国交省が国際間RTIの実証輸送を公募、1輸送30万円|応募10月16日まで・輸入EC事業者の容器の選択
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海外から仕入れた商品が届くたびに、段ボールと緩衝材が大量に出る。その処理コストを当たり前として受け入れていないでしょうか。国土交通省は2026年9月18日、「先進的で高機能な国際間RTIを利用した実証輸送」の公募を開始しました。RTIとはリターナブル物流容器、つまり繰り返し使う輸送容器のことです。応募期間は10月16日まで、1輸送あたり原則30万円が調査協力費として支出されます。同じ国交省が9月11日に出した別の実証輸送公募と混同されやすいため、本記事では両者の違いを先に切り分けたうえで、輸入を行うEC事業者が押さえる論点を整理します。物流の委託全体の考え方は発送代行おすすめ25選が土台です。
公募の概要|期間・対象・支出額
最初に数字を押さえます。国土交通省物流・自動車局 物流政策課 国際物流室が令和8年9月18日付で公表した内容です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年9月18日 |
| 公募期間 | 2026年9月18日(金)〜10月16日(金) |
| 対象事業者 | 日系荷主企業、日系物流事業者(RTIの開発・運用・レンタル企業を含む) |
| 実施時期 | 2026年10月〜2027年1月を目途 |
| 対象航路 | 日中韓間等の輸送 |
| 支出額 | 1輸送(ラウンド輸送を含む)あたり原則30万円 |
| 検証事項 | 輸送コスト、リードタイム、輸送品質、輸送の際の手続き、越境時の税関手続き等 |
| 応募方法 | 応募様式に記載のうえEメールで提出 |
一輸送(ラウンド輸送も含む)につき原則として30万円を調査協力に係る費用として支出する予定です。
調査は令和3年度から続いている
今回いきなり始まった話ではありません。国交省は令和3年度から国際物流におけるRTIの普及促進に向けた調査を重ねており、今年度はその知見を踏まえて実際の輸送で課題を洗い出す段階に入りました。公募は外部委託事業「先進的で高機能な国際間RTIを利用した実証輸送と鉄製容器の国際間RTI化調査」の一環です。
応募件数によって金額は動く
30万円は確約された補助金ではありません。応募件数が多い場合や少ない場合は支給金額の調整を行う可能性があると明記されています。位置づけはあくまで調査協力費です。
RTI(リターナブル物流容器)とは何か
RTIはReturnable Transport Itemsの略で、日本語では通い容器とも呼ばれます。国内のBtoB物流では珍しくない仕組みですが、国境をまたぐと途端に難しくなります。
片道か往復かで経済性が変わる
使い捨ての段ボールは、届いた先で廃棄します。RTIは空容器を戻して再び使うため、回収と返送の輸送費・管理費が容器の購入費より安く収まるかが採算の分かれ目です。今回の公募がラウンド輸送を明示的に含めているのは、この往復を前提に採算を見るためです。
コスト構造は次のように入れ替わります。使い捨てが「毎回かかる変動費」で構成されるのに対し、RTIは初期投資と管理業務に費用が寄ります。
| 費目 | 使い捨て容器(段ボール等) | RTI(通い容器) |
|---|---|---|
| 容器の調達 | 入荷のたびに購入(変動費) | 初期にまとめて購入(固定費) |
| 往路の輸送 | 商品と一体で発生 | 商品と一体で発生 |
| 復路の輸送 | 不要 | 空容器の返送費が発生 |
| 荷降ろし後の処理 | 廃棄費用が発生 | 洗浄・点検・保管が発生 |
| 数量の管理 | 不要 | 所在と個数の追跡が必要 |
| 破損時 | 影響は軽微 | 補充コストと欠品リスク |
表の下2行が、実証で確かめたい部分です。容器がいまどこにいくつあるかを把握できないと、RTIは在庫と同じ管理負荷を生みます。センサー搭載型が「先進的で高機能」として想定されているのは、この追跡の難しさを技術で埋めようとしているためです。
国内のパレット標準化と地続きの話
容器や積載単位をそろえる動きは国内でも進んでいます。標準仕様パレットの利用促進は補助事業として走っており、標準仕様パレット補助金の4次公募で扱いました。事務局サイトは令和8年度 荷役等の効率化に向けた「標準仕様パレット」の利用促進支援事業 公募サイトです。国内で一貫パレチゼーションを進める流れの、国際版がRTIだと捉えると位置づけが掴めます。
「先進的で高機能」の意味
