EC倉庫は東日本と西日本のどちらに置くべきか【2026年版】|拠点立地を決める5つの判断軸
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倉庫を借りる、あるいは発送代行を選ぶとき、「関東の倉庫でいいのか、関西も見たほうがいいのか」で手が止まることがあります。物流の解説記事の多くは「分散か集約か」を論じますが、拠点をまだ1つしか持たない事業者にとっての問いは、分散の是非ではなく「最初の1拠点をどちらに置くか」です。この記事では、運賃の地帯差・着荷リードタイム・人件費・災害リスク・入荷導線という5つの軸を、配送会社の公式運賃表と最低賃金の実数に当てて判断できる形にします。物流全体の外注設計は発送代行完全ガイドにまとめています。
「東か西か」は「分散か集約か」とは別の問題
まず論点を切り分けます。物流拠点の議論は、規模によって問いの形が変わります。
拠点数の議論に入る前の段階がある
複数拠点を持つかどうかは、月間出荷が数千件を超えてから初めて損益が合う話です。月間数百件の段階で2拠点に分けると、在庫が割れて欠品率が上がり、保管料の最低料金も二重に発生します。分散と集約の損益分岐そのものは物流拠点戦略の基本と分散・集約の判断軸【2026年版】で扱っています。本記事はその手前、1拠点しか持たない前提で、その1つをどこに置くかに絞ります。
「東か西か」で動くのは4種類のコスト
立地が変われば動くコストは限られています。整理すると次の4つです。
- 出荷運賃——発地が変わると、同じサイズでも地帯別の運賃が変わります。
- 人件費——最低賃金は都道府県ごとに異なり、庫内作業の原価に直接乗ります。
- 入荷運賃——仕入れ先や港からの持ち込みコストが変わります。
- 機会損失——着荷が1日遅れることによる離脱・レビュー低下。
賃料も立地で変わりますが、発送代行に委託する場合は坪単価ではなく保管料として単価に織り込まれるため、事業者側が直接比較する項目にはなりません。保管料の課金方式は倉庫の保管料の仕組みと4つの料金体系で整理しています。
判断の順序を先に決めておく
5つの軸すべてが同じ重みではありません。出荷件数が多いほど運賃の比重が上がり、庫内作業が重い(セット組・検品が多い)ほど人件費の比重が上がります。自社がどちらのタイプかを先に決めておくと、以降の比較で迷わなくなります。物流コストの内訳を分解する方法はEC物流コストの可視化と削減実務ガイド【2026年版】にまとめました。
判断軸①:運賃の地帯差はいくら動くか
最も金額が大きく、最も見積もりやすい軸です。宅配便の運賃は発地と着地の組み合わせで決まるため、倉庫の場所を変えると、同じ荷物の運賃表がまるごと差し替わります。
関東発の地帯差を実額で見る
佐川急便の関東発・通常配達の運賃を並べると、地帯差の構造がわかります。
| 着地 | 60サイズ | 100サイズ | 160サイズ |
|---|---|---|---|
| 関東 | 910円 | 1,520円 | 2,440円 |
| 東海・北陸・信越 | 910円 | 1,520円 | 2,440円 |
| 関西 | 1,040円 | 1,630円 | 2,570円 |
| 中国 | 1,180円 | 1,740円 | 2,700円 |
| 四国 | 1,300円 | 1,880円 | 2,830円 |
| 北九州・南九州 | 1,440円 | 2,000円 | 2,950円 |
| 北海道 | 1,440円 | 2,000円 | 2,950円 |
| 沖縄 | 1,914円 | 4,686円 | 10,560円 |
注目すべきは関東発の同一料金圏が、関東・東海・北陸・信越まで広がっている点です。60サイズなら910円が愛知や新潟まで同額で届きます。一方で関西は1,040円、九州は1,440円と、西に行くほど1段ずつ上がります。関東発で最安の圏内に入る人口は、関西発の最安圏より多くなるという構造がここにあります。
ゆうパックでも同じ傾向が出る
| 着地 | 60サイズ | 120サイズ | 170サイズ |
|---|---|---|---|
| 東京 | 820円 | 1,770円 | 3,000円 |
| 東北・関東・信越・北陸・東海 | 880円 | 1,830円 | 3,070円 |
| 近畿 | 990円 | 1,940円 | 3,750円 |
