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通関とは?越境ECで必須の手続きの流れと必要書類|関税・消費税の基礎と通関業者の役割を解説

  • EC・物流インサイト
2026年6月8日 公開

この記事は約12分で読めます

通関とは?越境ECで必須の手続きの流れと必要書類 アイキャッチ画像

「海外から商品を仕入れたいが、通関がよくわからず手を出せない」——越境ECや海外仕入れを考えるEC事業者が最初につまずくのが、この通関です。通関は、国境を越えて荷物を動かすときに必ず通る関所のような手続きで、ここを理解していないと、思わぬ関税や書類不備で荷物が止まってしまいます。本記事では、通関とは何かという基本から、輸入通関の流れ・必要書類・かかる税金・通関業者の役割、そして越境ECならではの注意点までを、はじめての方にもわかるように整理します。仕入れた商品の国内発送まで含めた体制づくりを考えている方は、あわせて発送代行の全体像も押さえておくと、輸入から販売までの流れがつかめます。

この記事の内容

  1. 通関とは?基本の意味と役割
  2. 輸入通関の流れと必要書類
  3. 通関でかかる税金(関税・消費税)の基礎
  4. 通関は誰が行う?通関業者・通関士と越境ECの注意点
  5. まとめ:通関を理解して越境ECの一歩を踏み出す
  6. よくある質問(FAQ)

通関とは?基本の意味と役割

STOCKCREWの大型EC物流倉庫外観(航空写真)
STOCKCREWの大型EC物流倉庫外観(航空写真)

通関とは、貨物を輸出入する際に、税関に申告を行い、所定の検査や関税の納付を経て許可を受ける一連の手続きのことです。荷物が国境を越えるときには、その内容や価格を国に申告し、法律に違反する物でないか、いくら税金がかかるかを確認します。この関所を通る手続き全体が通関です。

輸出通関と輸入通関の違い

通関には、商品を国外へ送り出す「輸出通関」と、海外から国内へ受け入れる「輸入通関」の2種類があります。越境ECで日本から海外へ販売する場合は輸出通関、海外から商品を仕入れる場合は輸入通関が関係します。どちらも「申告→審査→許可」という基本の流れは共通で、許可を受けて初めて貨物を動かせる点も同じです。EC事業者が日々向き合うことが多いのは、海外仕入れにともなう輸入通関です。

なぜ通関が必要なのか

通関が存在する理由は大きく2つあります。第一に関税や輸入消費税を正しく徴収するため、第二に輸入してはいけない物や規制のある物を水際でチェックするためです。たとえば食品や化粧品、医薬品などは関連法令の確認が欠かせず、申告内容と実物が一致しているかも審査されます。通関は単なる事務ではなく、国の安全と公平な競争を守る仕組みでもあるのです。

越境ECに取り組むうえで、通関の理解はいわば前提条件です。海外から商品を仕入れて売る、あるいは日本の商品を海外へ届けるとき、通関を避けて通ることはできません。日本貿易振興機構(ジェトロ)も、輸入時に必要な手続きや規制を体系的に案内しています。

日本へ商品を輸入する場合、関税・消費税の納付に加え、食品衛生法や薬機法など個別の法令に基づく規制・手続きが必要となる場合があります。

出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)「日本への輸入品に関する規制・手続き」

越境ECの市場全体の広がりは越境EC市場の規模と需要構造でも整理しています。市場が拡大するほど、通関を含む国際物流を正しく回せるかどうかが、事業の成否を分ける要素になっていきます。

輸入通関の流れと必要書類

リニソートソーターのトレイが並ぶ自動仕分けライン(俯瞰)
リニソートソーターのトレイが並ぶ自動仕分けライン(俯瞰)

ここでは、EC事業者が関わることの多い輸入通関を例に、実際の流れを見ていきます。大きく分けると搬入・申告・審査・納付・許可の5ステップです。

輸入通関の基本5ステップ ①搬入 貨物が到着し 保税地域へ搬入 輸入の準備を 整える ②申告 税関へ輸入 (納税)申告 インボイス等 書類を提出 ③審査 税関が書類 審査・検査 関税分類を 確認 ④納付 関税・輸入 消費税を納付 税額は課税 価格で決まる ⑤許可 輸入許可が 下りて引取 国内流通が 可能になる ※ 輸出通関も「申告→審査→許可」の流れは同様。許可を受けて初めて貨物を国外へ送り出せる(出典:税関)

輸入通関の5ステップ

輸入通関は次の順に進みます。第一に搬入——到着した貨物を保税地域に搬入します。第二に輸入(納税)申告——税関に対し、品名・数量・価格・関税分類などを申告します。第三に審査・検査——税関が書類を確認し、必要に応じて現物検査を行います。第四に納付——関税と輸入消費税を納めます。第五に輸入許可——許可が下りて初めて貨物を引き取り、国内で販売できるようになります。実際の細かな手続きや書類の書き方は、輸入通関手続きの流れと必要書類でさらに詳しく解説しています。税関の公式な手続き案内は税関「輸入通関手続の概要」でも確認できます。