公募名にある「先進的で高機能」は、容器そのものが新しい場合だけを指しません。既存のRTIに先進的で高機能なデバイスを搭載したものも対象です。温度・衝撃・位置を記録するセンサーを付けて、荷役・コスト・輸送品質・所要日数・制度上の制約といった課題の改善を図る実証が想定されています。
9月11日公募の「多元化・強靱化」とは別の事業
ここは必ず切り分けてください。国交省は9月に入って国際物流の実証輸送を2本公募しています。どちらも同じ国際物流室が所管し、時期も重なっているため取り違えが起きやすい状態です。
金額の桁が違う理由
9月11日公募の支出額は次のとおりです。
一輸送につき原則として100万円を調査協力に係る費用として支出しますが、複数コンテナの場合は2コンテナまでを上限に200万円を支出します。
100万円と30万円の差は、検証する対象の重さの差です。前者は新しい航路そのものを試す想定で、後者は既存の航路に載せる容器を替える想定になります。前者の詳細は国交省が国際物流の実証輸送を公募、1輸送100万円で扱いました。
両方に応募することは妨げられていない
公募要領上、どちらか一方しか出せないという制限は示されていません。ルートの見直しと容器の見直しは論点が別なので、自社の課題がどちらにあるかで選ぶのが筋です。国際物流の課題共有の場としてはJILS 国際物流管理士資格認定講座のような体系的な学習機会も用意されています。
3つの実施条件が示す国の関心
公募には実施条件が3つ置かれています。これがそのまま、国が見たい論点になっています。
- 先進的で高機能なRTIを使用したもの——容器自体が新しいものに限らず、既存容器にデバイスを搭載して荷役・コスト・輸送品質・所要日数・制度上の制約の改善を図る実証も含まれます。
- 輸送のリードタイムが3か月以内で完了するもの——ラウンド輸送の場合は輸出から輸入まで、手続きと越境時の税関手続きを経ても3か月以内で終わることが条件です。
- 将来的に商用ベースでの運用が見込まれるもの——今回の実証を端緒として、1〜2年後に商用運用が見込めることが求められます。
「3か月以内」が実は厳しい
条件2は一見ゆるく見えますが、往復で3か月という制約は空容器の返送を含めた回転を意味します。片道の海上輸送に加えて、荷降ろし・空容器の集約・返送・通関を積み上げると、日中韓であっても余裕は大きくありません。海上輸送の基本的な考え方はコンテナ輸送FCL vs LCL徹底比較に整理があります。
選定は総合審査
審査は、RTIの先進性、実証輸送の必要性・実現可能性、実施条件との適合性を総合的に見るとされています。先着順ではないため、応募様式の書き込み方が結果を左右します。実現可能性の欄では、輸送の当事者がすでに決まっているか、返送の段取りに目処が立っているかが問われると考えておくのが安全です。
輸入するEC事業者が読み取る3つの論点
応募するかどうかは別として、この公募からは3つの論点が取り出せます。
論点1:容器コストは「見えない固定費」になっている
海外仕入れの段ボールと緩衝材は、入荷のたびに廃棄されます。資材価格そのものが上がっている局面でもあり、ナフサ高騰で梱包資材の値上げラッシュが本格化で扱った流れは続いています。容器を資産として回す発想は、この固定費を削る一手になり得ます。資材そのものの選び方はEC梱包材の選び方と種類、封緘材は梱包テープの種類と選び方にまとめています。
論点2:検証事項がそのまま自社の評価軸になる
国が挙げた検証事項は、輸送コスト、リードタイム、輸送品質、輸送の際の手続き、越境時の税関手続きの5点です。仕入ルートや容器を比較するときの物差しとして、そのまま流用できます。とくに手続き面は日本貿易DX協会が設立し貿易書類の標準化が動き出すやサイバーポートで危険品書類のデジタル化が横浜港で開始の動きと連動します。
論点3:入荷側の作業設計に跳ね返る
容器が変われば、倉庫での受け入れ作業も変わります。段ボールのデバンニングと通い容器の荷降ろしでは、必要な人手も置き場も違います。コンテナからの荷降ろしの実務はデバンニングとは?EC事業者向け実務ガイド、海外仕入れ全体の流れはEC事業者のための海外仕入れ物流ガイド2026で扱っています。
応募しない事業者が今日からできること
実証に手を挙げる体力がなくても、着手できることがあります。
入荷1回あたりの資材コストを数える
まず現状把握です。1コンテナあたりの段ボール枚数・緩衝材量・廃棄費用を1回分でも実測すると、容器を回す方式と比較できる土俵ができます。廃棄側の考え方は不良在庫の原因と処分方法が参考です。
実測の粒度は、次の3つに分けておくと後で使えます。第一に容器そのものの費用(外装段ボール・内装トレー・緩衝材)、第二に作業に紐づく費用(開梱・仕分け・資材の解体にかかる時間)、第三に処理費用(産業廃棄物としての引き取り)です。3つのうち削れるのがどれかは事業者によって変わり、作業時間が支配的なケースでは容器を替えるより荷姿を統一するほうが効きます。
