テールゲートリフター補助の2次公募が9月28日開始、荷主企業も対象|EC出荷の荷役とドライバー拘束時間を短くする
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補助金の案内を見て「うちは運送会社ではないから関係ない」と読み飛ばしていませんか。国土交通省は2026年9月14日、中小物流事業者の労働生産性向上事業(テールゲートリフター等導入等支援)の2次公募を公表しました。申請受付は9月28日(月)から11月27日(金)まで。注目したいのは、中小トラック運送事業者と連携して事業を行う荷主企業・倉庫事業者等も補助対象に含まれる点です。同じ9月28日にはもう1本の補助金の受付も始まりますが、こちらは締切が10月7日と短く、取り違えると間に合いません。この記事では2本の違いを整理し、EC事業者がどう関わりうるかを具体化します。出荷を外部に委託している場合の全体像は発送代行おすすめ25選にまとめています。
2次公募の中身|受付は9月28日から11月27日
この事業は令和7年度補正予算に基づくもので、中小トラック運送事業者の経営の構造的な改善を目的としています。車両の効率化設備の導入、業務効率化、経営力強化、人材確保・育成にかかる経費の一部を補助します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公表日 | 2026年9月14日(国土交通省 物流・自動車局 貨物流通事業課) |
| 申請受付期間 | 2026年9月28日(月)〜11月27日(金)(予定) |
| 補助率 | 導入費用等の2分の1または4分の1 |
| 対象期間 | 2026年9月28日〜11月27日の間に対象機器等の導入等を実施したもの |
| 主たる対象者 | 中小トラック運送事業者等 |
| 連携で対象になる者 | 荷主企業、倉庫事業者、元請トラック運送事業者、リース事業者、人材育成機関等 |
| 執行団体 | 株式会社日本能率協会コンサルティング |
| 注意 | 補助金申請額が予算額を超過した場合、交付されないことがある |
表1:2次公募の概要(国土交通省の報道発表をもとにSTOCKCREW作成)
「荷主も対象」の正確な読み方
報道発表の脚注に、対象者の広がりが書かれています。
事業に応じて中小トラック運送事業者と連携し補助対象事業を行う荷主企業、倉庫事業者、元請トラック運送事業者
出典:国土交通省「「中小物流事業者の労働生産性向上事業(テールゲートリフター等導入等支援)」の2次公募を実施します!!」(2026年9月14日)
ここを誤読しないことが大切です。荷主が単独で申請できるという意味ではありません。あくまで中小トラック運送事業者と連携して補助対象事業を行う場合に、荷主側も補助の射程に入るという構造です。事業ごとに条件が異なるため、実際の申請可否は執行団体の公募要領で確認することになります。荷主側の責務が年々重くなっている流れは改正物流効率化法2026年4月全面施行で整理しています。
予算超過で交付されない可能性がある
報道発表には「補助金申請額が予算額を超過した場合、補助金が交付されない場合があります」と明記されています。受付期間は約2か月ありますが、期間いっぱい使える前提で構えると取り逃がす設計です。導入の意思が固まっているなら、受付開始直後に動くほうが確実になります。
対象13項目にEC事業者が使えるものがある
補助対象は4つの事業区分、計13項目です。名称から「トラック本体の話」と見えますが、後半にはシステム系の項目が並びます。
予約受付システムは荷主側の話でもある
区分2の「物流連携最適化システム」には、予約受付システムや受注情報事前確認システムが例示されています。これは倉庫やセンターのバースをドライバーが予約する仕組みで、運用のカギを握るのは受け入れる側、つまり荷主・倉庫側です。運送事業者がシステムを入れても、荷主が時間枠を守らなければ荷待ちは減りません。
区分3の原価管理システムも同様に、荷主にとって無関係ではありません。運賃交渉の土台が原価データになるためです。運賃交渉の実態は標準的運賃の交渉率が90%に上昇で確認できます。
フォークリフト資格も対象に入っている
区分4には中型・大型・けん引免許に加えてフォークリフト運転資格が含まれます。倉庫側で荷役を担う人材の資格取得も、連携のかたち次第では射程に入ります。フォークリフトの種類と役割はフォークリフトとは?物流倉庫で使われる種類・免許・安全管理に整理しました。倉庫人材の確保そのものが難しくなっている状況はEC倉庫・物流スタッフの採用方法ガイドで扱っています。
同じ9月28日に始まるもう1本は締切10月7日
ここが実務上いちばん間違いやすいところです。国土交通省は同じ9月14日に、令和8年度「トラック輸送省エネ化推進事業」の4次公募も公表しています。受付開始日は同じ9月28日ですが、締切がまるで違います。