申告から許可までの所要時間は、書類が整っていればごく短時間で済むこともありますが、検査の対象になったり書類に不備があったりすると数日単位で遅れることもあります。納期に余裕を持ったスケジュールを組み、繁忙期や規制の多い商材ほど早めに準備を進めることが、安定した仕入れのコツです。とくに初回の輸入や新しい商材では、想定外の確認を求められる場面も少なくありません。

通関に必要な主な書類

申告の際には、貨物の内容や価格を証明する書類が必要です。代表的なものを整理します。

書類役割
インボイス(仕入書)品名・数量・価格・取引条件を示す最も基本的な書類
パッキングリスト(包装明細書)梱包ごとの内容・重量・容積を示す
B/L(船荷証券)/AWB(航空運送状)貨物の運送契約と引き渡しを証明する
原産地証明書EPA・FTAの特恵税率を使う場合などに原産国を証明する
各種許可・承認書食品・化粧品など、関連法令で必要な場合に提出する

これらの書類の多くは、現在ではNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を通じて電子的にやり取りされ、申告から許可までがオンラインで完結する仕組みが整っています。とはいえ、書類の中身そのものを正確に用意する責任は荷主側にあります。書類の記載内容に誤りや不足があると、審査が止まり貨物の引き取りが遅れます。とくにインボイスの価格や品名の正確さは、関税額にも直結する肝心なポイントです。商品の分類に使う番号についてはHSコードの調べ方を理解しておくと、申告がスムーズになります。

通関でかかる税金(関税・消費税)の基礎

コンベアラインが複数交差する出荷フロア全景(広角)
コンベアラインが複数交差する出荷フロア全景(広角)

輸入通関でかかる税金は、大きく関税と輸入消費税(消費税+地方消費税)の2つです。どちらも「課税価格」をもとに計算され、商品の種類や金額によって扱いが変わります。

関税・輸入消費税の仕組み

関税は商品の種類ごとに税率が定められており、その分類にHSコードが使われます。輸入消費税は、課税価格に関税を加えた額に対してかかります。つまり「商品価格+関税」に消費税がかかるため、関税率の高い商材ほど最終的な税負担も大きくなります。少額の貨物については、手続きを簡素にするための簡易税率が用意されている場合もあります。金額の具体的な計算手順は関税の仕組みと計算方法で詳しく扱っているため、本記事では制度の全体像を押さえます。

ここで押さえておきたいのが「課税価格」という考え方です。課税価格は、商品そのものの価格に加えて、輸入にかかった運賃や保険料を含めたCIF価格が基準になります。商品代金だけで考えていると、実際の税額が想定より大きくなって利益を圧迫することがあります。仕入れ原価を見積もるときは、関税・消費税・国際送料までを合算した「総コスト」で考える習慣をつけておきましょう。

課税価格の合計額が1万円以下の物品については、その関税及び消費税が免除されます。ただし、革製のバッグ、ニット製衣類など一部の物品は対象外となります。

出典:税関「課税価格の合計額が1万円以下の物品の免税適用について」

少額輸入の免税と「個人輸入」「商用輸入」の違い

注意したいのが、免税のルールが個人輸入と商用輸入で大きく異なる点です。個人が自分で使う目的で輸入する場合、課税価格は海外小売価格の60%で計算され、課税価格が1万円以下(=商品価格でおおむね16,666円以下)なら原則免税になります。一方、販売目的の商用輸入では、この60%の特例は使えず、原則として実際の取引価格(CIF価格)をもとに課税されます。

区分課税価格の考え方少額免税
個人輸入(自己使用)海外小売価格 × 60%課税価格1万円以下は原則免税
商用輸入(販売目的)実際の取引価格(CIF価格)60%特例は使えない

EC事業者が販売用に仕入れる場合は商用輸入にあたるため、「個人輸入なら免税だから」という感覚で考えると誤ります。なお、課税価格を小売価格の60%とする個人輸入の特例については、海外通販の急増を背景に見直し(廃止を含む)の議論が進んでおり、今後の制度変更に注意しておきましょう。少額輸入をめぐる制度変更の動きはデミニミス改正と越境ECでも取り上げています。米国をはじめ各国でも少額輸入品への課税強化が進んでおり、「少額だから免税」という前提は世界的に崩れつつあるのが現状です。仕入れ計画を立てるときは、最新の制度を前提に税負担を見積もることが欠かせません。

通関は誰が行う?通関業者・通関士と越境ECの注意点

通関の手続きは専門性が高いため、多くの場合は専門家に依頼します。ここでは通関の担い手と、越境ECならではの注意点を整理します。

通関業者・通関士の役割

通関手続きを荷主に代わって行うのが通関業者で、その中で国家資格を持つ専門家が通関士です。通関士は申告書類の審査・記名を担い、申告の正確性を担保します。フォワーダー(国際物流の手配業者)が通関業務をあわせて請け負うことも一般的です。自社に専門知識がなくても、こうした専門家を使うことで、複雑な分類や法令確認を任せられます。通関士は申告ごとに書類を精査するため、関税分類の誤りや申告漏れといったリスクを抑える役割も担います。国際物流の手配全体を理解したい場合は、物流の完全ガイドや、国際物流の知識を体系的に学べる国際物流管理士の解説も参考になります。自社で抱える業務と専門家に任せる業務を切り分けることが、無理のない越境ECの第一歩です。

