EU向け国際宅急便がPID必須に|11月1日から変わるインボイス記載と出荷前の準備【2026年】
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EUに商品を送る事業者にとって、海外発送の書類のルールが、また一つ変わります。ヤマト運輸の国際宅急便は2026年10月14日、EU加盟国向けの荷物について、インボイスの記載事項を変更すると案内しました。10月21日からインボイスに「出荷種別」を書くようになり、11月1日からは、法人が出荷するEU向けのBtoC貨物で、税関への「PID(製品識別コード)」の提出が求められます。本記事では、ヤマト運輸の案内に書かれている範囲で、変更の中身、PIDの3種類、インボイスの書き方で注意する点、11月1日までに整えておく商品情報を順に整理します。EUの関税の動きはShopifyで欧州に直販する日本の事業者の発送ガイド、発送代行の全体像は発送代行おすすめ25選で扱っているため、ここでは今回の記載変更に絞ります。
何が変わるのか:10月21日と11月1日の2つの日付
変更の発端は、EU側の通関のルールです。ヤマト運輸は、お知らせの中で次のように案内しています。
2026年11月1日(日)から、法人から出荷されるEUの一般消費者向け輸入貨物(BtoC輸入貨物)において、税関当局への製品識別コード(PID)の提出が求められることとなりました。
出典:ヤマト運輸「欧州連合(EU)加盟国向け「国際宅急便」ご利用時の記載事項変更について」(2026年10月14日)
この要件に合わせて、ヤマト運輸はEU向け国際宅急便のインボイス記載ルールを、2026年10月21日(水)から変更しています。つまり、PIDの提出が始まる11月1日よりも10日早く、書類の書き方が先に変わっている点が、見落としやすいところです。
3つの日付を時系列で整理する
| 日付 | できごと | 事業者に関係すること |
|---|---|---|
| 2026年10月14日 | ヤマト運輸が記載事項の変更を案内 | 変更の内容と、必要な情報を確認できる |
| 2026年10月21日(水) | EU向け国際宅急便のインボイス記載ルールが変更 | 出荷種別と、BtoCの場合のPIDを書く |
| 2026年11月1日(日) | EUのBtoC輸入貨物で、税関へのPID提出が必要に | BtoC貨物はPIDがないと手続きに進めない前提で準備する |
表の右端の「PIDがないと手続きに進めない前提で準備する」は、案内に書かれた罰則や取扱いではなく、PIDの記載が必須とされていることからの実務上の備え方です。PIDを提供しなかった場合の個別の取扱いは、案内に記載がないため、ご利用の運送会社へ問い合わせる必要があります。
10月21日はすでに過ぎています。今この時点で、EU向けに国際宅急便を使う事業者は、新しい記載ルールでインボイスを用意する段階にあります。
対象は「法人が出荷するEU向けのBtoC貨物」
ヤマト運輸の案内を読むうえで、最初に確かめたいのは「自社の荷物が対象かどうか」です。案内では、対象を次のように示しています。
対象になる荷物の条件
- EU加盟国向けの国際宅急便であること
- 有償の貨物であること
- 依頼主が法人で、届け先が個人(一般消費者)であること
たとえば、日本の事業者がShopifyやEtsyなどの自社ショップでEUのお客さまに商品を販売し、国際宅急便で届けるケースは、この条件に当てはまります。Etsyで海外に販売する日本の事業者の発送ガイドのような個人のお客さま向けの越境ECは、対象になりやすい形です。
出荷種別は4つに分かれる
新しいインボイスでは、出荷種別をBtoB、BtoC、CtoB、CtoCの4つのいずれかで記載します。そのうえで、PIDの記載が必須になるのは、出荷種別が「BtoC」の場合のみと案内されています。
| 出荷種別 | 送り主 → 届け先 | PIDの記載 |
|---|---|---|
| BtoC | 法人 → 個人 | 必須 |
| BtoB | 法人 → 法人 | 案内では必須とされていない |
| CtoB | 個人 → 法人 | 案内では必須とされていない |
| CtoC | 個人 → 個人 | 案内では必須とされていない |
送り主と届け先の組み合わせを表にしたのは、本記事での整理です。案内の文言は「出荷種別がBtoCの場合のみ、記載が必須となります」であり、BtoB・CtoB・CtoCの扱いの詳細は書かれていません。自社の出荷がどの種別に当たるか迷う場合は、ヤマト運輸の案内か、担当者に確認してください。
EU側の動きは、通関の厳格化が続いています。2026年7月からは、価値が150ユーロ以下の貨物に1品目あたり€3の暫定的な定額関税も始まりました。欧州委員会の説明は、次のとおりです。
The duty applies per item in a consignment, based on tariff classification (not quantity).