| 比較軸 | テールゲートリフター等導入等支援(2次公募) | トラック輸送省エネ化推進事業(4次公募) |
|---|---|---|
| 受付開始 | 2026年9月28日(月) | 2026年9月28日(月)10時 |
| 締切 | 11月27日(金) | 10月7日(水)16時 |
| 受付日数 | 約2か月 | 10日間 |
| 主な対象 | テールゲートリフター、各種システム、資格取得ほか13項目 | 車両動態管理・予約受付等のシステム、ダブル連結トラック、スワップボディコンテナ車両 |
| 連携の位置づけ | 荷主企業・倉庫事業者等も対象になりうる | トラック事業者と荷主等の連携が前提 |
| 執行団体 | 株式会社日本能率協会コンサルティング | パシフィックコンサルタンツ株式会社/パシフィックリプロサービス株式会社 |
表2:同日受付開始の2本の比較(国土交通省の2件の報道発表をもとにSTOCKCREW作成)
省エネ化事業はエネルギー削減の実証が軸
省エネ化推進事業は資源エネルギー庁との連携事業で、輸送の効率化によるエネルギー消費量の削減効果を実証することが前提になります。背景として、次の数字が挙げられています。
運輸部門におけるエネルギー消費量の約4割を占めるトラック輸送
出典:国土交通省「輸送効率化を通じた更なる省エネ化に必要なシステムや車両に対する導入補助の4次公募を開始します!」(2026年9月14日)
受付10日間という短さは、実質的に「準備が終わっている事業者向け」です。今から検討を始めるなら、締切が11月27日のテールゲートリフター側を見るほうが現実的といえます。物流の脱炭素が荷主側の選定基準に影響し始めている流れはEC物流の脱炭素・グリーン義務化2026年版で扱いました。
なぜ荷役なのか|拘束時間と荷待ちの構造
テールゲートリフターは、トラックの荷台後部に取り付ける昇降装置です。重量物を人力で持ち上げずに積み下ろしできるため、荷役時間と身体負担の両方を減らします。国がここに補助を付ける理由は、荷役がドライバーの拘束時間を押し上げているからです。
監督指導の実態
厚生労働省が公表した令和7年の監督指導の状況では、自動車運転者を使用する事業場に対する指導が広範に行われています。
監督指導を実施した事業場は4,123事業場
出典:厚生労働省「労働基準監督署等が自動車運転者を使用する事業場に対して行った令和7年の監督指導、送検等の状況を公表します」
荷待ちや附帯作業の長さは、運送事業者だけでは短縮できません。荷物の出し方・荷姿・受け入れ時間を決めているのは荷主側だからです。この構造については自動車運転者の監督指導で改善基準告示違反53.1%で詳述しています。
荷姿を変えるほうが効く場合もある
荷役時間を減らす手段は設備だけではありません。バラ積みをやめてパレット化するだけで、積み下ろしの時間は大きく変わります。標準仕様パレットの補助金は別枠で走っており、こちらも荷主が対象に含まれます。詳細は標準仕様パレット補助金の4次公募が開始、締切は10月2日にまとめました。
- 荷姿を変える——バラ積みからパレット・オリコンへ。設備投資を伴わずに効く打ち手です。
- 受け入れ時間を分散する——納品時間帯を分けるだけで荷待ちは減ります。
- 設備を入れる——テールゲートリフターや搬送機器。今回の補助金はここに効きます。
順番としては1と2を先に検討し、それでも足りない部分に3を当てるのが無駄がありません。荷役・荷待ち・輸送の用語を一度おさらいしたい場合は物流完全ガイド2026年版に定義があります。パレット納品を委託先に持ち込む場合の実務はデバンニングとは?EC事業者向け実務ガイドや入庫とは?入荷との違いとEC物流の実装方法が下敷きになります。
EC事業者の関わり方を3パターンで整理する
ではEC事業者は、この補助金とどう関わりうるのか。自社の立ち位置で分けると3つです。
パターン1:自社倉庫で自社便・専属便を使っている
もっとも射程に近い立場です。専属的に使っている中小トラック運送事業者がいるなら、連携して申請できる可能性があります。テールゲートリフターは車両側の装備なので、導入主体は運送事業者になりますが、予約受付システムのように荷主側の運用が前提になるものは共同で検討する余地があります。
パターン2:発送代行に委託している
この場合、補助金の直接的な当事者にはなりにくいのが実情です。ただし委託先が荷役の効率化にどう取り組んでいるかは、選定と契約更新の判断材料になります。入荷時の荷降ろし条件、パレット納品の可否、バース予約の仕組みは、見積書だけでは見えない部分です。委託先を比較するときの視点は発送代行の見積書を項目別に読み解く7つのチェックポイントにまとめました。
STOCKCREWの場合、パレット納品はチャーター便での持ち込みが前提で、前日17時までに入荷予定の登録が必要です。当社がフォークリフトで荷降ろしを行う場合は納品車両1台あたりの費用がかかり、コンテナ貨物を手作業で荷降ろしする場合はコンテナサイズごとの料金が別に適用されます。入荷対応日は平日(月〜金)で、土曜は荷受のみです。こうした条件はサービス内容としてSTOCKCREW完全ガイドに整理してあります。
