宅配便が減り投函型が急増|2026年6月ヤマト実績が示すEC配送シフトへの備え
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「宅配便の個数が減っているのに、荷物が減った実感はない」——その違和感の正体が、2026年7月6日にヤマト運輸が公表した6月の小口貨物取扱実績にはっきり表れています。宅配便が前年同月比で4.3%減る一方、ネコポス・クロネコゆうパケットは16.6%増。EC配送の主戦場が「段ボールの宅配便」から「ポスト投函型」へ静かに移りつつあります。本記事では、この数字が示す構造シフトを整理し、EC事業者が商品設計・梱包・配送手段の面でいま取るべき対応を具体的に解説します。配送コスト全体を体系的に見直したい方は、あわせて発送代行完全ガイドもご覧ください。
2026年6月ヤマト実績——宅配便減・投函型増の数字
まず事実関係を押さえます。ヤマト運輸が2026年7月6日に公表した6月の小口貨物取扱実績では、荷姿によって明暗がくっきり分かれました。大箱の「宅配便(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)」は減少し、ポスト投函型の「ネコポス・クロネコゆうパケット」は二桁増を記録しています。
| 荷姿区分 | 2026年6月取扱実績 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 宅配便(宅急便・コンパクト・EAZY) | 約1億5,564万個 | 4.3%減 |
| ネコポス・クロネコゆうパケット | 約4,460万個 | 16.6%増 |
| クロネコゆうメール | 約740万冊 | 10.0%減 |
単月の偶然ではなく「継続する傾向」
重要なのは、これが一過性の数字ではない点です。ヤマトの投函型は5月も前年比17.2%増で、6月の16.6%増と連続して二桁成長しています。宅配便の減少も数か月続いており、EC配送のボリュームが「大箱」から「薄物・小型」へ移る流れは、もはや一時的な波ではなく構造的なトレンドと見るべき段階に入っています。宅配便全体の規模感については、国土交通省も次のように整理しています。
近年の通信販売、特にインターネットを利用した通信販売(EC)の伸びとともに、宅配便の取扱個数は急伸しており、令和5年度は約50億個にのぼっています。
市場全体は拡大しているのに大箱の宅配便が減る——この一見矛盾した動きこそが、投函型シフトの実態です。宅配便の値上げが連鎖している足元の状況は宅配クライシスの現状と対策でも詳しく解説しています。
なぜ投函型が伸び、宅配便が減るのか
投函型シフトは、需要側と供給側の両方の圧力が同じ方向を向いた結果です。原因を切り分けて見ておきましょう。
需要側——商品が小さく・安くなっている
コスメ・サプリメント・書籍・アパレル小物など、そもそも薄くて軽い商材の購入が増えています。加えて、送料無料ラインを維持したいショップは、梱包を1サイズでも小さくして投函型に収める動機が強く働きます。薄型商材の梱包・出荷ノウハウは書籍・コミック・同人誌ECの発送代行実務ガイドにまとまっています。
供給側——大箱の宅配便が相対的に割高に
物流2024年問題以降、ドライバー確保コストの上昇を背景に、大手キャリアは宅配便運賃の改定を続けています。日本郵便のゆうパック値上げについてはゆうパックが2026年10月に約10%値上げで整理しました。対面・再配達の負荷が重い宅配便に対し、ポスト投函は再配達が発生せず非対面で完結するため、キャリア側にとっても効率が高い荷姿です。この「双方にとっての合理性」が、シフトを後押ししています。
投函型シフトがEC事業者に突きつける論点
投函型は「安くて速い」だけの魔法ではありません。メリットと落とし穴の両方を正しく理解することが、判断の出発点になります。
投函型のメリット
- 送料単価が安い——同じ商品でも宅配便より1個あたり数百円単位で送料を圧縮できます。
- 再配達が発生しない——ポスト投函のため受取のすれ違いがなく、再配達コストとクレームを減らせます。
- 非対面で完結——受け手の生活リズムを問わず届くため、購入者満足にもつながります。
見落としがちな落とし穴
- サイズ・厚み規定が厳しい——規定を超えると宅配便扱いになり、想定した送料が崩れます。
- 補償・追跡の範囲が限定的——高額品や割れ物には不向きで、商材の見極めが必要です。