日本語にすると、「関税は、貨物に含まれる品目ごとに、関税分類に基づいて課され、数量では数えない」という意味です。€3の数え方はEU少額小包への定額関税、2026年7月から導入、少額貨物の免税の撤廃はEUデミニミス7月1日撤廃が目前、プラットフォーム側の責任の強化はEUが越境ECの「事業者責任」を強化で整理しています。関税とPIDは別の話ですが、EU向けの出荷は、商品ごとの情報をそろえて出すことが前提になりつつあります。
PIDは3種類:必須は2つ、規格コードは「ある場合のみ」
PIDは、商品を識別するコードの総称です。ヤマト運輸の案内では、PIDを3種類に分けています。このうち2種類は必須で、1種類は「存在する場合のみ」です。
| PIDの種類 | 中身(案内の説明) | 記載の扱い |
|---|---|---|
| Merchant PID | 販売者が管理するSKUなどの製品コード | 必須 |
| Non-Standardised Manufacturer PID | 製造者の型番などの製品コード | 必須 |
| Standardised Manufacturer PID | GTIN、EAN、ISBN、バーコードなどの規格コード | 存在する場合のみ |
Merchant PIDは、自社の商品コード(SKU)で用意できる
Merchant PIDは、販売者が自社で管理しているSKUなどのコードです。ECの運営では、商品ごとに管理コードを付けているのが一般的で、SKUの考え方はSKUとは?EC在庫管理での意味・設定・活用法で整理しています。SKUが商品ごとに正しく振られているショップは、Merchant PIDの準備が早いと言えます。逆に、同じ商品に複数のコードが混在していたり、色やサイズの違いが同じコードになっていたりすると、書類に書く段階で迷いが生じます。
製造者の型番は、仕入先の情報から集める
Non-Standardised Manufacturer PIDは、製造者側の型番などのコードです。自社で製造している商品なら自社の型番、仕入れて販売している商品なら、メーカーが付けている型番が該当します。仕入先やメーカーの資料に載っている型番を、商品マスタに写しておくのが、実務では確実です。
GTINなどの規格コードは、あるものだけでよい
Standardised Manufacturer PIDは、GTIN、EAN、ISBN、バーコードなど、世界で共通に使われるコードです。案内では「存在する場合のみ」とされています。日本でいえば、商品パッケージのバーコード(JANコード)が手がかりになる商品もありますが、どのコードがGTINやEANに当たるかの判断は、ヤマト運輸の案内か担当者への問い合わせで固めておくと安心です。バーコードのない商品に、無理に番号を作る必要はないと読み取れます。
HSコードとは別のコードとして管理する
越境ECの実務では、すでにHSコードの登録が必要です。HSコードは、商品を国際的な共通番号で分類したもので、日本の税関の実行関税率表(輸入統計品目表)などで調べます。調べ方はHSコードの調べ方ガイド2026年版、関税の計算は関税の仕組みと計算方法【2026年版】にまとめています。
PIDは、案内の説明では「製品コード」です。分類を示すHSコードとは別に、1つ1つの商品を識別するコードが追加で必要になると整理すると、書類の準備がしやすくなります。輸出入の手続き全般は、JETROの商品ごとの輸出入手続きでも調べられます。
インボイスの書き方で押さえる4つの点
ヤマト運輸の案内には、10月21日からのインボイスの記載ルールとして、いくつかの具体的な指定があります。ここでは、事業者が実務で迷いやすい4つの点を整理します。
出荷種別とPIDを、インボイスに書く
- 出荷種別を記載する——BtoB、BtoC、CtoB、CtoCのいずれかを、インボイスに書きます。