パターン3:B2B出荷が増えてきた
小売や卸への納品が増えると、パレット単位・ケース単位の荷役が発生します。ここは補助金の考え方がそのまま効く領域です。B2B出荷の荷姿を最初に決めておくと、後から設備で挽回するより安く済みます。B2B領域の実務はEC物流完全ガイドとEC物流の業務フローと判断基準で扱っています。倉庫側の保管効率という観点ではEC倉庫の保管効率KPIを計算して改善する実務ガイド、人時生産性の測り方はEC倉庫の人時生産性(UPH)の計算式と改善手順に手順があります。
なお2026年度の物流関連補助金は本数が多く、対象も重なります。全体像は2026年度の物流補助金まとめと国交省 令和8年度の物流補助メニューが出そろうに一覧があります。自動化設備そのものへの投資を考えるなら省力化投資補助金で倉庫・物流を自動化も比較対象です。
まとめ:補助金より先に荷姿を決める
要点は3つです。第一に、テールゲートリフター等導入等支援の2次公募は9月28日から11月27日まで受付で、補助率は2分の1または4分の1、連携する荷主企業・倉庫事業者等も対象に含まれます。第二に、同じ9月28日に始まるトラック輸送省エネ化推進事業の4次公募は締切が10月7日16時で受付10日間と短く、取り違えると間に合いません。第三に、荷役時間を減らす順番は荷姿の変更・受け入れ時間の分散が先で、設備投資は最後です。補助金があるから設備を入れるのではなく、荷姿を決めたうえで足りない部分に補助を当てるほうが、投資の回収は読みやすくなります。
自社で荷役の体制を作り込むより、すでに設備と運用がある倉庫に預けるほうが早いという判断もあります。委託の費用構造と業者の選び方は発送代行おすすめ25選に、STOCKCREWの対応範囲はSTOCKCREW完全ガイドにまとめています。料金は料金ページで公開しており、入荷条件を含む個別の相談はお問い合わせページから受け付けています。検討用の資料はサービス資料にまとめました。
よくある質問(FAQ)
Q. EC事業者(荷主)がテールゲートリフターの補助金を単独で申請できますか。
A. できません。この事業の主たる対象は中小トラック運送事業者等です。荷主企業や倉庫事業者は、中小トラック運送事業者と連携して補助対象事業を行う場合に対象となりえます。事業ごとに条件が異なるため、実際の可否は執行団体である日本能率協会コンサルティングの公募要領で確認してください。
Q. 2次公募の申請受付はいつまでですか。
A. 2026年9月28日(月)から11月27日(金)までの予定です。ただし補助金申請額が予算額を超過した場合は交付されないことがあると報道発表に明記されています。受付期間を最後まで使える前提では構えないほうが安全です。
Q. 同じ日に始まるもう1本の補助金との違いは何ですか。
A. トラック輸送省エネ化推進事業の4次公募も9月28日10時から受付が始まりますが、締切は10月7日16時で受付は10日間です。対象も車両動態管理システムやダブル連結トラック、スワップボディコンテナ車両など省エネの実証が軸になります。締切の差が大きいため、2本を混同しないよう注意してください。
Q. 補助率はどのくらいですか。
A. 導入費用等の2分の1または4分の1です。どちらが適用されるかは対象機器や事業区分によって異なります。金額の上限を含む詳細は執行団体のホームページに掲載される公募要領で確認することになります。
Q. テールゲートリフターを入れると何が変わりますか。
A. トラックの荷台後部に取り付ける昇降装置で、重量物を人力で持ち上げずに積み下ろしできます。荷役時間とドライバーの身体負担が減り、結果として拘束時間の短縮につながります。荷待ちや附帯作業の長さは荷主側の荷姿や受け入れ時間にも左右されるため、設備だけで解決する問題ではありません。
Q. 発送代行に委託している場合、この補助金は関係ありますか。
A. 直接の申請主体にはなりにくいものの、委託先が荷役の効率化にどう取り組んでいるかは選定と契約更新の判断材料になります。入荷時の荷降ろし条件、パレット納品の可否、入荷予定の登録期限などは見積書には表れないため、事前に確認しておくと運用開始後のずれが減ります。
この記事の監修者
北原一樹
株式会社KEYCREW オペレーション部長。大手物流会社にて現場担当からセンター長を経て、営業・管理職を12年間歴任。物流業界での経験は24年に及ぶ。大規模顧客の初のEC・DCが併設された10,000坪規模の大型倉庫の立ち上げを主導した実績を持ち、月間100Mの赤字を抱えていた物流センターをわずか3か月で黒字化に転換させた。現在はSTOCKCREWにおいて部門管理・各拠点の収支管理・業務改善を統括。「現地・現物」「数字で現場を見る」「何事にも基準を作る」を信条に、年間5千万点の入出荷を支える高品質な物流オペレーションを実現している。