| 中国・四国 | 1,150円 | 2,080円 | 3,890円 |
| 九州 | 1,410円 | 2,340円 | 4,140円 |
| 沖縄 | 1,450円 | 2,490円 | 4,350円 |
東京発で見ると、60サイズは東京820円に対して九州1,410円で、差は590円です。仮に月1,000件のうち10%が九州向けなら、その100件で月59,000円の差になります。サイズが上がるほど差の絶対額も大きくなり、170サイズでは1,140円の開きが出ます。サイズ区分そのものの読み方は宅配便のサイズ規格を3社で徹底比較にまとめました。
自社の出荷先分布に当てて計算する
地帯差の議論は、自社の注文がどこに向かっているかを出さないと結論が出ません。手順は単純です。
- 直近3か月の出荷を都道府県別に集計する——受注データの配送先住所から出せます。
- 配送会社の地帯区分に丸め直す——関東・東海・関西・中国・四国・九州・北海道・沖縄の8区分で十分です。
- 関東発と関西発の2パターンで運賃を積み上げる——サイズ構成比を掛けて月額を出します。
この計算をすると、多くの事業者で差は月数万円のオーダーに収まります。桁が違うほどの差にならない場合、運賃だけで立地を決める根拠にはなりません。次以降の軸と合わせて判断してください。自社出荷のコスト構造を洗い出す方法は自社発送のコスト可視化にまとめています。
判断軸②:着荷リードタイムと翌日配達圏
運賃と並ぶもうひとつの軸が、注文から手元に届くまでの日数です。ここは金額に直接出ないぶん、見落とされやすい論点です。
翌日配達圏の広さが売上に効く
宅配便は距離が延びるほど翌日配達の対象外になり、翌々日・3日後へと後ろ倒しになります。「注文の何%が翌日に届くか」は、倉庫の位置でほぼ決まります。あす楽や最強配送のような、モールが提示する配送スピードの表示条件にも直結します。楽天の要件は楽天最強配送ラベルを外部3PLで獲得する方法、RSLとの比較はRSLとSTOCKCREWの料金・機能比較で整理しています。
出荷締め時間のほうが効く場合がある
距離の差が半日ぶんでも、倉庫の当日出荷締め時間が15時か17時かで、着荷日が1日変わることがあります。立地を1段良くするより、締め時間を2時間後ろに倒せる委託先を選ぶほうが効果が大きいケースは珍しくありません。締め時間は見積書には載らないため、契約前の確認項目に入れてください。確認すべき条件は発送代行の契約書に含むべき14項目チェックリストにまとめました。
需要の重心は東日本側にある
2024年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、26.1兆円(前年24.8兆円、前々年22.7兆円、前年比5.1%増)に拡大しています。また、2024年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は514.4兆円(前年465.2兆円、前々年420.2兆円、前年比10.6%増)に増加しました。
出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(2025年8月26日・2024年時点)
市場全体が伸びているなかで、注文の分布は人口分布におおむね比例します。首都圏を含む東日本に人口が集中している以上、翌日配達圏に入る注文の絶対数は東日本立地のほうが多くなります。全国一律で売るBtoCの一般消費財であれば、これが東日本を選ぶ最大の理由になります。
判断軸③:人件費は地域でどこまで違うか
庫内作業の原価は、そのほとんどが人件費です。地域間の差がどれほどあるのかを、公的な数字で押さえます。
最低賃金の地域差は195円
改定額の全国加重平均額は1,177円(昨年度1,121円)
令和8年度の答申では、全国加重平均が1,177円で前年度から56円の引上げ、47都道府県で54円〜65円の引上げとなりました。最高額は1,280円、最低額は1,085円で、その差は195円です。最高額に対する最低額の比率は84.8%で、12年連続で改善しています。改定額は令和8年10月1日から12月2日までの間に順次発効します。
195円の差が原価にどう乗るか
庫内作業を月400時間(フルタイム換算で約2.4人分)使う倉庫を想定すると、時給195円の差は月78,000円です。ただしこれは最高額の都府県と最低額の県を比べた極端な例で、東西の主要な物流適地どうしの差はこれより小さくなります。