- BtoCの場合は、PIDを記載する——Merchant PIDとNon-Standardised Manufacturer PIDは必須、規格コードは存在する場合のみです。
- 品名は105文字以内にする——品名を長く書きすぎないよう案内されています。
- 意図しないスペースを入れない——コピーしたデータに半角や全角のスペースが紛れ込まないよう注意します。
ワールドポータルで作る場合は、品名欄に続けて入力する
ヤマト運輸のオンラインサービス「ワールドポータル」で送り状とインボイスを作成する場合は、品名欄に続けて、PIDに関する情報を所定の形式で入力すると案内されています。入力の形式の細かい書き方は、ヤマト運輸のお知らせに例が載っています。本記事では、入力の形式そのものは引用しないため、実際に入力する前に、お知らせの原文を開いて見比べましょう。
PIDも品名欄に続けて入力するため、品名そのものを短く整えておくと、入力の見通しが立てやすくなります。商品名にキャッチコピーや型番を重ねて長くしている商品は、事前に見直しておく価値があります。
インボイスを自社で用意する場合も、同じ情報が必要
送り状だけをヤマト運輸のシステムで作成し、インボイスは依頼主側で用意する場合も、インボイス上に必要な情報を記載することが求められます。自社でインボイスを作っている事業者は、テンプレートの項目に「出荷種別」と「PID」の欄を足す必要があります。インボイスの基本の書き方は、プロフォーマインボイス(PI)とは?で整理しています。
11月1日までに、EU向けの事業者が整えること
PIDの準備は、新しい書類を作る作業というより、商品情報を1か所に整理し直す作業です。EU向けに出荷している、またはこれから出荷する事業者は、次の順で進めると抜けが出ません。
出荷前の6つのチェック
- EU向けの出荷を、BtoCかどうかで仕分ける——自社ショップで個人のお客さまに売るなら、BtoCです。
- 商品ごとにSKUを整理する——同じ商品に複数のコードがないか、色・サイズの違いがコードで区別できているかを見ます。
- 製造者の型番を集める——仕入先の資料を確認し、商品マスタに登録します。
- GTINやEANなどの規格コードを把握する——あるものだけを整理します。
- インボイスの作り方を決める——ワールドポータルで作るのか、自社で用意するのかを決めます。
- 利用中の発送代行・システムの対応を確認する——出荷種別とPIDをどこで入力するのかを、事前に確かめます。
STOCKCREWで海外受注を出荷する場合の前提
STOCKCREWの国際配送は、ヤマト運輸の国際宅急便を利用しています。そのため、発送の可否や荷物の取扱条件は、ヤマト運輸の規定に準じます。ヘルプでは、海外向けの受注登録について、次の2点が前提とされています。
- 受注商品の単価の入力は必須です。
- HSコードの設定が必要で、事前に商品情報へ登録します。
一方、本記事の執筆時点で、STOCKCREWのヘルプには、PIDや出荷種別を入力する項目についての記載は見当たりません。STOCKCREWをご利用中の事業者は、EU向けの出荷でPIDと出荷種別をどのように扱うかを、担当者に確認してください。海外発送代行の選び方は海外発送代行サービスの選び方と越境EC業者比較、越境ECの発送代行の始め方は越境EC×発送代行の始め方と業者選定の実務ガイドで扱っています。
EU以外の国への出荷は、この案内の対象外
今回のお知らせの対象は、EU加盟国向けです。アジアや米国など、EU以外の国・地域の扱いは、この案内には書かれていません。販路ごとの出荷の考え方は、Shopifyで米国に直販する日本の事業者の発送ガイド、Shopifyで台湾に直販する日本の事業者の発送ガイド、BASEで海外に売る事業者の出荷ガイド、eBayで海外に販売する日本の事業者の出荷ガイドで整理しています。関税の負担をどう設計するかは越境ECの関税負担をどう設計するか、EMSとの違いは海外への個人輸出で使う国際発送サービスを比較で整理しています。
