環境省が10〜12月をリチウムイオン電池の火災防止強化期間に|11月は防止月間・EC保管と発送の点検
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モバイルバッテリーを1個でも在庫に持っているなら、無関係ではない発表です。環境省は2026年9月11日、2026年10月から12月までの3か月間を「リチウムイオン電池による火災防止強化キャンペーン」の期間とし、特に11月を「リチウムイオン電池による火災防止月間」とすることを公表しました。年末商戦と完全に重なる時期です。この記事では発表の中身を確認し、電池を含む商品を扱うEC事業者が保管と発送で何を点検すべきかを整理します。発送を外部に委託する場合の全体像は発送代行おすすめ25選にまとめています。
発表の概要|10〜12月が強化期間、11月が防止月間
環境省環境再生・資源循環局が2026年9月11日に公表した内容を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年9月11日(環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課) |
| 強化キャンペーン期間 | 2026年10月〜12月の3か月間 |
| 火災防止月間 | 2026年11月 |
| 目的 | 使用時・廃棄時のリチウムイオン電池等による火災事故の防止 |
| 主な取組 | 啓発物の公表、シンポジウムの開催、Jリーグ6チームと連携した回収イベント |
| 行動指針 | 3つのC=賢く選ぶ(Cool choice)/丁寧に使う(Careful use)/正しく捨てる(Correct disposal) |
表1:火災防止強化キャンペーンの概要(環境省の報道発表をもとにSTOCKCREW作成)
「3つのC」は捨て方だけの話ではない
環境省が掲げた行動指針は次の3つです。
- 賢く選ぶ(Cool choice)——調達の段階で、認証や表示のある製品を選ぶという意味に読めます。
- 丁寧に使う(Careful use)——保管・取り扱いの条件を守ることに対応します。
- 正しく捨てる(Correct disposal)——返品・不良品・滞留在庫の処分に対応します。
消費者向けのメッセージとして設計されていますが、EC事業者の在庫オペレーションにそのまま翻訳できる構造になっています。仕入れ・保管・処分という3工程に、それぞれ対応しているためです。
期間の位置づけ
強化期間の呼び名は報道発表に明記されています。
リチウムイオン電池による火災防止月間
出典:環境省「「リチウムイオン電池による火災防止強化キャンペーン」及び「リチウムイオン電池による火災防止月間」について」(2026年9月11日)
注目すべきは時期です。10月から12月は、EC事業者にとって在庫量が年間で最も膨らむ3か月にあたります。ブラックフライデー、年末セール、年始福袋が連続する期間に、電池を含む商材の保管量も跳ね上がります。年末の出荷波動への備えは年末セールのEC物流準備で扱っています。
LiBパートナーは148件|自治体59・事業者等89
環境省は、リチウムイオン電池等の火災事故防止につながる啓発・回収・イベント等を実施する自治体や事業者を「LiBパートナー」として認定しています。
内訳が示していること
2026年9月8日時点の認定状況は、自治体59件、事業者等89件、合計148件です。事業者等が6割を占めているのが実態で、回収と啓発の担い手が行政だけではなくなっていることを示しています。
EC事業者にとっての含意は、返品された電池商材や不良在庫の処分先が、自治体の資源回収だけとは限らないという点です。回収ルートの選択肢が増える一方、どのルートに乗せるかを自社で決める必要も出てきます。不良在庫の処分判断そのものは不良在庫とは?原因・影響・処分方法に整理しました。
啓発イベントの内容
期間中は、Jリーグとの連携協定に基づき6チームの試合会場に環境省の特設ブースが設けられ、周知・啓発とリチウムイオン電池等の回収が行われる予定です。連携チームはセレッソ大阪、V・ファーレン長崎、ジェフユナイテッド市原・千葉、ブラウブリッツ秋田、ヴァンフォーレ甲府、モンテディオ山形の6つで、具体的な日程は追って公表されるとされています。あわせてシンポジウムの開催も予定されています。
なぜEC事業者にとって他人事ではないのか
啓発キャンペーンは消費者に向けたものです。それでもEC事業者が目を向けるべき理由は、電池商材の発火リスクが、在庫を持っている側に残るという構造にあります。
運送人の賠償責任には限界がある
STOCKCREWの利用者に適用される、ヤマト運輸との運送契約の利用規約には、運送人が責任を負わない場合として「商品の性質による発火、爆発、むれ、かび、腐敗、変色、さびその他これに類似する事由」が挙げられています。つまり、電池の性質に起因する発火で荷物が損なわれた場合、その損害は運送人の賠償対象から外れます。