| 比較の観点 | 数値 | 読み方 |
|---|---|---|
| 全国加重平均 | 1,177円 | 前年度1,121円から56円引上げ |
| 最高額 | 1,280円 | 都市部の水準 |
| 最低額 | 1,085円 | 地方の水準 |
| 最高・最低の差 | 195円 | 比率は84.8%(12年連続で改善) |
| 引上げ幅の分布 | 54円〜65円 | 47都道府県すべてが引上げ |
格差が12年連続で縮小している点は、立地判断において重要です。人件費の安さを理由に遠方を選んでも、その優位は年々目減りします。一方で運賃の地帯差は縮まる傾向にありません。中期で見ると、人件費より運賃を優先したほうが読みが外れにくくなります。人手の確保そのものの難易度は倉庫・物流の人手不足で扱いました。最低賃金改定の影響は最低賃金の過去最高改定で倉庫人件費と発送代行料金はどう動くかにまとめています。
賃金水準より「採用できるか」で見る
実務上のボトルネックは時給の絶対額ではなく、人が集まるかどうかです。賃金の安い地域は同時に労働人口も少なく、繁忙期に増員できないことがあります。倉庫を自社で借りる場合、この採用リスクは事業者が全部負います。発送代行に委託すれば、増員の責任は委託先側に移ります。自動化で人依存を下げる考え方は物流倉庫の自動化レベルと選定基準に整理しています。
判断軸④:災害・障害で止まるリスク
1拠点しか持たない以上、その拠点が止まれば出荷は全停止します。立地の議論では、この一点を金額換算しにくいまま扱うことになります。
1拠点はどこに置いてもリスクは残る
地震・水害・大雪・道路の集中工事といった要因は、東西どちらにも存在します。「西のほうが安全」「東のほうが危ない」という単純な比較は成立しません。判断すべきは地域の優劣ではなく、止まったときにどう復旧するかの設計です。物流BCPの考え方は物流BCPとは?EC事業者向け実務ガイドにまとめています。
配送側の遅延は倉庫の位置と別に起こる
倉庫が無事でも、幹線道路や配送網の側で遅延が発生することがあります。倉庫の立地を分散しても、配送会社のネットワークが同じである以上、この種の遅延は避けられません。実際に、大雨や高速道路の集中工事による集配遅延は各社から随時告知されています。事例は北陸の大雨で富山・石川の8市町に災害救助法、ヤマトも集配遅延や名神の集中工事は9月12日まで、佐川が配送遅延の可能性を告知で扱いました。
1拠点で取れる対策は3つ
- 複数キャリアと接続しておく——1社が止まっても別の便に振り替えられる状態を作ります。
- 出荷停止時の顧客告知テンプレートを用意する——止まること自体より、連絡が遅いことのほうがクレームになります。
- 委託先のBCP体制を契約前に聞く——バックアップ拠点の有無、システム障害時の手作業運用の有無を確認します。
キャリアの使い分けはマルチキャリア戦略と配送会社の使い分け、システム側の停止リスクは物流WMS(倉庫管理システム)で扱っています。
判断軸⑤:入荷側の導線(仕入れ地・港・返品)
出荷ばかり見ていると見落とすのが、荷物が倉庫に入ってくる側の経路です。ここは事業モデルによって結論が大きく変わります。
輸入が多いなら港・空港との距離が効く
海外から仕入れる事業者にとって、通関後の内陸輸送費は無視できません。コンテナ1本を港から倉庫まで運ぶドレージ費用は距離に比例するため、主要港から遠い立地はそのぶん入荷原価が上がります。輸入の物流設計は保税倉庫の仕組みと輸入EC事業者の活用法で扱っています。デバンニング作業を委託先で受けられるかも確認項目です。
国内メーカーから仕入れるなら工場の所在地で決まる
OEM生産を国内工場に委託している場合、工場と倉庫が近ければ入荷運賃と納品リードタイムの両方が下がります。工場が西日本にあるのに倉庫を東に置くと、入荷のたびに長距離輸送が発生します。逆に出荷先が全国に散っているなら、入荷は月数回でも出荷は毎日なので、出荷側を優先する判断になります。工場選定の観点はOEM工場の選び方にまとめました。
返送品は倉庫に戻ってくる
不在持ち戻りや受取拒否による返送品は、出荷元の倉庫に戻ります。返送の運賃も地帯差の影響を受けるため、出荷が遠い地域ほど返送コストも高くなります。返品率が高い商材では、この往復で効いてきます。返品物流の設計はEC返品物流(リバースロジスティクス)ガイド【2026年版】で整理しています。なおSTOCKCREWは物流起因の返送品(不在持ち戻り・受取拒否など)には対応しますが、消費者都合の返品処理は受託していません。