輸送モードの選択肢を並べておく
容器の前に、そもそもの運び方を見直す余地もあります。航空運賃の動向は国際輸送コストの上昇局面と越境EC出荷、国内側の船への振り替えはフェリー・RORO・内航コンテナの航路別積載率で扱いました。
荷主としての義務も並行して確認する
物流効率化法の枠組みでは、一定規模の荷主に計画や体制の整備が求められます。改正物流効率化法2026年4月全面施行と物流2026年問題とは?EC事業者への影響と対策で対象範囲を確かめておくと、容器の話と制度対応を一度に進められます。
まとめ:容器は「捨てる前提」から見直す余地がある
今回の公募は、応募期間9月18日〜10月16日、対象は日系荷主企業と日系物流事業者、1輸送あたり原則30万円という条件で、日中韓間等のRTI輸送を募るものです。9月11日に出た1輸送100万円・締切10月9日のルート開発型とは別の事業であり、混同すると応募先を間違えます。
応募しない場合でも、検証事項の5点(輸送コスト・リードタイム・輸送品質・手続き・税関手続き)は自社の比較軸として使えます。まず入荷1回分の資材コストを数えるところから始めれば、容器を回す方式が自社に合うかどうかの判断材料が手元に残ります。
入荷から出荷までの体制を委託先ごと見直す段階であれば、発送代行おすすめ25選とSTOCKCREW完全ガイドが比較の起点になります。倉庫運用の全体像はEC物流完全ガイド、用語や仕組みからたどるなら物流完全ガイド2026年版が入口です。コンテナ入荷の受け入れ可否や費用は条件で変わるため、お問い合わせで入荷形態を伝えてご相談いただくか、資料ダウンロードから先に情報を集めてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 国際間RTIの実証輸送の公募はいつまでですか?
A. 公募期間は2026年9月18日(金)から10月16日(金)までです。実証輸送そのものは2026年10月から2027年1月を目途に実施することが条件とされています。応募は所定の応募様式に記載のうえ、国土交通省の担当宛にEメールで提出します。
Q. RTIとは何ですか?
A. Returnable Transport Itemsの略で、繰り返し使用する物流容器のことです。通い容器とも呼ばれます。使い捨ての段ボールと異なり、届け先から空容器を回収して再び使うため、回収・返送にかかる費用が容器の購入費より安く収まるかどうかが採算の分かれ目になります。
Q. 9月11日に公募された実証輸送と同じものですか?
A. 別の事業です。9月11日公募は「国際物流の多元化・強靱化に向けた実証輸送」で、新たな国際物流ルートの開発が対象、1輸送あたり原則100万円、締切は10月9日でした。9月18日公募はRTIの利用が対象で、1輸送あたり原則30万円、締切は10月16日です。所管は同じ国際物流室ですが、論点も金額も締切も異なります。
Q. いくら支払われるのですか?
A. 1輸送(ラウンド輸送も含む)につき原則として30万円が調査協力に係る費用として支出される予定です。ただし応募件数が多い場合や少ない場合は支給金額の調整を行う可能性があるとされており、確約された補助金ではなく調査協力費という位置づけです。
Q. どのような輸送が対象になりますか?
A. 日中韓間等の輸送で、3つの条件をすべて満たすものです。先進的で高機能なRTIを使用すること、輸送のリードタイムが手続きと税関手続きを含めて3か月以内で完了すること、そして今回の実証を端緒として1〜2年後に商用ベースでの運用が見込まれることです。
Q. 応募しない場合、この公募から何を読み取ればよいですか?
A. 検証事項が参考になります。輸送コスト、リードタイム、輸送品質、輸送の際の手続き、越境時の税関手続きの5点です。自社の仕入ルートや梱包方式を比較するときの評価軸としてそのまま使えます。あわせて入荷1回あたりの資材費と廃棄費用を実測しておくと、容器を回す方式との比較ができます。
この記事の監修者
北川七重
株式会社KEYCREW 管理部門の責任者。IT業界でシステムエンジニアとして約10年間、客先常駐・受託開発に従事した後、KEYCREWに入社。経理・労務・採用を統括し、業務の標準化や体制整備を通じて管理部門の強化を推進している。販管費の約7%削減を実現するなど、単純作業の外部化と社内リソースの最適化により「戦略的に動く管理部」の構築を目指す。日商簿記2級および応用情報技術者の資格を保有し、経理の専門知識とITスキルを兼ね備えた視点でEC事業者の会計・税務・制度対応に関する情報を発信。「凡事徹底/積小為大」を信条に、正確さと信頼感を重視した記事を執筆している。