リスクは荷主側、すなわち商品を持っているEC事業者に残るというのがこの規定の意味です。委託先を選ぶ際の賠償範囲の読み方は発送代行の賠償・保険・リスク管理ガイドに整理しています。
対象になる商材は思ったより広い
リチウムイオン電池を内蔵する商品は、モバイルバッテリーだけではありません。スマホアクセサリー・小型ガジェット、ワイヤレスイヤホン、電動工具、加熱式の美容機器、電動アシスト自転車、ポータブル電源など、カテゴリを横断して存在します。家電・電子機器ECの物流設計パターンで扱っている商材群とは、ほぼ全域が重なります。
電池を含む商品の発送ルールそのものはリチウムイオン電池を含む商品のEC発送ルールに、航空制限と荷受基準を含めてまとめました。この記事では、そこに書ききれていない保管側と廃棄側を中心に扱います。
出品の側にも別のルールが走っている
啓発キャンペーンとは別に、モール出品の側でも電池商材は監視対象に入っています。消費者庁の製品安全誓約(日本国)では、電気用品安全法に基づくリチウムイオン蓄電池(モバイルバッテリーを含む)や直流電源装置(ACアダプター)など、いわゆるPSEマークの表示が必要な製品が対象製品として明記されています。
この誓約には主要モールの運営事業者が署名しており、規制当局から要請があれば2営業日以内に出品が削除される枠組みです。つまり電池商材には、火災防止の啓発と出品規制という2つの流れが同時にかかっています。2026年9月10日には対象製品の追加も公表されました。その中身は製品安全誓約に労働安全衛生法の保護具9品目が追加された件に整理しています。PSEマークの有無を入荷時に確認する運用は、火災対策と出品対策の両方に効きます。
保管で点検する4つのポイント
倉庫に置いている間の管理は、発送時のルールほど明文化されていないことが多い領域です。強化期間に入る前に、次の4点を確認しておくと安心です。
- ロケーションを分けているか——電池内蔵商品を通常商材と同じ棚に混在させていないか。
- 温度条件を把握しているか——高温になる位置(直射日光の当たる窓際、空調の効かない上段)に置いていないか。
- 外装の膨張を検知できるか——入荷検品と定期棚卸しで、パッケージの膨らみや変形を見る項目があるか。
- 返品戻り品の置き場を決めているか——顧客から戻ってきた電池商材を、新品在庫と同じ場所に戻していないか。
ロケーション設計が最初の一手
最も効果が大きいのは、電池内蔵商品を専用のロケーションにまとめることです。分けておけば、万一の際に影響範囲を限定できるだけでなく、点検や回収の対象を一度に特定できます。ロケーション管理の基本は物流倉庫の保管・ロケーション管理 実務ガイドに、棚の選び方はラックとは?倉庫で使われる棚の種類と選び方にまとめています。
分ける単位は、商品カテゴリではなく「電池を内蔵しているか」という1つの属性で切るのが実務的です。カテゴリで分けると、同じ「美容家電」の棚に充電式と非充電式が混ざります。属性で切れば、対象は機械的に決まります。倉庫の面積効率は多少落ちますが、年末の在庫ピーク時に「どこに何個あるか」を即答できる価値のほうが大きい場面です。保管効率の測り方はEC倉庫の保管効率KPIを計算して改善する実務ガイドで数値化できます。
棚卸しの項目に「外装の状態」を足す
リチウムイオン電池は、劣化が外装の膨張として現れることがあります。定期棚卸しの際に数量だけでなく外装の膨らみ・変形・液漏れの有無を見る項目を1つ足しておくと、発火に至る前に取り除けます。棚卸しの進め方はEC倉庫の棚卸の進め方と在庫差異の潰し方に手順を書きました。
滞留させないことが最大の対策になる
電池は時間の経過とともに劣化します。長期滞留そのものがリスクだという点で、他の商材とは性格が違います。先入れ先出しを徹底し、滞留在庫を定期的に洗い出す運用が、そのまま安全対策になります。保管コストの観点からも、滞留は避けたい対象です。料金構造はEC倉庫の保管料4方式を徹底比較で比較できます。
発送で点検する3つのポイント
出荷側は、配送会社ごとの荷受基準が判断の起点になります。
商品マスタに電池情報を持たせる
出荷時に毎回調べ直すのは現実的ではありません。商品登録の段階で、電池の有無・種類・容量を属性として持たせておくことが前提になります。STOCKCREWのシステムでは、海外発送を有効にする場合にHSコード・原産国・大分類・中分類(危険物有無)の入力が必要です。国内出荷しかしていなくても、危険物区分の列を先に埋めておくと横断検索に使えます。SKU設計の考え方は在庫管理の土台として整理しておくと、後の運用が楽になります。
同梱パターンを決めておく