3つの導線を1枚にして重みを付ける
| 導線 | 頻度の目安 | 立地への影響 | 優先度の考え方 |
|---|---|---|---|
| 出荷(BtoC) | 毎営業日 | 大(件数×地帯差) | 件数が多いほど最優先 |
| 入荷(仕入れ) | 月数回〜週1回 | 中(1回の金額は大きい) | 輸入・重量物なら優先度が上がる |
| 返送品 | 出荷の数% | 小〜中 | 返品率が高い商材で効く |
ケーススタディ:3つの事業モデルで結論が変わる
5つの軸をどう重み付けするかで結論が変わります。代表的な3パターンで、判断の道筋を追います。
ケースA:全国向けBtoC・月1,000件・小型中心
サプライヤーは国内、出荷は全国に分散、サイズは60〜100が中心という、最も一般的な形です。出荷件数が多く1件あたりの単価が小さいため、運賃の地帯差が積み上がって最も効きます。出荷先の分布が人口比に近いなら、翌日配達圏の広さと合わせて東日本が有利になります。入荷は月数回なので、工場が西にあっても出荷側の優位が上回ります。判断:東日本の1拠点。この規模帯の外注設計は月商500〜1000万円EC事業者の切り替え判断で扱っています。
ケースB:西日本の自社工場から出荷・BtoB卸中心
自社工場が中国地方にあり、出荷先は取引先の物流センターに集約されるパターンです。出荷件数は少なく1件あたりが大きいため、地帯差より入荷側の輸送距離が効きます。工場から倉庫までの横持ちを毎回発生させるより、工場の近くに倉庫を置いたほうが総額が下がります。判断:西日本の1拠点。BtoB出荷の設計はサプリメントECのBtoB・定期便出荷ガイドで扱っています。
ケースC:輸入雑貨・月300件・沖縄と離島の比率が高い
輸入品を扱い、SNS経由で全国から注文が入るパターンです。ここで効くのは沖縄向けの運賃が突出して高い点です。関東発の60サイズは沖縄1,914円で、関東着910円の2倍を超えます。100サイズでは4,686円と3倍以上に開きます。この構造は西日本に倉庫を移しても大きくは変わらないため、立地ではなく送料設定側で対応するほうが現実的です。判断:立地は入荷(港)優先、沖縄・離島は送料区分を分ける。送料の区分設計はECサイトの送料設定ガイド【2026年版】にまとめました。
2拠点化を検討し始めるライン
1拠点で回している事業者が、いつ次を考えるべきかにも触れておきます。
件数だけで判断しない
令和6年度の宅配便取扱個数は、50億3147万個で、前年度と比較して2414万個・約0.5%の増加となった。令和6年度のメール便取扱冊数は、33億4477万冊で、前年度と比較して2億6531万冊・約7.3%の減少となった。
宅配便全体の伸びは年0.5%程度で、市場が急拡大している局面ではありません。自社の出荷が伸びていても、それは市場の伸びではなくシェアの移動である可能性が高く、拠点投資の判断は慎重に見るべき局面です。2拠点目は「件数が増えたから」ではなく、次の条件が揃ったときに検討します。
- 遠方地域の出荷比率が3割を超えている——地帯差の累計が拠点の固定費を上回りうる水準です。
- 翌日配達圏に入らない注文でCVRが明確に落ちている——分析で差が確認できることが前提です。
- 在庫を割っても欠品率が上がらないSKU構成になっている——回転の速い定番品が中心であることが条件です。
在庫が割れる副作用を見積もる
2拠点にすると、同じSKUを両方に置くか、拠点ごとに商品を分けるかを決める必要があります。両方に置けば安全在庫が二重に必要になり、在庫回転が落ちます。在庫の持ち方は在庫回転率の計算式と業界別目安【2026年版】、複数拠点の設計はEC通販のマルチFC複数拠点戦略2026で扱っています。滞留在庫が増えるリスクは滞留在庫の原因と解消方法にまとめました。
発送代行なら拠点判断を委託先に寄せられる
自社で倉庫を借りると、立地の判断も採用も設備投資も事業者が負います。発送代行に委託すれば、拠点の選定と運営は委託先の設計に含まれ、事業者は単価と締め時間とSLAだけを見ればよくなります。STOCKCREWのメイン倉庫拠点は千葉県八千代市にあり、東日本を発地とする出荷を前提にした運用です。倉庫の設備は倉庫・設備のページ、料金体系は料金ページで公開しています。外注化の進め方はEC物流の初めての外注化ガイド2026年版、倉庫選定の評価軸は発送代行倉庫の選び方と立地・設備の評価基準ガイドに整理しています。
