の総量も増えます。国全体の循環利用率が伸び悩んでいる局面でEC市場だけが伸びているということは、EC物流由来の資材が全体に占める比重は上がっていると考えるのが自然です。個社でできるのは、1件あたりの投入量を下げることに尽きます。
論点1:資材は「投入量」として数える
資源生産性の考え方は、売上を、投入した資材の重量で割るという発想です。出荷1件あたりの段ボール・緩衝材・封緘材の重量を把握しておくと、過剰梱包が数字で見えます。資材そのものの選び方はEC梱包材の選び方と種類、封緘材は梱包テープの種類と選び方に整理があります。資材単価そのものも動いており、ナフサ高騰で梱包資材の値上げラッシュが本格化で扱った上昇局面が続いています。
論点2:箱サイズの適正化が最も効く
投入量を減らす手段として、商品に合ったサイズの箱を選ぶことが最短距離です。大きすぎる箱は資材も緩衝材も送料も同時に増やします。サイズと運賃の関係は宅配便のサイズ規格をヤマト・佐川・日本郵便で徹底比較で比較しました。複数商品をまとめる場合の設計はセット品・アソート商品のEC物流運用ガイドが参考になる領域です。
論点3:破損は二重の資源ロスになる
配送中に商品が壊れると、商品と梱包資材の両方が無駄になり、再出荷でもう一度資材を使います。破損率を下げることは、そのまま投入量を下げることです。実務は梱包不良による破損クレームを減らすEC出荷の実務ガイド、補償の線引きは配送事故の補償を運送会社別に比較したページで扱っています。
在庫処分と廃棄コストの実務
出口側の話は、EC事業者にとっては在庫処分の話です。
抱え続けるほど選択肢が減る
売れ残りを倉庫に置き続けると、保管料が積み上がり、最終的に廃棄しか選べなくなります。値下げ・セット化・二次流通への流通といった選択肢は、商品の状態が良いうちにしか使えません。判断の枠組みは不良在庫の原因と処分方法、回転の設計は先入れ先出し(FIFO)の実践方法にまとめています。
棚卸で現物と帳簿を合わせる
処分を判断するには、在庫の実数が正しいことが前提になります。差異を抱えたまま処分計画を立てると、想定より多く(あるいは少なく)廃棄することになります。進め方はEC倉庫の棚卸の進め方と在庫差異の潰し方で扱いました。
廃棄には費用と証明書が伴う
倉庫に預けた在庫を処分する場合、産業廃棄物としての処理費が発生します。STOCKCREWの場合、廃棄物処理費は15,000円/㎥、パレット廃棄は1,500円/パレット、廃棄証明書の発行手数料は2,000円/通です(いずれも税抜)。金額の一覧は料金のページで公開しています。処分は「無料で消える」わけではないという前提で、在庫計画を立てるのが現実的です。
費用の見積もりやすさも、処分の進め方で変わります。廃棄量を㎥で見積もる関係上、対象が1SKUに絞れていれば事前見積もりができますが、複数SKUが混ざる場合や廃棄対象が未確定の場合は事前見積もりができません。まとめて処分しようとするほど金額が読めなくなるという構造です。
処分は「決めてから動かす」順番で
実務の順番は、①廃棄対象のSKUと数量を確定する、②1SKUずつ見積もりを取るか、まとめて概算で進めるかを決める、③倉庫内の移動として出荷指示を登録する、という流れになります。②を飛ばして③から始めると、請求が出てから想定との差に気づくことになります。処分と並行して、そもそも在庫を増やしすぎない発注設計に戻すことも欠かせません。
まとめ:指標は遠いが、資材と在庫はすぐ横にある
第1回点検が示したのは、資源生産性は約50.9万円/トンまで改善し、最終処分量は2000年度から約79%削減された一方、出口側の循環利用率だけが2013年度の46.1%をピークに約43.6%まで下がっているという構図でした。重点点検分野には事業者間連携が置かれており、サプライチェーンをまたぐ取り組みが今後の焦点になります。
EC事業者としてできることは、大がかりな話ではありません。出荷1件あたりの資材重量を数える、箱サイズを商品に合わせる、破損率を下げる、在庫を抱え込む前に処分の選択肢を使う。この4つは、環境配慮という動機がなくてもコスト面で説明がつきます。環境訴求として外に出す場合は、景品表示法上の裏づけを先に確かめてください。
資材や廃棄を含めて出荷体制を見直す段階であれば、発送代行おすすめ25選とSTOCKCREW完全ガイドが比較の起点になります。倉庫運用の全体像はEC物流完全ガイド、用語や仕組みからたどるなら物流完全ガイド2026年版が入口です。自社の資材構成や在庫量での試算は条件で変わるため、お問い合わせで現状をお聞かせいただくか、資料ダウンロードから判断材料を集めてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 第五次循環型社会形成推進基本計画の第1回点検とは何ですか?
A. 循環型社会形成推進基本計画は資源循環に関する国の基本方針で、第五次計画は令和6年8月に閣議決定されました。中央環境審議会は2年に1回程度この計画の進捗を評価・点検することとされており、今回が第五次計画の第1回点検にあたります。結果は2026年9月17日に公表されました。
Q. 出口側の循環利用率はどのくらい下がったのですか?
A. 2013年度の46.1%をピークに横ばいから減少傾向にあり、2023年度は約43.6%となりました。一方で入口側の循環利用率は2013年度以降おおむね横ばいで、長期的には増加傾向にあるとされています。下がっているのは出口側だけという点が今回の特徴です。
Q. 資源生産性と最終処分量はどうなっていますか?
A. 資源生産性は2023年度で約50.9万円/トンとなり、増加傾向にあります。分子のGDPが増え、分母の天然資源等投入量が減ったことが理由と説明されています。最終処分量は2000年度から2023年度までに約79%削減され、目標値の達成に向けて順調に推移しているとされました。
Q. 重点点検分野には何が設定されましたか?
A. 2つです。「資源循環のための事業者間連携によるライフサイクル全体での徹底的な資源循環」と「多種多様な地域の循環システムの構築と地方創生の実現」が設定されました。物質フロー指標による定量的な点検に加えて、取組指標についても評価が行われています。
Q. EC事業者は何から手をつければよいですか?
A. 出荷1件あたりの資材重量を数えることが出発点です。そのうえで箱サイズを商品に合わせる、破損率を下げる、在庫を抱え込む前に値下げやセット化といった処分の選択肢を使う、という順で進められます。いずれもコスト削減として説明がつくため、環境対応という名目がなくても社内を通しやすい施策です。
Q. 環境配慮を商品ページで訴求してもよいですか?
A. 実際の運用に裏づけがあれば可能ですが、表示には注意が必要です。消費者庁は、環境ラベルによって競争事業者のものより著しく環境に配慮していると一般消費者に誤認される場合、不当表示(優良誤認表示)として景品表示法上問題となるとしています。根拠を用意してから表示してください。
この記事の監修者
北川七重
株式会社KEYCREW 管理部門の責任者。IT業界でシステムエンジニアとして約10年間、客先常駐・受託開発に従事した後、KEYCREWに入社。経理・労務・採用を統括し、業務の標準化や体制整備を通じて管理部門の強化を推進している。販管費の約7%削減を実現するなど、単純作業の外部化と社内リソースの最適化により「戦略的に動く管理部」の構築を目指す。日商簿記2級および応用情報技術者の資格を保有し、経理の専門知識とITスキルを兼ね備えた視点でEC事業者の会計・税務・制度対応に関する情報を発信。「凡事徹底/積小為大」を信条に、正確さと信頼感を重視した記事を執筆している。