まとめ:商品ごとのコードを、出荷前に1か所へそろえる
ヤマト運輸の案内で押さえておきたいのは、10月21日からEU向けのインボイスに出荷種別を書くこと、11月1日から、法人が出荷するEU向けのBtoC貨物でPIDの提出が求められること、そしてPIDは3種類あり、Merchant PIDと製造者の型番が必須で、GTINなどの規格コードは存在する場合のみという3点です。品名は105文字以内で、意図しないスペースを入れないよう案内されています。
準備の中心は、商品ごとのSKU、製造者の型番、あれば規格コードを、商品マスタに1か所でそろえておくことです。そのうえで、自社のBtoC出荷を仕分け、インボイスの作り方を決め、利用中の発送代行やシステムの対応を確認します。細かい入力の形式は、案内の原文で確認してください。
発送代行の仕組みや業者の比べ方は発送代行おすすめ25選、越境ECの出荷の全体像は越境EC出荷ガイド総まとめ、越境ECの市場の動きは越境EC市場規模と商材別需要構造【2026年版】、物流全体の設計はEC物流完全ガイド、サービス内容はSTOCKCREW完全ガイドにまとめています。EU向けの出荷件数や商品点数で費用を確かめたい場合はお問い合わせから、まずは情報を集めたい段階であれば資料ダウンロードをご利用ください。
よくある質問(FAQ)
Q. EU向け国際宅急便のインボイスの書き方は、いつから変わりましたか?
A. ヤマト運輸の案内では、EU向け国際宅急便のインボイス記載ルールは2026年10月21日(水)から変更されています。出荷種別(BtoB、BtoC、CtoB、CtoC)を記載し、BtoCの場合はPIDも記載します。
Q. PIDの提出は、いつから必要ですか?
A. 2026年11月1日(日)から、法人から出荷されるEUの一般消費者向け輸入貨物(BtoC輸入貨物)で、税関当局へのPID(製品識別コード)の提出が求められます。
Q. PIDとは何ですか?
A. 商品を識別する製品コードの総称で、ヤマト運輸の案内では3種類あります。販売者が管理するSKUなどのMerchant PID、製造者の型番などのNon-Standardised Manufacturer PIDはどちらも必須です。GTINやEANなどのStandardised Manufacturer PIDは、存在する場合のみ記載します。
Q. PIDはHSコードと同じものですか?
A. 別のものです。HSコードは商品を国際的な共通番号で分類するコードで、PIDは1つ1つの商品を識別する製品コードです。越境ECでは、HSコードに加えて、EU向けのBtoC貨物でPIDも用意する必要があります。
Q. EU以外の国に送る場合も、PIDは必要ですか?
A. 今回のヤマト運輸の案内は、EU加盟国向けの国際宅急便が対象です。EU以外の国や地域の扱いは、この案内には書かれていないため、ヤマト運輸の公式ページや担当者で確認してください。
この記事の監修者
重光翔太
株式会社KEYCREW 営業管掌取締役。ヤマト運輸にて本社営業部長を歴任し、物流業界で16年以上のキャリアを積む。法人営業・コスト最適化・業者比較選定を専門とし、累計1,500社以上のEC事業者への物流支援を手がけてきた。数百万件/日規模の出荷オペレーション管理や、6,000社が利用するフルフィルメントサービスの構築、温度帯コールドチェーンの大規模荷主向け事業設計など、業界でもトップクラスの実績を持つ。STOCKCREWでは営業戦略全体を統括し、「数字で語り、ROIで証明する」をモットーに、EC事業者の物流コスト最適化を推進している。