まとめ:1拠点目は「出荷先の重心」で決める
EC倉庫を1つだけ持つなら、判断の順序は①出荷先の分布、②着荷リードタイム、③入荷導線、④人件費、⑤災害リスクです。全国向けのBtoCで出荷件数が多いなら、最安運賃帯の広さと翌日配達圏の広さから東日本が有利になります。西日本に自社工場がある、あるいは入荷の輸送負荷が重い場合は、入荷側を優先する判断が成立します。
人件費の地域差は最高1,280円と最低1,085円で195円、比率は84.8%まで縮小しており、中期では優位が目減りします。一方で運賃の地帯差は縮まる傾向がないため、迷ったら運賃と着荷日数を優先するのが外れにくい選び方です。物流全体の設計はEC物流完全ガイド【2026年版】、外注そのものの判断は発送代行完全ガイドにまとめています。
自社の出荷分布で試算した場合にどうなるかは、直近3か月の都道府県別出荷データがあれば具体的に出せます。サービス資料に料金体系を掲載しているほか、個別の試算はお問い合わせページから相談できます。サービス全体の内容はSTOCKCREW完全ガイドで確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q. EC倉庫は東日本と西日本のどちらが有利ですか?
A. 全国向けBtoCで出荷件数が多い事業者は東日本が有利になりやすいです。佐川急便の関東発では関東・東海・北陸・信越が同一の最安運賃帯に入り、人口の多い地域が翌日配達圏に含まれるためです。ただし西日本に自社工場がある場合や、入荷の輸送負荷が重い場合は西日本が合理的になります。
Q. 倉庫の場所を変えると送料はどれくらい変わりますか?
A. ゆうパック東京発の60サイズは東京820円に対して九州1,410円で、差は590円です。月1,000件のうち10%が九州向けなら、その100件だけで月59,000円の差になります。サイズが上がるほど差の絶対額も大きくなり、170サイズでは1,140円の開きが出ます。
Q. 人件費が安い地方に倉庫を置くべきですか?
A. 令和8年度の最低賃金は最高額1,280円・最低額1,085円で差は195円ですが、その比率は84.8%まで縮小し12年連続で改善しています。人件費の優位は年々目減りする一方、運賃の地帯差は縮まりません。中期で見るなら運賃と着荷日数を優先するほうが読みが外れにくくなります。
Q. 2拠点にすべきかはどう判断しますか?
A. 出荷件数だけでは判断できません。遠方地域の出荷比率が3割を超えている、翌日配達圏外の注文でCVRが明確に落ちている、在庫を割っても欠品率が上がらないSKU構成である、の3条件が揃ってから検討してください。在庫が二重に必要になる副作用を先に見積もることが前提です。
Q. 沖縄や離島向けの送料は立地を変えれば下がりますか?
A. 大きくは変わりません。佐川急便の関東発では60サイズが沖縄1,914円、100サイズが4,686円と他地域から突出しており、この構造は発地を西に移しても解消しません。立地で解こうとせず、沖縄・離島を別の送料区分に分けるか、送料無料ラインを地域別に設定する対応が現実的です。
Q. 発送代行を使う場合も立地を気にする必要はありますか?
A. 単価表に地帯差が織り込まれているため、事業者が地図を見て判断する必要は下がります。ただし当日出荷の締め時間と、自社の出荷先分布に対する着荷日数は確認してください。締め時間が2時間違うだけで着荷日が1日ずれることがあり、これは立地の差より大きく効く場合があります。
この記事の監修者
北原一樹
株式会社KEYCREW オペレーション部長。大手物流会社にて現場担当からセンター長を経て、営業・管理職を12年間歴任。物流業界での経験は24年に及ぶ。大規模顧客の初のEC・DCが併設された10,000坪規模の大型倉庫の立ち上げを主導した実績を持ち、月間100Mの赤字を抱えていた物流センターをわずか3か月で黒字化に転換させた。現在はSTOCKCREWにおいて部門管理・各拠点の収支管理・業務改善を統括。「現地・現物」「数字で現場を見る」「何事にも基準を作る」を信条に、年間5千万点の入出荷を支える高品質な物流オペレーションを実現している。