- 投函型自体も値上げ・改定の対象——伸びている荷姿ゆえに、料金や規格の見直しが今後も起こり得ます。
ネコポスとクロネコゆうパケットの規格差はネコポスvsクロネコゆうパケット徹底比較で、各社の投函型サービスの横並び比較はポスト投函できる宅配サービス比較で確認できます。
投函型は「顧客体験」の設計もセットで考える
投函型を増やすうえで見落とされがちなのが、購入者側の受け取り体験です。ポスト投函は在宅の必要がなく便利な一方、対面の手渡しがないぶん「本当に届いたのか」という不安を招きやすい荷姿でもあります。ここを放置すると、投函型でコストを下げたつもりが、問い合わせ対応や再送の増加という別のコストに化けてしまいます。具体的には、注文完了メールや発送通知で「ポスト投函でのお届けになること」「追跡番号で配達状況を確認できること」をあらかじめ伝えておくと、購入者の期待値がそろい、着荷後のトラブルが目に見えて減ります。さらに、割れ物や高額品など投函型に向かない商材については、商品ページの段階で配送方法を明示しておくと、購入者との認識のズレを未然に防げます。投函型シフトは単なる送料の話ではなく、コスト・品質・顧客体験の三つを同時に設計する取り組みだと捉えることが、失敗しない切り替えの前提になります。
投函型を活かす商品・梱包・出荷の設計
投函型シフトへの対応は、キャリアを乗り換えることではなく「投函型に載る出荷を増やす」設計の問題です。宅配便と投函型を、商品特性で意識的に振り分けます。
投函型を増やすための3つの実務
- 出荷データを荷姿別に棚卸しする——直近3か月の出荷を「投函型で送れたはず/宅配便が必要」に仕分け、投函化できる余地を件数で把握します。
- 定番商品に専用の薄型梱包を用意する——出荷頻度の高いSKUから、厚み規定に収まる専用資材を設計すると、投函化率が安定して上がります。
- 商品ページの発送表記を整える——ポスト投函である旨と、追跡・補償の範囲を明記し、購入者の期待値を事前にそろえておきます。
薄物中心のショップは、日本郵便ゆうパケットの翌日配達エリア拡大なども追い風になります。詳しくは日本郵便ゆうパケット、東名阪エリアで翌日配達に短縮を参照してください。配送手段を複数もつ発想はEC事業者のマルチキャリア戦略にまとめています。
投函型サービスの規格を正しく押さえる
投函化を進めるうえで最初につまずきやすいのが、サービスごとに異なるサイズ・厚み・重量の規定です。規定を1ミリでも超えると宅配便扱いとなり、想定していた送料が崩れてしまいます。たとえばヤマト運輸のネコポス(法人向けサービス案内)とクロネコゆうパケットでは、対応する厚みや重量、補償の考え方が異なります。主力SKUがどのサービスの規格に収まるかを事前に確認し、梱包資材をその規格から逆算して設計することが、投函化率を安定させる近道です。
また、投函型は「送れる」だけでなく「届いたことをどう確認するか」も設計に含める必要があります。追跡番号での配達完了確認を前提に、購入者からの「届かない」という問い合わせに備えた案内文をあらかじめ用意しておくと、非対面配送特有のトラブルを減らせます。国内の宅配便が年間約50億個という規模で動くなかで、投函型はその一角を担う荷姿へと存在感を増しており、規格理解と運用設計は今後ますます重要になります。
発送代行で投函型シフトに対応するという選択肢
投函化率を上げるには、荷姿判定・専用梱包・複数キャリアの使い分けを、出荷のたびに正確に回す必要があります。これを自社で毎日こなすのは負担が大きく、判定ミスは想定外の送料や再送を招きます。ここで有効なのが発送代行の活用です。
発送代行事業者は複数荷主の物量を束ねてキャリアと契約するため、投函型・宅配便の双方で個社より有利な単価を引き出せます。たとえばSTOCKCREWは出荷をヤマト運輸・佐川急便で行う体制で(常温商品が対象)、ネコポスなどの投函型から宅配便まで、商品特性に応じた荷姿判定と梱包を標準化できます。仕組みと費用は発送代行完全ガイド、サービス全体像はSTOCKCREW完全ガイドで解説しています。
発送代行に任せる効果は送料単価だけにとどまりません。第一に、荷姿判定と薄型梱包が仕組み化され、投函化できる出荷を取りこぼしません。第二に、出荷作業の人件費が変動費化され、繁忙期のスポット人員確保に追われなくなります。第三に、検品・梱包の標準化で誤出荷や再送が減り、送料以外の隠れコストまで抑えられます。EC物流全体の設計はEC物流完全ガイドが参考になります。