電池単体と電池内蔵機器では、扱いが変わる場合があります。同梱の可否をパターンとして事前に決めておかないと、出荷現場で都度判断が発生します。判断が現場に降りるほど、ばらつきと保留が増えます。梱包資材の選定はEC通販の梱包資材選定と費用最適化、サイズ設計はEC梱包の資材選び・サイズ最適化にまとめました。
配送区分の切り替えルールを共有する
配送方法が指定どおりに使えない場合、別の方法へ切り替えて出荷することになります。切り替えの判断基準を委託先と共有していないと、出荷保留が積み上がります。年末の繁忙期にこれが起きると、遅延がそのまま評価に跳ね返ります。宅配便のサイズ規格は宅配便のサイズ規格をヤマト・佐川・日本郵便で徹底比較で並べてあります。委託先の作業範囲は発送代行の見積書を項目別に読み解く7つのチェックポイントで確認する項目を整理しました。
まとめ:3つのCを在庫オペレーションに翻訳する
環境省は2026年9月11日、2026年10月〜12月をリチウムイオン電池による火災防止強化キャンペーン期間、11月を火災防止月間とすることを公表しました。LiBパートナーの認定は2026年9月8日時点で148件(自治体59件・事業者等89件)で、回収の受け皿は民間側にも広がっています。
この期間は、EC事業者にとって在庫が年間で最も膨らむ3か月と完全に重なります。環境省が掲げた3つのC——賢く選ぶ、丁寧に使う、正しく捨てる——は、在庫オペレーションに置き換えると「調達時に表示を確認する」「専用ロケーションで保管し、外装の状態を棚卸しで見る」「滞留させず、戻り品の処分先を決めておく」という3点になります。いずれも新しい設備を必要としません。物流全体の設計を見直すなら発送代行おすすめ25選とEC物流完全ガイド、サービスの料金と作業範囲はSTOCKCREW完全ガイドに整理しています。見積もりが必要な場合はお問い合わせ、先に条件を確認したい場合はサービス資料のダウンロードをご利用ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 火災防止強化キャンペーンはいつ実施されますか?
A. 環境省は2026年10月から12月までの3か月間を「リチウムイオン電池による火災防止強化キャンペーン」の期間とし、特に11月を「リチウムイオン電池による火災防止月間」と位置づけています。期間中は啓発物の公表、シンポジウムの開催、Jリーグ6チームと連携した回収イベントなどが予定されています。
Q. LiBパートナーとは何ですか?
A. リチウムイオン電池等の火災事故防止につながる啓発・回収・イベント等を実施する自治体・事業者等を、環境省が認定する仕組みです。2026年9月8日時点の認定状況は自治体59件、事業者等89件、合計148件となっています。
Q. EC事業者にも関係がある内容ですか?
A. 関係があります。キャンペーン自体は消費者向けの啓発ですが、実施期間の10〜12月は年末商戦と重なり、電池を含む商材の在庫量が年間で最も増える時期です。保管中の発火は運送人の賠償範囲外となる場合があるため、リスクは在庫を持つ事業者側に残ります。
Q. 「3つのC」とは何ですか?
A. 環境省が示した行動指針で、賢く選ぶ(Cool choice)、丁寧に使う(Careful use)、正しく捨てる(Correct disposal)の3つです。EC事業者の実務に置き換えると、調達時の表示確認、保管条件の管理、滞留在庫と返品戻り品の処分ルールに対応します。
Q. 倉庫での保管でまず何をすればよいですか?
A. 電池内蔵商品を専用のロケーションにまとめることから始めてください。分けておけば影響範囲を限定でき、点検や回収の対象も一度に特定できます。あわせて定期棚卸しの項目に、外装の膨らみ・変形・液漏れの有無を1つ加えると、劣化した在庫を早く取り除けます。
Q. 出荷側で準備しておくことはありますか?
A. 商品登録の段階で電池の有無・種類・容量を属性として持たせておくことが前提になります。出荷のたびに調べ直す運用では、繁忙期に必ず滞ります。あわせて同梱の可否をパターンとして決め、配送方法を切り替える場合の判断基準を委託先と共有しておくと、出荷保留の積み上がりを防げます。
この記事の監修者
仲井暉人
株式会社KEYCREW オペレーション部DX推進リーダー。IT業界でシステムエンジニアとして客先常駐・受託開発に約1年従事した後、KEYCREWに入社。現在は物流の仕組みづくりと改善を担当し、現場とシステムの両面から効率的な物流設計を支援している。倉庫出荷件数10倍拡大に伴うシステム連携・アーキテクチャ設計、自社ハンディ端末の機能設計・開発・導入、YFF移管1,000社超のシステム移管責任者として大規模プロジェクトを完遂。高負荷になるDB・インフラの見直しにより月額50万円のコスト削減も実現した。「心頭滅却」を信条に、バックエンド・フロントエンド・インフラの幅広い技術領域をカバーし、WMS・倉庫DX・庫内効率化・自動化技術に関する実装経験に基づいた記事を発信している。