越境EC・小口輸入での実務的な注意点

越境ECや小口の海外仕入れでは、次の点に気をつけましょう。第一にHSコードの分類ミス——分類を誤ると関税額が変わり、後から追徴されることがあります。第二にインボイスの過少申告——価格を実際より低く書くことは認められず、ペナルティの対象になります。第三に規制品目の見落とし——食品・化粧品・電気用品などは別途の許認可が必要な場合があります。こうした手続きの負担を避けたい場合は、通関から国際配送までを一括で任せられる海外発送代行や、越境EC向けの発送代行業者の活用も選択肢になります。

とくに小規模な事業者や個人事業主の場合、専任の貿易担当者を置く余裕がないことがほとんどです。そうしたケースでは、越境ECの個人事業主向けガイドのように、限られたリソースで無理なく回せる体制づくりの考え方が役立ちます。通関の専門家と物流のパートナーをうまく組み合わせることで、本業である商品の企画や販売に集中できる環境を整えられます。越境の入口から出口までを設計したい場合は、越境EC×発送代行の始め方もあわせて確認しておくとよいでしょう。

まとめ:通関を理解して越境ECの一歩を踏み出す

通関とは、貨物を輸出入する際に税関へ申告し、審査と納税を経て許可を受ける手続きのことです。輸入通関は搬入→申告→審査→納付→許可の流れで進み、インボイスをはじめとする書類の正確さが鍵になります。税金は関税と輸入消費税が中心で、個人輸入と商用輸入で免税の扱いが異なる点には特に注意が必要です。専門性の高い手続きは通関業者・通関士に任せられ、通関から国内発送までをまとめて委託する方法もあります。通関は一見ハードルが高く感じられますが、流れと税金の基本さえ押さえれば、あとは適切なパートナーと組むことで十分に乗り越えられます。むしろ通関で足踏みして海外仕入れや越境販売のチャンスを逃すほうが、事業にとっては大きな機会損失になりかねません。まずは小さなロットから実際に通関を経験し、自社に合った進め方を見つけていくのが現実的です。仕入れた商品の保管・国内発送まで含めた体制づくりは発送代行の完全ガイドで、サービスの詳細はSTOCKCREWのサービス解説で確認できます。具体的な相談はお問い合わせから、検討材料は資料ダウンロードから進めてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 通関とは簡単に言うと何ですか?

貨物を輸出入する際に、税関へ内容や価格を申告し、審査・関税の納付を経て許可を受ける一連の手続きのことです。国境を越えて荷物を動かすときに必ず通る関所のような役割を果たします。

Q. 個人輸入なら関税はかからないと聞きましたが本当ですか?

個人が自己使用の目的で輸入する場合、課税価格は海外小売価格の60%で計算され、課税価格が1万円以下(商品価格でおおむね16,666円以下)なら原則として関税・消費税が免除されます。ただし革製品や一部の衣類などは対象外で、販売目的の商用輸入ではこの特例は使えません。

Q. 通関に必要な書類は何ですか?

基本となるのはインボイス(仕入書)とパッキングリスト、B/LまたはAWBです。EPAの特恵税率を使う場合は原産地証明書、食品や化粧品など規制のある商品では関連法令の許可・承認書が必要になります。

Q. 通関は自分でできますか?通関業者に頼むべきですか?

制度上は自分で申告することも可能ですが、関税分類や法令確認は専門性が高いため、通関業者や通関士に依頼するのが一般的です。フォワーダーが通関をあわせて請け負うこともあり、国際物流と通関をまとめて任せられます。

Q. 越境ECで通関がスムーズに進まない原因は何ですか?

多いのはHSコードの分類ミス、インボイスの価格・品名の記載不備、規制品目の見落としです。これらは審査の遅れや追徴、ペナルティにつながります。書類の正確さを確保し、不安があれば専門家や発送代行を活用するのが安全です。

この記事の監修者

北川七重

北川七重

株式会社KEYCREW 管理部門の責任者。IT業界でシステムエンジニアとして約10年間、客先常駐・受託開発に従事した後、KEYCREWに入社。経理・労務・採用を統括し、業務の標準化や体制整備を通じて管理部門の強化を推進している。販管費の約7%削減を実現するなど、単純作業の外部化と社内リソースの最適化により「戦略的に動く管理部」の構築を目指す。日商簿記2級および応用情報技術者の資格を保有し、経理の専門知識とITスキルを兼ね備えた視点でEC事業者の会計・税務・制度対応に関する情報を発信。「凡事徹底/積小為大」を信条に、正確さと信頼感を重視した記事を執筆している。

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