投函型シフトは、見方を変えれば「送料を下げながら顧客満足も上げられる」数少ない打ち手です。ただし、その恩恵を受けられるのは、荷姿を正しく判定し、規格に収まる梱包を安定して用意できる体制がある事業者に限られます。出荷のたびに担当者の判断に委ねていては、投函できるはずの荷物を宅配便で出してしまい、シフトの利益を取りこぼします。まずは自社の出荷データを渡して、投函化できる比率と削減見込み額を試算してもらうところから始めると、投資対効果を数字で判断できます。
投函型を軸にした配送は、宅配便より1個あたりの単価を大きく下げられます。サイズ・荷姿別の具体的な料金はSTOCKCREWの料金ページで確認でき、自社の出荷構成に当てはめれば削減余地を試算できます。
まとめ:シフトを「コスト削減の追い風」に変える
2026年6月のヤマト実績は、宅配便が4.3%減る一方で投函型が16.6%増と、EC配送が「大箱」から「ポスト投函型」へ移る構造シフトを数字で示しました。この流れは、需要側の小型・低単価化と供給側の宅配便コスト上昇が重なった結果であり、単月の偶然ではありません。EC事業者にとって投函型は送料単価と再配達を同時に減らせる好機ですが、サイズ規定や補償範囲という制約もあります。出荷データの荷姿別棚卸し、定番商品の薄型梱包、そして荷姿を正しく振り分ける体制づくりが、シフトを追い風に変える鍵です。逆に、この流れを無視して大箱の宅配便に頼り続ければ、値上げの影響をまともに受け、競合との送料差がじわじわと利益を削ります。投函型シフトは、待っていれば勝手に恩恵が降ってくるものではなく、自社の商品構成と出荷オペレーションを能動的に設計し直した事業者だけが、送料削減と顧客満足の両取りを実現できます。まずは小さくても、投函化できるSKUを一つずつ増やすところから着手するのが現実的です。
配送設計を体系的に見直したい方は発送代行完全ガイドを、STOCKCREWのサービス全体像はSTOCKCREW完全ガイドをご覧ください。自社の出荷データをもとにした削減余地を知りたい場合はお問い合わせから、費用感を先に把握したい場合は資料ダウンロードからご確認いただけます。
よくある質問(FAQ)
Q. 投函型シフトとは何ですか?
段ボールの宅配便からポスト投函型(ネコポス・クロネコゆうパケット等)へ、EC配送のボリュームが移る流れを指します。ヤマト運輸の2026年6月実績では宅配便が前年比4.3%減、投函型が16.6%増となり、この傾向は数か月続いています。
Q. なぜ宅配便が減って投函型が増えているのですか?
需要側で商品が小型・低単価化し、送料を抑えたいショップが梱包を小さくしていること、供給側で物流2024年問題以降に宅配便運賃が上がり、再配達のない投函型がキャリア・受け手の双方に合理的なことが重なっているためです。
Q. 投函型に切り替えるとどんなメリットがありますか?
1個あたりの送料を数百円単位で圧縮でき、ポスト投函のため再配達が発生せず、非対面で届く点が主なメリットです。再配達コストやすれ違いによるクレームの削減にもつながります。
Q. 投函型の注意点は何ですか?
サイズ・厚みの規定が厳しく、超過すると宅配便扱いで送料が崩れること、補償や追跡の範囲が限定的で高額品・割れ物には不向きなことです。伸びている荷姿ゆえに、今後の料金・規格改定にも注意が必要です。
Q. EC事業者はまず何から始めればよいですか?
直近3か月の出荷を「投函型で送れたはず/宅配便が必要」に仕分け、投函化できる余地を件数で把握することが第一歩です。そのうえで定番商品の薄型梱包を整え、荷姿を正しく振り分ける体制を作ります。発送代行を使えば、この判定と梱包を標準化できます。
この記事の監修者
重光翔太
株式会社KEYCREW 営業管掌取締役。ヤマト運輸にて本社営業部長を歴任し、物流業界で16年以上のキャリアを積む。法人営業・コスト最適化・業者比較選定を専門とし、累計1,500社以上のEC事業者への物流支援を手がけてきた。数百万件/日規模の出荷オペレーション管理や、6,000社が利用するフルフィルメントサービスの構築、温度帯コールドチェーンの大規模荷主向け事業設計など、業界でもトップクラスの実績を持つ。STOCKCREWでは営業戦略全体を統括し、「数字で語り、ROIで証明する」をモットーに、EC事業者の物流コスト最適化を推進している。